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給食費無償化とは?申請方法と対象地域について解説

「給食費無償化ってなに?」

「自分の子どもが通う学校でも給食費は無料?」

このような疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

 

近年、「給食費無償化」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、すべての子どもが平等に良質な給食を受けれるようにする政策であり、多くのメリットが期待されています。しかし、同時にこれを実現するためには様々な課題を解決する必要もあります。

 

本記事では、給食費無償化の概要や、どの地域で実施されているのか、そのメリットやデメリットなどを詳細に解説していきます。すべての子どもたちが、平等に健康的な食事や教育を受けられる制度である「給食費無償化」について、理解を深めていきましょう。

給食費無償化とは 

給食費無償化とは、学校給食の費用を生徒の保護者から徴収せず、自治体や国が公費を用いて賄う制度のことです。

この制度は、全ての子どもが平等に栄養バランスのとれた学校給食を食べることができ、経済的な困難から子どもの健康や学習機会が損なわれないようにすることを目的とします。

貧困家庭の子どもたちをサポートする手段として、また、子どもたちの健康の向上と学力の引き上げを目指す政策として広く注目を集めています。

文部科学省が2022年7月末に行った調査によると、給食費の負担軽減策を「実施している」又は「実施を予定している」と答えた自治体は、合わせて1,491で、これは全体の83.2%に上ります。例えば東京23区では、2023年4月時点で、9つの区が給食費の無償化を実施しています。これは、物価高騰対策の一貫として取り入れられ、全国の自治体へ広がりました。

参考:学校給食費の負担軽減

給食費無償化の背景 

給食費無償化の背景には、子どもたちの家庭が直面する経済的問題が存在します。特に、一部の家庭では、厳しい経済状況から給食費の支払いが困難であり、子どもたちがバランスの取れた食事を摂る機会が失われています。その結果、子どもたちの学習意欲や学力に影響を及ぼしているのではないかと懸念されています。こうした問題を解決するために給食費無償化が提案され、既に一部の地域ではその実施が始まっているのです。

 

貧困対策などの観点から、給食費無償化を主張したのは、公明党なんだヨネ。

 

うん、給食費無償化は、公明党が繰り返し訴えてきたことなんだ。自治体によって支援内容が異なるから、この記事で詳しく見ていこう!

 

給食費無償化の必要性 

学校給食は、子どもたちの成長や健康維持にとって不可欠であり、それを支える環境整備は社会全体が取り組むべき課題といえるでしょう。給食費の無償化は、この課題解決の一環であり、重要な政策です。その必要性を詳しく見ていきましょう。

 

まず、子どもの健康や学力の向上という視点から見てみると、給食は栄養バランスの良い食事を提供し、子どもたちの成長や発達を支える重要な役割を果たします。さらに、給食を通じて食育を学び、社会性を育む機会が得られます。このように、学校給食が子どもたちの心身の健康や人間形成に与える影響は計り知れません。

 

次に、子どもの貧困や格差の解消という観点からも給食費無償化の必要性があります。給食費を支払えない家庭は給食を受けられない場合があります。これは子どもたちにとって不公平であり、学校生活や友人関係にもネガティブな影響を及ぼします。給食費を無償化することで、すべての子どもたちに平等な機会を与えることができ、社会的格差の解消にも繋がるのです。

 

最後に、保護者の家計や心理的負担の軽減という点でも、給食費無償化は重要な政策となります。給食費は年間平均で5万円弱に及び、これは子育て世帯にとって大きな負担です。特に、コロナ禍や物価高騰により、収入が減ってしまった家庭では、給食費の支払いが困難です。給食費を無償化することで、保護者の経済的な安心感を向上させ、子育て意欲を高めることができます。

 

以上のことから、給食費無償化は子どもたちの健康と学力向上、社会的格差の解消、保護者の負担軽減という観点から必要性が高く、子どもたちの未来を明るくするために社会全体で取り組むべき課題と言えます。

給食費無償化のメリットとデメリット

学校給食費の無償化については、多様な観点から幅広い議論が行われています。給食費無償化によって子どもたちが受ける恩恵は多大であり、保護者からは全国的な導入が強く求められています。しかし、その一方で、必要な財源の調達や給食の品質への影響といった課題も浮かび上がってきています。この政策が果たす役割と、それに伴う潜在的な課題を把握するために、給食費無償化のメリットとデメリットを考察していきましょう。

