杉並区議会議員
 川原口ひろゆき

働きます!地域のために、一人のために。

たばこ特別税ってご存知ですか?

未分類 / 2007年5月6日

お世話になっている友人(愛煙家)から、たばこ税について質問がありました。「たばこ税の一部が旧国鉄債務処理に充てられているのはなぜなのか」と。早速調べてみました。

<背景>

国鉄が1987年4月に分割民営化された時点での旧国鉄の債務は約37兆1千億。その内14兆5千億円をJRが、残りの22兆7千億円は国が処理することに。しかしバブル経済崩壊で国の債務処理は進まず、利子が重なり1997年4月の時点で28兆1千億円に膨張。国有林野事業特別会計の負債3兆8千億と合わせて、どう財源を確保し債務処理をしていくのか1997年7月頃より、大論争となり、政府(当時は自民党単独政権)の迷走が約1年間続くことになったのです。

<政府の迷走>

政府では実に様々な提案・議論が連日のように行われました。

①総合交通税(交通新税)の導入、②郵便貯金の余剰金活用、③第2消費税の導入、④自動車重量税の転用、⑤無利子国債の発行、⑥たばこ特別税の導入、⑦などなど

マスコミの報道もエスカレート。いろんな人がいろんなことを言い、どの案についても賛否両論が対立し、議論しては断念、また断念。結局最後に残ったのが②と⑥だったというわけです。

<政府vsJR>

政府はJRに追加負担を求めましたが、JR各社(7社)は苦しい経営実態を踏まえ猛反発。「国鉄改革の理念を厳守し、JRへの新たな負担は行わないこと」を主張する意見広告を一般紙に掲載。橋本首相がJR7社の社長と会って説得を試みるも失敗。その後も政府・自民党の説得工作が続き、最終的には当初予定の半額1,800億がJR追加負担となりました。

<政府vs郵貯>

郵便貯金の余剰金活用については当然郵政大臣・郵政省が猛反発。様々なせめぎあいの中、将来の国営維持(民営化しないこと)を条件に郵政族が容認するに至りました。でもその後小泉さんが民営化しちゃったことはご存知の通りです。

<政府vsJT>

た ばこ特別税の創設については、やはりJT社長が「納得できない」という意向を表明。マスコミも「安易過ぎる」と政府批判。衆議院の審議でも野党だった公明 党(当時は新党平和)は「たばこと国鉄債務は無関係だ」と強く批判。しかし日本経済の不況が長引き多くの懸案が国会で議論されたため、同法案は継続審議と なり、焦点がJR追加負担減額に絞られ、その部分で政府・自民党が大きく妥協する形で法案成立となりました。

<まとめ>

旧国鉄債務処理問題は、早く決めなければ追加の資金繰りが発生してしまうという切羽詰った状況の中で、1998年10月「国鉄清算事業団の債務処理に関する法律」の成立をもって決着しました。

マスコミや経済界からは「あまりにも泥縄的な債務処理」「目先の『楽』を選んだ政治」というような政府批判が相次ぎました。

しかし今後は同法に沿って「たばこ特別税」と「郵貯余剰金」で粛々と「旧国鉄債務」+「国有林野事業特別会計の負債」を処理していくしかありません。

何か大きな状況変化がない限り、約60年間かかるそうです。

自民党厚生労働部会の議員連盟は、生活習慣病対策などの観点から、たばこをどんどん値上げし、喫煙抑制→医療費抑制につなげるべき、という要望を出しているそうです。
愛煙家の友人のおかげで一つ勉強になりました。