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「ガソリン価格はなぜこんなに高騰しているの?」
「ガソリン価格はどのようにして決められているんだろう」
「ガソリンにかかっている税金の内容を知りたい」
近年のガソリン価格の急騰で、このような疑問を抱く人は多いのではないでしょうか。
ガソリン価格の高騰は、世界的な原油価格の高騰や円安、さらにはウクライナ問題といった多様な要因によって加速しており、日常生活において深刻な影響を及ぼしています。
本記事では、ガソリンの価格形成における税制の仕組み、日本政府による補助金やトリガー条項の役割、そして燃費を向上させる実用的な方法などについて、わかりやすく解説していきます。本記事を最後までご覧いただき、高騰が続くガソリン価格への対策の参考にしていただければ幸いです。
ガソリンの補助金が2023年10月以降も継続が決定
2023年10月以降も、ガソリンの補助金が継続されることが岸田文雄首相と公明党の高木陽介政務調査会長の協議の後、発表されました。この補助金は正式には「燃料油価格激変緩和補助金」と呼ばれ、原油価格の急騰や経済状況の変動による影響を緩和するために設けられています。特に、円安や食料品などの生活必需品の値上げが相次ぐ中で、エネルギー関連の支出が家計や中小企業に重い負担を与えており、この補助金の継続は多くの消費者にとって喜ばしいニュースとなるでしょう。
物価高騰対策の一環として、公明党がガソリンの価格を抑制するよう、要請したんだヨネ!
そうなんだよ。公明党は、家計の負担が減るように努めているんだ。
補助される金額はどのくらい?
補助金の具体的な金額は、全国平均ガソリン価格が1リットル170円以上になった場合、1リットルあたり最大5円が上限とされています。高木政調会長は、消費者や事業者が負担減の効果を実感できる水準となるよう、補助額の見直しも提案しています。これにより、年末までの補助金延長が決定し、岸田首相も「10月中に1リットル当たり175円程度の水準を実現したい」と表明しています。
補助金の申請・登録方法
一般の消費者が直接補助金を申請する必要はありません。この補助金は、石油精製業者や石油輸入業者に対して政府が支給するものです。そのため、消費者は特別な手続きをする必要がなく、自動的に補助金がガソリン価格に反映されます。
トリガー条項は発動していない
「トリガー条項」とは、ガソリンの平均小売価格が1リットル160円を3ヵ月連続で超えた場合に、自動的にガソリン税率が1リットル28.7円に引き下げられるというものです。この条項が発動すると、消費者にとってはガソリン価格が1リットルあたり25.1円安くなるというメリットがあります。
しかし、このトリガー条項は現在発動していません。その理由は、2011年3月に発生した東日本大震災により、復興財源を確保する必要が生じたため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」によってこの条項が凍結されたからです。さらに、日本政府は法改正に時間がかかる、ガソリンの買い控えや流通の混乱が起きる可能性がある、そして税収減を補填する必要があるといった複数の理由で、この条項の発動を見送っています。
公明党としては、これまでトリガー条項の発動を総理に提言してきました。また野党からも、このトリガー条項の解除などの案が上がっています。しかし、そのためには法改正が必要である点に加え、対象がガソリンと軽油に限られ、ビニールハウスや漁船で使う重油が含まれていません。
そこで、迅速に支援を届けるには、今の支援制度が最も現実的であると判断し、その結果、自公国の3党で合意し、激変緩和措置として補助金の上限を引き上げることになったのです。
今後も、公明党はトリガー条項の発動に向けて、検討を続けていきます。
2種類のガソリン税とは?
