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大学無償化制度はいつから?必要な条件や内容を分かりやすく徹底解説

「2025年の大学無償化制度って結局どうなったの?いつから始まる?」

「大学無償化制度で多子世帯は0円で大学に通わせられる?」

「うちは大学無償化制度の対象かな…」

 

ニュースやSNSで、2025年から所得制限なしの大学無償化制度が始まると話題になっています。

 

しかし「多子世帯だけが対象」「母子家庭も支援対象」などさまざまな声が飛び交っており、どの情報が正しいのか分からず困っていませんか。

 

そこでこの記事では、2025年から始まる予定の大学無償化制度の条件・要件や支援金額について網羅的にまとめています。

 

また現行の大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)についても紹介します。

 

大学無償化制度の動向が気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

2025年から始まる大学無償化制度とは?対象となる条件/要件

2025年度の「大学無償化制度」とは、2023年12月22日に閣議決定された新しい少子化対策案のひとつです。

まずは制度の概要や要件・条件を見てみましょう。

 

支援金額 【国公立大学】

入学金:約28万円

授業料:約54万円

【私立大学】

入学金:約26万円

授業料:約70万円

支援対象 ・扶養の子どもが3人以上の多子世帯

・扶養の子どもが2人以下になるまで全員が支援対象となる

(※)

所得制限 なし
対象の教育機関 大学/短大/高専/専門学校他

6年制医学部も対象

※留年すると打ち切り

 

すでに2020年度から「高等教育の修学支援新制度」という名称で、現行の大学無償化制度がスタートしていました。

 

2025年度から始まる予定の大学無償化制度は、所得制限をなくして多子世帯を支援する内容となっています。

 

手続き方法などの詳細はまだ発表されていないため、政府や文部科学省からの続報を待ちましょう。

 

進みゆく少子化への対策として、公明党はかねてより大学無償化を訴え続けていたんだヨネ。

そうだね。ようやく、国としての大学無償化制度が形になってきたね。

 

それでは、大学無償化制度に関する下記の2点について解説します。

 

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

経済的な理由で大学等への進学が困難な学生の支援制度

大学無償化制度は、経済的な理由で大学などへの進学が困難な学生の支援を目的として進められています。

 

低所得者世帯の者であっても、社会で自立し、活躍することができる人材を育成する大学等に修学することができるよう、その経済的負担を軽減することにより、我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与する

引用:文部科学省

 

学費の高さがハードルとなって「子どもを産まない選択」をしている家庭を減らし、急速に進む少子化へ歯止めをかけるのも狙いのひとつです。

 

2025年からの大学無償化制度は、特に子どもの学費負担が大きい3人以上の多子世帯が対象となっています。

 

より子どもが公平に教育を受ける機会が広がり、保護者の負担も軽減されるでしょう。

 

子ども3人以上を扶養する多子世帯が対象

2025年の大学無償化制度は、子ども3人以上を扶養する多子世帯が対象です。

 

たとえば3人きょうだいの子ども全員が対象の大学や専門学校などに在籍していれば、3人とも支援の対象となります。

 

ただし、あくまで「3人以上を扶養している」のが条件であり、第1子が大学等を卒業し扶養から外れてしまうと制度が適用されません。

 

対象者は約40万人で支援金額は2,600億円相当になる見込みです。

2025年大学無償化制度の支援金額

2025年の大学無償化制度の支援金額の詳細は下記のとおりです。

 

学校種 国公立 私立
大学(昼間制) 入学金:282,000円

授業料:535,800円

入学金:260,000円

授業料:700,000円

短期大学(昼間制) 入学金:169,200円

授業料:390,000円

入学金:250,000円

授業料:620,000円

高等専門学校(昼間制) 入学金:84,600円

授業料:234,600円

入学金:130,000円

授業料:700,000円

専門学校(昼間制) 入学金:70,000円

授業料:166,800円

入学金:160,000円

授業料:590,000円

大学(夜間制) 入学金:141,000円

授業料:267,900円

入学金:140,000円

授業料:360,000円

短期大学(夜間制) 入学金:84,600円

授業料:195,000円

入学金:170,000円

授業料:360,000円

専門学校(夜間制) 入学金:35,000円

授業料:83,400円

入学金:140,000円

授業料:390,000円

大学

短期大学

専門学校

(通信課程)

