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「奨学金返済がきつい」社会人の方へ。返済計画、困ったときに使える制度

家庭の経済事情が苦しい人に便利なのが奨学金制度です。しかし社会人になってから、すぐに返済がスタートするため、経済的に苦しいと思っている人も少なくありません。

今回は、奨学金の返済が苦しいと感じている人をサポートする、さまざまな制度について解説します。

奨学金の概要

奨学金と似ているものとして、教育ローンや借金があります。ここでは、奨学金との違いや奨学金の概要について解説していきます。

奨学金とは?

奨学金とは、修学・研究を援助するための資金です。国・自治体・企業・各種法人などが学生に向けて奨学金を援助しており、希望すれば奨学金制度を利用することができます。

教育ローンと借金の違い

奨学金とよく比較されるのが、教育ローンです。奨学金は、学生が教育費用の支援を受けるための制度であり、借り主は学生本人です。また、奨学金を受け取れるタイミングは入学後となるため、受験料や入学金にあてることができません。

一方で、教育ローンは親(保護者)が子どもの教育費用のために利用するローンで、入学金、授業料、塾の月謝など、教育に関連する多様な費用に使用できます。また、教育ローンには国が運営するものと、銀行や信用組合などが運営するものがあり、それぞれ条件が異なります。

教育ローンのメリットは、子どもに返済義務がないため、将来の不安を軽減できることや、入学前に必要な資金を準備できることです。しかし、奨学金と比較して金利が高く、他のローンやクレジットカードの審査に影響が出る可能性があることに注意が必要です。

 

借金は、教育費用以外にも幅広い目的で利用される一般的な資金借入れを指します。借りる際の審査は利用者の信用状況や収入に基づいて行われ、利用目的に制限はありません。

奨学金 教育ローン 借金
借主 学生本人 保護者 個人または法人
受け取り時期 入学後 入学前・入学後 いつでも
条件 学力基準有り・一定収入以下 国:一定収入以下

民間:一定収入以上

収入や担保の審査が必要
返済開始時期 卒業後 借入れの翌月から 借入れの翌月から
利息 低金利または無利息 奨学金と比較して高金利 金融機関の利率に基づく
返済期間 最長20年 最大10~20年 借入れ契約に基づく

 

奨学金の種類

奨学金制度は、学生にとって教育を受けるための大きな支援となります。その種類は大きく分けて「貸与型」と「給付型」の2種類があり、「貸与型」については「第一種」と「第二種」に分類されます。以下でそれぞれの特徴について解説します。

貸与型・給付型の特徴

奨学金は、大きく分けると「貸与型」と「給付型」の2種類に分類されます。

貸与型

貸与型奨学金は、文字通り「貸与」されるタイプの奨学金です。つまり、将来的には返済が必要となります。貸与型奨学金のメリットは、比較的審査基準が低いため、多くの学生が利用できることと、必要な金額をカバーしやすいことです。一方で、奨学金を申し込む際には保証人が必要であったり、返済できない場合には個人信用情報機関に登録されるといったデメリットもあります。

給付型

給付型奨学金は、返済の必要がないタイプの奨学金です。この種類の奨学金は、学業成績が優秀であり、かつ経済的に困難な状況にある学生に対して、教育を受ける機会を提供するためのものです。給付型奨学金の最大の利点は、返済の必要がないことです。これにより、学生は将来の返済に不安を抱くことなく、学業に集中できます。しかし、給付型奨学金は受給資格や条件が厳しい場合が多く、利用できる学生は限られています。

第一種・第二種の特徴

貸与型奨学金には、さらに「第一種」と「第二種」の区分があります。

第一種

第一種奨学金は、無利子の奨学金です。学業が優秀でありながら、経済的に支援が必要な学生を対象にしています。貸与額は、進学先、学生の居住形態(親元か独立生活か)、そして家庭の収入に基づいて決定されます。高校生の申込時には、一定の成績基準(例えば、5段階評価で3.5以上)をクリアする必要がありますが、経済的困難が特に深刻な家庭の場合には、この基準が免除されることもあります。

第二種

第二種奨学金は、利息付きの奨学金です。利率は経済情勢に応じて変動しますが、上限は3%に設定されています。貸与額は2万円から12万円までで、学生は希望する月額を選択できます。申込資格には、学業成績が平均水準以上、特定分野での資質・能力の優れていること、学業の確実な修了の見込み、家庭年収が一定額以下であることなどの条件があります。

 

奨学金の返済額と方法と期間は?

