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介護休業 取りやすい職場に
企業に行動促す助成金 従業員の取得に最大60万円
離職防止へ創設 補正予算で公明が後押し
家族の介護を理由とした離職が年間約10万人に上る現状を受け、企業に行動を促す「介護離職防止支援助成金」が、19日に創設された。従業員の仕事と介護の両立に向け、介護休業の円滑な取得や、時差出勤などを可能とする支援制度を実現した企業が対象。公明党の推進で、11日成立の2016年度第2次補正予算に盛り込まれていた。
厚生労働省によると、助成金は(1)従業員が1カ月以上の介護休業を取得して職場復帰した場合、大企業に40万円、中小企業に60万円(2)従業員が時差出勤や残業の免除などの制度を3カ月以上利用した場合、大企業に20万円、中小企業に30万円―が支給される。
(1)、(2)それぞれで1社当たり2回(無期雇用者、期間雇用者各1回)まで利用できる。
助成の要件として、厚労省策定のモデルに基づいた仕事と介護の両立に関する実態調査の実施や、相談窓口の設置、家族を介護する従業員への個別の支援計画策定なども求められる。
介護休業は、病気やけがで常時介護が必要な家族がいる労働者が勤務先に申し出ることで、対象家族1人につき最長93日まで取得できる。しかし、家族を介護しながら勤めている人が実際に介護休業を取得した割合は、わずか3.2%(12年総務省調査)にすぎない。こうした実情から厚労省は、今回の助成金を通じて、まずは雇用形態別に介護休業などの利用を促し、企業に両立支援のノウハウを蓄積してもらいたい考えだ。
公明党は今年7月、政府に申し入れた経済対策の提言で、企業における仕事と介護の両立支援の推進を訴えていた。これまでも「介護離職ゼロ」の実現に向け、最長93日の介護休業を一括でしか取れなかった仕組みを改め、来年1月からは最大3回まで分割して取れるようにする法改正をリード。介護休業給付の充実も今年8月に実現し、賃金の40%だった給付率は67%に引き上げられた。