【国公立の通信課程なし】 入学金:30,000円

授業料:130,000円

※入学金は1回限り・授業料は年額(留年すると打ち切り)

※2024年1月19日現在の政府公表に基づく情報であり、実際の制度施行時には内容が変更になっている可能性があります。

 

2025年の大学無償化制度の支援金額は、現行の大学無償化制度における「授業料等減免」の枠と同じです。

 

ただし今回の制度には所得制限がないため、保護者の年収・所得にかかわらず同じ金額の支援が受けられます。

 

3人以上の子どもをもつ保護者の方は、ぜひ制度を活用したお子さんの進学を検討しましょう。

2025年大学無償化制度におけるチェックポイント

 

2025年の大学無償化制度の利用を検討する際は、下記のチェックポイントを確認しておきましょう。

 

 

「制度を活用して子どもを大学に通わせようと思ったのに、対象外だった…」ということがないよう、しっかりと読んでおいてください。

対象校以外への進学では制度を利用できない

2020年から始まっている制度と同様に、2025年からスタートする大学無償化制度も対象校以外への進学では利用できない予定です。

 

文部科学省の特設ページで対象校一覧のPDF・エクセルファイルが配布されているため、希望の進学先が対象かどうか確認しましょう。

 

また同ページでは、下記の条件で対象校の絞り込み検索ができます。

 

  • 学校名
  • 区分(国立・公立・私立)
  • 学校種(大学・短大・高専・専門学校)
  • 所在県

引用元:文部科学省

 

通えそうな対象校を見つけて、その学校への入学を目標に準備を進めるのも良いでしょう。

 

繰り返しになりますが対象校以外では支援を受けられないため、必ずご自分で対象かどうか確認してください。

「子どもが3人以上同時に扶養されている」のが条件

2025年からの大学無償化制度は、3人以上の子どもを育てる多子世帯を支援する制度です。

 

ただし「子どもが3人以上同時に扶養されている」のが絶対条件となっており、第1子が大学等を卒業し扶養から外れてしまうと制度が適用されません。

 

つまり、3人以上の子どもがいるからといって「全員がタダで大学に入れる」わけではない点は頭に入れておきましょう。

 

また3人きょうだいで第1子のみ歳が大きく離れている場合も、第2子・第3子は支援の対象とならない可能性が高いため注意してください。

 

なお「給付型奨学金」については、現行の給付型奨学金の対象の方は、引き続支給を受けることができます。

 

子ども2人以下世帯は現行の大学無償化制度を利用可能

2025年の大学無償化制度の対象外となる子ども2人以下の世帯については、引き続き現行の大学無償化制度を利用できる予定です。

引用元:文部科学省(高等教育の修学支援新制度)

 

現行の大学無償化制度は、住民税非課税世帯およびそれに準ずる所得の世帯が対象となっています。

現行の大学無償化制度の対象となる条件/要件

現行の大学無償化制度の対象となるには、下記3つの条件を満たす必要があります。

 

項目 条件の概要
世帯収入条件 住民税非課税世帯

または

住民税非課税世帯に準ずる世帯

(※1)

資産条件 学生等およびその生計維持者が保有する資産(※2)の合計額が下記の基準額に該当する

・生計維持者が2人:2,000万円未満

・生計維持者が1人:1,250万円未満

学業条件 【高校3年生】

下記のいずれかを満たす

・高校2年生までの評定平均値が3.5以上

・学習意欲が一定以上と判断できる

【大学等1年生】

下記のいずれかを満たす

・高校時の評定平均値が3.5以上

・入学試験の成績が入学者の上位1/2以上

・高卒認定試験の合格者

・「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

【大学等2~4年生】

下記のいずれかを満たす

・在学する大学等における平均成績が上位1/2以上

・習得単位数が標準単位数(※3)以上かつ「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

参照:文部科学省(支援措置の対象となる学生等の認定要件について)

