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国際共同開発した次期戦闘機の輸出
参院予算委での首相答弁(要旨)
日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への移転(輸出)を巡り、自民、公明両党の協議が続いています。そこでテーマになった5日の参院予算委員会での岸田文雄首相の答弁(要旨)を紹介します。
■(なぜ次期戦闘機が必要か?)日本の平和と安定には、最新鋭機の開発が不可欠
島国であり、専守防衛を旨とする日本が安全を確保するためには、空や海からの攻撃を、できる限り洋上・遠方で阻止する必要があります。戦闘機は、これらの防御的任務を遂行するための中核的装備品です。
F2戦闘機の退役が始まる2035年ごろから、後継となる次期戦闘機の導入を開始する必要があります。周辺国が新世代機の開発や配備を進めている中、将来にわたって日本の平和と安定を確保するには、最新鋭の次期戦闘機を開発することが不可欠です。
■(なぜ国際共同開発を行うのか?)コストなどの観点から最適な選択肢と判断
防衛装備品の高度化・高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中で、優秀な装備品を取得するには、一国のみならず、パートナー国と協力して、資金や技術をそれぞれが供与して開発していく方式が国際的に採られています。
次期戦闘機の開発を進めるに当たり、日本の独自開発や米国との共同開発などの可能性も検討した結果、必要な性能の実現可能性・スケジュール・コストなどの観点から、英伊との国際共同開発が最適な選択肢だと判断しました。
■(日本が第三国に輸出できないと?)今後、国際共同開発への参加が困難に。日本の防衛に支障を来す
国際共同開発の協議は、各国が同等の貢献を行うことを前提に、自国が求める性能の搭載を主張し合うプロセスです。(次期戦闘機の共同開発を決めた)2022年末当時は、技術面や資金面で十分な貢献をすることで、日本の要求を通し、求める戦闘機を実現することが可能だと考えていました。しかし、協議を進める中で、英伊は調達価格の低下などに向けて完成品の第三国移転を推進することを貢献の重要な要素と考え、日本にも同様の対応を求めていることが明らかになりました。
日本から第三国への直接移転を行う仕組みが存在しなければ、日本は価格低減の努力を行わないことになり、そのような国が求める性能を実現するために英伊自らが求める性能を断念することは想定されず、日本が求める戦闘機の実現が困難となります。
日本の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し、防衛に支障を来さないようにするため、直接移転を行い得る仕組みを持ち、英伊と同等に貢献し得る立場を確保することが国益です。
また、日本が直接移転を行い得る仕組みを持たなければ、国際共同開発・生産のパートナー国として、ふさわしくないと国際的に認識されてしまいます。今後、国際共同開発・生産への参加が困難となれば、求める装備品の取得が困難となり、日本の防衛に支障を来すことになります。