2006.09.28 : 平成18年 都市整備委員会
東池袋地区における補助八一号線沿道一体整備事業。二〇一六年のオリンピックを踏まえ、東京を代表するような幹線道路に!
◯長橋委員 それでは私の方からも、今回の景観条例の全面的な見直しに関して質問をさせていただきます。
今回の条例は、本年一月の東京都景観審議会からの答申を受けて見直しをするということでございます。私自身も思っていますが、東京に生まれて育ってくる中で、まちが更新していく中にあって、どんどんと景観またはその統一性のなさ、そういったものを感じておりました。そういう中で、この景観審議会の答申にもありますが、経済社会の成熟化が進む中で、景観に対する都民の意識の高まりや都心の機能更新に伴う街並みの変容、こういったことなどがあって、東京の景観を取り巻く状況が大きく変わってきている、こういうことで、景観を、本当に美しいまち、成熟した都市、風格ある東京を目指して、景観条例の見直しがされたと思います。ぜひともこの条例に基づいて、オリンピックを目指して、東京の景観を本当に取り戻していく、こういう決意で取り組んでいただきたいことをお願いします。
まずは、景観に対する都民の意識の高まりというようなことが書いてありますが、具体的になぜこういう言葉を使ってこの条例を見直していくのか、これについてお伺いをいたします。
◯安井都市景観担当部長 景観に対する意識の高まりということでございますけれども、東京でも最近、国会議事堂の眺望の保全であるとか、また建築物の色彩など、景観に関する話題がマスコミに多く取り上げられるようになってきてございます。
また、都内各地におきまして、景観に関するシンポジウムや講演会などが数多く開催されてございます。
平成十七年に都が行った世論調査におきましても、東京の景観に関心があると回答する方が約八割となってございます。
◯長橋委員 今ご答弁がありましたとおり、景観に対して大変関心が高まってきている、世論調査でもそういう結果が出たとご答弁をいただきました。
そういう中で、この景観審議会の答申の中に、今後の施策の方向性ということで四つ示されております。具体的に取り組むべき四つの施策として、一つが、美しさと風格を備えた都市空間を形成していく。次が、歴史と文化の継承と観光資源としての活用を図っていく。そして三番目に、景観の骨格となる緑や水辺の保全、再生。そして四番目に、私は注目したんですが、公共事業と合わせた景観づくり。これが具体的な提言としてされております。
それぞれ大事な視点であるかと思います。美しい街並みを残していくことも大事でしょうし、また、重要文化財等をきちっと保存して観光資源にも役立てていく、こういうことも大事であろうかと思いますが、いよいよオリンピックを目指して、一昨日の本会議の質問でも、環境という大きなテーマで知事もご答弁をされていたと思います。環境に配慮した施設整備、こういったご答弁もありましたし、また、もちろん景観に関しても知事の思いを語っていただきました。
そういう中で、いよいよ東京をどう成熟都市に変えていくか、そういう中で大きく変わっていくわけでございますが、その変えていく中にあって、都市整備局が主になって進めている公共事業、これを進めていくわけですが、公共事業と合わせた景観づくり、都市整備局は今まで、道路、街並みを担当してやってきたわけであります。
確かに平成十一年に、この答申にも書いてありますが、公共事業の景観づくり指針、こういうのも決めていたわけですが、ですが、公共事業と合わせた景観づくりが進んでいないと私は思うわけであります。公共事業と合わせた景観づくりがなぜ進まなかったのか、この点についてお伺いいたします。
◯安井都市景観担当部長 公共事業と連携した地域の景観づくりでございますけれども、例えば公共事業の代表でございます幹線道路の整備などを例に取り上げてご説明いたします。
こうした道路事業などでは、沿道のまちづくりとの連携がこれまで図られてございませんで、具体的に道路空間をつくることと沿道のまちづくりを進める、その調整できる仕組みがなかったために、結果として良好な沿道景観が形成されないことが多かったというふうに受けとめております。