奨学金の返済は、その後の人生に大きな影響を与えるため、奨学金を利用する際には返済方法と期間を正確に理解しておくことが不可欠です。主に「定額返還方式」と「所得連動返還方式」という二つの返済方法があります。

定額返還方式

定額返還方式は、その名の通り、毎月一定額を返済する方法です。返済額は奨学金の借入総額、利息率、返済期間に基づいて計算されます。この方式のメリットは、返済額が一定であるため、返済計画を立てやすい点にあります。ただし、卒業後すぐに一定額の返済が始まるため、就職活動中や収入が安定していない時期には負担が大きくなる可能性があります。

所得連動返還方式

所得連動返還方式は、返済額が借り手の年収に応じて変動する方式です。収入が少ない場合は返済額が少なくなり、収入が増えるにつれて返済額も増えます。この方式の利点は、収入が少ない間は返済の負担が軽減されることです。ただし、総返済額が収入の増加に応じて増加する可能性があるため、長期的な視点での返済計画が必要です。

奨学金の返済を滞納するリスク

奨学金の返済が遅れたり、滞納が続くと、個人の信用情報に影響を及ぼすといったリスクがあります。将来の借入やクレジットカードの利用、住宅ローンの申込みなどに悪影響を与え、さらには滞納が続くと法的処置を受ける可能性もあります。

 

奨学金の返済に関しては、入念に計画を立てることが大切です。返済計画を立てる際には、自分の収入見込みや将来のライフプランを考慮し、無理のない計画を立てましょう。また、返済が困難になった場合は、返済の猶予や減額などの制度を活用することも一つの手段です。

利子を減らせる、奨学金の繰り上げ返済

利子ありの奨学金を選んだ場合、借入額に加えて利息も支払わなくてはいけないので、少しでも利息を減らしたいと考えている人もいるでしょう。

 

少しでも利息を減らしたい人、お金に余裕のある人は繰り上げ返済を利用しましょう。繰り上げ返済とは、毎月の引き落とし日の前の支払いが可能になる返済方法です。
繰り上げで少しでも早く返済を済ませれば、返済総額も減って、その結果利息も減らせます。

繰上げ返済をするには、スカラネット・パーソナルに申し込みをしなくてはいけません。日本学生支援機構が用意した、自身の奨学金の詳細が閲覧できる情報システムです。

 

繰り上げ返済は、スカラネット・パーソナルの公式サイト経由、または必要書類の郵送・ファックスで申し込みできます。または日本学生支援機構の奨学金返還相談センター(03-6743-6100)からの申し込みも可能です。繰り上げ返済は、利息なしの貸与型でも申し込みできるので、少しでも早く完済したい場合は申し込みをしましょう。

奨学金の返済がきついときに検討するべき対処法

奨学金の返済が経済的に厳しいときには、検討するべき対処法がいくつかあります。特に、返済に関する支援制度の利用は、返済計画を再考する上で有効な手段となります。

減額返還制度を利用する

減額返還制度は、月々の返済額を減らして、返済期限を延長できる制度です。この制度を利用することで、経済的に厳しい時期の返済負担を軽減することができます。

月々の返済負担を軽減できる

この制度のメリットは、返済期限の延長を通じて毎月の返済額を減らすことができる点です。これにより、災害や傷病、その他の経済的な困難に直面している時期に返済の負担を軽減できます。適応期間は最長15年です。

