11月16日より本年最後の区議会第4回定例会が開催しています。

 

2日目の11月17日、奇しくも公明党立党の日(53回目)に、「在宅医療・介護連携推進事業」について一般質問を行いました。

長文になりますが、以下質問全文をご報告いたします。

   

***

 

2017-11-17 10.10.43

 

杉並区議会公明党の一員として、在宅医療・介護連携推進事業について、質問を行います。

 

住み慣れた地域で、安心して、自分らしい暮らしを、人生の最期まで続けていくことは、多くの人々の願いであると思います。そのためには、患者そして支える家族を中心として、医療機関と介護事業者などが、連携を密にして、一体的にサービスを提供していくことが望まれます。

 

在宅医療・介護連携推進事業は、平成27年度より、介護保険法の地域支援事業として位置づけられた、全国で展開されている取り組みであります。

本事業では、地域の在宅医療の提供体制の確保について、それぞれの区市町村が主体となって、医師会等と連携をしながら取り組むこととされています。

【1】従来、医療は、専門医療の病床整備が二次医療圏ごとに行われるなど、主に都道府県が担っている分野であります。この度、区市町村が、在宅医療の基盤整備の実施主体とされたことの背景、意義、また区に求められている責務と役割について、ご説明をいただきたいと思います。

 

この事業は、取り組むべき内容として、以下の8つの事業項目が、国より示されています。

1.地域の、医療・介護の資源の把握

2.在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討

3.切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進

4.医療・介護関係者の情報共有の支援

5.在宅医療・介護連携に関する相談支援

6.医療・介護関係者の研修

7.地域住民への普及啓発

8.在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携

であります。平成30年4月までに全ての自治体で、この8項目を実施することが義務づけられています。

本区における実態としては、これらはいずれも、地域包括ケアシステムの多職種連携として、既に一定の取り組みが進められてきているものです。

【2】従い、本事業の推進に対しては、区のこれまでの取り組みとの連続性をふまえた上で、区独自に実施内容の一層の充実を図るという姿勢が基本になると考えます。区の考え、意気込みをお聞かせ下さい。

 

「連携推進」という言葉が抽象的な概念であるため、ともすれば表面的な外形上の状態のみが、評価の対象になってしまい、結果的に事業が形骸化してしまうことが懸念されます。この事業のスタートを切るにあたり、改めて、「何のための連携か」という本来の目的と、そのための手段を明確にした上で、事業の実施状況を見える化し、進行管理を堅実に行うマネジメントの仕組みを構築するべきと考えます。PDCAのマネジメントシステムです。

【3】本事業におけるマネジメントの仕組みについては、どのように考えているのでしょうか。また、その地理的な枠組みは、区全体として考えるのか、地域包括ケアシステムのケア24の地域ごとか、あるいは在宅医療地域ケア会議を開催している7つの圏域ごとなのか。区の考えをお聞かせ下さい。

 

PDCAサイクルのPlan、すなわち計画化は、「現状の把握」「課題の抽出」「目指す理想像の検討」「それに伴う取組内容の検討」、そして、それらを管理する「指標の設定」といったプロセスを通して進められます。

8つの事業項目のうちの、1番目の「地域の、医療・介護の資源の把握」と、2番目の「在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討」については、Planの過程における取り組みにあたります。

「現状の把握」は、PDCAサイクルの起点となり、それは、情報を定量的及び定性的に把握するものであります。

定量的な現状把握については、区では国保・後期高齢者医療・介護保険のレセプト等のデータを収集して、「在宅医療需要・供給等の分析」を、大学の研究機関と協力しながら進めています。来年3月までに一定の分析結果が明らかになる予定であり、貴重な基礎資料になることが期待されます。

【4】この分析作業の進捗状況について、また、どういった視点から分析を行うのかについて、改めてご説明をいただきたいと思います。さらには、こうした方法を採用するに至った区のねらいについてもお聞かせ下さい。

 

一方の、定性的な現状把握とは、地域の方々や関係者が普段感じている課題といった、数値では現れづらい、いわゆる質的な情報を把握することです。区では現在、「在宅医療相談調整窓口」に寄せられている相談内容の分析を行っていますが、その分析を通して、質的情報の把握に努めていると理解します。

【5】この分析は、具体的にはどのようは方法で行っているのでしょうか。そして、現段階における特徴、傾向性等、どのようなことが浮かび上がってきているのでしょうか。お示し下さい。

 

【6】また、量的、そして質的な調査は、一過性ではなく、定点観測をすることにより時系列でも評価することが可能になり、より意味をなすものと考えます。区の所見を伺います。