※1:2024年度より子ども3人以上または私立の理工農業系分野への進学であれば年収600万円まで対象となる(参照:文部科学省

※2:対象となる資産は現金・預貯金・有価証券で不動産は対象外となる

※3:標準単位数=卒業必要単位数/修業年限×申請者の在学年数

 

なお下記に該当する人も大学無償化制度の対象外です。

 

  • 日本国籍でない人
  • 高校卒業から2年以上が経過した人
  • 高卒認定試験の取得資格を得てから認定試験の合格日までに5年が経過している人

 

条件をいずれか1つでも満たさない人は、制度の対象外となるため注意してください。

 

世帯収入・資産・学業の条件について、詳しく見ていきましょう。

世帯収入条件

現行の大学無償化制度を利用するには「住民税非課税世帯または住民税非課税世帯に準ずる世帯」のいずれかに該当する必要があります。

 

  • 住民税非課税世帯:年収が一定以下で住民税を課されていない世帯
  • 住民税非課税世帯に準ずる世帯:住民税は課されているが、課税額が小さい世帯

 

それぞれ該当する年収の目安と、支援金額の割合は下記のとおりです。

 

区分 年収の目安

※両親・本人(18歳)・中学生の家族4人世帯の例

支援金額の割合
住民税非課税世帯 ~270万円 満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯 ~300万円 満額の2/3
~380万円 満額の1/3

※2024年度より子ども3人以上なら年収600万円まで対象となる予定(支給金額1/4)

※2024年度より私立の理工農系学部へ進学する場合は、文系の授業料差額が支援される予定

参照:文部科学省

 

住民税非課税世帯は満額住民税非課税世帯に準ずる世帯は課税額に応じて1/3~2/3の支援が受けられます。

 

なお住民税非課税世帯または住民税非課税世帯に準ずる世帯に該当するかどうかは、年収以外にもいくつかの条件を加味して決まる仕組みです。

 

ご自分の家庭がどの世帯に該当し、どれだけの支援が受けられるかは、JASSOが提供する「進学資金シミュレーター」で調べると良いでしょう。

資産条件

現行の大学無償化制度を利用するには、学生等およびその生計維持者(保護者)が保有する資産の合計額が下記を満たすことも必要です。

 

  • 生計維持者が2人:2,000万円未満
  • 生計維持者が1人:1,250万円未満

参照:文部科学省

※対象となる資産は現金・預貯金・有価証券で不動産は対象外となる

※資産の合計額には学生本人がアルバイト等で貯めたお金も含まれる

 

シングルマザー・シングルファザーの家庭など生計維持者が1人のみの場合は、資産条件が緩和されます。

 

専業主婦・主夫については、収入を得ていなくても「生計維持者」としてカウントされるため注意してください。

学業条件

現行の大学無償化制度を利用するには、学生本人が下記の学業条件も満たさなければいけません。

 

学年 条件(いずれか1つを満たす)
高校3年生(予約採用) ・高校2年生までの評定平均値が3.5以上

・学習意欲が一定以上と判断できる

大学等1年生(在学採用) ・高校時の評定平均値が3.5以上

・入学試験の成績が入学者の上位1/2以上

・高卒認定試験の合格者

・「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

大学等2~4年生(在学採用) ・在学する大学等における平均成績が上位1/2以上

・習得単位数が標準単位数(※2)以上かつ「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

参照:文部科学省

 

高校3年生の時点で申請する「予約採用」と大学等に入学してから申請する「在学採用」いずれの場合も、成績(評定)または学習意欲の条件があります。

 

成績の条件を満たせなくても学習意欲の条件をクリアすれば支援を受けられる可能性があるため、ぜひ積極的に制度の活用を目指しましょう。

現行の大学無償化制度の支援内容

現行の大学無償化制度では、下記2つの支援が受けられます。

 

 

それぞれの支援金額などを詳しく見ていきましょう。

支援内容①:授業料等減免

「授業料等減免」では、下記のように入学する学校種に応じて入学金および授業料の支援が受けられます。

 