 

メリット

給食費の滞納や集金の手間がなくなる


給食費が無償化されると、給食費を集金する手間や時間が大幅に削減されます。給食費の請求や集金、さらには滞納があった場合の催促といったプロセスは、教師や子どもたちの時間や精神的エネルギーを消費するものです。給食費無償化によって、これらの時間やエネルギーを教育や勉強に向けることができます。

 

貧困世帯の経済的な負担が軽減される

 

低所得世帯にとって給食費の負担は大きく、特に多子世帯ではその負担感はさらに増します。一部の家庭では、毎月の給食費が家計に大きな影響を及ぼし、子どもたちに必要な学びの機会を奪ってしまうこともあります。給食費の負担がなくなることで、その分を子どもたちの新たな学びの機会や、成長に必要な費用に割り当てることが可能となります。

 

子どもたちに栄養バランスの良い食事を提供できる

 

学校給食は、子どもたちに必要な栄養素を適切に摂取できるように考えられています。貧困世帯の子どもたちは、日常の食事から十分な栄養を摂取することが難しい場合があり、学校給食は大切な栄養源です。

給食費無償化により、すべての子どもたちが均等に、これらの栄養バランスの良い食事ができるようになることは、大きなメリットと言えるでしょう。

 

子どもたちの食育や健康促進に寄与する

 

給食は、適切な栄養の摂取によって子どもたちの健康を促進するものであると同時に、食事についての正しい知識を学ぶ重要な教育の場です。給食を通じて、子どもたちは地域の特産物や自然の恵み、そして生命の尊さを学ぶことができます。それは将来の人間形成のために重要な役割を果たすでしょう。このような重要な機会をすべての子どもたちが享受できるためにも、給食費無償化は必要とされているのです。

デメリット

自治体の財政負担が大きくなる

 

給食費の無償化が子どもたちに与える恩恵は、確かに多大なものです。しかし、同時に大きな財政的負担が伴います。無償化を実現するには、限られた予算から費用を捻出しなければなりません。しかし、税金を主な財源とした予算の中には、教育の他にも様々な福祉や公共サービスのための費用が含まれています。そのため、新たな財源を確保するには、他の公共サービスを削減したり、新たな税制を導入するなどの対策を検討する必要も出てきます。その結果、わたしたちの負担が増える可能性があるということも考慮しなければなりません。

 

給食の質や量が低下する恐れがある

 

給食費無償化に伴う財政負担の増加は、食材費や調理費の削減を引き起こす可能性があり、給食の質や量の低下が心配されています。新鮮で高品質の食材の使用が制限され、代わりに安価な食材が使用される可能性が考えられます。

さらに、給食費無償化によって、「保護者の給食に対する意識の低下」を懸念する声もあります。保護者が給食の質や量を気にしなくなることで、給食の品質が下がるのではないかと危惧されているのです。

 

保護者の責任感や自立心が失われる可能性がある

 

給食費の無償化により、保護者の子育てに対する責任感や自立心が薄れる可能性があるという見解が一部に存在します。この考えは、国や自治体が給食費を負担することにより、子どもへの生活費の負担が軽減されると、保護者自身が子どもを育てるという自立的な立場が損なわれる可能性があるという観点からです。

しかし、この問題は単純なものではありません。無償化によって保護者の責任感が減退するかどうかは、家庭の教育方針や保護者の価値観に大いに左右されます。したがって、この問題を一括りに評価するのは難しいと言えるでしょう。

 

給食費の無償化は、社会的、経済的、教育的な観点から見ても多岐にわたる影響を及ぼす複雑な問題です。無償化に伴うメリットとデメリットを十分に理解し、検討することが重要です。これは国や自治体だけでなく、社会全体が共に検討すべき問題であると言えるでしょう。

 

給食費無償化の国内外の事例 

日本国内での給食費無償化について見てきましたが、国外ではどのような状況なのかを見ていきましょう。

 

まずは、世界で最初に給食費無償化を実施したフィンランドです。

 

