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子育て支援を抜本強化
政府の「こども未来戦略」
少子化対策の具体策を示した政府の「こども未来戦略」には、公明党の主張を反映し、今後3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」が盛り込まれました。ここでは今後実施される主な子ども・子育て支援策のポイントを紹介します。
■(予算規模)先進国でトップ水準に/公明の「応援プラン」反映
2023年の出生数(速報値)は75万8631人で、8年連続の減少、過去最少となりました。進展する少子化に歯止めをかけることが急務です。そこで政府は「30年代に入るまでの6~7年が、少子化傾向を反転できるかのラストチャンス」として、「こども未来戦略」に基づき、24年度から3年間で集中的に取り組む施策を示した「加速化プラン」をまとめています。
加速化プランは、子どもの幸せを最優先する社会の実現へ、公明党の「子育て応援トータルプラン」の一部施策が先行実施する形で反映されています。年3.6兆円の予算規模となる加速化プランの実施により、日本の子ども関係予算はOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデンをしのぐ水準となります。
■(財源)社会全体で支える
少子化対策を進めるために必要となる安定財源の確保に向けては、徹底した歳出改革(1.1兆円)や既存予算の最大限の活用(1.5兆円)に加え、全世代が加入する医療保険制度を活用して企業や国民から徴収する「支援金制度」(28年度に1兆円)を創設して確保します。
支援金を巡っては、社会全体で子ども・子育てを支える理念の下、現在、詳細な制度設計を進めています。公明議員の国会質問を受け政府は、加速化プランによる子ども1人当たりの給付拡充額は平均約146万円に上ると明言。「子育て世帯にとっては、拠出額を上回る確かな支援拡充になる」と答弁しています。
■(経済的支援)児童手当支給、高校3年まで
全ての子どもを支える経済的支援として、公明党が推進してきた児童手当を抜本的に拡充します。具体的には、今年10月分から所得制限を撤廃し、支給期間を高校生年代まで延長。第3子以降は月額3万円に増額します。支給回数についても年3回から年6回に変更し、拡充後の初回支給は12月に支給されます。
■(給付型奨学金)中間層に対象拡大
教育支援では、大学や専門学校など高等教育の無償化を拡充します。24年度には、給付型奨学金と授業料減免の対象を多子世帯や理工農系の学生の中間層(世帯年収約600万円)まで拡大。貸与型奨学金の減額返還制度も、利用可能な年収上限を400万円に引き上げ、経済的な負担軽減を図ります。さらに25年度には、多子世帯を対象に大学などの授業料や入学金を所得制限なしで無償化します。
このほか、伴走型相談支援と、妊娠・出産時に計10万円相当を給付してきた事業を強化させる形で恒久化し、切れ目ない支援を実施します。
■(サービス拡充)「誰でも通園」創設、保育の質向上
子育て世代の声を受け止めて支援サービスが拡充されます。保育所などに通っていない子どもへの支援強化では、親の就労要件を問わず保育施設を時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」を創設。現在、試行的事業として一部自治体で実施していますが、25年度に制度化し、26年度から全国の自治体で実施する予定です。
保育の質向上では、職員の配置基準を見直し、4~5歳児では24年度に「子ども30人に保育士1人」から「25人に1人」に改善します。
多様なニーズにも順次対応を進めます。例えば、低所得のひとり親世帯が対象の児童扶養手当について、所得限度額の引き上げなど支給要件を緩和し、多子世帯の加算を増額。産後ケアを全ての人が利用できるよう提供体制を整備するほか、ヤングケアラーの支援強化も推進します。
■(共働き・共育て)育休給付金を手取り10割へ
育児休業の取得が当たり前になるよう支援策を抜本的に強化します。給付では両親が共に育児休業を14日以上取った場合に、育休給付を手取りの実質8割から10割に引き上げ。業務を代替する周囲の社員への応援手当に関する助成拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額も行います。
柔軟な働き方の体制整備では、フレックスタイム制やテレワークなど複数の制度を事業主が設けて労働者が選べるようにし、子どもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した際には時短勤務時の賃金の10%を支給。子どもが病気の際に取得が認められる看護休暇は、対象を就学前から小学3年まで引き上げ、他の理由でも使えるようにします。
このほか自営業・フリーランス支援として国民年金保険料を一定期間免除。雇用保険の対象者拡大も進めます。