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【日本の2023年賃上げ事情】中小企業も対象に!経済政策によって企業の賃金引き上げは本当に実施されるのか?

「2023年に企業の賃金引き上げは実施されるのか?」

「中小企業も賃上げの対象なのか?」

このような疑問を持つ人もいるでしょう。

物価上昇や電気代の値上がりなどで、市民の生活に影響が出始めています。従業員の生活を守るため賃金引き上げを発表する企業も見られました。日本の場合は中小企業が大部分を占めているため、大企業以外の賃上げも重要です。

この記事では2023年の賃上げ事情について徹底解説します。最低賃金や基本給の賃金引き上げについても分かりやすく説明します。政府の賃上げ政策などについてもくわしく解説するので、2023年の賃金引き上げについて知りたい人は必見です。

 

目次

2023年、賃上げに関して注目すべきこと

世界情勢などの影響を受け物価高が続いている中、今後給料が増えるのか気になる人もいるでしょう。ここでは、賃上げに関して注目すべき点について、最低賃金と基本給に分けてくわしく解説します。

 

最低賃金の引き上げ

2023年も最低賃金の引き上げは行われると予想されます。政府が平成29年に決定した「働き方改革実行計画」では、最低賃金の引き上げについて盛り込まれました。年率3%程度を目途として引き上げ、全国加重平均が1,000円になることを目指しています。

 

実際に平成29年以降の最低賃金は毎年引き上げられてきました。全国加重平均が目標の1,000円に満たないため、今後もこの流れが継続すると思われます。

参照:働き方改革実現会議「働き方改革実行計画(概要)」

 

基本給の賃金引き上げ(ベア)

2023年は各企業の基本給についても賃金引き上げが見込まれます。政府が物価上昇率以上の賃金引き上げを目指し、企業に求めているためです。通常なら4月の春闘で労働組合による賃金引き上げ交渉が行われますが、すでに賃上げを表明している企業もあります。

 

まずは令和4年の最低賃金状況から見てみよう

最低賃金は例年10月に改定されています。最低賃金の発効年月日当日の勤務から、新たな最低賃金が適用される仕組みです。最低賃金は都道府県ごとに定められているため、どの地域で働いているかにより金額に違いがあります。

令和3年の最低賃金と令和4年改定の最低賃金を下の表にまとめました。

都道府県 最低賃金(令和3年10月改定) 最低賃金(令和4年10月改定)
北海道 889円 920円
宮城県 853円 883円
埼玉県 956円 987円
千葉県 953円 984円
東京都 1,041円 1,072円
神奈川県 1,040円 1,071円
新潟県 859円 890円
静岡県 913円 944円
愛知県 955円 986円
京都府 937円 968円
大阪府 992円 1,023円
兵庫県 928円 960円
岡山県 862円 892円
広島県 899円 930円
福岡県 870円 900円
熊本県 821円 853円
全国加重平均額 961円 930円

参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧(令和4年度)」

 

令和4年度の最低賃金は、令和3年度と比べてすべての都道府県で30円以上増加しました。東京都の最低賃金も1,041円から1,071円と30円の増加であることがわかります。全国加重平均は政府の目標である1,000円未満のため、今後も最低賃金は上昇すると考えられます。

参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

 

 

そもそも最低賃金とは

最低賃金とは、国が決めた賃金の最低ラインを指します。労働者を雇う場合、最低賃金より高い賃金を支払わなければなりません。労働条件の改善や労働者の生活の安定を図るために最低賃金法で定められました。

最低賃金はすべての労働者に適用されるもので、会社の規模は関係ありません。法律で定められているため、大企業でも小規模企業でも最低賃金以上の報酬を支払う義務があります。

最低賃金は都道府県によって違うのもポイントです。最低賃金の目安は中央最低賃金審議会で決められますが、実情に合わせて都道府県ごとに審議されます。地域による生活費の差や企業規模の差を考慮し、どの地域でも公平になるよう決められています。

参照:厚生労働省「最低賃金とは」

 

最低賃金には地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類がある

最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。

 

