マイナンバーカードを利活用した先進地の事例が伺えるのを楽しみに参加しました。
1人目の講師は、(株)富士通総研経済研究所主席研究員電子自治体推進パートナーズ副会長の榎並利博氏です。今年は、2015年10月5日マイナンバー法が施行になり3年目になります。マイナンバー法附則には、施行後3年を目途にして、内容や方向性を検討することが記載されているので、今年は、節目の年です。榎並氏からは、マイナンバー制度のそもそもの意義と目的から現時点での課題をお聞きしました。住基ネットのトラウマがマイナンバー制度を相当複雑化しているようです。興味深かったのでは、住基ネットとマイナンバーに関する報道姿勢の変化を、量的・質的バイアスの側面から分析した部分。今後は、自治体における経済的効果を検証したいとのことでした。さらに、現時点で、各制度での負担や給付の単位が、住民票世帯、医療保険世帯、税世帯と、バラバラであるので、マイナンバーにより新たな世帯概念を作り、負担と給付のあり方の検討をしていくことが必要であり、榎並氏が提案される10年〜20年先を見据えたマイナンバーのロードマップ案が実現をすることになれば、マンパワーだけに頼っている行政の手が入らなかった部分に、支援を入れる制度の狭間への対応が充実できるのではないかと思いました。
2人目の講師は、姫路市の政務局情報政策室情報政策担当課長補佐 原秀樹氏です。姫路市は、マイナンバー制度導入目標を
1.内部事務の一層の効率化
2.個人情報の保護と情報セキュリティ対策
3.制度活用による特色ある市民サービスへの展開 と掲げて取り組まれています。
マイナンバーカードによる証明書等コンビニ交付サービスや、図書館でのマイナンバーカードの活用、(図書の貸し出しでは、姫路市は、播磨圏域連携中枢都市圏を近隣8市8町と構成していることから複数の自治体で利用出来るサービスの展開をしています。)申請書自動作成サービス、さらには、高齢者バス優待乗車実証実験の検証結果や、今後の利活用の将来展望の話など伺いました。
お昼を挟んで、3人目は、群馬県前橋市政策部情報政策担当部長 大野誠司氏です。前橋市では、マイナンバーカードを使って、行政が持っている個人情報を、個人にお返しするという考え方で、様々な利活用をされています。一つは、母子健康情報サービスです。電子母子手帳関係のサービスは、様々ありますが、前橋市は、PHP(personal Health Record)の利活用として、提供しています。この仕組みは、健康寿命を延ばす施策として利用できるのではと思いました。2つ目は、救急時における情報確認での利用。3つ目は、マイタク制度。これは、高齢者などの移動困難者を対象としてタクシー運賃の一部を補助する制度です。高齢者のマイナンバーカードの取得に貢献した制度です。4つ目は、マイキープラットフォーム・地域経済応援ポイントの取組。4つ目は、カード普及に向けた取得支援。これは、マイタクや前橋ポイントの普及と合わせて、カード取得支援カウンターを設置しています。また、郵便局に協力いただき、市内全郵便局にマイナポータル用端末を設置して普及促進を図っています。前橋市も、便利でお得なサービスの創出と取得支援の両輪でカードとICTを用いた街づくりに取り組んでいる先進地でした。
4にんめは、新潟県三条市の総務部情報管理課長 山澤浩幸氏です。山澤氏、IT技術専門家として、行政の様々な部署に移動することで、様々な取組をされてきたようです。
三条市は、H16.7.13新潟福島豪雨、H16.10.23新潟県中越大震災を経験したことで、その教訓を生かし、行政判断の迅速化、伝達方法の充実、自助意識の向上を目指し、知恵と工夫で、「コスト」の削減と「独自」サービスの提供をシステムと住基カードを使って取り組まれていて、マイナンバーカード利活用につながっています。被災時の必要性から住基カードが先行して普及しているので、マイナンバーカードへの移行への影響もあるようですが、サービスの需実は、全国最多と仰っていました。1.証明書のコンビニ交付 2.窓口支援 3.図書の貸出受付 4.避難所の入退所受付 5.選挙の投票入場受付 6.職員の出退勤管理 7.期日前投票の宣誓書記載の省略 8.学校等の出退勤管理 9.民間優遇サービスの提供 10.ぴったりサービスの拡大、(電子申請の窓口の一本化) 11.めいぶつチョイス(地域経済応援ポイント)
