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【発達障がいのある方への支援ガイド】大人から子どもまで増加、その背景や対策は?
発達障がいは脳機能の発達に関する障がいで、近年は発達障がいへの社会的認知が拡大し、支援の必要性が高まっています。
現在は、通常学級に在籍する児童・生徒全体の約6.5%に発達障がいの可能性があるとされており、決して珍しい障がいではありません。
※出典:文部科学省
発達障がいへの認知度が高まる一方、「どこに相談すればいいのか分からない」「適切な支援を受けられているか不安」などの悩みを抱える方も多いでしょう。
本記事では、発達障がいのある方への支援に関する様々な情報や制度・相談窓口・支援方法などを詳しく解説しています。
他にも企業や自治体が取り組んでいる支援事例なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
発達障がいとは?
発達障がいとは、脳機能の発達に関係する障がいで、主に3つのタイプに分けられます。
タイプ | 特徴 |
広汎性発達障害(PDD) | ▼自閉症
・言葉の発達遅れ ・コミュニケーション障害 ▼アスペルガー症候群 ・コミュニケーション障害 ・対人関係・社会性の障害 ・パターン化した行動 ・趣味・関心の偏り |
注意欠如多動性障害(ADHD) | ・不注意
・多動性 ・衝動性 |
学習障害(LD) | ・読む、書く、計算するなどの特定の能力の困難さ |
発達障がい者数が増加している背景には、2005年に施行された発達障害者支援法が大きく関係しています。
発達障害者支援法での発達障がいの定義は、以下の通りです。
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの
引用元:厚生労働省
この法律の施行により、発達障がいに対する社会的認知が高まり、適切な診断や支援が受けられるようになりました。
障がいに対する認知が高まったことに伴い、2018年には発達障がいと診断を受けた人が約48万人にのぼり、2012年から約3倍に増加しています。
※出典:厚生労働省
発達障がいは持って生まれた特性のため「治る」ものではありません。しかし適切な支援と理解があれば、その人の持つ能力を最大限に発揮することができます。
社会全体で理解を深め、一人ひとりの特性に合わせた支援を提供することが重要です。
発達障がいのある方への支援制度
発達障がいのある方への支援制度は、2005年に施行された発達障害者支援法を基盤として、様々な公的支援や福祉サービスが整備されてきました。
支援制度は主に以下の2つの分野に分けられ、発達障がい者とその家族の生活をサポートしています。
- 公的支援制度
↳医療支援・経済的支援・生活支援・就労支援・教育支援 - 福祉サービス
↳発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター
また発達障害者支援法では発達障害者支援センターの設置が義務付けられており、身近な場所で支援が受けられるようになりました。
これらの支援制度を利用することで、発達障がいのある方々の生活の質を向上させ、社会参加の促進をサポートしています。
公的支援制度の種類
発達障がいのある方が利用できる主な公的支援制度には、以下のようなものがあります。
支援制度 | 内容 |
自立支援医療
(精神通院医療) |
発達障がいの治療にかかる医療費の自己負担を軽減する
↳自己負担:1割 ※通常の自己負担:3割 |
障害年金 | 発達障がいにより日常生活や就労に支障がある場合に受給できる |
障害者手帳制度 | 各種の福祉サービスや税制上の優遇措置を受けられる
※手帳の取得は義務ではない |
就労支援制度 | 発達障がい者の就労支援を受けられる
・障がい者枠での就労 ・就労相談 ・職業リハビリテーション |
自立支援医療は発達障がいの治療にかかる医療費の自己負担を軽減する制度で、通常3割の自己負担が1割に軽減されます。
障害者年金制度は、障がいの程度や加入している年金の種類によって異なりますが、発達障がいにより日常生活や就労に支障がある場合に受給できる可能性がある年金制度です。
その他にも発達障がい者の就労を支援する以下のような制度も整備されており、社会参加をサポートしています。
- 障がい者枠での就労
↳企業には障がい者雇用率制度があり、一定割合以上の障がい者を雇用する義務がある - 就労相談
↳ハローワークや障害者職業センターなどで、就労に関する相談や支援を受けられる - 職業リハビリテーション
↳障害者職業センターなどで、職業能力の評価や訓練を受けられる
障害者手帳の取得は義務ではなく個人の選択に委ねられていますが、福祉サービスや税制上の優遇措置を受けられるなど、様々な公的支援を通して生活をサポートする制度があります。
