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【2023年最新情報】電気代の値上げと今後の見通しについて徹底解説

値上げが続いている電気代。現在の値上げ幅は少し落ち着いてきたものの、まだまだ電気代が高いことに変わりありません。そんな中、2023年6月1日の使用分から全国の大手電力会社による更なる値上げが実施されることになりました。

参考:NHK「電気料金 大手電力7社 きょうから値上げ 最大で2700円余値上げ」

 

本記事は今後の電気代の更なる値上げを踏まえて、そもそも電気代はなぜ値上げを続けているのか、今後の値上げの見通し、また実際に家庭で出来る節電対策について詳しく解説します。

 

電気代の内訳は3つに分けられる

私たちが毎月支払っている電気代は、以下の3つの料金から算出されています。

 

  • 基本料金
  • 電力量料金
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金

 

ここでは「電気代」を構成している3つの項目について、それぞれの項目ごとの料金の算出方法や内容を、詳しく解説します。

 

基本料金

基本料金とは、毎月の電力消費量に関係なく各家庭で契約しているアンペア数によってかかる、一定の料金のことを指します。契約しているアンペア数が大きくなるほど、使える電力量が増える仕組みとなっています。

 

そのため、使用する電力量によって契約するアンペア数を調整することがとても大切になってきます。世帯人数による契約アンペアの目安としては、単身または2人世帯で30A、3人世帯で40A、4人世帯以上かつ消費電力量が多い世帯では50Aとされています。

 

電力量料金

電力量料金とは、使用した電力によってかかる料金のことをさします。電力料金の設定単価は「1kWhあたり」となり、算出方法は「1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)」です。

 

毎月私たちに請求される電力量料金の計算式は、「電力量料金=電力量料金単価×1ヶ月の使用電力量+燃料費調整単価×1ヶ月の使用電力量」となります。電力量料金を算出する項目のひとつである電力量料金単価は、使用エネルギー量に比例します。そのため電力量料金は、節電をすることで節約が可能な項目であることがわかります。

 

二つ目の燃料費調整単価は、原油や天然ガス、石炭などの燃料の仕入れ価格により決定されます。仕入れのコストは月ごとに変動し、過去3ヶ月間の燃料価格の平均額をもとに算出される仕組みです。昨今の電気料金の値上げの原因のひとつは、燃料費調整単価の高騰です。

 

燃料費調整額は、燃料の仕入れ価格の変動に応じて算出される費用項目です。そのため燃料の海外貿易価格が高騰することで金額が上がる可能性があるため、個人で燃料費調整額を減らすことは難しい項目といえます。

 

そのため、各家庭で節電対策を行う場合には、電力量料金単価を減らすことが必要です。

 

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、国が指定した下記5つの発電方法により生み出された電気を電力会社が買い取る「FIT(固定価格買取制度)」により、電気の使用者全員でFITの買取金額を負担する仕組みのことです。

 

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • バイオマス

 

これは日本全体で再生可能エネルギーによる発電を促進させるための取り組みで、単価は上記で発電した電気の買取価格を参考に、年度ごとに経済産業大臣が決定します。そのため再生可能エネルギー発電促進賦課金も、個人で節約することが難しい項目といえます。

 

電気代はどれだけ値上げしているのか?

電気代は2020年以降値上げが続いており、さらに2023年6月以降も大手電力会社による値上げが予定されています。ここからは4つの各電圧ごとの電気代の推移について解説していきます。

 

低圧(従量電灯)の電気代の推移

従量電灯とは、月々の電気料金が使用した電力量によって決まるプランのことを指します。一般家庭で使用されている家電などに対して使用されている電力が該当します。

 

従量電灯の電気代は2021年以降値上がりが続いていますが、2022年の値上げの幅は特に大きく、2021年2月と2022年12月だけを比較すると161%も高騰しています。

 

参考:一般社団法人エネルギー情報センター「新電力ネット」

 

低圧(低圧電力)の電気代の推移

低圧電力はおもに契約電力50kw未満のことを指し、電気を従量電灯よりも多く消費する業務用機器向けのプランです。業務用のエアコンや冷蔵庫などを使用する施設や商店もこれに該当します。

 

低圧電力の電気代は月ごとに若干のアップダウンはあるものの、年単位でみると値上げを続けています。低圧電力は2022年11月以降は前年に対して130%以上の値上げとなっています。

