バックナンバー 2022年 5月

令和4年第2回定例会が先週金曜日より始まりました。

 

本日、「健康増進について」一般質問をいたしました。

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長くなりますが、以下質問全文を掲載します。

 

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杉並区議会公明党の一員として、健康増進について質問を行います。

昨年、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーが、全国の男女15,000人を対象に行った調査によると、コロナ前と比較して、「健康意識が高まった」と39%の人が回答し最も多く、次いで「病気を予防することが大切だと一層思うようになった」、が34%にのぼりました。
新型コロナウイルスの感染拡大以降2年以上が経過し、人々の健康に対する意識や価値観にも変化が起きていると思われます。
杉並区では、健康長寿の地域社会の実現を目指して、平成26年に杉並区健康づくり推進条例を制定しました。新基本構想でも、「『人生100年時代』を自分らしく健やかに生きることができるまち」と掲げており、健康増進や健康寿命の延伸は、区政の最重要課題の一つであると言えます。
本日は、ウィズコロナ、アフターコロナにあって、将来像を区民と共有しながら、健康増進を大きく広げていただきたいとの思いから、質問をいたします。

まず、65歳健康寿命について伺います。
区では、総合計画の健康・医療分野における主要な成果指標に、東京都保健所長会方式による65歳健康寿命を用いています。これは、65歳の人が、何らかの障害のために日常生活動作が制限されるまで、具体的には要介護2にいたるまで、を健康な状態と定義し、その平均的な年齢を表したものであります。これは、前の総合計画から引き継がれており、約20年間に及ぶ長期的な成果指標です。
前の総合計画では、平成23年度当時の区民の65歳健康寿命、男性82.5歳、女性85.5歳を、10年後の平成33年度、すなわち令和3年度時点でそれぞれ84歳、87歳まで延伸させるとの目標を設定しました。これに対し、公表されている令和2年度のデータでは、83.7歳、86.9歳と、9年間で男性1.2歳、女性1.4歳延伸し、目標達成へあと一歩のところまで来ています。
【1】 前の総合計画における65歳健康寿命の目標は、最終的に達成できたのでしょうか。令和3年度の結果はいかがであったか、この10年間の区の取り組みの総括と併せて伺います。
【2】 65歳健康寿命を公表している他の自治体と比較して、本区は相対的にどのような状況にあるのか、お聞かせ下さい。
【3】 現総合計画では、令和12年度の目標を男性84.4歳、女性88.2歳と設定しました。この値を目標とした根拠について伺います。また、目標達成に向けて、区はどのような推進体制を組み、どのような施策・事業を計画しているのか確認いたします。

近年、Evidence-Based Policy Making(EBPM)と呼ばれる、エビデンスに基づく政策立案のあり方が注目されています。EBPMは、目標に向けた取り組みと、期待する効果との間の論理的な因果関係、すなわち「ロジックモデル」があることが前提となります。風が吹けば、本当に桶屋は儲かるのか。構成するエビデンスの分析と検証、そして、それらの因果関係を正確に把握することが求められます。
【4】 このことは、健康増進策に限ったことではなく、全ての区の施策に通じる考えであると思います。効果の評価や区民への説明責任を果たすための「ロジックモデル」の構築について、区の所見を伺います。

65歳健康寿命は、人の「生存・死亡」や「健康・不健康」に関わる総合的な指標であります。そして、そこには、もとの平均寿命の延び、医療技術の発展や医療資源へのアクセス、感染症などの蔓延状況、人々の健康に対する意識や行動、さらには生活や社会の環境など、複合的な要素が絡み合っていると考えられます。
【5】 65歳健康寿命の延伸について、現状、区はどのようなロジックモデルに基づき、どのようにエビデンスの分析を行い、施策の展開に結びつけているのか、お聞かせ願います。