学校種 国公立 私立
大学(昼間制) 入学金:282,000円

授業料:535,800円

入学金:260,000円

授業料:700,000円

短期大学(昼間制) 入学金:169,200円

授業料:390,000円

入学金:250,000円

授業料:620,000円

高等専門学校(昼間制) 入学金:84,600円

授業料:234,600円

入学金:130,000円

授業料:700,000円

専門学校(昼間制) 入学金:70,000円

授業料:166,800円

入学金:160,000円

授業料:590,000円

大学(夜間制) 入学金:141,000円

授業料:267,900円

入学金:140,000円

授業料:360,000円

短期大学(夜間制) 入学金:84,600円

授業料:195,000円

入学金:170,000円

授業料:360,000円

専門学校(夜間制) 入学金:35,000円

授業料:83,400円

入学金:140,000円

授業料:390,000円

大学

短期大学

専門学校

(通信課程)

【国公立の通信課程なし】 入学金:30,000円

授業料:130,000円

参照:文部科学省

※入学金は1回限り・授業料は年額(留年すると打ち切り)

※大学1年次の後期以降から支援を受ける人は「入学金」の免除・減額は受けられないため注意

 

例えば昼間制の国立大学の場合、文部科学省で定められた入学金は282,000円、年間の授業料は535,800円です。

参照:文部科学省

 

授業料等減免による支援金額も入学金282,000円、年間の授業料535,800円であることから、授業料・入学金の負担が一切なくなります。

 

ただし支援金額よりも授業料・入学金が高い公立・私立学校の場合、自己負担が発生する可能性がある点は押さえておきましょう。

 

また「住民税非課税世帯に準ずる世帯」に該当する場合は、納税額に応じて支援金額が1/3~2/3に減額となるため注意してください。

 

支援内容②:給付型奨学金

「給付型奨学金」では、学校種や住まいの種別に応じて下記の金額が毎月JASSOから指定口座に振り込まれます。

 

学校種/住まいの種別 国公立 私立
自宅生 自宅外生 自宅生 自宅外生
大学

短期大学

専門学校

(昼間制・夜間制)

29,200円

(33,300円)

66,700円 38,300円

(42,500円)

75,800円
高等専門学校

(昼間制・夜間制)

17,500円

(25,800円)

34,200円 26,700円

(35,000円)

43,300円
大学

短期大学

専門学校

(通信課程)

【国公立の通信課程なし】 51,000円

参照:文部科学省

※()内は生活保護世帯または児童養護施設等から通学の場合の給付金額

 

「給付型奨学金」であることから、広く活用されている「貸与型奨学金」とは異なり返還は不要です。

 

リスクなく生活資金を確保できるため、制度の対象となる方はぜひ活用しましょう。

 

なお、こちらも「住民税非課税世帯に準ずる世帯」に該当する場合は、納税額に応じて給付金額が1/3~2/3に減額となる点に注意してください。

 

現行の大学無償化制度の手続き方法

現行の大学無償化制度の手続き方法は「予約採用」と「在学採用」のどちらに該当するかで変わります。

  • 予約採用:高校3年生または高校卒業から2年以内で大学等に進学していない人
  • 在学採用:すでに大学等に在学している人

 

該当する(しそうな)方の手続きの流れを確認しておきましょう。

 

予約採用:高校3年生または高校卒業から2年以内で大学等に進学していない人

高校3年生または高校卒業から2年以内で大学等に進学していない人は、下記の流れで「予約採用」の申請をします。

 

  • 入学前年度の4月下旬~:高校から関係書類をもらってJASSOへ申し込みをする
  • 秋ごろ:JASSOから高校を通して「予約採用の採用候補者決定通知」が届く
  • 入学時:JASSOへの進学届の提出・進学先への決定通知提示および授業料等減免申請を行う
  • 入学後:4月から支援スタート

参照:文部科学省

 

入学前年度の4月下旬から行えるJASSOへの申し込みには、本人と保護者のマイナンバー提出が必要です。

 

期限を過ぎると「在学採用」に切り替えなければいけないため、該当年度の文部科学省のページを確認し忘れずに申請しましょう。

 

