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日本のパートナーシップ制度と結婚の違いやメリットを解説!導入している自治体もご紹介

みなさんはパートナーシップ制度というものをご存知ですか?日本では同性婚が、国の制度として導入されておらず、結婚は男性と女性の異性カップルによって行われるものという考えが根強くあります。
しかし昨今、LGBTQという言葉が一般的に知られるようになり、多様性を受け入れ偏見のない社会を目指す流れの中で異性間のカップルと同様、法的な婚姻を認めるべきだという考えが広まってきています。このような考えを受けて、近年は同性同士のカップルを対象とした「パートナーシップ制度」というものを導入する自治体が増えてきました。

そのため本記事では、
・パートナーシップ制度とは
・結婚とパートナーシップ制度の違い
・パートナーシップ制度を活用するメリット/デメリット
・パートナーシップ制度の利用方法
をご紹介し、パートナーシップ制度について詳しく知りたいという方や活用を考えている方のお役に立てればと思います。

パートナーシップ制度は結婚が認められない同性カップルの権利を尊重する制度

そもそもパートナーシップ制度とはどういう制度なのでしょうか。通常、結婚し配偶者としての地位を認められると得られる権利がいくつかあります。
例えば、
・財産の相続が可能になる
・公営住宅への同居が可能になる
・扶養手当を受けられるようになる
・企業から家族を対象にしたサービスが受けられるようになる
など、さまざまな分野で権利範囲が変わってきます。

同性カップルは現状このような権利を得ることができないため、不平等ではないかという声が多く上がっています。パートナーシップ制度は、同性カップルの婚姻が法的に認められていない日本において、全国の自治体が独自にLGBTQカップルに対して結婚に相当する関係であるという証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。

日本におけるパートナーシップ制度

2015年、東京都渋谷区議会が初めて「結婚に相当する関係」として渋谷区パートナーシップ証明書を発行する条例を制定しました。(同時期に世田谷区も同性パートナーシップ宣誓を開始しています。)これに続いて全国の自治体で、パートナーシップ制度を導入する動きが広がり、 2021年6月には導入した自治体が100を超えました。制度内容は申請条件含めて自治体によって異なります。制度の対象はほとんどが同性カップルですが、中には性同一性障害のある方の存在も考慮している自治体もあり、異性カップルで利用できる自治体もあるなど独自性を持っていることもこの制度の特徴です。

 

外国におけるパートナーシップ制度

一方で海外では同性カップルに対してどのような制度があるのでしょうか。
世界には婚姻に相当する関係として同性婚が法的に認められている国もありますし、日本と同様に同性婚が認められておらず、代替的な役割としてパートナーシップ制度を各自治体で導入している国もあります。中には同性婚が認められた上で、手続きをしなくても、婚姻関係と同等であると認められる「事実婚」という関係性を法的に認めるための役割としてパートナーシップ制度を導入している国もあります。

 

同性婚が認められている国・地域一覧

同性婚が認められている国・地域は2022年10月時点で以下の通りです。
オランダ,ベルギー,スペイン,カナダ,南アフリカ,ノルウェー,スウェーデン,ポルトガルアイスランド,アルゼンチン,デンマーク,ブラジル,フランス,ウルグアイ,ニュージーランド,英国,ルクセンブルク,メキシコ,米国,アイルランド,コロンビア,フィンランド,マルタ,ドイツ,オーストラリア,オーストリア,台湾,エクアドル,コスタリカ,チリ,スイス,スロヴェニア,キューバ

 

パートナーシップ制度が認められている国・地域一覧

日本における「事実婚」と同様に法的な権利を得られる仕組みとしてパートナシップ制度を導入している国もあります。

アンドラ,イスラエル,イタリア,エクアドル,オーストリア,キプロス,ギリシャ,英国,クロアチア,コロンビア,スイス,スロベニア,チェコ,チリ,ハンガリー,フラン,ベネズエラ,メキシコ(一部の州),リヒテンシュタイン,ルクセンブルク,ニュージーランド,オランダ,ベルギー