指標に関しては、国が進める「健康日本21」においても、「健康寿命」が採用されていますが、区の65歳健康寿命とは算出方法が異なります。国の方は、3年ごとに実施する国民生活基礎調査における、健康上の問題で日常生活に影響があるかとの質問に対し、「ない」と答えた回答を「健康」、「ある」と答えた回答を「不健康」と見なし、その回答結果からサリバン法により算出するものです。つまり、個人の主観的健康感に基づいているのが、国の健康寿命です。
それに対して、区の65歳健康寿命は、介護保険の認定結果に基づいており、客観性があります。また、区が保有するデータによるため速報性に優れているという利点もあります。ただ、要介護1以下は「健康」、要介護2以上は「不健康」と機械的に分類することに対しては、個人によって感じ方が異なるとの意見もあり、また、主観的健康感と死亡リスクに相関関係があることを認める研究も多くあります。
この主観的健康感については、本区でも、区政相談課が、区民意向調査で満18歳以上の3000人の区民を対象に毎年、健康推進課が、生活習慣行動調査で満20歳以上の2500人の区民を対象に3年に1度、調査を行っています。前者は85%前後、後者は80%強が健康との回答で、例年推移しています。
【6】 区は、これら主観的健康感についての調査結果をどのように分析し、活用しているのでしょうか。お聞かせ下さい。

健康づくり推進条例では、全ての区民が健康についての関心と必要な知識をもつこと。区民、事業者、関係団体及び区が協働して健康づくりに努めることを謳っています。従い、65歳健康寿命も、広く区民に認識・共有されてこそ意味を成すものと考えます。しかし、私は、その数字の示す意味が、少しわかりづらいのではないかとの印象を持っています。
つまり、国の健康寿命の、令和元年のデータでは、平均寿命との差が、男性で8.7年、女性で12.1年あり、この「不健康な期間」を極力短くするために、健康増進を目指すという意図がわかります。
一方、65歳健康寿命は、平均寿命から引き算をして示されるものではありません。例えば、令和元年の実績では、女性区民の平均寿命が88歳で、65歳健康寿命の86.9歳を、1.1年上回っています。ただ、それは不健康な期間が平均1年程度しかないという意味ではないのです。男性については、平均寿命82.3歳に対し、65歳健康寿命は83.7歳と、健康寿命の方が長くなっています。これらは、どういうことなのか。
【7】 成果指標としての65歳健康寿命は、多くの区民によく理解され、共有されるべきであり、数字の意味や現状値、平均寿命との関係性など、わかりやすく工夫して説明していく必要があると考えます。所見を伺います。

次に、条例に基づく施策指標について伺います。
【8】 健康づくり推進条例では、区長の附属機関である杉並区健康づくり推進協議会の意見を聴いた上で、区の健康づくり推進に関する施策の目標設定及び評価を行うとされています。改めて、同推進協議会の役割、メンバー構成、活動状況について確認します。

その協議会の意見に基づき、区では「身体の健康」、「心の健康」、「歯と口腔の健康」、「健康づくりを支える社会環境」の4つの分野で、45の指標、51の評価項目を設定しました。それらは、令和3年度までを期間としています。がん検診や国保特定検診の受診率、新規人工透析患者数、個人の野菜の摂取量、減塩を心がける者の割合、日常生活における一日当たりの歩数、ヘルシーメニュー推奨店の数など、多岐にわたっています。それぞれのデータの出典も、人口動態調査、生活習慣行動調査、国保レセプトデータ、事業実績や東京都の調査など、多種多様です。
【9】 令和3年度の実績を踏まえて、これらの指標、評価項目の達成状況を確認します。
多岐にわたる指標の中には、実行計画や保健福祉計画、あるいはデータヘルス計画等で、PDCAのプロセスが明確になっているものもあれば、そうしたことが明確ではないものもあります。
【10】 条例に基づくこれらの指標は、区の保健福祉計画の資料編に掲載されているのですが、計画体系の中では、どのような位置付けとなっているのでしょうか。また、どのようなプロセスでPDCAが行われているのか、確認します。
【11】 指標の中には、単に「減らす」とか「増やす」など具体的な数値が示されていないものが全体の約3分の1の、14個あります。「減らす」、「増やす」とは、どの程度のことを指しているのか、もう少し具体性を伴った指標設定が求められるのではないでしょうか。所見を伺います。
【12】 また、これらの指標は、現在見直し作業が行われていると理解しますが、今後のスケジュールを伺います。また、コロナなど、前回から社会環境が大きく異なっており、これまでの見直し作業で検討されてきたポイントをお示し下さい。

