10月29日水曜日、福島富士子先生の「 少子化社会と妊娠・出産包括支援」のご講演が、公明党の女性局の研修会でありました。福島先生は、健康うらやす2 1の策定委員会の委員長として本市は、お世話になっております。更に、産後ケアの第1人者でもありますので、私も先生の著書も読ませていただいておりました。とても楽しみにしていた研修会です。
まずは、この研修会をコーディネイトしてくださった公明党中野区議の梁川妙子議員からのご挨拶。4期16年区議として子育て支援に取り組んでこられた中、産後のお母さんへの支援は、行政の支援の手が届いていないところであり、現在中野区でも、ドゥーラ育成(「ドゥーラ」とは妊娠・出産・子育てをする女性を地域社会で支える存在のことです)を訴えていて間もなく始めることになっているとの迫力ある、そして説得力のあるお話に大変感銘を受けました。
福島先生からは、先生が研究されてこられた少子化の原因と子どもを産める状況にするためにはどんな支援が必要か、日本の政策の流れから教えていただき子どもを産み育てるということは、個人だけの問題ではなく、社会的な要因が多く影響することをデータを通じて示していただきました。
現代の課題は、「関係性の喪失」であり、最優先の課題は、「関係性の再構築」であり、産後ケアは、地域に関係性を再構築する大切な機会であることを教えていただきました。
お母さん方は、産後ケアで愛された経験、優しくされた経験をすることで、子どもにもその愛情は伝わり、その愛着形成は、介護の問題、家族、地域を変え、いずれ社会を変えていく、その視点にとても感動してしまいました。戦後、核家族化していき、地域のソーシャルキャピタル指数は、低くなる一方ですが、産後ケアという一つの事業のアプローチが、様々な課題の根本となる家庭力を育んでいける重要な事業であると確信し、本市でも更に進めていかねばなりません。
昨年、がん患者の終末期を在宅で支えている訪問看護ステーション、そして、日本版マギーズセンター「くらしの保健室」を作られた看護師の秋山正子さんの講演会が、朝日新聞厚生文化事業団であるということで申込み、とても勉強になった連続講演会が今年も行われ、ご案内をいただいたので行ってきました。「自分らしい人生の最終章とは?~在宅という選択のこれから~」第1回は、「今なぜ在宅か」がテーマで、全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の医療法人アスムス理事長の太田秀樹先生の講演でした。
太田先生は、24年前から栃木県で在宅医療に取り組まれています。医師として、最先端医療で命を救うことが、患者さんを救うことと信じていたけども、必ずしもそうでないとの思いが強くなり、医者はLife(ライフ)を救わなければいけない。Lifeとは、人生、生活、命であり、Lifeを救うのは「活動を支えて自己実現できる支援をする医療」であると、在宅医療を掲げるクリニックを開業されました。
太田先生は、ご自身の体験を通して、生活の場で行える医療の可能性と、その有効性について、時に笑いを混ぜながらお話であっという間の3時間でした。
国民の8割が在宅死を希望していながら、実際は、看護する家族への負担と症状が急変したときへの不安の2つが課題となり在宅医療が進まない現状があります。
太田先生は、「現在は、医療機器、技術の発達に伴い、在宅医療の質は、病院医療に遜色がなく、介護や看護との連携、生活支援、予防の取組が地域包括ケアシステムの構築が進み、そして、医療の限界を知り「人は必ず死ぬ」ということを受け入れる覚悟を患者さんやその家族が持つことが大事である」とお話されました。高齢化社会への医療の視点からの問題提起は大変勉強になりました。