福祉サービスの具体例
発達障がいのある方が利用できる主な福祉サービスには、以下のようなものがあります。
福祉サービス | 特徴 | 受けられるサポート |
発達障害者支援センター | 発達障がい者とその家族に対して総合的な支援を行う専門機関 | ・発達障がいに関する相談支援
・発達支援(療育相談や情報提供) ・就労支援 ・普及啓発・研修 |
障害者就業・
生活支援センター |
障がい者の就労と生活を総合的に支援する機関 | ・就職に向けた準備支援
・職場定着支援 ・生活面の支援 |
学生相談室
保健管理センター (学生の場合) |
各教育機関に設置されている | ・学習面での困難に対する支援
・対人関係や生活面での相談 ・教職員への理解促進と配慮の依頼 |
発達障害者支援センターは、全国の都道府県に設置されており、身近な場所で支援を受けることができる施設です。
医療支援のほかにも福祉・教育・就労などの総合的な支援も相談可能で、発達障がいのある方の家族に対する支援も行っています。
障害者就業・生活支援センターは約300以上の施設が設置されており、主に地域に密着した障がい者の就労と生活を総合的に支援する機関です。
一方、学生相談室や保健管理センターは各教育機関に設置されている施設で、学習面の支援や生活面など学校生活で役立つ支援を提供しています。
教育機関での発達障がい者支援
教育機関における発達障がい者支援は、2004年12月に公布された発達障害者支援法により大きく変化しています。
この法律により、発達障がいのある児童・生徒に対して、その障がいに応じた十分な教育が受けられるよう特別支援教育の設置が明確化されました。
教育機関での発達障がい者支援は、主に以下3つの取り組みが行われています。
- 特別支援教育の重要性
- 学校での支援体制
- 保護者と教育機関の連携
これらの取り組みにより、発達障がいのある児童・生徒一人ひとりのニーズに合わせた教育支援が可能になりました。
それぞれの取り組みについて、詳しく解説します。
発達障がいのある方への支援に、いち早く光を当てたのは実は公明党だったんだヨネ!
そうだよ。2004年4月に公明党の呼びかけで超党派による議員連盟が発足し、その年の12月に議員立法で支援法を成立させたんだ。
「困っている人、悩んでいる人に徹して寄り添う」との理念のもと、奮闘した公明党の具体的な取り組みについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてヨネ!
特別支援教育の重要性
特別支援教育とは、小・中学校に設置されている障がいのある児童・生徒を対象にした少人数の学級のことです。
児童・生徒一人ひとりの特性に応じた支援を行うことで、いじめや不登校などの問題解決につながる重要な支援と言えるでしょう。
その他にも、以下のような重要性があります。
- 個別ニーズへの対応
↳発達障がいのある児童・生徒の特性を理解し、個々のニーズに合わせた教育支援が提供できる - 早期発見・早期支援
↳発達障がいの特性を早期に発見し、適切な支援を行うことで、二次的な問題の予防につながる - 学習環境の改善
↳児童・生徒の特性に合わせた適切な学習を提供できる - 教職員の専門性向上
↳特別支援教育に関する知識や技能を身につけることで、より質の高い教育を提供できるようになる
発達障がいのある生徒・児童に対して個々の特性や学習ペースに合わせた教育は、学習環境の改善はもちろん一人ひとりにニーズ合わせられるメリットがあります。
特別支援教育の導入は、教育現場全体の質の向上につながり、発達障がいのあるすべての児童・生徒にとって学びやすい環境を整えることができるでしょう。
学校での支援体制
学校での主な支援体制は特別支援学級が中心で、発達障がいのある児童・生徒を対象に少人数で授業を行います。
そんな特別支援学級の特徴は、以下の通りです。
- 少人数制
↳一人ひとりの特性に応じた指導が可能 - 専門的な指導
↳障がいによる学習や生活の困難を克服するための特別の指導を行う - 個別のニーズに対応
↳一人ひとりのニーズに応じて、個別の指導計画を作成し、それに基づいた支援を行う - 通常学級との交流
↳共同学習を通じて、通常学級の児童・生徒との交流も行う
特別支援学級では、児童・生徒の障がいの程度や学級の実態などを考慮し、必要に応じて「特別の教育課程」を編成することが認められています。
これにより、一人ひとりの特性に合わせた柔軟な指導が可能となり、発達障がいのある児童・生徒も学びやすい環境を整えられているのが特徴です。
保護者と教育機関の連携
発達障がいのある児童・生徒の支援において、保護者と教育機関の連携はとても重要です。