対象条件

対象となるのは、災害や傷病、その他の経済的理由によって返済が困難な方です。経済的理由による制度を利用するには、年収が325万円(所得225万円)以下であることが条件とされています。なお、奨学金を滞納している方は対象外となる場合があります。

注意点

減額返還制度を利用しても、返済総額が減少するわけでありません。あくまで、返済期間が延長することにより毎月の返済額が減額されるということを理解しておきましょう。また、利息の支払いが必要な奨学金の場合、利息の発生も継続します。

制度を利用するには、条件を満たすことを証明する書類の提出が必要であり、継続して利用する場合でも、毎年申請が必要です。

 

減額返還制度は、「奨学金の返済の負担を軽くしてほしい」という若者たちの声に応え、公明党の推進により実現したんだヨネ!

公明党は、経済的な理由で進学を諦めるようなことがあってはならないという観点から、奨学金制度の拡充を推進しているんだ。

 

返還期限猶予制度を利用する

返還期限猶予制度は、奨学金の返済が困難な場合に返済期限を一定期間延長できる制度です。日本学生支援機構が行っており、返済の一時的な負担を軽減する目的で提供されています。

返済期間を延長できる

返還期限猶予制度の主な利点は、毎月の返済を一時的に停止し、返済の猶予期間を設けてもらえることです。これにより、現在の経済状況が厳しい場合でも、将来的に収入が改善されるまでの猶予を得ることができます。猶予の期間は通算で10年ですが、災害や傷病、生活保護の受給中といった特別な事情がある場合には上限がなくなります。

対象条件

対象となるのは、病気や失業などにより返済が困難な方です。これらの状況を証明できる書類の提出が必要になります。現在延滞をしている方でも、返済が困難な状況を証明できれば対象となります。

注意点

返還期限猶予制度を利用すると、返済期間が延長されますが、返済総額そのものが減少するわけではありません。また、長期にわたり猶予を希望する場合でも、毎年申請が必要となることに注意しましょう。

日本学生支援機構へ相談する

奨学金の返済に関して不安や問題を抱えた場合、日本学生支援機構(JASSO)への相談が有効な選択肢となります。日本学生支援機構は、奨学金制度の運営を行っており、返済に関する相談や支援に関して専門的な知識と情報を提供しています。

日本学生支援機構では、返済が困難な状況にある学生や卒業生に対して、具体的なアドバイスや解決策を提供しています。返済計画の見直し、返済方法の変更、支援制度の案内など、個々の状況に応じた対応を受けることができます。返済に関する悩みや問題を抱えている場合、まずは日本学生支援機構に相談することをお勧めします。

債務整理を行う

奨学金の返済が長期間にわたり困難な状況に陥った場合、債務整理をすることも検討しなければなりません。債務整理には、個人の経済状態により「個人再生」「自己破産」「任意整理」といった選択肢があります。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて債務の一部を免除してもらい、残りの債務を分割して返済する方法です。これにより、返済額を大幅に減少させることが可能になります。個人再生は、多額な借金を抱えてはいるが、処分したくない資産を有している場合に有効な手段となります。ただし、申立てには一定の条件があり、財産状況や収入状況によっては利用できない場合もあります。

自己破産

自己破産は、裁判所の判断によって債務の全額免除を受ける方法です。この方法を選択すると、ほぼ全ての債務から解放されることになります。しかし、自己破産には重大な影響が伴います。家や車などの資産は全て処分され、信用情報には長期間の悪影響を及ぼすことになります。一定期間は新たな借入やクレジット契約ができなくなるため、最終手段として考えておく必要があります。

任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉して債務の条件を見直す方法です。この方法では、返済額や返済期間を再交渉し、負担を軽減することが目的です。任意整理は裁判所を介さずに行われるため、手続きが比較的簡単であり、信用情報への影響も比較的軽微です。ただし、債権者全員の合意が必要となり、交渉が難航することもあります。

 

 

奨学金を市や企業が補助!返還支援制度

地方公共団体や企業によっては奨学金の返済をサポートする「返還支援制度」を導入しているところもあります。この制度の概要やメリットなどについて以下より説明しましょう。