 

把握した現状を基に、課題を抽出し、理想とする在宅医療・介護連携のあり方や、理想と現実のギャップを埋めるための取り組み、さらには優先順位などについての検討を行います。

在宅医療推進連絡協議会、及び在宅医療地域ケア会議が、この一連の検討作業を行う場であると理解します。在宅医療推進連絡協議会は、平成23年度から年3回、在宅医療地域ケア会議は27年度から区全体で年1回もしくは2回、7つの圏域毎で年3回開催されています。

これらの場に、先の現状把握に関する量的・質的のデータが、新たに示されることで、検討内容が、より具体的になり、充実していくことが期待されます。

そして、さらに、それぞれの会議の過程を通して浮かび上がった課題認識や提案等を、区の所管部署も、等しく共有し、必要な施策の展開へと繋がる、一気通貫した体制を整えることで、会議運営の実効性が増すものと考えます。

【7】在宅医療推進連絡協議会、及び在宅医療地域ケア会議の実効性の向上に向けて、区はこれまで、運営体制について、どのような工夫を行ってきたのか、お聞かせ下さい。

 

こうした過程を経て、次に「指標の設定」が行われることになります。指標の設定が合理的で、明確でなければ、事業執行のCheck(評価)、すなわち施策の妥当性や改善の必要性などを判断することが適切に行えなくなります。従い、指標は、PDCAサイクルの軸の役割を担っていると言えます。

 

保健医療の分野における指標の種類としては、サービスを提供する物的・人的資源および組織体制を測る「ストラクチャー指標」、サービスを提供する主体の活動や、他の機関との連携体制を測る「プロセス指標」、サービスの結果を測る「アウトカム指標」の3つがあるとされています。これらは、評価すべき内容や目的に応じて、適切に組み合わされることになります。

【8】指標の設定について、区の考えをお聞かせ下さい。

 

こうしてPlan(計画化)された後の、Do(実行)の過程に関しては、残り6つの事業項目が関係します。この後、それぞれの項目に沿って質問してまいります。

 

「3.切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」について伺います。安心・安全の在宅での療養生活には、時間的に切れ目がなく、急変時にも夜間・休日を含めた対応ができる医療体制が求められます。

これには「主治医と訪問看護ステーションによる連携体制」や「患者・利用者の急変時の診療医療機関の確保」、さらには「主治医・副主治医制の導入」などの様々な工夫、そして関係者の協力が必要です。

【9】区は、どのように、切れ目のない体制を構築していくお考えか、現状認識と合わせてお聞かせ下さい。

 

次の「4.医療・介護関係者の情報共有の支援」については、情報共有ツールとしての、ICT機器の活用が、カギになると考えます。この項目については、ICT及び情報システムの活用として、後ほど質問をいたします。

 

「5.在宅医療・介護連携に関する相談支援」について伺います。来年度より運営が開始する「在宅医療・生活支援センター」が、この中心的な役割を担うことになります。

区では「在宅医療相談調整窓口」を平成23年度に開設し、本年度からは所管を高齢者部門から保健所へと移しています。センターは、この機能を引き継ぎ、発展させていくことになります。先に述べた通り、これまで培(つちか)ってきた在宅医療相談調整窓口での経験を十分に活用していくことが大切です。

本年第2回定例会の一般質問において、在宅医療・生活支援センターの体制に関して質問した際は、主に「高度困難な事例への対応」について伺いました。

【10】同センターが有するもう一つの主要な機能が、「地域の在宅医療の推進」であります。その推進体制や活動方針等についてご説明下さい。開設まで既に半年を切っていますので、できる限り具体的な青写真をお示しいただきたいと思います。

 

ちなみに、この度、天沼3丁目の複合施設の愛称が「ウェルファーム杉並」と決まりました。この愛称には、「誰もが気軽に利用できる」というコンセプトが含まれているとのことですが、「気軽さ」とともに、「心強さ」も区民に感じていただける施設になることを期待したいと思います。

 

続いて、「6.医療・介護関係者の研修」について伺います。歯科医師、薬剤師、ケアマネ、リハビリの専門職等が、実際の在宅医療の現場を同時に訪問し、その場で互いの方針について理解を深め合う同行訪問研修などは、研修効果が高いとされています。

また、十分な在宅医療資源の確保のためにも、在宅医の育成を目的とした研修も必要であると考えられます。

【11】医療・介護関係者に対する研修について、本区で実施してきた実績および今後の計画をお聞かせ下さい。

 