続いて、後期高齢者の健康増進について伺います。
いま述べた条例に基づく指標は、特に中年期や前期高齢期における生活習慣病の予防や管理に関するものが多く見られます。国民生活基礎調査によると、要支援または要介護と認定された人の「介護が必要になった主な原因」のうち、「高齢による衰弱」、すなわちフレイルによるものが全体の16.1%を占めています。これは、認知症、脳卒中に次いで3番目です。従い、特に後期高齢者にとっては、フレイル予防が健康寿命の延伸への重要なアプローチとなります。
今さら申し上げるまでもありませんが、フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下して、要介護状態、そして、死亡などの危険が高くなった状態を指します。そして、適切に対応を行えば、予防あるいは一時的にフレイル状態になっても回復できる可逆性があるとされています。
【13】 本区では、平成29年度よりフレイル予防による高齢者の健康づくりを推進してきました。この5年間の取り組みの総括と評価について、所見を伺います。
後期高齢者健康診査は、東京都広域連合からの委託事業として区が行っていますが、受診率が平成28年度の59.2%から令和2年度では50.1%へと、2割近く低下しています。令和2年度はコロナによる受診控えが影響したものと考えられますが、既にコロナ前の令和元年度までの3年間でも受診率は低下傾向を辿っていました。ただし、これは杉並区だけではなく、東京都全体でも同様の傾向にあるようです。区としても、都と連携をとりながら、受診率低下の原因調査と対策に努めていただきたいと思います。

その 後期高齢者健診は、令和2年度以降、制度改正が行われ、フレイルの予防・重症化予防に着目した「フレイル健診」が進められています。受診者は、健康状態、心の健康状態、食習慣、口腔機能、体重変化、運動・転倒、認知機能、喫煙、社会参加、ソーシャルサポートの10類型、15項目の質問に答え、それぞれの回答結果を、「国保データベース」に登録されている健診・医療・介護のデータと照合し、フレイルのリスクがある高齢者の支援につなげるというしくみです。
【14】 フレイル健診による、高齢者の健康状態を支える取り組みについて、本区における事業の概要と今後の事業展開をお聞かせ下さい。

コロナ禍における受診控え、検診控えについて伺います。
杉並区国民健康保険第二期データヘルス計画・中間評価によれば、本区の過去5年間の国保医療費総額は、平成28年度の369億円から、360億円台で推移していたものが、令和2年度には340億円と大きく減少しました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、一般診療の受診控えが起きたことによるものと推察されています。国保の特定健診も、令和2年度は41.2%と、平成20年度以降で最低の受診率でした。
がん検診も同様の傾向にあります。昨年第2回定例会の一般質問にて、区のがん検診の受診状況について確認しましたが、令和2年度の実績では、区民健診の制度変更があった肺がん検診を除いて、子宮頸がん、乳がん、大腸がん、前立腺がんの各がん検診は対前年度比で1割程度低下しました。胃がん検診は、精度管理上の問題から一時期中止となっていたことから、対前年度約4割減でした。減少幅は、日本対がん協会による全国調査での約3割減に比べて小さかったものの、本区においても、令和2年度は全体的にがん検診の受診控えの傾向が見られました。
同協会の新たな調査によると、令和3年は、前年より回復したものの、全国的に依然低い水準が続き、コロナ前には戻っていないとのことです。がん検診受診率の低下は、がんの年齢調整死亡率の悪化に影響します。
【15】 昨年の議会答弁では、区は、検診場所で徹底した感染予防策を施した上で、普及啓発や個別勧奨等、コロナ禍にあっても受診率向上へ取り組むとのことでした。そこで、令和3年度の受診状況はいかがであったか。また、令和4年度の取り組み状況も確認します。
高齢者の社会活動の減少について伺います。
本区の介護保険の通所介護サービスの利用実績によれば、令和2年度は38,148件で、コロナ前の元年度の43,937件から大幅に減少し、過去5年間で最低を記録しました。通所リハビリテーションも同様に過去5年間で最低の件数で、地域密着型の通所サービスの利用も令和2年度は大きく減少しました。その他、長寿応援ポイント事業、ふれあい入浴、高齢者活動センターやゆうゆう館の利用など、高齢者の社会参加に関する各種事業の実績も、令和2年度は軒並み大きく減少しました。
高齢者の外出や人との接触の機会、身体を動かす機会が減ると、心身機能が低下するなど、いわゆる「健康二次被害」が懸念されます。
【16】 改めて、区内高齢者へのコロナによる「健康二次被害」の影響について、区の認識を伺います。

