TPPの概要
TPPとは、日本・米国を中心とした環太平洋地域による経済連携協定(EPA)の意味である。正式名称はTrans-Pacific Partnership(略してTPP)という。日本語で表記の場合は、環太平洋戦略的経済連携協定となる。2013年2月23日、アベノミクスを推し進める安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として事実上のTPP参加を表明しました。翌月3月15日にはTPP交渉への参加を正式に表明し、これからの交渉に全国民の関心が集まっています。
TPPのメリット・デメリット
様々な主張・意見・反論・異論があり、効果の試算についても学者間で開きがあるが、概ね以下のようなメリット・デメリットが生じると推測されている。
〇TPPのメリット
● 関税の撤廃により貿易の自由化が進み日本製品の輸出額が増大する。
● 整備・貿易障壁の撤廃により、大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化利益が増える。
● 鎖国状態から脱しグローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で2.7兆円増加すると見積もられている。
〇TPPのデメリット
● 外の安価な商品が流入することによってデフレを引き起こす可能性がある。
●関税の撤廃により米国などから安い農作物(特に米)が流入し、日本の農業に大きなダメージを与える。
●食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により、食の安全が脅かされる。
●医療保険の自由化・混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がると危惧されている。
●TPP加盟国 参加国(2013年3月現在)
・シンガポール ・チリ ・ニュージーランド ・ブルネイ
●TPP交渉国
- アメリカ(米国)
- オーストラリア(豪州)
- ベトナム
- ペルー
- マレーシア
- カナダ(2012年11月から参加)
- メキシコ(2012年11月から参加)
●結果的にTPP不参加となった国
・中国 ・韓国 ・インドネシア
アベノミクスとは
アベノミクスとは、第2次安倍内閣が掲げた経済政策のこと
具体的には、2012年12月26日より始まった第2次安倍内閣において、安倍首相が表明した”3本の矢”を柱とする経済政策のこと。政策の最大目標を経済回復と位置づけ、デフレ脱却を達成するために日銀法の改正まで視野に入れたことで国内だけでなく世界からも注目を集めている。アメリカのオバマ大統領をはじめ各国の識者・政府関係者から支持されているが、一方韓国や中国などからは批判も出ている。
3本の矢大胆な金融政策
バブル崩壊以降の20年間における不況の最大要因をデフレと捉え、デフレ脱却を目指すべくインフレターゲットの導入を決定。そのために、これまで独立性が重視されてきた日銀に対して、日銀法の改正も視野に入れた上で2%の物価目標を掲げるよう働きかけ、その目標が達成されるまでは無制限の量的緩和策をとることを決定しました。
機動的な財政政策
政府は2013年1月15日、過去2番目の規模となる13兆1千億円の補正予算案を閣議決定しました。内訳は、東日本大震災の復興費を含む”復興・防災対策”に3兆8千億円、通学路の安全対策など”暮らしの安全・地域活性化”に3兆1千億円、さらに再生医療の実用化支援など”成長による富の創出”に3兆1千億円となっています。
民間投資を喚起する成長戦略
産業競争力会議において7つのテーマ別会合を開き、2013年6月をめどに具体案をまとめるとした。7つのテーマは以下の通り (1.産業の新陳代謝の促進 2.人材力強化・雇用制度改革 3.立地競争力の強化 4.クリーン・経済的なエネルギー需給実現 5.健康長寿社会の実現 6.農業輸出拡大・競争力強化 7.科学技術イノベーション・ITの強化)
●アベノミクスとTPP
アベノミクス3本目の矢である成長戦略において、重要なカギとなるのがTPPである。円安誘導に続いて貿易品目の関税撤廃が加われば輸出産業にとって追い風となる事が明らかだからだ。2013年2月23日、ホワイトハウスでオバマ米大統領と会談した安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として事実上のTPP参加を表明した。
自動車産業を守りたいアメリカと米農家を守りたい日本の思惑が一致した格好だ。共同声明では「全ての物品が交渉の対象とされる」との原則が改めて確認されたが、TPPが日本経済回復の起爆剤となるかどうかは今後の交渉にかかっていると言えます。