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「奨学金返済がきつい」社会人の方へ。返済計画、困ったときに使える制度

家庭の経済事情が苦しい人に便利なのが奨学金制度です。しかし社会人になってから、すぐに返済がスタートするため、経済的に苦しいと思っている人も少なくありません。

今回は、奨学金の返済が苦しいと感じている人をサポートする、さまざまな制度について解説します。

 

奨学金の概要

奨学金とは、修学・研究を援助するための資金です。国・自治体・企業・各種法人などが学生に向けて奨学金を援助しており、希望すれば奨学金制度を利用することができます。

奨学金の種類

奨学金は、大きく分けて給付型・貸与型の2種類があり、その2種類がさらに細分化している仕組みです。奨学金に具体的にどのような種類があるのか、次よりみてみましょう。

 

・給付型

・給付型は返済不要の奨学金で、大学や短期大学・高等専門学校・専門学校に進学する人が対象

・高校卒業から2年以内、世帯が住民税非課税世帯とそれに準ずるのが条件

・支給額は約35万円~91万円、住民税非課税世帯に準じる世帯はこの金額の3分の1〜3分の2

 

・貸与型

・返済することが条件で一定の受給が受けられる制度

・第一種奨学金(無利息)、第二種奨学金(利息あり)の2タイプがあり、家庭の経済状況・学校の成績内容によって決定される

 

条件さえ満たせば給付型と貸与型の併用、利息あり・なしの併用などが可能となっています。

 

奨学金の返済額と返済期限は?

奨学金の貸与型を選んだ場合、貸与した金額は卒業後に分割で返済をしなくてはいけません。その返済額と返済期限は以下の通りです。

 

・国立大学(4年制)、月額51,000〜54,000円(利息なし)の場合

返還月額 返還期限 返還総額
13,600〜14,400円 15年(180ヶ月)​​ 2,448,000〜2,592,000円​​

 

​​・4年制大学(利息あり)の場合

年利 返還月額 返還期限 返還総額
0.5〜3.0% 13,874〜16,769円​​ 15年(180ヶ月)​​​​ 2,497,419〜3,018,568円​​

 

​​奨学金は、借入総額3,243,000円、毎月の返済額は16,880円が平均といわれています。

 

利子を減らせる、奨学金の繰り上げ返済

利子ありの奨学金を選んだ場合、借入額に加えて利息も支払わなくてはいけないので、少しでも利息を減らしたいと考えている人もいるでしょう。

 

少しでも利息を減らしたい人、お金に余裕のある人は繰り上げ返済を利用しましょう。繰り上げ返済とは、毎月の引き落とし日の前の支払いが可能になる返済方法です。

 

繰り上げで少しでも早く返済を済ませれば、返済総額も減って、その結果利息も減らせます。

 

繰上げ返済をするには、スカラネット・パーソナルに申し込みをしなくてはいけません。日本学生支援機構が用意した、自身の奨学金の詳細が閲覧できる情報システムです。

 

繰り上げ返済は、スカラネット・パーソナルの公式サイト経由、または必要書類の郵送・ファックスで申し込みできます。または日本学生支援機構の奨学金返還相談センター(03-6743-6100)からの申し込みも可能です。繰り上げ返済は、利息なしの貸与型でも申し込みできるので、少しでも早く完済したい場合は申し込みをしましょう。

 

奨学金の返済がきついときに利用できる制度と条件

返済額を少しでも早く減らしたい人におすすめなのが繰り上げ返済ですが、この返済はお金に余裕がある人が行う方法です。しかし、なかには毎月の返済に余裕がない人もいるはずです。そのような人のために、返済を少しでも楽にできる制度を次より紹介しましょう。

 

減額返還制度

返済期限を延長して月々の返済額を減らす制度が、減額返還制度です。この制度に申し込めば、返済期限を2〜3年延長できます。災害、傷害、疾病、その他経済的な事情が、この制度の対象内になる条件です。

 

減額返還制度は、あくまで「返済期限の延長=毎月の返済額の減額」であって、返済総額が減るわけではありません。利息ありの奨学金であれば利息も継続して支払わなくてはいけません。また、制度に申し込む際は必要書類(条件を満たす証明書)の提出が必須です。

 

この制度は、「奨学金の返済の負担を軽くしてほしい」という青年たちの声を受けて公明党が推進して実現したんだコメ!