 

参考:一般社団法人エネルギー情報センター「新電力ネット」

 

高圧の電気代の推移

高圧電力とは供給電圧が6,000Vの電圧規模を指し、中小規模の商業施設や工場、病院が対象となっています。

 

高圧の電気代は、2021年には一旦下がったものの、そこからは値上げが続いており2022年12月には1kWhあたりの単価が過去最高額の27.03円まで値上がりしています。2023年は値上げ率は少し落ち着いていますが、電気代は高い状態をキープしているといえます。

 

参考:東京電力エナジーパートナー「燃料費調整単価一覧表(高圧・特別高圧)」

 

特別高圧の電気代の推移

特別高圧電力とはおもに年間の電気代が数億円〜数百億円規模の商業施設や工場、オフィスビルなどが該当します。

 

特別高圧の電気代は、2020年〜2021年にかけては1kWhあたり10円を切ることもありましたが、2022年以降は値上げが続いている状態です。

 

参考:東京電力エナジーパートナー「燃料費調整単価一覧表(高圧・特別高圧)」

 

電気代が値上げする原因は大きく分けて3つ

ここからは電気代が値上げを続けている原因となっている、下記の3つのポイントについて詳しく解説していきます。

 

  • 石油や天然ガスなどの燃料費の高騰
  • 日本国内の電力供給不足
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金の高騰

 

それではさっそくみていきましょう。

 

電気代値上げの原因1:石油やガスなど燃料費の高騰

まず、石油やガスなどのいわゆるエネルギー資源の価格が高騰していることがあげられます。燃料費高騰の背景としては、「世界的に脱炭素の動きが高まっていること」「規制緩和により電力需要が増えたこと」「ロシアのウクライナ侵攻」の3つの要因があげられます。

 

いま二酸化炭素の排出ゼロを目指す、脱炭素の動きが世界的に活発化しています。二酸化炭素の排出が少ない天然ガスが注目されていることで、価格が上昇しているのです。また新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した経済の回復を目指す規制緩和が行われました。それにより電力需要が増加し、天然ガスや石炭、石油の供給が不足したことも理由としてあげられます。

 

さらに2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻も燃料費高騰の大きな要因のひとつです。国家収入を化石燃料の輸出に依存しているロシアに経済制裁を与えている影響で、ロシアからの燃料輸入が止まっています。それにより世界的に天然ガスなどの燃料がひっ迫しており、価格高騰を招いているのです。

 

これらの理由により、私たちが毎月支払う電気代に含まれる「燃料費調整額」が引き上げられているため、電気代が値上がりしているのです。

 

電気代値上げの原因2:日本国内の電力供給不足

東日本大震災による原子力発電所の停止がきっかけとなり、多くの原発で稼働停止状態が続いたことも電力不足のひとつの要因となりました。それに伴い、原発停止による電力不足を補うため日本国内の火力発電所では電気を多く作る「炊き増し」が行われています。炊き増しによって必要電力の8割以上を火力発電でまかなっている状態が続いているのです。

 

火力発電には天然ガスや石炭などの化石燃料が使用されるため、火力発電に必要な燃料価格の高騰が影響し、結果的に私たちが支払う電気代が高騰しているというわけです。

 

電気代値上げの原因3:再生可能エネルギー発電促進賦課金の高騰

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、毎月の電気料金に含まれている項目のひとつです。電力会社が買い取った再生可能エネルギーの費用を、電力受給者である私たちが負担しています。kWhあたりの単価は年度ごとに電力会社の再生可能エネルギーの買取額と想定供給電力量などをもとに国が決定しています。

 

2021年5月〜2022年4月分の再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は1kWhあたり3.36円でしたが、2022年5月〜2023年4月分は3.45円となっており、2.7%増加していることがわかります。

 

このように、再生可能エネルギー発電促進賦課金の高騰も、電気代が値上がりしている要因のひとつです。

 

電気代高騰に対する政府の対策

2022年に閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に、エネルギー価格高騰対策が加わりました。これにより、2023年1月より電気・ガス価格激変緩和対策事業が開始されています。この事業は、毎月の電気やガス料金から値引きを行う形で、各家庭や企業を支援するものです。

 