 

 

パートナーシップ制度と結婚(同性婚)の違い

日本のパートナーシップ制度と同性婚は違います。そのもっとも大きな違いは法的効力を持つか持たないかというものです。同性婚は法的な婚姻関係となるため、「家族」としてさまざまな制度や企業のサービスを受けることが可能になります。一方、パートナーシップ制度は同性婚とは違い、法的な効力を持ちません。「家族」と認められないと、例えばカップルのうちどちらかが亡くなると残されたパートナーが遺産を相続したり、子供の親権者になることはできません。

 

パートナーシップ制度と事実婚の違い

パートナーシップ制度と事実婚の違いも、法的効力を持つか否かという違いがあります。日本において事実婚というと、婚姻届を提出していない状態で、夫婦と同様の関係を有し共同生活を送るカップルの状態を指します。実際に戸籍を入れていることと同等の夫婦関係があると認められれば、婚姻手続きを行っていなくとも、法律婚と同程度の権利が得られる場合もあります。

 

 パートナーシップ制度は利用すべき?メリットとデメリットを紹介

法的効力を持たないパートナーシップ制度ですが、この制度を活用することでできるようになることもあります。ここではパートナーシップ制度のメリットとデメリットを紹介します。

 

パートナーシップ制度のメリット

パートナーシップ制度を活用することで得られるメリットは多くあります。

■パートナーシップ制度のメリット(一例)
・自治体が運営する公営住宅などで家族として同居が認められる
・病院での面会が許される
・住宅ローンが適用されることがある
・保険金の受け取りが可能になる
・家族手当などの福利厚生の適用されることがある
・携帯会社の家族割など、企業の家族向けサービスを一部受けられる

 

パートナーシップ制度のデメリット

一方でパートナーシップ制度を活用するためには制限があります。
活用のデメリットもご紹介します。

■パートナーシップ制度のデメリット(一例)
・パートナーシップ制度のある自治体に住民票をおく必要がある
・パートナーシップの証明書を申請するのに、費用がかかる自治体がある
※渋谷区では公正証書の作成が必要であるため約8万円の費用がかかります
それ以外の自治体では無料で申請が可能
・転居する場合は証明書を自治体へ返還しなくてはならない

 

全国で250箇所以上!パートナーシップ制度を導入している自治体一覧

前述の通り、パートナーシップ制度は自治体が独自に導入している制度です。
そのため、お住まいの自治体に制度が存在するか確かめる必要があります。

札幌市、さいたま市、横浜市、大阪市、福岡市のような人口100万人以上の都市が導入をしています。さらに、市町村だけではなく青森県、秋田県、茨城県、群馬県、栃木県、東京都、三重県、大阪府、福岡県、佐賀県のように都道府県単位で導入している自治体もあります。

一方、佐賀県上峰町や長野県駒ケ根市のように町や村、また、人口が5万人以下の市でも導入している自治体があります。

パートナーシップ制度導入一覧 公益社団法人Marriage For All Japan 調べ 

 

パートナーシップ制度を利用するための手続き

パートナーシップ制度を利用するためには手続きが必要です。
パートナーシップ制度は前述の通り自治体によって内容や申請方法が異なりますが、大きく分けると、以下の2つに分けられます。
「条例型」と「要綱型」です。ここでは代表的な2タイプの概要をお伝えしていきます。

パートナーシップ制度条例型の場合(渋谷区)

代表的なパートナーシップ制度のタイプの1つ目は条例型と呼ばれるものです。
例えば、全国で初めてパートナーシップ制度を導入した渋谷区では、以下のような手続きが定められています。

 

