6月26日、千葉認知症研究会の第17回研究発表会がありました。
毎回、大変勉強になる研究会です。シンポジウムの演題は、認知症を支える多職種連携システム~千葉県オレンジ連携シートの活用~で、県の担当者、先生、看護師、ケアマネージャー、介護それぞれの立場から、モデル事業として取り組まれた成果と課題の報告がありました。それぞれの報告から立場による捉え方の違い、連携の難しさを感じました。だからこそ、顔の見える関係作りが必要であるようです。
特別講演は、「せん妄ケアのシステム化を目指して~多職種せん妄ケアチームの立ち上げと活動の実際~」、千葉大学医学部付属病院精神看護専門看護師、瀬尾智美氏と「非アルツハイマー病性認知症の臨床」、独立行政法人放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター研究員、島田斉氏の2題の発表がありました。
千葉大学医学部付属病院では、せん妄ケアチームを新たな取り組みとして始めました。様々な原因から起こるせん妄を初期の段階で発見し、対応を検討するケアチームは、精神看護専門の看護師が中心となり、集中的にチームを作り対応されるものです。高齢社会においての新たな医療の分野として大切な視点だと思います。現時点では、先進的な取り組みのようです。今後専門家が増えていくとよいです。
次の島田氏の講演は、脳内の異常タンパクの蓄積と認知症発症との関連性の最先端の研究の発表をしてくださり、大変興味深かったです。2004年に実用的なレベルのPETが開発され認知症研究は加速度的に進んでいるそうです。今まで、アミロイドなどのタンパク質が脳内に蓄積することで認知症発症の可能性の指摘はされてきておりましたが、正常なタウたんぱく質の引き起こすタウオパチー(タウたんぱく質が起こす症状)が非アルツハイマー病認知症の大きな影響を及ぼしていることが近年解明されつつあり、近未来の認知症治療に明るい兆しが見えてきているようです。今後研究が進むことを期待します。
「攻めのリハビリ健康医療福祉都市構想について」という演題で、世田谷記念病院回復期リハビリテーションセンター長酒向正春氏の講演でした。酒向先生は、脳卒中治療を専門とする脳外科医でしたが、病気を治すだけではなく、その人がその人らしく、残りの人生を歩んでいけるような医療に携わりたいと43歳でリハビリ医に転身されました。
脳外科医としての知識を最大限活用し、脳診断に基づく、脳力を最大限活用する積極的なリハビリで多くの患者さんに人生の再出発をさせてきた先生のお話は圧巻でした。
積極的なリハビリによって、患者さんの回復率は60歳で8割、70歳で6割、80歳で4割、90歳で2割だそうです。驚きの数値です。
しかし、大事なのは、体の機能を保ち続けること。それには、高齢者や後遺症を持った方にも優しい街づくりによって健康寿命を延ばしていくことが必要と、健康医療福祉とし構想を提言され、ライフワークとして活動されています。超高齢化社会に対応した都市整備の必要性を深く感じた勉強会でした。

