SDGsその理念は、とても素晴らしいと思いますが、どうやって自治体の計画に盛り込んでいくのかヒントを得ることができればと、~SDGs「持続可能な開発目標」導入ガイドラインの仕組み・活用と総合計画への実装~というテーマの勉強会があったので、参加してきました。
1コマ目は、国立環境研究所社会環境システム研究センター環境社会イノベーション研究室主任研究員の藤野純一氏より、パリ協定からSDGsまでの流れを中心に講義していただきました。特に、パリ協定などの国際ルールを作るガバナンスは、できることの積み上げ式で必要なアクションがとれなかった(フォアキャスティング)であったものの反省から、SDGsは、野心レベルの提示からスタートする形(バックキャスティング)を取っており、実施メカニズム・法的拘束力はなく各主体が自由に作ることができるけれども、モニタリングと評価は行うという新しいガバナンスの仕組みであることを紹介していただきました。さらに、2030年のゴールを目指し、4年に1度見直し、毎年フォローアップとレビューを行うことが決まっています。レビューは成功事例を発表するというポジティブな枠組みとして2017年から始まっており、2019年は見直しの年となるそうです。最後にSDGsを理解するために日本ユニセフ協会が作成したおすすめ動画を鑑賞しました。
ご興味のある方は、「世界をよりよい場所にするには?」~持続可能な回春(SDGs)への道を、子どもたちを~」http://www.youtube.com/watch?v=V25lMhOnhkA
2コマ目は、法政大学デザイン工学部建築学科川久保俊准教授より、自治体がSDGs達成に向けて取組む意義や具体的方法、全国の自治体の取組状況を講義していただきました。
川久保氏からは、2015年以降、Sustainable Development(将来世代のニーズを損なうことなく、現世代のニーズを満たす開発)に関する議論が世界で高まり、①世代間倫理の重要性が強調されていること②持続可能性を議論する上で、現状を評価するだけでなく、将来世代への配慮が欠かせないことが議論となり、1)経済成長の追求.2)環境の保全.3)社会の健全な発展というトリプルボトルラインの概念が根付き、世界の総意として持続可能な世界の実現に向けた開発目標が整理して示されたものがSDGsである意義の説明がありました。
SDGsを理解するために身近な問題として置き換えて説明をしてくれたのですが、「自身が健康的に長生きするためには」という目標に対し、
ゴール1適度な運動をしよう
ゴール2バランスの取れた食事を心がけよう
ゴール3規則正しい生活を送ろう
ゴール4家族や友人との関係を良好に保とう
ゴール5やりがいのある仕事を見つけよう
ゴール6ストレスは発散してためこまないようにしよう
ゴール7良い環境に身を置こう などなど
目標を整理し体系化をすることは、多くの人にとって有益であり、ともに取組む仲間や情報共有の促進等につながります。そしてゴール1の適度な運動をしようの
ターゲット1 日頃の生活の中で体を動かそう インディケータ 平均的な1日の歩数
ターゲット2 積極的な運動をしよう インディケータ ジョギングの距離
など、ターゲットの設定によって取組むべき事項が更に明確化され、インディケータによる取組度、達成度の計測が可能になります。更に、実効性の担保、成果の見える化、改善点の洗い出し等につながります。
SDGsはこのようなメカニズムで作られています。
世界の共通言語としてSDGsを使用することで、あらゆるステークホルダー(自治体、民間企業、市民)の参加を促すことができることがSDGsの可能性です。また、重要なこととして、①欲張らないこと②優先順位を考える③相性の良い取組があれば適宜取組む(相乗効果)の姿勢で取組むことなどが大事であることも示されました。
川久保氏の研究室では、全国の自治体にアンケートを取り、ローカルSDGsプラットフォームを作成し、ウェブサイトで全国のSDGsの取組状況を共有可能にしています。
http://kawakubo-lab.ws.hosei.ac.jp/index.html(川久保研究室)
具体的な取組手法なども細かに講義をしてくださいましたが、90分の講義内容では、収まりきらない、理解しきれない内容でした。
3コマ目、4コマ目は、静岡市と明石市のSDGsの取組事例の紹介です。それぞれの地域特性によって切り口が違って、SDGsの可能性を感じることができました。
わが町にどうローカライズすることができるかは、自治体の本気度次第です。