4月18、19日、長野県松本市に健康施策に関する視察に行ってきました。
◆4月18日: 「松本ヘルス・ラボ」
”健康寿命延伸都市・松本” を実現するための「松本ヘルスバレー構想」が現松本市長である菅谷(すげのや)昭氏によって提唱されました。同構想は、「市民一人ひとりが、健康に高い意識を持ち、健やかで安全・安心な暮らしを実践する」ため、「市民、民間、事業者、学術機関、行政との共創による新たなヘルスケア周辺産業の創出」され、その「恩恵を市民が享受する」しくみを作っていくというものです。
もともと外科医でもあった菅谷市長らしい構想です。
同構想を推進していく拠点として、同ラボが開設したのは、2014年12月です。視察は、今月オープンしたばかりのラボのオフィスで行われました。

松本ヘルス・ラボは、前述した官民連携の実践で、市民参加の健康づくりの拠点としています。松本地域健康産業推進協議会が運営の基本的な考え方や、事業の促進を担い、地元を中心とするラボメンバー企業が現役世代の健康増進や中小企業の経営改善などに参加します。またICTを活用した電子手帳『松本版PHR』を通して健康の見える化やデータの産業利用、さらには地域包括ケアへの利用を目指しています。
コンビニエンスストアと協力して店舗駐車場にて無料健康相談を実施したり、信用金庫による金融商品を通した健診のすすめ、音楽関連会社によるスポーツボイス体操等々、まち全体が「健康増進」を目指しているという印象です。
特徴的なのは、「社会的課題の解決をビジネス化する」という発想で、同事業の市の担当部署は、いわゆる保健・福祉部門ではなく、商工観光部健康産業・企業立地課が所管していることにも、その考えが表れています。
私たちが視察している間に、たまたま市長が来所されました。

◆4月19日: 信州大学大学院医学系研究科・疾患予防医科学系専攻・スポーツ医科学講座 能勢 博教授
能勢教授が提唱されている「インターバル速歩」は、最近ではテレビ等のマスコミでも多く取り上げられ、話題となっている健康法です。健康・筋力保持に効果があるとされているウォーキングに、これまでの常識を変えたと言われており、まず「個人」の最大体力を測定し、その70%以上の負荷の運動を30分/日以上、4日/週以上、実施すれば、6ヶ月で体力が10%向上、生活習慣病の症状も10-20%改善することを保証するというものです。
信州大学、松本市、市民が協力する中高年の健康づくり事業「熟年体育大学」などにおいて、約10年間で約6000人以上に運動指導してきた実績があります。この日も、同大学近くの総合体育館で参加者の体力測定が行われていたので、研究室での講義の前にその模様を見させていたただきました。
独自に開発した歩行を中心とした電子計測器で個々人にカスタマイズした体力の計測と管理を行います。

このデータに基づいて、個人ごとに3分間の最速歩行で決定した最大体力の70%以上の速歩と40%以下のゆっくり歩きを3分間ずつ交互に実践します。これまで「1日1万歩」などと漠然と推奨されてきた歩行による体力向上に対して、個人のデータと体のメカニズムを利用して効果的なプログラムを組んでいます。
また能勢教授の話の中で、「不活動症候群」というコペンハーゲン大学のBente K. Pedersen教授の研究内容も紹介され、運動⇔健康⇔コミュニティ(地域)は連動しているとの理論に大変共鳴しました。
著名で多忙な能勢教授に、丁寧に説明をいただき、ありがたかったです。

杉並区は、東京で一番平均寿命が長い区です(全国の自治体で、男性は9位、女性は10位)。これからの課題は、いかに「健康寿命」を伸ばすかです。そういう意味でも、大変示唆に富んだ、意義深い視察となりました。関係者の皆さま、大変にありがとうございました。
