旧統一教会問題に対する法律が制定
12月10日、旧統一教会をめぐる問題を踏まえた”法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律(被害防止・救済法)”が、共産党とれいわを除く与野党の賛成多数で、可決・成立しました。
異例の土曜審議と5日間の審議期間というスピードで、この法律が成立しました。与野党関係なく、真摯な協議を積み重ねた結果であると思います。
今回の法律制定に際して、週刊誌など一部メディアで「公明党が新法を骨抜きにした」との批判が見受けられます。「骨抜き」となったという理由として、法案の与野党協議において、野党が要求していた「寄付額上限の規制」や、「マインドコントロール下の高額寄付禁止」などが、この法律に組み込まれなかったことを挙げています。しかし、公明党は、もしこれらの野党の提案が取り入れられれば、憲法に抵触する恐れがある、健全な寄付勧誘に深刻な支障を来す恐れがある、逆に被害がさらに拡大する恐れがある、ことなどに対する危険性を危惧したのです。
法律の概要は、以下の通りです。
1 .寄付の勧誘を行うに当たっての「禁止行為」と「配慮義務」を規定
法人等による寄付の不当な勧誘の防止のための新法の概要
(1)不当な寄付の勧誘行為として6つ「禁止行為」を明確に規定
①不退去、②退去妨害、③勧誘をすることを告げず退去困難な場所へ同行、④威迫する言動を交え相談の連絡を妨害、⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知、⑥霊感等による知見を用いた告知(不安を抱いていることに乗じて行うなど)
⇒ これら禁止行為の勧誘で困惑した寄付者は、寄付を取り消すことができる。※取消権の行使期間は、寄付をしてから5年間可能(上記⑥の場合は10年間)
(2)寄付のために借入れや住宅の売却などを要求することを禁止
寄付のために、借入れや居住用の建物等の売却、生活上欠くことのできない田畑や工場など事業用資産の処分等によって資金調達を要求することを禁止
⇒ (1)(2)に違反した場合、法人に対し勧告・命令などの行政措置、命令に違反すれば罰則
(3)寄付の勧誘を行うに当たっての3つの「配慮義務」を規定
①自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする
②寄付者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
③勧誘する法人等を明らかにし、寄付される財産の使途を誤認させるおそれがないようにする
⇒配慮義務を守らず、裁判で不法行為が認められた場合等は、勧告や公表等の行政措置
2 .子どもや配偶者など家族の救済
(1)子どもや配偶者が将来受け取るべき養育費などの範囲内であれば、寄付を取り戻すことができる(過去分は現行法でも可能)
(2)法テラスや関係機関等の連携強化による相談体制の整備等の必要な支援に努める
3.その他
◆信教の自由や政治活動の自由など法律の運用上の配慮規定を明記
◆法律の施行後2年の見直し規定を明記
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その上で、法案が検討されてきた過程のなかで、公明党が「骨抜きにした」とされる野党案(赤字)の内容は、以下の通りです。
【野党案①】寄付の上限を「年収の○割」等として規制するべき
(問題点)個人の年収が把握されることになり、相手側に逆に悪用され、さらなる被害が生じることが懸念されます。
(公明党の主張&修正)寄付のために借入れすることや住んでいる建物等の売却などを団体が要求することを禁止しました。
※ また「〇割」ではなく、寄付の上限「金額」を設定することについては、例えば「2000万円」という金額も、ビル・ゲイツ氏のような大富豪の方と、平均的な所得の方とは相対的な金額の価値観が異なります。一律の金額設定には無理があります。
【野党案②】マインドコントロール下の寄付勧誘を禁止するべき
(問題点)マインドコントロールを明確に定義づけることが困難。また裁判所が、当該の人がマインドコントロール下にあったかどうかを判断することも困難です。
(公明党の主張&修正)「自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状況」に陥ることがないよう、「配慮義務」を規定しました。これにより、裁判での民法上の不法行為の認定や損害賠償請求がしやすくなります。
【野党案③】 上の(3)は、「配慮義務」ではなく「禁止行為」にするべき
(問題点)これらは、結果の状態を示したものであり、そこに至る際にどのような行為をしてはいけないかが明確になっていません。そのため、これを禁止行為とすると、他の健全な寄付勧誘に不当な萎縮効果を及ぼしたり、行政の権限濫用の危険性があります。従って「配慮するべき義務」としました。
これら①②③の野党案を法律に組み入れることによる他の行為への悪影響が懸念されるため公明党は反対し、立法府として冷静に、合理的な考えに基づき修正を行ったのです。