在学採用:すでに大学等に在学している人

すでに大学等に在学している人は「在学採用」を検討することとなりますが、下記の2パターンで申請スケジュール・支援内容が異なります。

 

それぞれのパターンを見ていきましょう。

 

春に申し込んで4月分(前期分)から支援を受けたい場合

春に申し込んで4月分から支援を受けたい場合は、下記のスケジュールで在学採用の申請をします。

  • 4月~:在学中の学校で書類をもらい、JASSOに給付型奨学金の申請を、学校に授業料等減免の申請をする
  • 7月~:JASSOから学校を通して「予約採用の採用候補者決定通知」が届く
  • 7月~:支援スタート

参照:文部科学省

 

予約採用と同様、本人と保護者のマイナンバー提出が必要になるため用意しておきましょう。

 

実際に支援が開始するのは7月ごろからとなりますが、給付型奨学金は4月の分からまとめて受け取りが可能です。

 

授業料等減免については大学等によって支援のタイミングが異なるため、窓口などでの確認をおすすめします。

 

※授業料・入学金を一旦自分で支払い、後から減免分が返還される大学等もあるため注意してください。

 

秋に申し込んで10月分(後期分)から支援を受けたい場合

秋に申し込んで10月分から支援を受けたい場合は、下記のスケジュールで在学採用の申請をします。

  • 9月~:在学中の学校で書類をもらい、JASSOに給付型奨学金の申請を、学校に授業料等減免の申請をする
  • 12月~:JASSOから学校を通して「予約採用の採用候補者決定通知」が届く
  • 12月~:支援スタート

参照:文部科学省

 

前期分から支援を受けたい場合と同様に、本人と保護者のマイナンバー提出が必要です。

 

なお後期分からの場合は、下記3つの支援が受けられません。

  • 入学金
  • 4~9月(前期)分の授業料
  • 4~9月(前期)分の給付型奨学金

 

満額の支援を受けたいなら入学後すぐに、自分が支援の対象か、在学中の学校が対象校に入っているか確認しましょう。

 

現行の大学無償化制度における2つの注意点

現行の大学無償化制度には、下記2つの注意点があります。

  • 対象校以外への進学では制度を利用できない
  • 世帯収入・資産の条件を満たしても評定・成績によっては対象外になる

 

確実に支援を受けるために、注意点はしっかり確認しておきましょう。

 

対象校以外への進学では制度を利用できない

2025年の新しい大学無償化制度と同じく、現行の制度も対象校以外への進学では支援が受けられません。

 

文部科学省の特設ページで配布されている対象校一覧のPDF・エクセルファイルで、希望の進学先が対象かどうか確認してください。

 

なお、支援の対象となる大学等の一覧は頻繁に更新されています。

 

現在進学を希望する大学等が一覧になくても今後追加される可能性があるため、定期的に確認しておきましょう。

 

世帯収入・資産の条件を満たしても評定・成績によっては対象外になる

現行の大学無償化制度は世帯収入・資産の条件を満たした、住民税非課税世帯およびそれに準ずる所得の世帯が支援の対象となります。

 

ただし下記の「学業条件」を満たせなかった場合、世帯収入や資産の条件を満たしていても支援の対象外となるかもしれません。

 

学年 条件(いずれか1つを満たす)
高校3年生(予約採用) ・高校2年生までの評定平均値が3.5以上

・学習意欲が一定以上と判断できる

大学等1年生(在学採用) ・高校時の評定平均値が3.5以上

・入学試験の成績が入学者の上位1/2以上

・高卒認定試験の合格者

・「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

大学等2~4年生(在学採用) ・在学する大学等における平均成績が上位1/2以上

・習得単位数が標準単位数(※2)以上かつ「学修計画書」により学習意欲・目的・将来の人生設計が確認できる

参照:文部科学省

 

とはいえ予約採用・在学採用いずれの場合も、評定・成績が悪くても学習意欲が高いと判断されれば支援を受けられる可能性があります。

 