新型コロナウイルスは、100年前の「スペイン風邪」以来の大規模な世界的パンデミックとなりました。本区においても、先週までの累計で、区民人口の1割を超える6万人近い感染が確認されています。加えて、この間の一般診療や各種検診の受診控え、さらには高齢者の社会活動の抑制などもあり、区民の健康は、肉体的にも、精神的にも後退を一部与儀なくされた2年間であったと言わざるを得ないと思います。
【17】 社会活動の正常化は、しばらくはコロナの感染拡大への警戒との両にらみの状況が続くと思われます。しかし、一日も早くこの間のマイナス影響を挽回し、コロナ前よりむしろ大きく前進していけるような、区の健康増進策の拡大を期待いたします。最後に区の決意を伺って質問を終わります。

以上

この度、『杉並区新型コロナウイルス感染症に対する入院・外来医療体制強化事業補助金検証結果報告書』が公表されました。

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2年前、国内で新型コロナウイルスの感染が急激に広がり、杉並区内での医療提供体制が一気にひっ迫した時、区内の基幹4病院に対して区が行った包括補助制度を評価検証した報告書です。

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経緯を申しますと、令和2年2月26日、初めて区内在住の陽性患者が発生し、その後さみだれ式に区内の医療機関が一気にひっ迫しました。当初、コロナ専用病床数は極わずかで、患者の急増により、入院先が見つからないという事態に陥りました。

医療機関としても病床確保や患者の受け入れは、院内感染や風評被害に加え、一般診療も制限せざるを得ず、病院経営に大きなダメージがかかることが予想されました。また、感染防止対策にも多くの経費と人員を要し、コロナ病床を確保することは、病院側にとってはとてつもなく大きなリスクでした。

このままでは、杉並区内の医療提供体制が崩壊しかねない。国や東京都の支援は待っていられない。そうした中、区は「入院・外来医療体制強化事業補助金」という制度を創設し、他に類を見ない規模で補助金交付による区内基幹病院への財政支援を行いました。

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制度の概要としては、予算額22億2900万円(令和2年度一般会計補正予算第1号)、支払額16億3005万円という規模の、区内基幹4病院への補助金です。

補助対象とされたのは、

①令和2年4~6月の診療実績に基づいた入院と外来の診療収益と、過去3年間の同時期(4~6月)の実績の平均額との差額。

②令和2年4~6月のコロナ患者を受け入れるために要した経費を補填するというものです。

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つまり、『 区が全面的に支援するので、心配せずコロナと闘っていただきたい! 』という、医療現場へのメッセージが込められた事業であると私は理解します。

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今回、制度の検証を行い、公表した背景としては、前例のない試みの上、貴重な税金が財源となっていることから、補助制度の妥当性や病院経営に与えた影響、医療提供体制確保の成果等について外部有識者による意見を踏まえて改めて見直すこととしたからです。

検証作業は、東京信用保証協会理事長、全日本病院協会会長、公認会計士、大学教授の、いわゆる分野の専門家によって行われました。

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検証結果は、

◆ 行政の手厚い支援があったからこそ安心して患者の受入れに力を注ぐことができた。

◆ 減収補填の補助金交付は適切な手法であった。

◆ 災害とも言える今般の感染拡大において、区の思い切った決断によって実行したことは、意義のある取組。

◆ 区と医療機関の信頼関係が築れた。

 

など、その正当性や効果等については、高い評価をしていただきました。

 

報告書全文

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さらに言うと、今回のような機動性をもった対策ができたのは、区が健全財政を維持し、”財政のダム” があったからです。

以下、私の過去のブログも参照してみてください。

⇒ 『財政の健全性を維持するしくみ

⇒ 『杉並の医療を守る』、『杉並の医療を守る<続き>

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「中村やすひろ通信」のvol. 34 を発行しました。

内容は、財政の見える化や食品ロスに関する杉並区での取り組み状況などを報告しています。

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vol.34

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