一般質問をしました。
11月16日から、杉並区議会第4回定例会が開催されています。今年最後の定例区議会です。
2日目の本日、一般質問をいたしました。11月17日は、公明党の創立の日です。
テーマは、防災についてです。

長文になりますが、以下質問全文掲載します。
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杉並区議会公明党の中村康弘です。通告に従い、防災について質問を行います。
「地域の防災対応力の強化」、「区民の防災意識」の向上。総合計画で掲げられている目標です。
その施策指標は、区民意向調査による「災害時に備えて家庭内での対策を行っている区民の割合」とされ、令和2年度の91.3%から、6年度に98%、9年度に100%に引き上げる計画としています。既に、9割以上の人が何らかの備えを行なっているという、高い防災意識が示されています。
【1】 区民意向調査での推移は、平成29年度まで下降傾向にありましたが、同年の83.9%以降は、87.4%、89.6%、91.3%、そして昨年度は91.6%と着実に上昇しています。区はこの数値の背景についてどのように分析しているのでしょうか。令和6年度に98%という目標には、今後、取組を大きく強化するか、より効果的な方策を実施するなど、さらなる対策が必要になると思われますが、所見を伺います。
川の土手の桜の話を紹介したいと思います。全国各地で見られる川沿いの桜並木は、江戸時代に「水害対策」を目的に整備された「桜堤」の名残でもあります。川の土手に多くの人が花見に訪れ、地面が踏み固められることにより堤防が頑丈になり、さらには危険な個所や補修を必要とする箇所が発見されやすくなることも計算に入れていたとされています。花見客は、桜を楽しみながら、無意識のうちに土手の決壊防止に貢献していたのです。
いま、「フェーズフリー防災」という考えが注目を集めています。これは、桜堤のように、「平常時」と「非常時」という2つのフェーズをフリーにする、取り除くことで、自然の内に防災の行動へと向かわせることを意図した災害対策です。東洋大学大学院の岩岡博徳教授は、防災意識を、災害の悲劇や被害の周知を通して個人の意識に頼る対症療法ではなく、「人は日常時には非常時を十分に想像することはできない」という前提に立つのが、フェーズフリーであると説明しています。
この考えは、既に様々な製品やサービスに展開されており、一般社団法人フェーズフリー協会がフェーズフリーアワードとして、コンセプトに合致し優れた製品・サービスを選定、表彰し、普及に努めています。
例えば、私の手首に着けているのは、 ウェアラブルメモといい、フェーズフリーアワードを受賞しました。リストバンド型のメモで、素材にシリコンを使っているため耐久性に優れ、水に濡れてもボールペンで書いた文字が消えません。逆に、指で強くこすると消せるので何度でも使用することができます。災害時、避難時、あるいは日常で何らかの紙が使いづらい状況下でもメモを取ることができます。付け外しも簡単です。
また、アワードには止水機能を有したガーデンチェアも選ばれています。止水設備としては、土のうがありますが、水害の時にしか用がなく、むしろ日常は、景観を損ない置き場所にも苦労します。止水チェアは、日常時にはイス、テーブル、傘立てとして使え、実用的なエントランスファニチャーであり、水害発生時には土のうの役割を担います。
他にも、6リットルのバケツになる超撥水性のショルダーバッグ、懐中電灯になるデスクライト、目盛り付きデザイン紙コップなど、多くのフェーズフリー製品が商品化されています。
現在、区が行なっている防災用品のあっせんでは、消火器や災害時トイレセット、エマージェンシーブランケット、非常持出袋、保存食・非常食等、多岐にわたりリスト化されていますが、普段はしまわれているものがほとんどです。また、区では、在宅避難に備えてローリングストックなど普段となるべく変わらない生活ができる備蓄についても呼びかけてはいますが、日常使わないものに、お金や手間をかけることに躊躇してしまう方も少なくないのではないでしょうか。
【2】 そうした意味からも、フェーズフリー防災は、防災意識の裾野を広げていくアプローチとして一定の意義があると考えますが、所見を伺います。
豊島区の「としまみどりの防災公園(イケ・サンパーク)」もアワードを受賞しました。この公園は、区内最大の芝生広場であり、利用者の憩いの場やファーマーズマーケットなど多彩なイベント空間として賑わいをもたらしています。災害時には地域住民や帰宅困難者の一時避難場所となり、その後は救援物資の集積・集配所として機能することが計画されています。広場の中央には、ヘリポートが整備され、大型トラックによる救援物資の搬入や重症患者の搬送等を可能とするため、園路には耐圧路盤が整備されています。木造住宅密集地域に面した側には防火樹林帯が配置され、飲料用応急給水槽や防災井戸、非常用発電設備、非常用トイレ、防災倉庫が整備されています。地域の賑わいと防災機能のフェーズフリーの空間を実現させたことが受賞理由です。