①必要書類の準備

必要書類は2人分の戸籍謄本および公正証書の正本または謄本、本人確認書類のの3つです。公正証書は2種類、「任意後見契約公正証書」と「合意契約公正証書」が必要です。「任意後見」という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。任意後見は、パートナーのどちらか一方がなんらかの理由で判断能力を失った場合、他方のパートナーが後見人としてさまざまな場面で後見人へ同意を求めて被後見人を保護することを指します。また公正証書の作成には、公証役場での手続きや費用が必要になりますので、留意しましょう。

②市役所への申請

上記の必要書類を全てそろえたら、お住まいの市役所の窓口へいき申請をしましょう。渋谷区の場合は、申請するカップル本人2人で揃って申請に出向く必要がありますのでご留意ください。

③申請内容の審査

お住まいの市役所へ申請をしたら、審査が通るまで待ちましょう。渋谷区では、申請から審査完了まで大体3日ほどかかるようです。自治体によって審査期間が異なるようですので窓口で目安を聞いてみてください。

④パートナーシップ証明書の交付

申請内容に問題がなければ、窓口で発行された証明書を受け取り手続きは完了です。自治体によっては、証明書の再発行を行っていない自治体もあるようです。発行された証明書は、大事に保管しておきましょう。

渋谷区パートナーシップ証明 発行の手引きを確認する

 

パートナーシップ制度要綱型の場合(世田谷区)

条例型に比べて要綱型は手続きがシンプルです。

ここでは要綱型のパートナーシップ制度を導入している世田谷区の申し込み方法をみてみましょう。

 

①宣誓の申し込み

宣誓の申し込みは宣誓希望日の3開庁日前までに、指定の連絡先に希望日時を知らせます。

《連絡先》
世田谷区生活文化政策部人権・男女共同参画課
TEL:03-6304-3453 (平日午前8時30分~午後5時)

《予約可能日時》
平日:午前9時~午後4時30分まで
※宣誓には、30分程度かかります
※平日以外でも可能な日程があるため要相談ください

 

②区から宣誓場所や日時の通知

世田谷区の該当窓口に連絡をし宣誓希望日を伝えると、宣誓日時・場所等を記載した通知を区から宣誓希望者に送付されます。

 

③宣誓要件の確認

いよいよ宣誓当日です。世田谷区ではパートナーシップ宣誓を行う場合、当日にパートナーシップにある二人で区役所にいく必要があります。
そして、本人確認書類を提示し、本人確認、年齢確認および住所確認を行ったのち宣誓要件を確認します。

 

④宣誓書の記入

宣誓希望者全員で、宣誓書に自書します。

 

⑤宣誓受領書の交付

自書した宣誓書を提出すると「宣誓書受領証」と「宣誓書の写し(受領印押印)」が交付されます。

公正証書などの作成が必要無く、事前に公証役場で手続きを行う必要がない点は、条例型との大きな違いです。

要綱型の方が手続きが簡易な分、公的効力が若干落ちてしまう傾向があるようです。

世田谷区パートナーシップ証明 発行の手引きを確認する

 

東京都のパートナーシップ宣誓制度は、全国で初めて申請から受理証明書の発行までオンラインによる手続きを導入されたんだヨネ!

 

よく知ってるね。積極的に利用してもらえるように配慮しているんだ!

 

うんうん!これも公明党が長年取り組んできたことの1つなんだヨネ!さらに公明党は、今後、同性婚の法制化に向けて前向きに取り組むと表明しているヨネ。もっともっと誰もが生きやすい社会になるといイネ!

 

 

同性婚が社会的に認められる将来を目指して

同性婚が法的整備されるまでには、まだもう少し時間がかかるかもしれません。ただパートナーシップ制度は多くの自治体で導入されるようになり、同性パートナーにとって日本社会が暮らしやすくなるよう声をあげる人、団体は増えています。
一日でも早く、多様性を受け入れみんなが平等に暮らしていける社会になるよう心から願っています。

みんなの笑顔(えみ)が広がる社会を目指して

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