2012.10.30 : 平成24年 財政委員会
木密地域不燃化十年プロジェクトについて。
◯長橋委員 私からも、収用制度の活用について質問をさせていただきます。
ただいま鈴木委員からもお話があったとおり、木密地域不燃化十年プロジェクト、これが発表をされまして、東京都の最大の課題の一つがこの木密対策だ、こういうことで、新たに特定整備路線、これが二十三路線、選定をされまして、また、去る第三回定例会においては追加もしていくと、すべてを追加していくということで、新たに五区間、指定をされると、このように聞いているわけであります。
鈴木委員も地元目黒区のお話をして、非常に注目が高まっていると、こういうお話もございましたけれども、私の豊島区でも、現在指定されている特定整備路線、二十三路線のうち七区間が指定されて、これまた大変に、私の地元でも話題になっておりますし、不燃化特区におきましても、東池袋四、五丁目が指定をされているわけでありまして、ぜひ、二〇二〇年までに完成をしていくと、こういうことでございますから、収用制度の活用が、より重要になってくると思いますし、また、そのスピードというのが、何といいますか、問われてくるんではなかろうかなと。もちろん、収用委員会の役割というのは、公平公正にやっていくわけでありますけれども、大変重要な局になってくるんだなあと思っております。
いわゆる都市計画道路、これは昭和二十一年に計画をされまして、その後、たびたび改定をされて、平成十六年には、さらにその中で絞って、優先整備路線というのを指定したわけです。それも、一次、二次、三次と続けてきましたけれども、これもなかなか、地域によっては進まない地域がある。それをさらに特化して、特定整備路線ということですから、これから収用制度の活用、大変重要になってくるということで、それについて質問をさせていただきたいと思っております。
そこでまず、昨今の収用事件、今も困難な事例等がございましたけれども、特に、都市東京の困難事例というのは特化した部分もあるかと思いますけれども、まず、どのような特徴があるのか伺いたいと思います。
◯醍醐収用委員会事務局長 収用委員会の取扱件数は、先ほど申し上げましたとおり、ここのところおおむね年間百件前後の事件を取り扱っておるところでございますが、そのうち約九割が道路事業というふうになっております。
取り扱う事件の特徴といたしましては、例えば、環状二号線など大規模なインフラ整備に伴う事件ですとか、それから土地境界や借地権など権利関係が錯綜している、または争いのある事件ですとか、さらには、大規模なマンションの敷地で権利者が多数存在し、手続に時間を要する事件など、内容が複雑化、困難化しておりまして、事件処理に当たり、より専門性を問われる案件がふえております。
◯長橋委員 今、局長からも話がありましたとおり、複雑化、困難化していると。複雑化、困難化しているということは、当然その収用手続の期間も長引いてきているんではなかろうかなと、こういうふうに思うわけでございまして、今ご答弁がありましたとおり、おおむね百件、事業概要を見ると、昨年二十三年度は百四件の取扱件数、処理件数は五十九件です。そういうことを考えますと、どれだけ短縮をしていくかということも、この収用制度活用プランに、その取り組みについて記載がされているわけでありますけれども、スピード化を図っていくというだけではなくて、やはり公共の利益を実現されるためには、起業者と権利者、これは双方が、合意をするといいますか納得をするといいますか、先ほど鈴木委員がいったとおり、結論が出たのに、また、それから時間がかかってしまったという経緯もあるわけでありまして、そうすると、そこら辺には、どうしても専門性が必要になってくるのかなと思うわけであります。
この収用制度活用プランに、収用手続に要する期間として十カ月程度を目指しているということで記載がされておりますけれども、起業者それから権利者、両方ともに申請が出せるそうでありますけれども、十カ月を目標にしているけれども、実際はどれくらいかかっているのか、お伺いをいたします。
◯醍醐収用委員会事務局長 収用の手続でございますが、起業者からの申請を受け、起業者、土地所有者等の権利者から、意見書を、まずは徴取した後に、双方の意見を聞く審理を開催し、必要に応じて土地や物件の鑑定をした上で、裁決を行うのが手続となっております。
これら一連の事件処理に要する日数は、先ほども申し上げましたが事件の困難性ですとか複雑性、あるいは権利者の人数など、事件の種類や内容によって長短さまざまではございます。
このような手続を行う収用事件のうち、今、委員からもお話がありました、起業者と権利者双方で話し合いがつき、和解や取り下げとなったケースを除きますと、裁決に至った事件の平均処理日数でございますが、直近の平成二十三年度で三百九十五日というふうになっております。
◯長橋委員 十カ月程度ということは、およそ三百日ということであります。ところが実際は、複雑性、困難性、こういうことがあって、直近の平成二十三年度では、三百九十五日かかった、およそ四百日かかっているということでありまして、その百日というのは、相当な期間であろうかなと僕は思うわけであります。