【3】 本区の区立公園では、桃井原っぱ公園、井草森公園、蚕糸の森公園、柏の宮公園が、災害時の広域避難場所に指定されており、防災機能が備わっています。改めて、これらの公園の防災機能の概要についてお示し下さい。また、それ以外で、防災機能がある公園はどこか、それぞれの特徴と併せてお示し下さい。さらには、区内には350もの公園がありますが、その規模や立地等は多様です。被災時には、各地域におけるニーズや局面も随時変化しますが、より効果的な公園の防災機能の配備を検討していただきたいと思います。区立公園の防災機能について、区はどのような考えなのか、伺います。
フェーズフリーを学校での防災教育に活用している事例もあります。徳島県鳴門市教育委員会では、フェーズフリーの考え方を防災教育に取り入れたガイドブックを作成しています。毎日の学校生活において、子どもたちが災害をより身近なもの、生活に即したものとして学び、災害対応力を高めることを目指しています。
ガイドブックには、具体的な実践事例が紹介されています。例えば小学5年生の算数の授業では、秒速10メートルの津波の速度と、自分の50メートル走のタイムを比較しながら速さの計算を学び、「全速力で走っても津波には追いつかれてしまう」ことを知ります。同じく算数の「同じ数ずつ」では、避難所での食料の分配や東日本大震災の時のエピソードを紹介した発展問題を学習します。また、中学の保健・体育では、被災時や避難所生活等での心情を想像することを通して、心の不安定さへの学びを深めています。
鳴門市教育委員会は、防災を「特別」なこととせず、子どもたちの学力向上と生きぬく力、主体的に防災に対する姿勢を育成していくとしています。
【4】 本区の区立学校における防災教育のコンセプトと実施状況について、確認します。【5】 また、鳴門市のように日常の学校生活や学習に則して防災教育を行なっている事例について、区教委の所見を伺います。
ちなみに、今年はNECのスマート街路灯もフェーズフリーアワードを受賞しました。同社のスマート街路灯は、本区においてもIoT街路灯システムとして、実証実験を経て、昨年8月から本格運用されています。区のIoT街路灯は、管理クラウドシステム、カメラ、冠水センサー、そして通信装置で構成され、リアルタイムの河川映像の配信や水防活動に活用されています。この製品は、日常時においても、住民サービスやまちづくり等、有効に活用できる可能性があると思います。今後の展開に期待したいと思います。
次に、被災時の「知識の備え」と生活再建支援について伺います。
熊本地震の際、日本弁護士連合会が行なった12,284件の、被災者の無料法律相談の内容分析によると、不動産の賃貸借の相談が全体の20.3%、工作物責任・相隣関係が15.4%と、住居等の損壊に関連する相談が1位、2位を占め、その他、住宅・車等のローン・リースに関するものが13.7%、公的支援・行政認定等に関するものが12.4%とのことでした。
「自宅が全壊してしまったが、住宅ローンが数千万円残っている」、「借りていたアパートが一部損壊したが、家主による修繕が期待できない」、「家族が亡くなったが、生命保険金などがなく家計が厳しくなってしまった」、「職場が閉鎖され、当面の収入が見込めない」など、私たちの周りで大規模災害が発生した場合、多くの人々が、生活上の重大な危機に直面することが予想されます。
法律相談に応じた弁護士は、絶望の淵から希望をもって生活再建に進むには、必要とされる解決方法や制度について、普段から知っておくことの大切さを訴えています。
例えば、通帳やカードを紛失しても、災害時の「金融上の措置」により預貯金の引き出しが可能であること、家の権利証がなくなっても不動産取引はできること、また、被災ローン減免制度、災害弔慰金、災害援護資金の貸し付け、被災者生活再建支援金、災害時ADR制度など、生活再建に関わる法律や制度は多岐にわたります。
【6】 被災者の生活再建に必要と思われる情報を、例えばQ&A形式にして区の防災関連のホームページに掲載したり、小冊子を発行するなどして、日常から区民が一定のリテラシーを身に付けることが有益と考えますが、区の考えはいかがでしょうか。
続いて、罹災証明書発行の迅速化について伺います。罹災証明書は、「生活再建への第一歩」と言われ、速やかな発行が求められます。
一方で、自治体は、災害時の混乱の中で多くの罹災証明の申請を受け付け、被害認定調査から発行まで一連のプロセスを経ることになります。熊本地震を経験した益城町では、1次調査だけで1カ月以上を要し、職員の経験差によって被害判定に違いが生じたことなどから、2次調査希望のケースは40%を超え、調査終了までに半年以上を費やしたとのことです。
本区では、被災者生活再建支援システムの導入や、行政書士や不動産鑑定士と協定を結ぶなど、迅速な罹災証明書の申請、調査、発行につなげる仕組みを整えてきました。さらなる迅速化に向けてマイナポータルを利用した申請や、民間事業者との協働についても、検討が進められています。
一方、ドローン空撮画像による被災状況の把握や、AIによる画像解析等のデジタル技術の活用などについて、事業者と共同研究を行い、さらなる効率化と迅速化を検討している自治体もあります。
【7】 改めて、本区における罹災証明書の申請・調査・発行の、各プロセスにおける迅速化への取り組み状況を確認します。また、今後は、デジタル技術等の活用も検討していただきたいと考えますが、所見を伺います。
