【視察報告】深谷市「書かない窓口」
埼玉県深谷市の「書かない窓口」の取り組みを視察してきました。
深谷市では、2020年7月より、住民票や印鑑証明書などの申請書を書かずに申請できる「書かない窓口」を行っています。必要な事項を市民課の窓口職員が聞き取り、データを入力。申請される方は印刷された内容を確認し、署名すれば申請が完了するというものです。
杉並区役所をはじめ多くの役所で、日常行われている通り、深谷市役所でも、これまで申請者は、記載台で必要な申請書を自ら記入する必要がありました。書き方などをアドバイスする案内役を配置していました。現在では、記載台や案内役を廃止し、職員が窓口で住民情報を直接入力し、申請書の作成を支援する手続きとなっています。
従来は、申請者が手書きした書類を審査した後、職員が手入力で証明書を印刷していましたが、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、職員が入力したデータを基に証明書などは自動的に作成できるようになりました。入力内容は住民基本台帳システムと連携しており、住民の転出入時に職員が情報を入力する手間が省けます。
同市では、新サービス開始の2年前から、BPR(既存の組織や制度を抜本的に見直し、業務フローや管理体制、情報システムをデザインしなおす手法のこと)による窓口業務の現状分析と自動化に向けての課題整理や改善策の検討を進めてきました。翌年5月には、庁内にワーキンググループを発足し、仕様の検討を行い、要求する機能に対応できる6社の中から、北見市で先行実施をしていたシステムの導入を決定したという経緯があります。ツール(システム)ありきでの調達先行ではなく、1年以上かけてBPRに取り組んできたことが特徴的です。
効果としては、手続きに係る職員の数を4人から2人に削減し、所要時間も証明書の発行に平均9分、住民異動に平均25分削減出来ています(下図参照)。人件費が全体で約2300万円/年削減され、初期投資が約2年で回収できていることになります。
<深谷市資料より>
市民からも、「これは優しいサービス」「役所の手続きって書き物が多くて嫌になっちゃうから有難いね」等の声が寄せられ、大変好評を博しています。
杉並区においても、こうしたシステムの導入をしっかりと推進していきたいと思います。