「7.地域住民への普及啓発」について伺います。私は、本年2月に区が開催した「在宅医療推進フォーラム」に参加しました。訪問看護の第一人者である白十字訪問看護ステーションの秋山正子氏による基調講演、また退院調整を行う看護師、かかりつけ医、薬局薬剤師等から在宅医療のケースレポートがあり、さらには、実際に自宅で看取りをされた家族へのインタビューも紹介されました。全ての話が充実したもので、大変勉強になるフォーラムでした。多くの区民が参加し、質疑応答も活発に行われ、関心の高さが伺えました。

最近では各種メディアでも、「終活」「ターミナルケア」「看取り」といった言葉を見聞きする機会が増えているように感じます。それ故、本事業についての情報も、今後ますます多くの区民から、関心をもって受け入れられてくるものと考えます。

【12】時代や社会情勢とともに、在宅医療に対する区民の意識や要望は変化していくものと思います。区としても、それを敏感にとらえ、的確に応えていくためにも、普及啓発にとどまらず、双方向あるいは多方向のコミュニケーションの充実が望まれます。区の所見を伺います。

 

8番目の「在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」について伺います。本区が所属する区西部二次医療圏においては、急性期対応の専門的な機能を担う大規模な病院は、ほとんどが区外に位置し、特に高度な救命救急センターや、がん診療連携拠点病院は、区内には存在していません。また、介護老人保健施設に関しては、東京都内で現在196施設、2万1千人強の定員があるのに対し、本区内には、わずか4施設、400人強の定員しかありません。

こうした実態からも、他の自治体に存在する医療機関等との広域的な医療・介護連携の取り組みも必要となり、必然的に他の自治体との連携も求められることになります。

【13】この点については、東京都や東京都医師会等と密接に連携し、広域的な体制の整備に取り組むことが効果的と考えられます。区の取り組み状況、及び協力体制についてお聞かせ下さい。

 

最後に、情報システム・ICTの活用について伺います。政策形成において科学的な根拠となるエビデンスを活用し、効果的・効率的な政策運営を目指す、エビデンス・ベースド・ポリシーメイキング(EBPM)という手法が、注目されています。本区でも進めている、レセプトなどのビッグデータを活用した、先ほどの「在宅医療需要・供給等の分析」や、第2期の策定中である「データヘルス計画」などは、その一環です。

区の情報化基本方針においても、「今後、区の保有する様々な情報について組織間・職員間での共有を更に進めていくとともに、情報を分析・評価する手法を工夫することにより新たな情報の価値を創造し、区民のニーズに、より的確に応えられるように」するとの考えが示されています。

IoT等の技術革新により、あらゆる「モノ」や「コト」がデータ化・情報化され、EBPMの可能性が大きく広がりゆく時代にあって、在宅医療・介護の連携推進においても、情報システム・ICTの有効活用は必要不可欠な要素であります。またICTは、関係者間の情報共有・コミュニケーションにおける重要な連携支援ツールとしても、位置付けられると考えます。

ただし、利用するシステムの種類や機器によって共有する情報項目の取り扱う範囲が異なっていたり、共有情報の表示形式やデータ様式がバラバラで互換性がなければ、全く使い勝手の悪い、意味のないものになってしまいます。必要なデータを有効的に活用し、共有することを可能にする共通基盤、プラットフォームの整備が求められます。

福岡市では、医療・介護に関するビッグデータの分析と、医療・介護事業者間の情報共有などを実現する「福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム」の構築を進めており、本年度以降に本格運用を開始する予定であると聞いています。

これは、市が保有する医療・介護関連の各種データを集約する「データ集約システム」、分析を行い医療・介護に関する地域ニーズや課題を見える化する「データ分析システム」、要介護者に関する情報を家族や医療、介護事業者などが共有できる「在宅連携支援システム」、市内の医療・介護・生活支援に関する最新情報をWEBサイト上で提供する「情報提供システム」で構成されるとのことです。

現在、国においても、全ての電子レセプト等のデータを蓄積した、ナショナルデータベースのオープン化や、地域包括ケア「見える化」システムなど、全国規模のシステム環境の整備が進められています。本区においては、こうした動向に沿った上での、全体最適の視点や、費用対効果、使いやすさ等もよく勘案する必要があるでしょう。

一方で、信頼性の高い連携を実現するため、個人情報の適正な管理を確保すること、適正な情報セキュリティレベルを確保することは重要な課題であり、その対応の強化も、引き続き進めていかなければなりません。

【14】これらの点を踏まえて、最後に、医療及び保健福祉分野における今後の情報システム・ICTの活用についての区の所見を伺って、私の一般質問を終わります。

 

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