児童・生徒一人ひとりの特性に寄り添い、様々なツールを活用しながら担当教員と保護者が指導の方向性を確認します。保護者と教育機関が効果的に連携するために行っている取り組みは、以下の通りです。
- 情報共有
↳連絡ノートや定期的な面談を通じて、学校での様子や家庭での様子を共有する - 共通理解
↳児童・生徒の特性や課題、指導目標について、教員と保護者が共通理解を持つ - 一貫した支援
↳学校と家庭で一貫した支援を行うことで、児童・生徒の成長を促進する - 保護者の支援
↳保護者の不安や悩みに耳を傾け、必要な情報提供やアドバイスを行う - 定期的な見直し
↳定期的に支援の効果を評価し、必要に応じて支援内容を見直す
このような連携を通じて、学校と家庭が一体となって児童・生徒を支援することができ、より効果的な教育支援が可能になるでしょう。
特別支援教育の重要性を認識し適切な支援体制を整え、保護者との密接な連携を図ることで、教育機関での発達障がい者支援はより効果的に行えます。
発達障がいのある児童・生徒一人ひとりが持つ特性に合わせた支援は、本人だけではなく保護者のサポートにもつながるでしょう。
職場での発達障がい者支援
職場での発達障がい者支援は、個々の特性に合わせたサポート体制の構築と働きやすい環境づくりが重要です。
現在多くの企業では、発達障がいのある従業員が能力を発揮できる職場環境の整備が求められています。
以下では、職場でのサポート体制・働きやすい環境づくり・具体的な企業の取り組み事例について紹介します。企業の取り組み事例を参考に、どんな支援が整備されているのか確認してみてください。
職場でのサポート体制
職場での発達障がい者支援には、さまざまな取り組みがあります。
-
- サポート体制
- 働きやすい環境
- 産業医や産業保健師による相談体制の整備
- 発達障害者支援センターとの連携
- ハローワークや地域の支援機関との協力
- 特性に合わせた業務の割り当て
- 視覚的な情報提供(スケジュールボードの活用など)
- 感覚過敏への配慮(騒音対策、照明の調整など)
- コミュニケーション支援(定期的な面談、指示の明確化など)
発達障害者支援センターやハローワーク・地域の支援機関と連携することで、発達障がいのある人が働きやすい環境になるように協力しています。
企業の取り組み事例
ここからは、富士ソフト企画株式会社の取り組み事例を紹介します。
富士ソフト企画株式会社では、発達障がいのある従業員の特性を理解し、個々のニーズに合わせたサポート体制を構築しています。
- 仕事は一つずつ伝える
- 具体的に指示を出す
- 質問しやすい環境の整備
- 業務マニュアルの作成
- 「見える化」の推進
発達障がいのある従業員に業務の指示を出す際は、一度に複数の作業を伝えるのではなく、一つずつ順を追って説明する工夫をしているのが特徴です。
また「だいたい」や「おおよそ」といった曖昧な表現を避け、具体的な数値や基準を示すことで、指示の内容を理解しやすい取り組みを行っています。定期的な面談や声掛け・業務手順のマニュアル化などで、質問のしやすい環境づくりをはじめ、視覚的にも理解しやすい工夫で自立的な業務遂行のサポートも可能です。
これらの取り組みは、発達障がいのある従業員の特性を活かし、能力を最大限に発揮できる環境づくりにつながっています。
同時に、職場全体のコミュニケーションの質や業務効率の向上にも寄与しており、企業全体にとってもメリットのある取り組みと言えるでしょう。
家族や支援者向けの情報
発達障がい者支援において、家族や支援者の役割は非常に重要です。
家族や支援者向けの情報を、以下の3点から紹介します。
- 家族ができる支援方法
- 支援者向けの情報や研修
- 成功事例と体験談
適切な支援方法や情報を得ることで、発達障がいのある人々の生活の質を向上させられるでしょう。
これらの情報を通じて発達障がい者とその家族がより良い支援を行うための知識や方法を学べます。
家族ができる支援方法
発達障がいのある人の家族が行える支援方法には、以下のようなものがあります。
- 職場や学校などで情報共有の場を作る
- 支援センターに相談する
- ペアレントトレーニングに参加する
- 就労移行支援事業所に相談する
定期的な面談や連絡ノートなどを活用し職場や学校の関係者と情報を共有することで、発達障がい者の特性や必要な支援の理解につながります。
また支援センターは、専門家のアドバイスにより適切な支援方法や利用可能なサービスなどの情報を知ることができるでしょう。
発達障がいのある子どもの保護者向けの支援プログラムとして提供している「ペアレントトレーニング」では、子どもの行動の理解や適切な対応方法を学べる支援サービスです。
これらの支援方法は、家族全体のストレス軽減にもつながり、より効果的な支援を提供できるようになるでしょう。
支援者向けの情報や研修