たとえば高校2年生までの評定平均値が3.5未満だった高校3年生の場合は、レポートまたは面談が必須となるためしっかりと対策しておきましょう。

 

各都道府県独自の大学無償化動向

少子化対策を主な理由に、一部の都道府県では独自の大学無償化制度を実施する予定となっています。

 

2024年1月19日時点で予定されている、都道府県独自の大学無償化制度は下記のとおりです。

 

東京都・大阪府・兵庫県にお住まい、またはお子さんが進学する可能性がある方はぜひ確認しておきましょう。

東京都:2024年度から都立大学等の授業料無償化

東京都では2024年度から、都立大学等に進学する一部学生の授業料を無償化します。

 

条件・要件や支援内容は下記のとおりです。

支援金額 ・年収約910万円未満の世帯:授業料全額免除

・扶養の子が3人以上の多子世帯で年収約910万円以上の世帯:授業料半額免除

支援対象 ・年収約910万円未満の世帯

・扶養の子が3人以上の多子世帯で年収約910万円以上の世帯

※新入生・在学生いずれも対象

※学生および保護者の住所が、入学の3年以上前から東京都内にあること

対象の教育機関 ・東京都立大学(博士前期課程・法科大学院・助産学専攻科)

・東京都立産業技術大学院大学(専門職学位課程)

・東京都立産業技術高等専門学校(本科4、5年生・専攻科生)

参照:東京都

※上記の年収は両親(どちらか一方が給与所得者)・本人(18歳)・中学生の4人世帯をモデルに概算した目安で、世帯状況により詳細な条件は異なる

 

本制度は、現行の大学無償化制度(高等教育の修学支援制度)における給付型奨学金と併用が可能です。

参照:東京都立大学東京都立産業技術大学院大学東京都立産業技術高等専門学校

 

対象校は限られますが、本制度を活用すれば経済的な理由で進学を諦めていた世帯も大学等に通える可能性があるでしょう。

 

大阪府:2026年度から高校・大阪公立大学の授業料・入学金無償化を目指す

大阪府では2026年度から段階的に、高校・大阪公立大学の授業料・入学金を無償化する方針を発表しました。

 

国の大学無償化制度の対象とならなかった世帯に対し、府が独自に授業料を支援する仕組みとなっています。

 

主な要件や支援の内容は下記のとおりです。

支援金額 【年収約590万円未満の世帯】

授業料・入学金全額免除

【年収約590万円~800万円の世帯】

扶養の子ども1人:授業料・入学金の1/3支援

扶養の子ども2人:授業料・入学金の2/3支援

扶養の子ども3人:授業料・入学金全額免除

【年収約590万円~800万円の世帯】

扶養の子ども1人:支援なし

扶養の子ども2人:授業料・入学金の1/3支援

扶養の子ども3人:授業料・入学金の2/3支援

支援対象 ・年収約910万円未満の世帯

※年収約800万円~910万円で子ども1人の世帯は除く

対象の教育機関 大阪府内の府立大学・府立大学・公立大学高専・公立大学

※修士課程・博士課程を含む

参照:大阪府

 

まだ本制度の案は2023年11月6日に決定されたばかりで、申請用のホームページは2024年1月19日現在準備中となっています。

 

2026年から制度を活用したい世帯の方は、続報をチェックしておきましょう。

 

兵庫県:2026年度から県立大学の授業料・入学金無償化

兵庫県では2026年度から段階的に、兵庫県立大と兵庫県立芸術文化観光専門職大の2校の授業料・入学金を完全無償化する方針を打ち出しています。

 

主な要件や支援の内容は下記のとおりです。

支援金額 授業料・入学金全額免除
支援対象 ・すべての世帯(所得制限なし)
対象の教育機関 兵庫県立大

兵庫県立芸術文化観光専門職大

※修士課程・博士課程を含む

参照:兵庫県

 

本制度に年収・所得による制限は一切ありません。

 

学生および保護者の住所が入学の3年以上前から兵庫県内にあれば制度の対象となる見込みとなっています。

 

修士課程・博士課程も対象で、一貫した無償化による兵庫県内の人財育成・産業の成長力強化が狙いです。

 

同時に県外生が2校に通う際の入学金も現行の423,000円から282,000円に引き下げられる予定で、多くの人が恩恵を受けられるでしょう。

 

大学無償化制度に関するよくある質問

最後に、大学無償化制度に関するよくある質問とその回答をまとめました。

 

制度への疑問をなくして、対象の人はスムーズに支援を受けられるようにしておきましょう。

 

多子世帯は全員大学無償化の対象になる?