この活用プランを見ますと、平成十二年度以前は、事件処理に平均十六カ月程度かかっていた。ところが、平成十三年度、この収用制度の大改正があって、そこで導入された指名委員制度の活用、さらには事務の見直しなどを通して、平成十三年度以降は、平均一年程度で処理されるようになった。一年程度といいますから、三百六十日ぐらいかなと思ったわけでありますけれども、今のご答弁だと、およそ四百日かかっている。
そういうことを見ますと、やはり大都市特有の困難さ、複雑性から、平成十三年度の大改正からも、若干その手続の期間がふえているのかなと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
◯醍醐収用委員会事務局長 昨年三月に改定をいたしました収用制度の活用プランでは、目標といたしまして十カ月程度での処理ということを掲げておるところでございます。
今の委員のご指摘のとおり、その十カ月、三百日を超えて事件処理が長期化する背景といたしましては、個々の事件の複雑性、困難性によりまして、収用手続の過程におきまして、起業者の申請に必要な書類ですとか、あるいは起業者、権利者双方からの意見書、これらの提出がおくれることなどが主な要因となっております。
なお、収用委員会が円滑で迅速な手続を進めていくためには、事務局の体制として、事件を担当する職員の専門性を継続的に確保していくことも課題の一つというふうに認識をしておるところでございます。
◯長橋委員 今ご答弁があったとおり、平成十三年度以降導入された指名委員制度で短縮が図られたと、こういうことでありますけれども、目標は三百日、そういう中で、平成十三年度以降も、この活用プランには、平均一年程度で処理されるようになったと記載されているわけでありますけれども、近年また、日数がかかっているのかなと、こういうことでございまして、特に意見書を提出をする、これに私は時間がかかっているのかなと、こういうふうに思うわけでありまして、その意見書を踏まえて、双方から審査をしたりするわけであります。
そういうことを考えてくると、もちろん収用委員の先生方が、専門家の先生方がいらっしゃるわけでありますけれども、事務局の体制もさらに専門性を高めていく、そういったことも必要であるというようなことも、今、課題としていわれているわけでありまして、そういう意味で、事務局の職員の体制、これをしっかりと高めていくことによって、委員会審議を円滑、さらには迅速に進めることができるんだろうなと、こう思うわけでありまして、事務局の職員も、土地収用法など、各種法令だけでなく、土地評価や物件補償などの専門知識に精通をしていることが不可欠であろうかと思うわけでありまして、これは一朝一夕にできるものではないわけでありますけれども、東京都の職員という立場で、先ほどは区市に対しても、しっかりと講習をしていく、研修をしていく──区市は、取扱件数が年に一件とか二件とかということになるんでしょうから、そうした意味では、区市からも、さまざまな状況に応じて、アドバイスを受けたい、こういうことも来るでしょう。
実際に、今回の不燃化十年プロジェクトの特定整備路線、これは全部完成をするに当たっては、事業は都がやっていくわけであり、もちろん区市と一緒になってやっていくわけでありますけれども、都が主体的にやっていくということになるわけでありますから、そうした意味では、さらに、この三百日という目標を掲げるに当たっては、あとは事務局の体制を──今までももちろん取り組みをされてきた、この収用制度活用プランを見ますと、そういうことがうかがえるわけであります。しかしながら、さらに、事務局の体制の強化といいますか、そういったものを図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◯醍醐収用委員会事務局長 ご指摘のとおり、事務局職員の事件処理能力の向上を図り、事務局の体制を強固にすることは、事件の迅速かつ適正な処理を行っていく上で重要であるというふうに認識をしておるところでございます。
これまで事務局では、ベテラン職員が有する知識、業務遂行ノウハウの共有化や継承に取り組んできたところでございますが、やはりここ数年、ベテラン職員はどうしても減少傾向にございます。
このため、事務局の現状を踏まえつつ、公正かつ迅速に収用手続を図るために、職員が必要とする能力を検証し、新たな人材育成方策を昨年度に策定したところでございます。
今後は、より一層組織的に人材を育成する手法を充実させまして、職員の育成を図り、万全の体制で事件処理に当たってまいります。
◯長橋委員 昨年、新たな人材育成方策を策定したということで、ベテラン職員が減少する中で、専門性を高めていこうと、そういう取り組みをしっかりと行っていただきたいと思いますし、また、それぞれ木密に対して、都議会議員、各地元の議員は、そうした現場で、そういった事件案にも直面する場合があろうかと思います。私もそうした場合には、職員の皆さん方と打ち合わせをさせていただきたい、また、アドバイスをいただければと、こう思っておるところであります。
さらなる努力をお願いしまして、質問を終わります。
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