ここからは、電気・ガス価格激変緩和措置による補助内容や値引きについて詳しく解説していきます。

 

参考:経済産業省物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策

 

電気・ガス価格激変緩和措置による燃料調整額への補助

現在全国の約7割の家庭が契約している電力プランである「規制料金」について、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の7社は国から認可を受けて、6月1日の使用分から値上げを実施しました。

 

これを受けて政府は、原油価格の高騰による国民生活への影響を最小化することを目的とし、「激変緩和措置」という燃料調整額に対する補助をスタートしました。

 

ここからは「激変緩和措置」の具体的な補助内容や値引き額について解説していきます。

 

補助内容

激変緩和措置は、申請した電気や都市ガスの小売業者に対して、国から補助金が支給されます。申請した小売業者はその補助金を原資とし、企業や家庭へ請求される電気代やガス代を値引きするという仕組みになります。

 

低圧に対する値引き

低圧契約の場合、激変緩和措置による燃料調整額の補助金額は、2023年1〜8月使用分で1kWhあたり7円、2023年9月使用分は1kWhあたり3.5円となっています。具体的には日本国内の平均モデルとなる従量電灯Bの30A契約、260kWhの場合でみると、1ヶ月あたり1,820円の減額となっています。

 

参考:経済産業省「電気・ガス価格激変緩和対策の実施のため、電気・ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました」

 

参考:東京エナジーパートナー過去の燃料費調整のお知らせ一覧」

 

高圧に対する値引き

続いて高圧契約の場合を見ていきましょう。高圧契約の場合は、平均モデルでの算出が難しいため、具体的な値引き金額を示すのは難しいですが、燃料調整額の補助金額単価で見ると、2023年1〜8月使用分で1kWhあたり3.5円、2023年9月使用分は1kWhあたり1.8円となっています。

 

参考:経済産業省「電気・ガス価格激変緩和対策の実施のため、電気・ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました」

 

家庭で実践できる節電対策

 

ここからは、各家庭でも簡単に出来る節電対策について解説していきます。電気代の内訳のうち電力量料金は電気の使用量で決まるため、家庭の節電次第で電気料金を安くすることが可能です。

 

家庭で行える節電対策は、少し意識を変えるだけで簡単にできるものも多いため、家族全員で協力して行っていきましょう。

 

節電対策1:家電の使い方を見直して電気代を節約する

 

家の中は多くの家電であふれています。家電の多くは日常的に使用するものが多く、それぞれの家電の使い方を見直し、各家電ごとに節電対策を行うことが大切です。

 

節電対策は習慣的に取り組むことで、中長期的な電気代の節約に繋がります。

 

冷蔵庫を開けっ放しにしない

普段何気なく開閉している冷蔵庫はドアの開閉が多いと冷気が逃げてしまいます。冷気が逃げると再び庫内を冷やすために多くの電力が使われることになり、気づかないうちに電気代が多くかかってしまっている可能性があります。

 

冷蔵庫は無駄な開閉を減らすだけでも十分な節電対策になりますので、家族全員で協力して開閉を最低限に減らしていきましょう。

 

テレビをつけっぱなしにしない

帰宅後すぐにテレビをつけている家庭は意外に多いと思います。しかしテレビをつけっぱなしにすることは、無駄な電力消費に繋がります。

 

テレビを見ていない時はこまめに消すことを習慣にし、テレビを消す際も主電源から切ることで節電になりますので、意識して実行してみてください。

 

待機電力が発生しないようにコンセントを抜く

そもそも家庭にある家電は、使用していない時でも待機電力を消費しています。待機電力というのは、実際に使用していなくても、家電がコンセントに繋がれている待機中の状態にも消費する電力のことです。

 

使用していない家電に電気代を払っていると考えると、もったいないですよね。家電によっては冷蔵庫のようにコンセントを抜くことや主電源からオフにすることが難しい家電もあります。しかしテレビやエアコン、DVDレコーダーなどは使用していない時に主電源をオフにしたり、コンセントを抜いても機能に問題はありません。

 

家電の主電源を切ったり、スイッチ式のコンセントを取り入れるなど、こまめにスイッチを切る習慣をつけることが節電対策になります。

 

エアコンの設定温度を調節する

エアコンは特に夏と冬の必需品です。エアコンの節電対策については、例えば真夏などにエアコンを使用しないというのは現実的ではありません。温度設定を調節することが大切です。