多子世帯が全員、大学無償化の対象になるわけではありません。

 

2025年の大学無償化制度は、あくまで「子ども3人以上を扶養する多子世帯」が対象です。

 

子どもが3人いて第1子が扶養を外れた場合は、第2子・第3子も支援対象から外れてしまいます。

 

3人きょうだいで第1子のみ歳が大きく離れていると、第2子・第3子は支援の対象とならない可能性が高いです。

 

2025年の大学無償化に「ずるい」と声が上がっているのはなぜ?

「ずるい」と声が上がっているのは、第1子の歳が第2子以降と離れている場合、無条件で制度の対象外となってしまう可能性があるためです。

 

たとえば3人きょうだいで歳の離れた第1子が先に扶養から外れると、その時点で第2子・第3子が支援対象から外れてしまいます。

 

それに対して3人以上のきょうだいの年齢が近いと、同時に支援対象となる扶養の子どもの数が増え、支援総額が大きくなるというわけです。

 

すでに歳の離れた子どもを育てている人が損をすることになってしまうため、不満の声が上がってしまったのでしょう。

 

年収600万円は大学無償化の対象ですか?

年収600万円は現行の大学無償化制度の対象にはなりませんが、2025年の大学無償化制度の対象となる可能性があります。

 

2025年の大学無償化制度は、子ども3人以上を扶養する多子世帯であれば年収・所得に関係なく対象となるためです。

 

ただし年収600万円かつ子どもが2人以下の場合は、いずれの大学無償化制度も使えません。

 

母子家庭は無条件で大学無償化の対象になるって本当?

母子家庭が無条件で大学無償化の対象になるわけではありません。

 

あくまで母子家庭は「生計維持者が1人のケース」とみなされ、現行の大学無償化制度における「資産条件」の緩和措置が適用されるだけです。

 

【現行大学無償化制度における資産条件について】

  • 生計維持者が2人:2,000万円未満
  • 生計維持者が1人:1,250万円未満

参照:文部科学省

 

とはいえ母子家庭の多くは世帯収入・資産の条件を満たしているため、ご自分の世帯が対象になるか確認してみると良いでしょう。

 

大学無償化の制度が進む理由は?

大学無償化の制度が推進される理由は、顕在化している家庭の大学等費用負担への対策です。

 

JASSOの資料を見ると、大学生の収入総額における家庭からの仕送り額が年々減少しています。

 

そして平成20年と比較し、アルバイト・奨学金の割合が増えているのが分かるでしょう。

引用:JASSO(令和2年度学生生活調査結果)

 

「アルバイトでまともに勉強できない」「親の仕送りに期待できず、奨学金も使いたくないから進学を諦める」という学生が増えるのも時間の問題です。

 

現行および2025年からの大学無償化制度により経済的な負担が軽減され、安心して学業に励める学生が増えるでしょう。

 

給付型奨学金と貸与型奨学金は何が違う?

給付型奨学金が返還不要なのに対し、多くの学生が活用しているJASSOの貸与型奨学金は返還が必要です。

 

JASSOの貸与型奨学金を活用したい場合は、将来的な返済計画についても考えなければいけません。

 

 

大学無償化制度を活用して子どもの教育プランを立てよう

大学無償化制度を活用すれば、返還不要な給付型奨学金や授業料・入学金の支援が受けられます。

 

現行の大学無償化制度は所得の少ない世帯、2025年からの制度は多子世帯に対象が限られますが、それでも保護者の学費負担は軽減されるでしょう。

この記事を読んで「うちも対象になりそう」と思った方は、JASSOの相談センターに電話するか、お子さんが通学中の学校で相談してみてください。

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