と「熱意」と「能力」で成果を上げてこられた様子が山澤氏から、ビンビン伝わってきました。
最後は、(株)TKCの松下邦彦氏から、民間事業者がマイナンバーカードを活用する視点での話がありました。大変勉強になった1日のセミナーでした。
苫小牧市の視察を終え、飛んで帰ってきました。17時から、浦安市防火安全協会の創立50周年の記念式典と祝賀会に参加させていただきました。
防火安全協会は、昭和43年4月に浦安町危険物安全協会として発足し、平成12年4月に危険物施設を保有する事業所と防火管理を必要とする事業所を会員として浦安市防火安全協会として、本年50周年を迎えました。昨年11月には、地方自治法施行70周年記念総務大臣表彰を受賞されました。おめでとうございます。
本市の安全安心のためにご尽力いただいていることに感謝し、50周年のお祝いをさせていただきました。防火安全協会の皆様、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
5月25日は、苫小牧市で、地域通貨とまチョップポイントの視察です。先日伺った高松のめぐりんマイルと違って、とまチョップポイントは、行政主導の地域通貨です。
苫小牧市は、札幌市に近いこともあり、市外への買い物流出が課題とのことで、その抑制を図り、市内経済の活性化と、社会貢献活動や健康増進事業などの市の施策促進を同時に図るために、市内限定の地域完結型「とまチョップポイント」を活用することになりました。平成28年度から平成30年度までの3か年、事業効果を検証し、それ以降の事業継続を判断することしています。事業主体は、苫小牧市商店街振興組合連合会です。既存のシステムを活用することで導入費用を抑制できることから、とまチョップWAONを採用しています。加盟店での買い物でのポイント付与のほかに、市のイベントやボランティア参加でのポイント付与や公共施設を利用した際にルーレット形式のポイント付与、更には、議会傍聴をしてくださると1回10ポイントなど、市の持っている予算内で、各部署にポイント付与事業を割り当てています。現在、貯めたポイントを地元商店街で利用できますが、商品や景品との交換や、市やNPO等への寄付も今後検討されるとのことです。
現在、加盟店数が215店舗、カード配布枚数は、約4万2千枚。ポイント発行事業は、114事業。3年間で加盟店を350店舗、カード発行を7万枚、1000万ポイント発行を目標にしています。
あと1年、加盟店や加盟団体、流通ポイントをどう増やしていくか。これからが踏ん張りどころのようです。
「絵本の里」剣淵町。前から来たかった場所です。町の景色は絵本の1ページのようです。
少し時間が早かったので、街中を車で一回り。保育園、小学校、中学校、そして公用車がキャンパスになって絵が描かれています!
町役場の中に入ったら、職員の皆さん全員がこちらを向いてご挨拶をしてくださり、歓迎してくださることに、感動!!
視察も高橋議長さん、早坂町長さん、前副町長、現清水館長さん、議会事務局から鹿野局長さん、鴻野さんと、勢ぞろいで対応していただきました。特に、高橋議長さん、早坂町長さん、清水館長さんは、行政の立場や市民の立場から30年、紆余曲折を経験しながら「絵本の里」を作ってこられた方々です。お三方の話から歴史を作ってこられた様子をうかがうことができました。
絵本を通しての街づくりは、商工青年部の一人の青年の思いから始まります。隣市に住む版画家から「日本人は金と物を大事にするが、人と心、芸術を忘れては世界に通用しない。」と言われたことがきっかけで、絵本の世界にあるような田園風景がある剣淵は、絵本によるまちづくりをしようと立ち上がります。「絵本の里を創ろう会」を作り、批判を浴びながら、めげず、活動を広げていきます。平成2年には、絵本の里づくりに参加していた農家の仲間が、人にやさしい絵本のまちづくりをしている自分たちが、人にやさしい野菜を作らないといけないと、無農薬で安心野菜を作る「けんぶち生命を育てる大地の会」が誕生し、地域の産業も変えていきました。平成16年には、老朽化した絵本図書館を新築移転することになり、現在の素晴らしい「絵本の館」が開館されています。30年の時間が流れ、子どもたちは大人になり、自分の子どもたちを連れ戻ってくるそうです。絵本の持つ優しさが町の人たちの心の中に広がってきているそんな素敵なエピソードも、伺うことができ、絵本の持つ大きな力を感じることができた視察になりました。