ガソリン税は、日本でガソリンに課される税であり、「揮発油税(きはつゆぜい)」と「地方揮発油税(ちほうきはつゆぜい)」の2種類の税の総称です。
揮発油税(きはつゆぜい)
揮発油税とは、特定の炭化水素油(通常、温度が15℃のときに比重が0.8017を超えないもの)に課される税金です。この税金は揮発油税法に基づき、国が徴収します。
納税義務者は揮発油を製造・移送する企業や、保税地域から揮発油を引き取る者です。揮発油の製造業者は、出荷した量から輸送中に減少する分を差し引いた数値に基づいて税金を計算します。
納税義務者は揮発油を扱う企業などですが、そのコストは最終的に消費者に転嫁されています。
地方揮発油税(ちほうきはつゆぜい)
地方揮発油税とは、揮発油税とともに揮発油に課される税金で、その収益は地方自治体に分配されます。元々「地方道路税」として、地方の道路整備資金として活用されていましたが、2009年に制度改革が行われ、現在の名前に変わりました。
地方揮発油税は「地方譲与税」の一種であり、国が先に徴収した後で地方自治体に振り分けられます。日本の税制においては、間接税の一形態として位置づけられており、購入者が商品やサービスの代金と共に支払う形になります。
ガソリン税の使用目的
ガソリン税は、もともと道路整備のために設定された目的税でした。
道路特定財源として、新しい道路の建設から、既存の道路の補修、さらには高速道路やバイパス、橋、トンネルなどの大規模インフラの整備などに使用されてきました。
しかし、2009年の税制改正により普通税となったため、現在では道路財源以外の一般財源にも充てられています。
ガソリンの消費税は、本体価格と2種類の税金で構成されている
近年、ガソリン価格が高騰していることで、ガソリンにかかっている税金が注目を浴びていますが、ガソリンには複数の税金がかかっているため、複雑な仕組みとなっています。
ガソリンに課される税金としては、「ガソリン税」と「石油税」があり、そこに消費税の10%が上乗せされます。消費税は本体価格に課税されることが一般的ですが、ガソリンにおいては、ガソリンの本体価格に加えて、ガソリン税と石油税にも適用されているのです。
ガソリンにかかる消費税=(本体価格+ガソリン税+石油税)×10%
ガソリン価格の内訳
ガソリン価格は、非常に複雑な過程を経て設定されています。
まず、ガソリンの基本価格は原油のCIF(運賃、保険料、為替変動を含む)価格が基盤となります。これに、精製から販売に至るまでの各種運営コストが加算されます。具体的には、原油をガソリンに精製する「精製費」、緊急時の備蓄に必要な「備蓄費」、さらには「自家燃費」や「金利」、「輸送費」、「販売管理費」といったものに加え、石油元売り会社のブランド価値や、ガソリンスタンドへの配送コストもプラスされます。
次に税金です。ガソリンには「ガソリン税」、「石油税」、そして「消費税」がかかります。
ガソリン税は1リットル当たり53.8円で、これには「揮発油税」と「地方揮発油税」が含まれ、2008年からは暫定税率の25.1円も加えられています。
石油税は、1リットル当たり2.04円の「石油石炭税」と、0.76円の「温暖化対策税」が合わさって2.8円になります。これらのコストと税金を合計した最終金額に、10%の消費税が適用されます。
1リットルあたりのガソリン価格=本体価格+ガソリン税(53.8円)+石油石炭税(2.04円)+温暖化対策税(0.76円)+消費税
石油諸税の一覧
ガソリン価格に含まれるガソリン税や石油石炭税以外にも、石油に課されている税金は複数あります。それらを総称して、「石油諸税」と呼ばれています。以下の表は、石油諸税を一覧形式でまとめたものです。
税名 | 説明 |
石油製品関税 | 原油や精製品である石油製品の輸入に課される関税。 |
石油石炭税 | 原油、輸入石油製品、ガス状炭化水素(LPG、LNG)、石炭に対して課される税金。エネルギー対策特別会計の財源を確保することを目的とする。 |
石油ガス税 | 一定の液化石油ガスに対して課される税金。税収の半分は、都道府県及び指定都市に譲与される。 |
ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税) | ガソリンに課される税で、揮発油税と地方揮発油税の総称。 |
軽油引取税 | 元売業者又は特約業者から、現実に軽油を引き取った場合に課される税。 |
航空燃料税 | 航空機が使用する燃料に課される税。 |
地球温暖化対策のための税(環境税) | 地球温暖化対策として、CO2排出削減するために石油や石炭などの化石燃料に課す税。CO2の排出量によって税率が決まる。 |
ガソリンにかかる税金は、二重課税ではない
ガソリンに消費税が課されることが「二重課税」ではないとされるのは、税制の仕組みと課税の対象に関わる点に理由があります。
国税庁の見解によると、消費税は「課税資産の譲渡等の対価の額」を基準に計算されます。この「対価の額」には、ガソリン税や石油石炭税も含まれるとされています。なぜなら、これらの税金は石油メーカー等が納税し、その金額が商品価格に組み込まれているからです。
消費税は基本的に最終消費者が負担する税金ですが、ガソリン税や石油石炭税は石油メーカーなどが納税し、その負担は商品価格に組み込まれているため、消費税の課税対象とされているのです。