フィンランドは、世界で最初に全ての子どもを対象にした給食費無償化を行った国で、1948年から実施しています。それ以前からも自治体単位での取り組みは存在していましたが、現在では国全体で給食費無償化を実施しています。フィンランドは、給食を教育の一部と位置づけ、すべての子どもが格差なく、栄養バランスの良い給食を通じて食育を享受しています。

 

次にイギリスの例を見てみましょう。

イギリスでは、幼稚園の年長クラスから小学校2年生までのすべての子どもたちに無料で給食を提供しています。また、小学校3年生以上の子どもについては、「Free School Meals(無償学校給食)」制度が設けられており、貧困世帯の子どもたちを対象に給食費の無償化に取り組んでいます。

 

一方、アメリカではすべての子どもに対する給食費の無償化は進んでいるとは言えません。

しかし、連邦政府の「National School Lunch Program」によって、低所得世帯の子どもたちには無料または割引価格の給食が提供されています。このプログラムの目的は、飢餓を防ぎ、子どもたちの健康と学習能力を向上させることです。さらに、一部の州では独自の制度を設け、給食費の無償化を進めています。例えば、カリフォルニア州では2022年からすべての公立学校で給食費の無償化を実施しています。

 

このように、世界各地で学校給食に対するさまざまな取り組みが行われています。各国の経済状況や政策の違いはありますが、子どもたちの健康や学習能力の向上、さらには経済格差による子どもたちの不平等をなくそうという志向は、全世界共通の目標と言えるでしょう。

給食費無償化実現へ向けた課題と対策 

給食費無償化は、全ての子どもが平等に栄養バランスの良い食事をとり、食育を通じて人間形成をしていく上で非常に重要な政策です。しかし、その実現には多くの課題が存在します。現在問題となっている主な課題について、考えていきましょう。

自治体の財源確保 

給食費無償化の実現には、自治体の財源確保が必要不可欠です。税収の増加や予算の再配分、地方債の発行など、多様な方法で財源を確保する必要があります。一部の自治体では、地方創生臨時交付金を活用していますが、全国的に実施するには、より広範な財源の確保が必要となります。国からの補助金に加え、企業からの寄付等も重要な財源となり得るでしょう。

給食の品質と栄養バランスの維持 

給食費無償化により、給食費を賄うための予算が増大しますが、そのために給食の品質や栄養バランスが低下してしまうことは避けなければなりません。

食材の一括購入や給食センターの共同利用などによって給食の運営を効率化したり、地元の農産物を活用して、新鮮で栄養価の高い食材を安価に提供するといった対策が必要です。

制度の公平性を保つための工夫 

現在、給食費の無償化は自治体によって進行状況が異なり、地域間での格差が生じています。全国的な給食費無償化を進めるためには、地域間の格差を解消するための方策が必要となります。制度の公平性を保つためには、国の指導や補助による全国一律の基準設定が必要です。また、地域間の格差を解消するためには、財政状況の異なる自治体間での情報共有や協力体制を構築しなければなりません。

導入に向けた展望と効果予測 

2023年3月に、日本政府は「小中学校の給食費無償化」の検討をたたき台に盛り込むことを決定し、具体的な議論を始めました。この動きにより、給食費の無償化へ向けた議論や活動が活発化しています。

既に一部の自治体では、独自の方針により給食費無償化を推進していますが、人口が多い都市部や財政状況が厳しい地域では導入が進んでおらず、地域間での格差が生じています。全国的な給食費無償化が実現すれば、すべての子育て世帯において、児童一人当たり約5万円の負担が軽減される見込みです。これにより、子どもを育てやすい環境となり、少子化対策につながると期待されています。

まとめ

本記事では、給食費無償化について、その目指す意義や実施地域、そして現実化に向けての課題までを詳細に解説してまいりました。給食費無償化によって、すべての子どもたちが平等に健康的な食事をとり、学力の向上や食育による人間形成、保護者の負担軽減といった数多くの恩恵が期待できます。しかし一方で、財源の確保や給食の品質維持といった重要な課題も存在します。

 

現在、給食費無償化が実施されている地域はまだ少なく、地域差が生じている現状も見逃せません。この政策が全ての子どもたちに平等に及ぶよう、さらなる普及と改善が求められています。それぞれの地域や保護者、そして私たち一人一人がこの問題に対してどう向き合い、何をすべきかを深く考え、行動を起こすことが必要です。

 

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