貴重な絵本の原画も見せていただいたり、絵本の館は素敵な空間です。
剣淵町の視察は、絵本の優しさに包まれたようでした。
5月22日北海道の下川町に視察です。下川町は、昨年12月24日に第1回「ジャパンSDsアワード」で本部長(内閣総理大臣)賞を受賞した自治体です。SDGsに自治体がどうアプローチをして行けばよいか先進事例を勉強しに来ました。下川町は、総面積の88%が森林で、冬にはマイナス30度、夏には30度以上と寒暖差が激しく、スキージャンプが盛んなレジェンド葛西選手の出身地です。
主な産業が衰退し、人口の減少率が北海道で1位となった時期を経験したことから、2001年から「経済・社会・環境の調和による持続可能な地域づくり」のためのクラスター研究会を立ち上げ、自治基本条例、環境モデル都市、環境未来都市の取組を進める中で、主要産業となった森林産業を、循環型森林経営として確立し、森林づくり、森林資源活用、森林環境教育を進めていきます。また、木質バイオマスエネルギーを利用し、全公共施設の熱需要の約64%の自給を達成します。さらに、超高齢化社会・低炭素化・新産業創造を同時解決する「一の橋バイオビレッジ」を建設。限界集落であった地域の人口減少を抑え、生産年齢世代が増加、高齢化率(2009年)51.6%→(2016年)27.6%という成果を上げられました。このような取り組みの成果として、約半世紀をサイクルとする循環型森林経営を確立し、理念を後世に引き継ぐ15年一貫森林環境教育プログラムも実施。転入超過により人口減少の緩和が図られています。また、地域熱エネルギーの自給率は2016年で49%を達成。地域のCO2排出量は△18%、化石燃料による域外流出額約2.1億円を内部化することができ、個人市民税の16.1%増加と成果を上げています。
2016年からは、それらの取り組みを、SDGsの視点を取り入れ、まちづくりのツールとして活用、レベルアップを図ります。2017年度には、達成度を測定するための尺度となる指標「しもかわSDGsインディケーター」を開発。市民を含む地域のステークホルダーでコアチームを形成し、2018年度に策定する総合計画に落とし込む作業もつい先日、終了したそうです。SDGsの視点を持って、町の施策の総点検をすることで、施策の持つ違う視点でのアプローチなど気付くことができたとの感想があったそうです。
現在では、SDGsを共通言語として、地域住民、地域団体、国際関係、企業・団体、自治体との連携も進んできているとのことでした。
下川町の取組をお聞きし、SDGsは地域課題を、未来と世界につなげ、地域の小さな取組が世界を変えることを教えてくれる大事な視点であることを再認識することができました。
役場での説明の後、一の橋バイオビレッジの熱供給施設、集住住宅も見せていただきました。
総務常任委員会3日目、須崎市の人材育成未来塾の取り組みを昨日に引き続き、元気創造課元気創造係の有澤さんにご対応いただき、お話を伺いました。
須崎市が少子高齢化、人口減少をどう乗り越えていくか、様々な施策に取り組まれ、少しずつ成果を出される中で、人のつながりが生まれ、須崎の課題を解決する具体的な一歩を踏み出す必要な支援として、未来塾を始めるに至った経緯を伺いました。尾野寛明さんが提唱されている0から1の支援と地域おこしを関係人口を増やすことで成し遂げていっている取り組みに感動しました。
今回は、黒潮町、須崎市と高知県の2つの自治体のそれぞれの取り組みを視察させていただきましたが、高知県が表となり、裏をなり、財政的支援、人材育成の支援、自治体連携の支援をしている様子がよくわかりました。広域連携の大切さと重要性、そして効果の高さを感じることができました。移動が大変な視察でしたが、気づきの多い視察でした。視察を受け入れてくださった自治体のご担当者の皆さん、視察を取りまとめてくれた事務局に感謝です。ありがとうございました。
2日目の午前中は、黒潮町にて、シティプロモーション(スポーツツーリズムによるまちづくり)を産業推進室観光係の担当者より話を聞きました。
