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2020年5月29日

コラム「北斗七星」

「私は震災の福島を、言葉で埋め尽くしてやる。コンドハ負ケネエゾ」。詩人の和合亮一さんはただならぬ覚悟だったに違いない。東日本大震災から7日。アパートの一室で綴った詩だ。『詩の礫』(徳間書店)にある◆当時、最も放射線量が高かった地域にいた和合さん。「『福島をあきらめない』『福島で生きる、福島を生きる』『明けない夜は無い』」。目に見えぬ恐怖に泣き紡いだ詩人の言葉はコロナにあらがうことを余儀なくされた人々の心にも響くだろう◆緊急事態宣言が全て解除されてから初の週末へ。とはいえ不安は消えない。北九州市は再開した市の43施設を28日から再び臨時休館した。和合さんは「状況を写し取ることで、生きる力を与えることはできないか」(日経)と考えていると聞く◆「なくてはならないものが何か。なくても別に困らないものが何か。少しずつ見えてきた気がします」と語ったのは、作家の村上春樹さんだ。急速に進むテレワークでオフィスの必要性がなくなり解約に動く企業。東京から事務所を移転させる会社も◆感染症はしばしば時代を画す原動力となってきた。100年前のスペインかぜは国民皆保険制度の導入につながり、14世紀のペスト禍では教会の権威が失墜。ルネサンスが開花した。「夢を追うのだ、ためらわず」。和合さんの叫びである。(田)

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