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災害復旧に重点、景気を下支え
河川施設防災力向上
今年度補正予算案 閣議決定
日米貿易協定受け国内農業の基盤強化
■歳出は4・5兆円
政府は13日午後、2019年度補正予算案を閣議決定した。5日に政府が取りまとめた「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」の一部などを反映し、当初予算に追加する歳出は計4兆4722億円となった。相次ぐ災害からの復旧・復興を加速させるとともに、水害に備えた河川施設などの防災機能の強化や景気の下支えを力強く進める。これに先立ち、公明党は同日午前、衆院第2議員会館で政務調査会の全体会議と部会長会議を開き、同補正予算案を了承した。=3面にポイント
主な項目として、台風19号など自然災害からの復旧・復興や、防災・減災対策に計2兆3086億円を充てる。具体的には公共土木施設などの災害復旧などに4859億円を計上。河道掘削や堤防のかさ上げなど治水対策に2437億円を確保するほか、無電柱化の推進で205億円を配分した。
経済の下振れリスクへの対応では9173億円を計上した。このうち、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備に3847億円を配分。農産物市場を開放する日米貿易協定や米中貿易摩擦を踏まえた農林水産業支援に3428億円を確保した。30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」の支援では86億円を充当。今後、政府は複数年にわたって支援していく。
東京五輪・パラリンピック後を見据えた景気の下支えでは1兆771億円を充てる。内訳は中長期的な成長基盤の育成へ、「ポスト5G」情報通信システム基盤強化対策として1100億円を確保。次世代に向けた人材育成を図るため、小中学校にパソコンなどの端末を1人1台配備する事業などに2318億円を充てる。
■高齢運転者事故防止へ安全装置導入に補助
さらに、高齢者の車の安全運転支援として、自動ブレーキなどの安全機能が搭載された安全運転サポート車や、後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置の購入支援への補助事業に1139億円を措置した。
先に公表した政府の経済対策は事業規模26兆円、国費7.6兆円。政府は、19年度補正予算案、20年度当初予算案を合わせた「15カ月予算」として、災害復旧や景気の下振れリスクに対応する方針だ。
補正予算案4.5兆円のうち4兆3030億円は政府の経済対策の一部を実行するために充てる。残りの1692億円は、幼児教育・保育の無償化の不足分などの経費として計上。
なお、長引く米中貿易摩擦に伴う法人税収の伸び悩みから、歳入では前年度の剰余金や税外収入のほか、建設国債と赤字国債を2.2兆円ずつ発行して財源を賄う。