 

夏に冷房を使用する場合の室温は28℃が適温の目安といわれています。一般的に設定温度を1℃高くすると約13%消費電力をカットすることができるのです。エアコンは必然的に使用時間が長くなるので、こまめな温度調節が電気代カットのコツといえます。

 

節電対策2:省エネ家電に買い替える

家電の買い替えとなると、まとまった出費になるため、つい後回しになりがちです。しかし家電の中でも特に電気機器については、省エネ力の高い商品が続々と販売されています。数十年前のエアコンを使用し続けるよりも、省エネ力の高いものに思い切って買い替える方が、長期的に電気代を節約できることになります。

 

また家のあらゆる場所で何気なく使われている電球も、LED電球に変えるだけで省エネ、節電効果が格段にあがります。一般的な電球より高価にはなりますが、電気代を含めて長期的なコスパを考えるとLED電球の方がおすすめです。

 

節電対策3:契約プランや電力会社の切り替えを検討する

根本的な節電対策としておすすめなのが、電力会社や契約プランの変更や切り替えをすることです。現在では電力の自由化によりいつでも簡単に電力会社やプランの変更ができます。

切り替えを検討する際には、以下のポイントをチェックして変更を検討してみてください。

 

  • 料金体系がわかりやすいかどうか
  • ライフスタイルに合ったプランがあるかどうか

 

各電力会社では、時間帯別の料金プランを設けている場合があります。各家庭で、電力を集中して使用する時間帯を把握し、ライフスタイルに合わせた料金プランに変更することで電気代を安く抑えることができます。

 

節電対策4:電気のアンペア数を変更する

電気代の基本料金は契約アンペア数によって決められています。

家族構成や電気の使用量をしっかりと把握し、ご家庭にあったアンペア数に契約変更をすることも節電対策におすすめです。

 

2023年電気代の今後の見通し

再生可能エネルギー発電促進賦課金が初の下落?

エネルギー自給率の上昇や地球温暖化対策が世界的に強化されています。日本でも再生可能エネルギーの普及を進める取組みとして、再生可能エネルギーを電力会社が買い取るFIT制度の導入により、電力受給者がその金額を電気代の一部として負担しています。

 

それにより、再生可能エネルギー発電促進賦課金は2022年まで高騰を続けていましたが、2023年3月時点で初めて前年比較で2.05円値下げしました。制度開始以降初めての下落となりましたが、その理由は、再生可能エネルギーの市場価格の高止まりが想定されたためです。

 

賦課金単価が算出される算定式では、電力の市場価値が安いと賦課金単価は上昇し、市場価値が高いと賦課金単価が下落するという式になっています。そのため、2023年の再生可能エネルギーの市場価値を表す価格が高まったことで、単価の下落が発生していると考えられます。

 

しかし電力受給者にとってみると、再生可能エネルギー発電促進賦課金が下落しただけでは、電気代の大きな負担減には繋がりにくいという課題はあります。

 

参考・経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」

 

揺らぐウクライナ情勢

2022年から続いているロシアによるウクライナ侵攻。現在もアメリカやEUによる経済制裁が実施されているため、2023年もこの影響は続いています。特にロシアは化石燃料の産出国としては、世界的にもトップクラスのシェア率を誇っています。

 

経済制裁により、ロシアからの天然ガスや石炭、原油の輸入を制限していますが、ロシア側にもこれらの輸出を制限する動きが出てきているため、世界的な燃料のひっ迫が起こっており、価格高騰は今後もしばらく続く見込みとなっています。

 

「激変緩和措置」は、電気や都市ガスの値上げ対策に加えて、LPガス(プロパンガス)価格の上昇をおさえるための措置なんだヨネ。

 

うん。これは、公明党の主張が盛り込まれた、総合経済対策の一部を反映したものなんだ。家庭の負担がなるべく減るように働きかけているんだよ。

 

電気代の値上げと今後の見通しについてのまとめ

大手電力会社による値上げに加え、2022年から続くウクライナ情勢の影響なども重なり、世界的な燃料のひっ迫が続きます。

 

更なる電気代の値上げに備えて、ライフスタイルに合わせた節電対策に取り組んでいきましょう。

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