地域別最低賃金とは

地域別最低賃金とは、都道府県ごとに定められた最低賃金を指します。具体的な金額は公益代表や労使代表が協議し決定されます。金額は地域の住宅費や物価などを考慮して決められるため、東京や大阪などの都市部で高い傾向です。

 

特定最低賃金とは

特定最低賃金は特定の職業に適用される最低賃金です。地域別最低賃金より高い金額を設定できるのが特徴です。例えば、令和4年10月の北海道の地域別最低賃金は920円ですが、鉄鋼業に関しては1,000円と高くなっています。

参照:厚生労働省「最低賃金の種類」

参照:厚生労働省「特定最低賃金の全国一覧」

 

 

近年、最低賃金は上がっているけどなぜ?

政府が最低賃金引き上げを急ぐ理由は物価高へ対応するためです。物価と賃金のバランスを取り、経済活動を活発にする狙いがあります。

2022年12月の生鮮食品を除く消費者物価指数は1年前と比べて4.0%上昇しました。41年ぶりとなる上昇率で、食品の値上げも相次いでいます。しかし、賃金は物価高を上回るほど上昇していません。

賃金上昇率が低いままでは、個人消費が落ち込み経済状況の悪化が懸念されます。生活の安定や活発な経済活動のため、最低賃金の上昇が続いているのです。

 

給料を受け取って働くすべての人が知っておきたい最低賃金のポイント

自分の給料が適正に支払われているのかを知るためにも、最低賃金についての知識を持ちましょう。ここでは、知っておきたい最低賃金のポイントについて2つ紹介します。

 

ポイント1:自分の給料は最低賃金以上なの?確認するための計算方法は?

自分の給料が最低賃金以上かどうかを確認する方法は、給料の計算方法によって違います。それぞれの計算式は以下のとおりです。

給与形態 最低賃金との比較方法
時間給制 時間給≧最低賃金額(時間額)
日給制 日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

※日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)

月給制 月給÷1カ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
出来高払制その他の請負制 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較。

参照:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」

 

どの給与形態でも時給を計算すると、最低賃金との比較ができます。基本給が日給制で手当が月給制など複数の給与形態が混ざっている場合は、それぞれを時給換算し合計したものと比較してください。

 

ポイント2:もし自分の賃金が最低賃金を下回っていたらどうすればいい?

自分の賃金が最低賃金に満たない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。最低賃金は法律で決められているため、どんな業種の企業も最低賃金以上の報酬を支払わなければなりません。支払わない場合は法律違反となり、罰則を受けることになります。

 

試用期間や研修中には適用されるの?

試用期間や研修中は、決められた最低賃金より低くなる可能性があります。雇用の機会を狭めないよう、最低賃金の減額特例が認められるためです。

最低賃金の減額は、都道府県労働局長の許可を得た場合に適用されます。トラブルを避けるため、試用期間や研修中の給料を確認したほうがよいでしょう。

参照:厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」

 

雇用形態によって適用されない場合はあるの?

最低賃金は正社員やアルバイト、嘱託などすべての雇用形態に適用されます。最低賃金は、健康的な生活を送るためのセーフティーネットの役割を持つためです。

派遣労働者の県外派遣など、派遣元と派遣先の都道府県が異なる場合は要注意です。最低賃金は都道府県や特定の業種で異なるため、派遣先の事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。条件に当てはまる場合は正しい報酬かどうか確かめましょう。

参照:厚生労働省「派遣労働者への適用」

 

最低賃金法に違反すると企業側にペナルティがある

もし、企業が最低賃金より安い報酬しか払わなかった場合、50万円以下の罰金が課せられます。最低賃金は法律で決められており、必ず守らなければいけません。

 

 

春闘に注目があつまる?!
2023年の給与・賃金引き上げの動向を見てみましょう

2023年の春闘を前に、基本給引き上げを打ち出す企業が見られます。ここでは、2023年の給与や賃金引き上げの動向をくわしく解説します。

 

政府は物価高騰・賃上げへの取り組みを重点項目として挙げている

物価高騰による市民生活への影響を考慮し、政府は賃上げへの取り組みを重点項目として掲げています。令和4年度第2次補正予算では「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」を目的とし、7,444億円の予算が計上されました。

