3月は「自殺対策強化月間」です。
1月29日、厚生労働省は警察庁の自殺統計を基にまとめた2024年の自殺者数(暫定値)を公表しました。小中高生は527人(前年比14人増)で、統計を取り始めた1980年以降で過去最多となりました。全体の自殺者数は2万268人(同1569人減)で、2番目に少なかった。
小中高生の自殺者は2020年に前年比100人増の499人と大幅に増加して以降、500人前後で高止まりしています。
2024年の内訳は、◯高校生349人(前年比2人増)◯中学生163人(同10人増)◯小学生15人(同2人増)と、いずれも前年を上回っています。
また男女別では、男子が239人と前年より20人減った一方、女子は34人増の288人。09年以降では最も多くなり、初めて女子が男子を上回りました。
自殺者の総数が減り続ける中、若者や子どもの自殺はなかなか減っていません。そこで、若者や子どもの心の健康を守るポイントなどについて、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表にお聞きした記事を紹介します。
――2024年の自殺者数が過去2番目に少なかった一方で、小中学・高校生をはじめ19歳以下の若年層の自殺が後を絶ちません。
清水康之代表 24年の自殺者数のデータから読み取れることは、ほとんどの年代・属性において自殺者が減少した半面、「女子中学生と女子高校生」の自殺が大幅に増加している点が挙げられます。特に、「定時制・通信制」に通っている女子高校生は2年間で約72%(34人)増となっています。子ども全体に対する対策も当然重要ですが、喫緊の課題として、「女子中学生」と「定時制・通信制」に通っている女子高校生への支援を強化する必要があると思います。
――その世代の自殺増の要因は。
清水康之代表 はっきりしたことは分かっていません。ただ、多くの場合、自殺の要因は複合的です。家庭や学校を通じて人間関係の悩みを抱える中で、心の健康が悪化し、自殺に至っているといったケースは十分に考えられます。自殺に関連する他の統計として、①不登校の小中学生②うつ病などの精神疾患で休職した教員③SNSに起因する重大犯罪の被害児童数④学校で認知されたいじめ件数――などが、過去最多を更新しています。
――若年層を孤立させない“つながる”取り組みが大切だと思いますが。
清水康之代表 そうですね。電話やSNSを活用した相談窓口のさらなる拡充が必要です。また、SNSには、人とつながりやすくなったというプラスの面だけでなく、一度つながった人と関係性を断ち切りにくくなったというマイナスの面もあり、そのことが子どもたちの生きづらさを助長している可能性もあるように感じます。
■気持ち落ち着かせる場所へ/「現代版の駆け込み寺」な存在に
――“生きづらさ”を感じている子どもや若者へのサポートが重要ですね。
清水康之代表 私たちは昨年3月、インターネット上の仮想空間「かくれてしまえばいいのです」を開設。生きづらさを感じる子どもらにとっての“居場所”として話題になり、1月時点の累計アクセス数は1600万回を超え、毎日3~5万回のアクセスが続いています。石破茂首相をはじめ、超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」の国会議員の方にも、ライフリンクへ視察に来てもらいました。
――「かくれてしまえばいいのです」はどのようなサイトですか?
清水康之代表「死にたい」気持ちを抱えている人が安心して過ごせる「現代版の駆け込み寺」のような存在になれたらと考えています。アバター(分身)を動かして、「入り口」から「大樹」の中に入ると、「しにたいきもちとむきあう」「しにたいきもちをやりすごす」という二つのエリアがあります。その中には、死にたい気持ちを抱えながら生きている人たちの体験談に触れることができたり、つらい気持ちをAIロボに話すことができる空間など、全部で九つの部屋が用意されています。匿名で、24時間いつでも、無料で利用できる、とても安全な空間です。
――政治に求める役割は。
清水康之代表 今国会で、自殺対策基本法を改正する動きがあります。その柱は、自殺のリスクを抱える子どもを支える学校や自治体、医療機関などが、情報を共有し支援するための仕組みづくりです。自殺対策に熱心に取り組む公明党にはぜひ、地方議会も含めてリードしてほしいと思います。期待しています。
■公明、予防策に尽力
公明党は、自殺対策基本法の制定(2006年)をリード。11年2月には「自殺防止対策プロジェクトチーム(座長=谷合正明参院会長)」を党内に設置。同法改正法の成立(16年)にも尽力してきました。
これにより、予防対策が進み、年間の自殺者数は3万人台から2万人台へと減少しています。法改正では、学校現場での「SOSの出し方に関する教育」が努力義務と位置付けられました。
公明党は今後、相談体制の強化に向けて、専門人材の確保などに取り組む方針です。(公明新聞:2025年2月27日付)
◆◆記事について◆◆
NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」が開設されたインターネット上の仮想空間「かくれてしまえばいいのです」を少しですが拝見しました。優しいタッチのイラストで著名なヨシタケシンスケ氏が描く「カクレガ」があり、スーっと入り込めるイメージでした。アクセス数が増加していることに納得です。インターネット環境があれば、いつでも身を置ける”居場所”になっています。
「SOS」が出せるように努めながら、難しい場合は「かくれてしまえばいい」と思いました。
引き続き、自殺対策としてできることを考え、取り組んでまいります。

NPO法人ライフリンク かくれてしまえばいいのです