発達障がい者の支援者には、専門的な知識や技術が求められることもあるため、支援者(家族)向けの情報提供や研修の制度が整っています。
研修制度 内容・詳細 ペアレント・プログラム ・保護者の子どもに対する認知の変容を促す方法 ・子どもの行動を客観的に捉える視点の習得
・保護者同士の交流を促進する
発達障害情報・支援センター ・発達障がいに関する専門的な知識・情報の習得 ・専門書や学術論文
・オンラインセミナーや講習会
実践的なスキルトレーニング ・コミュニケーション技術の向上 ・行動分析に基づく支援方法
事例検討会 ・他の支援者と事例を共有 ・多様な視点や支援方法を学ぶ
ペアレント・プログラムは、発達障がいのある子どもの保護者支援のためのグループプログラムです。
この研修では、保護者が子どもにできる様々な支援を学べると同時に保護者同士の交流もできます。
その他にも発達障害支援センターで受けられるセミナーやスキルトレーニングなど、様々な支援者向けプログラムがあり、効果的な支援を提供できるようにサポートしています。
成功事例と体験談
発達障害情報・支援センターが報告している発達障がい者支援の成功事例を紹介します。
コミュニケーションの改善と就労の成功例:Aさん
年齢:23歳
性別:男性
背景:自閉スペクトラム症の診断を受けており、コミュニケーションの困難さから就職活動に苦戦していた。
発達障害者支援センターの支援を受け、以下の取り組みを行った。
- ソーシャルスキルトレーニングへの参加
↳発達障害者支援センターが主催するソーシャルスキルトレーニングに参加し、基本的なコミュニケーションスキルを学んだ。 - 就労移行支援事業所の利用
↳センターの紹介で就労移行支援事業所を利用し、職場でのコミュニケーションや業務スキルを習得した。 - 職場実習
↳センターが協力企業を紹介し、Aさんの特性に合った職場での実習を行った。 - 就職後の定着支援
↳就職後も定期的にセンターのジョブコーチが職場を訪問し、Aさんと雇用主の双方をサポートした。
これらの支援を通じて、Aさんは自身の特性を理解し適切なコミュニケーション方法を身につけ、結果ITエンジニアとして就職し、2年以上安定して勤務を続けられた。
職場では、Aさんの細部への注意力が高く評価されており、重要なプロジェクトにも参加していた。
※出典:東京都福祉局 発達障害
この事例から、適切な支援と本人の努力により、発達障がいのある人も自身の強みを活かして社会で活躍できることがわかります。
発達障害者支援センターのような専門機関と連携し、段階的なサポートを受けることで、困難な状況でも成功につなげることが可能です。
地域ごとの支援サポート
発達障がい者が身近な支援を受けるためには、地域ごとの支援サポートも欠かせません。
地域で取り組まれている、具体的な支援サポート事業は以下の通りです。
支援事業 特徴 主な取り組み 巡回支援専門員整備事業 (市町村)
発達障がいに関する知識を持つ専門員が、保育所や放課後児童クラブなどを巡回し、早期発見・早期対応のための支援を行う ・施設職員や保護者へのアドバイス ・障がいのある子どもとその過程への継続的な支援
・戸別訪問の実施(必要に応じて)
発達障害児者および家族等支援事業 (都道府県、市町村)
発達障がい者とその家族に対するピアサポート(※)や、スキル向上支援を行う ※ピアサポートとは…同じような立場にいる人によるサポートのこと
・ペアレントメンター養成と活動支援 ・ペアレントプログラムの実施
・ピアサポートの場の提供
・青年期の発達障がい者向けワークショップ
・ソーシャルスキルトレーニングの実施
かかりつけ医等発達障害対応力向上研修事業 地域の医療従事者の発達障がいへの対応力を向上させることを目的としている ・都道府県や指定都市による研修 ・医療従事者向けの対応力向上研修や講師育成
・地域のかかりつけ医等への研修
発達障害診断待機解消事業の創設 (都道府県、指定都市)
障がいの診断待機時間を短縮し、早期支援につなげることを目的としている ・地域の児童発達支援センター等との連携強化 ・発達障がいの診療・支援ができる医師の養成
・専門的医療機関のネットワーク構築
家庭・教育・福祉連携推進事業 (市町村)
発達障がいのある子どもとその家族の地域生活向上を目指し、関係機関の連携を強化 ・「地域連携推進マネジャー」の配置 ・教育委員会、福祉部局、学校、障害児通所支援事業所の連携強化
・合同研修の実施による障害福祉制度の周知
・保護者支援のための相談窓口整理とハンドブック作成
これらの支援サポート事業は、地域の実情に応じて柔軟に実施されています。
各事業が連携することで、発達障がい者とその家族に身近な支援体制が構築されつつあります。
発達障がいに関するよくある質問
発達障がいに関するよくある質問を紹介します。
- Q1:発達障がいかもしれないと感じたらどこに相談すればいい?
