震災視察報告 岩手県編
5月23日、24日で岩手県の陸前高田市、釜石市、宮古市の各被災地を視察しました。写真は岩手県釜石市の港湾内で4,000トンクラスの船体が津波で打ち上げられ、引き波時に船首の底部が防波堤に引っかかり取り残された状態。三陸沿岸はこれまでにも度々津波の被害を蒙ってきたため防波堤や防潮堤などのハード面と津波がきたらいち早く高台に非難するという避難訓練の徹底などによる高い防災意識によるソフト面がともに地域の防災対策として根付いていました。が、それらを根底から覆した想定外の津波でした。それが最も顕著に見られるのが宮古市・田老地区です。万里の頂上と比喩されるほどの防潮堤に囲まれたこの地区の港は明治には15メートル、昭和では10メートルの大津波の被害にあっています。しかし過去の経験から20メートルの防潮堤を造ることはしませんでした。それは20メートルの防潮堤を造ると、風の通り抜けができなくなり街は異常な湿気に包まれて普通の生活すらできないことがわかり、苦肉の策として最低限の10メートルの防潮堤にしたそうです。完全に防ぐ事はできないが避難時間を稼ぐことができるということでした。この田老地区には「津波てんでんこ」という言い伝えの発祥の地として有名です。「津波てんでんこ」とは津波が来たら家族の事を考えず一刻も早く高台に逃げるという意味です。てんでんこはてんでんばらばらに・・・ということです。親を、または子を探しに戻ってはいけない、自分の命を自分で守り、一家共倒れを防ぐことからきたそうです。自助はこれから重要なテーマのひとつになると痛感しています。この視察を横須賀市の防災対策にしっかりと活かしていく決意です。