 

返還期限猶予制度

日本学生支援機構が行っている制度が、返還期限猶予制度です。この制度に申し込めば返済期限を一定期限延長できます。

 

病気などで働くことが困難、失業などで経済状況に余裕がないことなどが条件で、それらを証明できる必要書類の提出が必要です。

 

返済期限の延長は、最大10年から無期限があり、無期限になるためには「現在、生活保護を受けている」「災害などの被害にあった」などの条件を満たさなくてはいけません。

 

減額返還制度と同様、返済総額および利息が減るわけではないので、注意しましょう。

 

 

奨学金を市や企業が補助!返還支援制度

地方公共団体や企業によっては奨学金の返済をサポートする「返還支援制度」を導入しているところもあります。この制度の概要やメリットなどについて以下より説明しましょう。

 

返還支援制度の概要

 

返還支援制度とは、日本学生支援機構の貸与型奨学金を受けていた人に対して、その返済額の一部あるいは全額を代行して返済する制度です。

 

企業はこの制度を福利厚生の一種として導入することができ、奨学金を受けた人、企業側どちらにもメリットが生じます。どのようなメリットが生まれるかについては、次の段落で説明しましょう。

 

地方公共団体の取り組み

日本各地域の地方公共団体は、地元で働いている奨学金を受けた人を対象とした、返還支援制度を実施しています。

 

奨学金の返済を代行して支払うことによって、地元企業への定着、都市部からのUターン就職の活性化実現がメリットです。現在は33府県・487市町村の地方公共団体が返還支援制度を実施しています。

 

企業の取り組み

企業が返還支援制度を導入した場合、企業側が直接、日本学生支援機構に代理で奨学金を返済する流れになり、これにより、企業側にとっても多様なメリットが生じます。

 

そのメリットとは、各種税金の負担軽減、従業員をサポートすることにより離職率の低下の実現、採用活動におけるPRなどです。

 

返還支援制度を導入している企業一覧

 

奨学金返済は計画的に

奨学金制度は、進学したくても経済的に困窮している若者を救うありがたい制度です。しかし、学校を無事に卒業できて晴れて就職をした場合、今後はその返済に追われることになります。

 

生活をひっ迫することなく返済を続けられる人であれば問題ないですが、なかには家庭の事情などにより毎月の返済が苦しいという人もいるでしょう。

 

このように奨学金はメリット・デメリットという二面性があります。そして奨学金のデメリットとなる問題を改善してくれるのが、奨学金返済に関するさまざまな制度です。

 

今回は、奨学金について以下のポイントを解説しました。

 

  • 奨学金の概要について
  • 奨学金の種類について
  • 奨学金の具体的な返済額と返済期限の例
  • 奨学金の繰上げ返済について
  • 奨学金の返済に関する各種制度について
  • 地方公共団体や企業が実施している奨学金返済の支援制度について

 

奨学金はさまざまなタイプがあり、それによって返済必須・不要と分かれます。どのような奨学金が自分に適しているのか、考慮することが大事です。

 

また、奨学金の返済に関する支援制度もさまざまな種類があります。どのような種類があるのかしっかりと把握する必要があります。それにより返済の苦労も軽減されるでしょう。

 

今回の記事を参考にして、奨学金の返済の辛さを克服してくれたら幸いです。奨学金に関して悩みがある場合、日本学生支援機構の奨学金返還相談センター(03-6743-6100)への相談もおすすめします。

 

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