- Q2:支援制度への申し込み方法は?
発達障がいに関しては、多くの障がい者の方やその家族の方が疑問や不安を抱えています。
これらの情報を通じて、発達障がいに関する理解を深め、適切な支援につながるきっかけになるよう、チェックしてみてください。
Q1:発達障がいかもしれないと感じたらどこに相談すればいい?
発達障がいの可能性を感じたときは、以下の相談窓口や医療機関の利用がおすすめです。
- 発達障害者支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 相談支援事業所
- 心療内科
発達障害者支援センターは、全国の都道府県・政令指定都市に設置されており、発達障がいに関する総合的な相談や支援を行っています。障害者就業・生活支援センターでは、就労に関する相談や支援を行っているため、発達障がいのある方の就職や職場定着のサポートを受けることが可能です。
地域の福祉サービスの利用に関する相談や個別の支援計画の作成などは、相談支援事業所でも問い合わせできます。発達障がいの診断を受けるには、心療内科を受診することが推奨されているため、「家族がそうかも…」と感じたら診断を受けてみてください。
これらの相談窓口や医療機関は、発達障がいに関する専門的な知識を持っており、個々の状況に応じた適切なアドバイスや支援を提供してくれます。
まずは電話やメールで相談の予約を取り、自分の状況や悩みを伝えてみましょう。
Q2:支援制度への申し込み方法は?
発達障がいのある方が利用できる主な支援制度と、その申し込み方法について説明します。
申し込みが可能な主な支援制度は、以下の通りです。
- 障害福祉サービス
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 精神障害者保健福祉手帳
- 就労支援サービス
これらの支援制度は、地域(市区町村)の障害福祉課や福祉事務所・ハローワーク(※)で申し込みできます。
※就労支援サービスの場合申し込みの際は、以下の手順で行いましょう。
- 相談:最寄りの市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に相談する
- 診断書の取得:医療機関で診断を受け、必要書類を入手する
- 申請:必要書類を揃えて、申請窓口に提出する
- 審査:提出した書類をもとに、支援の必要性が審査される
- 決定通知:審査結果と利用可能なサービスの通知を受け取る
- サービス利用開始:決定された支援サービスの利用を開始する
発達障がいの支援制度への申し込みは、申請から決定通知までにある程度時間がかかる場合があります。
また、発達障がい者の方の状況に応じて適宜サービスの見直しや更新手続きが必要になることもあるでしょう。一見複雑に感じるかもしれませんが、相談支援事業所や市区町村の窓口で丁寧に説明してもらえるため、不安があれば遠慮なく相談するのがおすすめです。
発達障がい者支援の課題と今後の展望
発達障がい者支援には以下のような様々な課題があり、今後も継続して解決していく必要があります。
- ライフステージに対応した支援と一貫した支援
- 身近な相談支援体制
- 就労支援
現在は発達障害者支援法の施行により多くの支援が提供されるようになりましたが、就学時などライフステージが移行する際に支援が途切れてしまうこともあります。
子どもの発達障がいは、年齢や発達段階によって診断が難しく乳幼児期の支援はまだまだ不足しているのが現状です。また就労支援に関しても一般就労を希望する発達障がい者への支援が不十分であることや、企業の理解も不足していると言えるでしょう。
適切な支援を提供するためには、以下のような展望での取り組みが必要です。
課題 展望 ライフステージに対応した支援と 一貫した支援
・「支援ファイル」や「移行支援シート」の活用を促進する ・ペアレントトレーニングなどを充実させる
身近な相談支援体制 ・地域の相談支援事業所との連携を強化する ・相談支援従事者に対する発達障害専門研修を実施する
就労支援 ・高校や大学でのキャリア教育を充実させる ・企業に対する啓発活動を行う
これらの課題に取り組むことで、発達障がいのある方一人ひとりが自立し、その個性と能力を最大限に発揮できる社会が実現できるようになるでしょう。
そのためには、行政・医療・教育・福祉・労働などの機関が連携し、社会全体で発達障がいへの理解を深めていくことが不可欠です。
その“当たり前”実は
公明党が頑張りました!
政党って何してるの?と思う
あなたに知ってほしい、私たちの実績。