黒潮町は、総合振興計画に位置づけている観光振興の主要施策として、(1)カツオ文化による観光施策(2)砂浜美術館による観光振興(3)名勝入野松原の保存・育成(4)土佐西南大規模公園整備・活用の促進(5)グリーン&ブルーツーリズム観光推進を掲げています。
その中の土佐西南大規模公園の整備・活用が取組が進んでいないとして、平成23年度県の補助金、ふるさと雇用再生事業を活用して、NPO砂浜美術館に観光担当2名、観光ツールの掘り起こし磨き上げ担当1名、スポーツツーリズム担当1名を雇用し具体的な取り組みを進められました。地元の中学校、高校生大会の実施から「つながりを大切に 裏切らない できないと言わない、タイミングを逃さない、大会・合宿運営を全面的にサポートする、来町チームには必ず御礼訪問する」を徹底し、財源も平成24年度から高知県がスポーツツーリズムを開始したことから県の補助金事業や、国の交付金なども活用し事業を進めて行かれます。誘致実績を積み上げる中で、サッカーに特化した誘致を進めるために、県が人工芝グランドの整備を行うことも実現されました。人工芝グランドの整備により、既存の天然芝のグランドの養生をすることができ、人工芝の利便性と天然芝のコンデションが良くなったことで、利用者からも好評のようです。
得意分野として、サッカーではありますが、公園には、12面のテニスコート、グランドゴルフ場、スケートボード場、体育館、そして、小松副議長さんが仲間と手作りで整備し市に寄贈された大方球場。 そして、すぐ近くにトレーニングに最適な砂浜。公園を管理しているNPO砂浜美術館が窓口となり、市と県と一体となって進めている黒潮町のスポーツツーリズムは、思いの詰まった取り組みでした。お話を伺った後、今年1月に黒潮町役場は、高台移転したばかりでしたので、議場を見させていただきました。地元産の木材を使った素晴らしい議場でした。
そして、その後、NPO砂浜美術館の担当者にスポーツ施設をご案内いただき、黒潮町での視察は終了しました。
午後は、須崎市に移動
須崎には、人材育成未来塾の視察に来ましたが、その卒業生が活躍している「須崎まちかどギャラリー」と「くらしの根っこ(移住ハウス・ゲストハウス)」を見学、卒業生の方にお話を伺いました。
どちらの施設も、創意工夫で予算のない中、市民だけではなく須崎に関係し応援してくれる人たちによって整備され、地域や人がつながる場所として活用されている様子が印象的でした。
5月15日、総務常任委員会の視察に高知県黒潮町に行ってまいりました。
高知駅からアンパンマン列車に乗り、土佐佐賀駅に降り立つと、かつおノボリとともに、議会事務局の方、担当者の方、また黒潮町議会小松孝年副議長も迎えてくださり、
まずは、平成28年3月に完成した黒潮町で一番高い22mの佐賀地区の津波避難タワーを見学させていただきました。黒潮町には、16基で収容人数1020人の津波避難タワーがあります。しかし、「あきらめない 揺れたら逃げる より速く より安全なところへ」を町民の合言葉に決め、犠牲者ゼロの取組をハード面とソフト面の両方から推進しています。
津波タワー視察後、2016年11月26日「世界津波の日」高校生サミットが開催された大方あかつき館にご案内いただき、
市役所で担当より黒潮町の取組を詳しく伺いました。お忙しい中、大西勝也町長も駆けつけて挨拶をしてくださりました。町長のご挨拶で、全職員が地域に入って犠牲者ゼロの防災の取組をすることで、他の町の施策が取り組みやすくなったとの言葉が印象的でした。
その犠牲者ゼロを目指す20の指針の中で特筆すべきな「職員地域担当制」。町内14の消防団管轄区に全職員を防災に特化した地域担当職員として配置し、自主防災会の活動の支援にあたっています。更に、自主防災会を単位とした「地区防災計画の策定と毎年開催するシンポジウムで計画の推進を図る」「戸別津波避難カルテの作成と活用」「防災となり組運動で地域づくりを推進」などにより住民の防災意識の向上を町全体で徹底して行っています。防災が日常化し文化として醸成することが次の段階とおっしゃっていました。
防災を自分ごととして捉える住民を増やしていくことは並大抵の作業ではないですが、黒潮町の本気が伝わってくる取組でした。