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「衆望」に応える闘い貫く
公明党全国大会(9月30日)に向け
井上幹事長、石田政調会長に聞く
公明党は9月30日に第12回党全国大会を開催します。党大会の意義や議論される政策課題などについて、井上義久幹事長、石田祝稔政務調査会長にそれぞれ聞きました。
防災を政治の主流に
新たな成長へ「人への投資」拡充
井上義久幹事長
――党大会の意義は。
井上幹事長 公明党は、この20年近くの大半、連立政権の一翼を担い、平和安全法制の整備や全世代型社会保障の推進など国の根幹に関わる政策決定に重要な役割を果たし、政治を前に進めてきました。
「日本の柱・公明党」としての地歩を築き、その真価をさらに発揮していくため、いま一度、「大衆とともに」の立党精神をたぎらせ、多様な人々の期待に応える「衆望」を担う政治を貫くことをともどもに誓い合う党大会にしたいと考えています。
「100万人訪問」は立党精神の体現
――具体的な取り組みは。
井上 今年4月から約3カ月間にわたって、公明党の全議員が地域に飛び込み、生活現場の課題をつかんだ「100万人訪問・調査」運動は、まさに「衆望」を担って誕生した公明党らしい立党精神を体現する取り組みでした。
党大会では、国会や地方議会で、この運動を基に政策に練り上げ、その実現に総力を挙げることを確認します。
――その柱となる政策は。
井上 特に強調したいのが「防災・減災対策」の強化です。日本列島が地震活動期に入ったと指摘され、水害も激甚化する中、自然災害は「人間の安全保障」への脅威となっています。
だからこそ、かつて見向きもされなかった「大衆福祉」を政治の主流へと押し上げたように、公明党が「防災の党」として「防災・減災・復興」を政治、社会の主流へと押し上げ、「命と生活の安全保障」をリードしたいと考えています。
――重要政治課題にどう対応しますか。
井上 人口減少と、それ以上のペースで進む高齢化に対応した経済社会をどう築くかが政治課題です。この難局を打開するには、人間一人一人が持てる可能性を最大限に引き出し、意欲のある全ての人が社会参加できる環境整備を進めた上で、互いに支え合う「共生社会」を構築し、「元気な日本」を実現するしかありません。
そのため、(1)人間力の開花による経済の「新しい成長」(2)共生社会を支える地域づくり(3)持続可能な自治体の構築――の三つの課題に挑戦します。具体的には、教育費負担の軽減など「人への投資」を拡充し、「1人当たりの労働生産性」を高めるとともに、住み慣れた地域で医療、介護、生活支援などのサービスを一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築や、自治体業務の効率化などを推進します。
――外交・安全保障では。
井上 「協調」から「対立」へと国際秩序が揺らぐ中、公明党は政党間外交を積極的に進め、いかなる国や人々も置き去りにしない“人類益”の実現を追求します。
東アジアの安定に向けては、北朝鮮の完全な非核化に向けた国際社会の緊密な連携を促さなくてはなりません。また、「核のない世界」へ唯一の戦争被爆国として核保有国と非保有国の「橋渡し役」を担い、核軍縮を現実的にリードします。
党勢拡大へ日常活動の“質”向上
――党勢拡大に向けては。
井上 党員、支持者による草の根のネットワークが公明党の生命線であり、そのネットワークの要が議員です。党大会では、全議員がこの自覚の下、ネットワークの力を最大に発揮できるよう、さらに深く地域に根を張り、信頼の輪を広げていくことを確認したいと思います。
ここで大事なことは、議員の日常活動の“質”を高めることです。日々の日常活動の中で訪問・調査を心掛けるとともに、議員個人の人脈などを軸とした「小グループ」づくりや、公明新聞の購読推進に一層力を入れていきます。
来年の統一選、参院選に勝利し党基盤を強化
――来年は政治決戦の年です。
井上 来年は統一地方選、参院選が同じ年に行われる12年に1度の「亥年の選挙」の年です。春の統一地方選が終われば、すぐさま夏の参院選に突入し、岩手、宮城、福島の被災3県でも地方選が相次ぎます。いずれも極めて厳しい戦いになりますが、揺るぎない党の基盤構築へ結束し断じて勝ち抜く決意です。
支え合う「共生社会」築く
重要政策案 教育、認知症施策などが柱
石田祝稔政調会長
――党大会で提示する重要政策案の意義は。
石田政調会長 わが国が少子高齢化・人口減少という大きな課題に直面する中、地域で暮らす一人一人が役割を持ち、支え合う「人と地域を生かす共生社会」の実現が必要だという観点から、「100万人訪問・調査」運動でつかんだ国民のニーズも踏まえ、中長期的な視点に立って今後2年間、さらにその先を見据え、具体的な5本の柱からなる政策を示す考えです。
これを基に、今後、「訪問・調査」の結果もさらに詳細に分析した上で、来年の統一地方選、参院選の重点政策を練り上げてまいります。
――5本柱の1番目は教育支援です。
石田 親の経済的事情による教育格差を是正し、子どもの可能性を開くため、私立高校授業料の実質無償化を含む幼児教育から高等教育までの教育費負担の軽減を具体化します。
併せて、学校施設の老朽化対策、ブロック塀や非構造部材の耐震化、教室へのエアコン設置、トイレの洋式化など、安全・快適に学べる環境を整えます。
――2番目には、社会保障の充実や総活躍社会の実現などを訴えています。
石田 介護の負担軽減や悩みの解消に向け、住み慣れた地域で医療、介護、生活支援などのサービスを一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」や見守り支援などを充実させます。
さらに、急速に増え続ける認知症の人や、その家族を支える社会を築くため、「認知症施策推進基本法」の制定をめざします。
――3番目には経済再生を掲げています。
石田 地域経済をけん引する中小企業・小規模事業者を対象に、各種支援策の周知徹底や事業承継支援の充実に取り組みます。国の基盤である農林水産業の活性化も進めます。
来年10月の消費税率10%への引き上げに対する備えも重要です。軽減税率の円滑な導入とともに、駆け込み需要や反動減を防ぐため、住宅や自動車など耐久消費財の購入を支援します。低年金者向け給付金の前倒し支給もめざします。
――4番目は「防災・減災」です。
石田 自然災害の激甚化・頻発化を踏まえ、平時からハード・ソフト両面の備えを怠らない「防災意識社会」への転換を進めなければなりません。そのためにも、道路や橋、水道管など社会インフラの補修、更新に加えて、関係者が災害時に取るべき行動を時系列で整理する「タイムライン防災」を推進し、住民が自らの避難行動を事前に定める「マイ・タイムライン」の普及に取り組みます。
――第5の柱として平和外交への取り組みを挙げています。
石田 わが国を取り巻く安全保障環境が不透明感を増す中、安定した平和と繁栄の対外関係を築くための取り組みが不可欠です。
「核兵器のない世界」に向けては、核保有国と非保有国の橋渡し役に一層努めていきたい。日米同盟を基軸に、近隣外交を発展させることも重要です。日朝関係では、拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的な解決をめざします。