このように、ガソリンにかかる各種の税金は、それぞれが異なる目的と納税義務者に基づいたものであるため、「二重課税」ではないのです。
ガソリンと軽油の消費税の違い
ガソリンと軽油は日常生活や産業で広く使われる燃料として、用途や税制に一定の共通点はありますが、消費税の課税方法には大きな違いがあります。その仕組みについて解説します。
ガソリン
ガソリンの価格には、本体価格に加えて「石油税」、「ガソリン税(本則税率)」、「ガソリン税(特例税率)」が含まれます。そして、これらの合計金額に対して消費税が課されます。
前述したように、「ガソリン税」や「石油税」の納税義務者は製造業者であり、これらの税金はガソリンの製造コストとして商品価格に反映されるため、商品価格全体に消費税が適用される形になります。
軽油
一方、軽油の価格には「本体価格」、「石油税」、「軽油引取税(本則税率)」、「軽油引取税(特例税率)」が含まれます。しかし、消費税は「本体価格」および「石油税」にしか課されません。「軽油引取税」には消費税がかからない点が、ガソリンと大きく異なります。軽油引取税の納税義務者は消費者であり、軽油が販売された時点で課されるため、消費税のかかり方がガソリンとは異なるのです。軽油引取税に消費税を課すと、消費者にとっては二重課税となるのです。
ガソリン税の暫定税率の撤廃と特例税率
ガソリン税には、基本的な税率である「本則税率」が設定されています。しかし、道路財源の不足を補うために、この本則税率に上乗せする形で「暫定税率」と呼ばれる追加税がかけられていました。
この暫定税率は、かつては道路特定財源として、本則税率の2倍にも達する額が設定されていましたが、2010年4月には廃止されました。しかし、その後に新たな税率が「特例税率」として導入され、現在も暫定税率と同額の徴収が続いています。この特例税率の収益は、道路財源だけでなく、一般財源としても活用されています。
ガソリンの燃費を良くする方法5選
発進時にアクセルを踏み込みすぎない
自動車の発進時にアクセルを強く踏む行為は、エンジンに短期的な高負荷がかかり、ガソリンを多く消費するため燃費の劣化を招きます。特に、都市部で多くの停止・発進が繰り返される場合、この影響は顕著です。エンジンの回転数(RPM)が高くなると、燃料噴射量も増加し、それが燃費の悪化につながります。したがって、発進時はアクセルを緩やかに踏み込むことで、エンジンの効率を最大限に高め、燃費を改善することが可能です。
減速時にアクセルから足を早めに離す
減速や停止が予想される場面で、早めにアクセルから足を離すことは、エンジンがアイドリング状態に近づくため、燃費を良くする効果があります。特に、ダウンヒルや信号待ちなどの状況で有効です。減速時にギリギリまでアクセルを維持し、ブレーキによる停止を行うと、エンジンは必要以上に燃料を消費します。このような場面でアクセルから足を早めに離す習慣をつけることで、燃費の向上が期待できます。
ガソリンスタンドで補給する量は満タンにしない
ガソリンの重量は、車の総重量に影響を与えるため、燃費にも影響します。特に、短距離の移動が多い場合や、頻繁に加速・減速を行う場合には、車の重量が燃費に与える影響は大きくなります。そのため、ガソリンは満タンにせず、必要な量だけ補給することで車の重量を軽減し、燃費を良くすることができます。
車のタイヤの空気圧を適正値にする
タイヤの空気圧が低いと、タイヤと路面との摩擦が増えることで燃費の悪化につながります。また、低い空気圧はタイヤの偏摩耗を引き起こし、タイヤの寿命も短縮します。タイヤの空気圧を定期的にチェックし、メーカー推奨の空気圧に調整することが重要です。適正な空気圧により、燃費が改善されるだけでなく、タイヤの寿命も延びます。
高速道路で飛ばしすぎない
高速道路での運転は、速度が出やすいため、燃費が悪くなりがちです。特に、速度が上がると空気抵抗が増大するためエンジンの回転数が上昇し、結果的に燃費の悪化につながります。一般的に、100km/hを超えるような速度で走行すると、空気抵抗で消費するエネルギーが急増します。そのため、高速道路ではスピード制限を守るだけでなく、エコドライブモードなどを活用することで燃費が良くなります。
まとめ
ガソリンは日常生活に必要不可欠なエネルギー源であり、価格高騰により多大な影響を及ぼしています。本記事では、ガソリン価格がどういった仕組みで設定されるのか、その内訳や各種税金について詳しく説明してきました。特に、複数の税金がガソリン価格に影響を与えていることや、複雑な消費税の仕組みについても解説しました。その中で、二重課税の問題についても触れ、ガソリンにかかる消費税は、二重課税には該当しないという根拠を明らかにしました。
また、日本政府がガソリン価格の抑制に向けて実施している補助金やトリガー条項に関する情報も紹介しました。2023年10月以降も、日本政府は補助金により、ガソリン価格の高騰を抑制する方針であることが発表されています。
今後もガソリン価格は変動する可能性がありますので、補助金やトリガー条項の動向を注視しながら、個人ができる限り燃費の節約を行なっていきましょう。
その“当たり前”実は
公明党が頑張りました!
政党って何してるの?と思う
あなたに知ってほしい、私たちの実績。