災害時の情報システムの対応、ICT-BCPについて伺います。
東日本大震災では、多くの自治体で、被災により住民情報データの喪失や通信手段の損壊が発生しました。情報システムに関する資源の喪失は、災害時の初動や、復旧・復興段階における対応に大きく影響することから、区ではICT部門における業務継続計画、ICT-BCPを策定しています。
本区のICT-BCPは、「BCP(震災編)」を元に、災害対策本部が行う251業務と、災害時でも優先すべき57の業務の執行を確保するべく、全庁的なICTインフラ資源の運用体制について、対策や方針を定めています。被害想定に基づいて、本庁舎の被害、電力供給、緊急対応要員の参集等について、詳細にシミュレーションを行なった上での計画となっています。
【8】 混乱なくBCPの業務を遂行するためには、保有するデータが安全に確保され、災害時でも正常に運用されなければなりません。区では、住民情報系システムを再構築し、昨年よりクラウドサービスによるデータセンターのオープン系システムを使用していますが、バックアップデータの保存や、災害時のデータセンターの運用体制等はどのように保障されているのでしょうか。また、災害時における情報システム部門の運用体制はどのように規定されているのか、伺います。
【9】 また、住民情報系システムは、国が進めている「地方公共団体情報システムの標準化」に基づき、令和7年度からの運用を目途に、再々構築に向けて調査・検討が進められています。標準化されることにより、災害対策への対応やICT-BCPへの影響はどのように変化することが考えられるのでしょうか。確認します。
区では、デジタル化推進計画(第1次)を本年度より開始し、既存の業務やサービスをICT化、デジタル化へと業務改革していくことを進めています。その中には、AIやRPA等の自動化ツールの導入や、ICT活用による災害情報の収集・発信、デジタル技術を活用した水防情報の提供、地域BWAの促進等、災害時の初動体制に大きく関わるデジタル化も数多く含まれています。災害時にICT環境を確保することの重要性が増していると言えるでしょう。
【10】 現在のICT-BCPの対象範囲は、庁舎内の情報政策課執務室やコンピュータ室内の各種機器やサーバ、各フロアのネットワークや端末機器、ファシリティ関連、周辺機器に限定されていますが、対象範囲については見直す必要があるのではないでしょうか。またデジタル化と連動したICT-BCPの更新や、担当者への訓練等も速やかに行う必要があると考えますが、所見を伺います。
【11】 デジタル化推進計画では、情報セキュリティに何らかの事故等が発生した場合に、状況を調査し、対応を行う体制、Computer Security Incident Response Team, CSIRT(シーサート)についての記述があります。このチームの構成、役割について確認します。自然災害においても、情報セキュリティに絡むインシデントの発生が考えられますが、ICT-BCPにはCSIRTの記述がありません。ICT-BCPとCSIRTとの関係性について、そしてBCPの想定事態下における、このチームの役割について、説明を求めます。
最後に、区財政の災害対策として、基金積立による財政のダムについて伺います。
区がこれまで行なってきたコロナ対策の経験から、非常時の緊急対応に、財政のダムが重要であることが証明されました。【12】 「財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための基本的な考え方」では、阪神淡路大震災で被災した兵庫県西宮市の事例から、災害への備えを150億円と設定しています。これは30年近い前の事例に基づいて算出したものであり、今の時代における物価、社会インフラや行政需要等に対しての実効性が不明です。現在の状況を基準に、再検討するべきではないでしょうか。所見を伺います。
一方で、財政のダムは、あくまでも非常時への備えです。災害等が起きなければ、多額の資金を眠らせているのが実態であり、積み立てることの価値が日常では見えにくいとも言えます。そこで、財政のダムのフェーズフリー化ができないものかと考えます。
財政調整基金の令和2年度末積立残高は408億円、令和3年度末は485億円でした。それぞれの年度における積立基金全体の運用利回り実績は、令和2年度は0.044%、令和3年度は0.063%で、単純にそれぞれの年度末残高をかけると、令和2年度は1800万円程度、令和3年度は3000万円程度となります。現状、運用益は基金に編入され、また運用益5%相当額を次世代育成基金に繰り入れすることになっています。従い、低金利とはいえ、積立を行うことで、実態として財源確保に貢献しています。私は、この事実を、もっと可視化してはどうかと考えます。
【13】 例えば、財政調整基金の運用益相当分について、次世代育成基金へ繰り入れする割合を増やしたり、防災・減災関連の事業を充実させる財源に充当するなど、財政のダムを構築することによる現在の便益が理解、実感できる仕組みです。最後に、この点についての区の所見を伺って、私の質問を終わります。 以上