返還支援制度の概要

返還支援制度とは、日本学生支援機構の貸与型奨学金を受けていた人に対して、その返済額の一部あるいは全額を代行して返済する制度です。

 

企業はこの制度を福利厚生の一種として導入することができ、奨学金を受けた人、企業側どちらにもメリットが生じます。どのようなメリットが生まれるかについては、次の段落で説明しましょう。

地方公共団体の取り組み

日本各地域の地方公共団体は、地元で働いている奨学金を受けた人を対象とした、返還支援制度を実施しています。

奨学金の返済を代行して支払うことによって、地元企業への定着、都市部からのUターン就職の活性化実現がメリットです。現在は33府県・487市町村の地方公共団体が返還支援制度を実施しています。

企業の取り組み

企業が返還支援制度を導入した場合、企業側が直接、日本学生支援機構に代理で奨学金を返済する流れになり、これにより、企業側にとっても多様なメリットが生じます。

 

そのメリットとは、各種税金の負担軽減、従業員をサポートすることにより離職率の低下の実現、採用活動におけるPRなどです。

返還支援制度を導入している企業一覧

奨学金返済のためのコツ

奨学金の返済は、卒業生にとって大きな負担となりますが、重要な責任でもあります。自身の財政状況や収入を考慮し、明確な計画を立てることが必要です。以下に、奨学金を返済する上でのコツをいくつか紹介します。

毎月の収入と支出を把握して節約する

奨学金の返済を効果的に進めるためには、まず自分の収入と支出を正確に把握することが大切です。月々の収入と固定費・変動費を明確にし、不要な支出を削減することで、返済に充てることができる金額を増やすことができます。また、日々の消費習慣を見直し、無駄な出費を減らすことも重要です。食費や娯楽費などを見直し、節約できるものは積極的に節約しましょう。

完済までの返済計画を立てる

返済をスムーズに進めるためには、明確な返済計画を立てることが不可欠です。完済までの期間を明確にし、月々の返済額を計算しておくことが大切です。また、将来の収入の見込みやキャリアプランを考慮に入れ、返済計画を柔軟に調整することも重要です。計画的に返済を進めることで、金銭的なストレスを軽減し、返済の目途を立てることができます。

収入に余裕があるときは繰上げ返済をする

返済期間中に予期しない収入があった場合や、月々の収入に余裕が出た場合は、繰り上げ返済を検討しましょう。繰り上げ返済をすることで、返済期間を短縮し、支払う利息の総額を減らすことができます。

 

奨学金返済は計画的に

奨学金制度は、進学したくても経済的に困窮している若者を救うありがたい制度です。しかし、学校を無事に卒業できて晴れて就職をした場合、今後はその返済に追われることになります。

生活をひっ迫することなく返済を続けられる人であれば問題ないですが、なかには家庭の事情などにより毎月の返済が苦しいという人もいるでしょう。

このように奨学金はメリット・デメリットという二面性があります。そして奨学金のデメリットとなる問題を改善してくれるのが、奨学金返済に関するさまざまな制度です。

 

今回は、奨学金について以下のポイントを解説しました。

 

  • 奨学金の概要について
  • 奨学金の種類について
  • 奨学金の具体的な返済額と返済期限の例
  • 奨学金の繰上げ返済について
  • 奨学金の返済に関する各種制度について
  • 地方公共団体や企業が実施している奨学金返済の支援制度について

 

奨学金はさまざまなタイプがあり、それによって返済必須・不要と分かれます。どのような奨学金が自分に適しているのか、考慮することが大事です。

 

また、奨学金の返済に関する支援制度もさまざまな種類があります。どのような種類があるのかしっかりと把握する必要があります。それにより返済の苦労も軽減されるでしょう。

 

今回の記事を参考にして、奨学金の返済の辛さを克服してくれたら幸いです。奨学金に関して悩みがある場合、日本学生支援機構の奨学金返還相談センター(03-6743-6100)への相談もおすすめします。

 

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