特に中小企業向けの支援を拡充しているのが特徴です。最低賃金引き上げを支援する「業務改善助成金」の拡充に100億円が割り振られました。中小企業向けの「働き方改革推進支援助成金」にも28億円の予算が計上されています。これらの助成金には、中小企業に勤める労働者の賃上げを促す狙いがあるのです。

参照:厚生労働省「令和4年度厚生労働省第二次補正予算案の概要」

 

政府が企業に強く賃上げの実施を求める背景は物価上昇

政府が賃上げを企業に求める背景には物価上昇があります。近年、物価は上昇するものの平均賃金が上がらない状態が続いていました。ここ30年間で諸外国の賃金は上昇しているのに対し、日本の賃金は横ばいのまま推移しています。

国際情勢などの影響で円安になり、原材料の高騰から物価高が加速しています。物価上昇に対応するため、政府は企業に賃上げ要請を行ったのです。

 

物価上昇を上回る賃上げで生活者の消費拡大を促し企業収益を改善する狙いがある

政府が物価上昇を上回る賃上げを推し進める背景には、生活者の消費拡大を促し企業収益を改善する狙いがあります。経済を回すには消費拡大が必須ですが、賃金が低いままでは消費意欲につながりません。賃金を上げることで消費行動を促し、企業収益に繋げる狙いがあるのです。

 

春闘を待たずにすでに賃上げを表明した企業もある

2023年は基本給の賃金引き上げを行う企業が増えると予想されます。大手企業ではユニクロが3月から正社員の賃金を大幅に引き上げると発表しました。サントリーも基本給のベースアップを行うと表明。そのほかの企業でも賃上げ発表が相次いでいます。

賃上げを後押しするため、政府でも大胆な賃上げに取り組む事業者向けに優遇制度を設けました。補助金においては補助率の優遇を行ったり、審査上の加点などを行ったりと賃上げを支援する取り組みが行われています。

 

 

物価上昇率(インフレ率)を上回る賃上げを実現すべく政府は助成金拡充を実施

政府は物価上昇率より高い賃上げの実現に向け、賃上げに取り組む企業を支える「業務改善助成金」の拡充に取り組んでいます。これは中小企業や小規模事業者を対象とし、事業場内で最も低い賃金の引き上げを図る目的の制度です。

助成額は引き上げ額や引き上げる労働者数により決まり、小規模の事業者は上限額が高くなっています。例えば、事業場規模30人未満の場合、10人以上の労働者を30円以上引き上げると130万円を上限として助成金が受けられます。

参照:厚生労働省「業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」

 

働く人の7割近くが勤めている中小企業の賃上げは実現するのか

中小企業にも賃金引き上げの傾向が見られます。中小企業専門の金融機関である商工中金が行ったアンケートでは、2022年・2023年とも定例給与や時給を引き上げると答えた企業は7割強でした。ボーナスなどの賞与や一時金の引き上げも6割弱の中小企業が実施を予定しています。

参照:商工中金「中小企業の賃上げの動向について」

 

どうやったら中小企業が物価に合わせて賃上げしていけるコメ?

 

大企業と中小企業の適正な取引に向けた「パートナーシップ構築宣言」を進めていくことが重要だと公明党の山口代表は言っていたよ。

また、「中小企業自身が努力することも大事だ」と述べ、中小企業の生産性を向上させるための各種補助金を拡充させていく重要性を力説した。

 

政府が2023年春、企業に賃上げ実施を強く求めるのは物価上昇を見据えた経済政策上、必要な取り組みだった!

日本は長期のデフレにより賃上げが難しい状況でした。しかし、世界情勢不安による原料費高騰や円安から、物価上昇率が上がり市民生活にも影響が出ています。

政府では生産性向上や消費拡大を目指し、賃上げが必要と判断。賃上げを後押しするため企業向けに補助金などの優遇政策を打ち出しました。日本の9割以上を占める中小企業向けの優遇制度を拡充し、物価上昇に対応できるよう経済政策を進めています。

政府は全国加重平均が1,000円以上を目指して最低賃金引き上げを進めています。ベースアップなどの賃上げは私たちの生活に直接関係するため、春闘など今後の動きに注目していきましょう。

 

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