◯長橋委員 まさに道路事業と沿道の事業が一体化されていなかった、こういうことであります。そのとおりでありまして、今まで道路事業といいますと、道路を拡幅する、新しい道路をつくる、そのためにはそこに住んでいた方にどいてもらう。公共事業だから、それなりのものを支払って道路をつくってきたわけですが、なかなかそういう面では、残ったところの沿道はまた違う部署がやる、こういうことになって一体化していない、それが大きな要因である、そういうご答弁であったかと思います。
そういう中で、今、私の地元で補助八一号線、東池袋で、都市整備局が所管で沿道一体整備事業が行われております。この沿道一体整備事業については、たびたびこの委員会でも質問させていただきましたし、期待をして、ぜひ成功させてもらいたい、こういうことで、都市整備局の皆さんにも現地でもお会いいたしましたし、また、現地の住民の方々にもいろいろなご示唆をいただいて、ここで取り上げさせていただきました。さまざまに地元住民、そして地元区と都市整備局が一体となって、この補助八一号線を何としても今後の大きな事業の流れの中で成功させようと、熱意も私に伝わってきております。
そういう中で、あくまでこれは道路と沿道の一体整備事業でありますが、やはりどう考えても、この道路一体整備事業、今度は住んでいた方はどこかほかへ行ってくださいじゃなくて、引き続きそこに住み続けたい、こういう思いがあってこの事業は始まったわけであります。そういった意味では、新しく道路が生まれ変わる、地域が生まれ変わる中にあって、自分たちの住んでいたまちがさらによくなる、誇りを持って住める、そういうふうにしていきたいわけであります。そのためには、この沿道一体整備事業、景観形成の観点からはどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
◯宮村市街地整備部長 東池袋地区における補助八一号線沿道一体整備事業は、都市計画道路の整備に合わせまして、沿道の建物の不燃化、共同化などを一体的に進めることによりまして、防災性の向上を図るとともに沿道の景観形成を促すものでございます。このため、東京都は、豊島区と連携をいたしまして、沿道の区域を対象とした街区別の懇談会を立ち上げ、建物の共同化などについて関係権利者と話し合いを行っております。
また、昨年十二月、地元住民で構成されるまちづくり協議会から、地区の将来像や景観にも配慮した建築のルール等を盛り込んだまちづくりの提言が豊島区長に提出されました。現在、区は、この提言を踏まえまして、地区計画の策定に向けた住民への意向調査を行っているところでございます。
都といたしましても、区とともに、地域の特性に応じた良好な街並み景観が形成されるよう努めてまいります。
◯長橋委員 今お話がありましたとおり、まちづくり協議会が、区が作成をする地区計画のためにまちづくり提言を提案したということでございます。東池袋の地域、東京でも、また豊島区においても有数な密集地域でございます。本当にそういった意味では、安心・安全、また防災の観点からも、皆さんの、地域の住民の方の生命、財産を守る上でも、一刻も早く急がれる事業であるかと思います。
その上、さらに大きくまちが変わる中にあって、ここはちょうど都電、東京で唯一通っている都電に合わせて道路整備をしているわけですが、都電を生かしたまちづくりをしたい、こういう思いもありますし、ぜひ進めていただきたいと思うんですが、そういった地域を住んで一番愛している住民の方々からご提言があったわけでありますが、そのまちづくり提言、具体的にはさまざまな提言があったんですけれども、景観についてはどのような提言をされているのかお伺いをいたします。
◯宮村市街地整備部長 ご質問のまちづくりの提言では、沿道の景観につきまして、建物の高さや用途を制限すること、建物の色は派手な色彩は避け、周辺と調和した落ちつきのあるものとすること、屋上の広告物はその設置を制限することなどが提案されております。
◯長橋委員 今お答えいただいたとおり、色、高さ等、提言されているわけです。この東池袋の地域は、池袋駅からも至近の距離です。しかしながら、池袋周辺の街並みを考えると、ある面では、あそこは商業地ですから、私も池袋に住んでいますが、もう少しすっきりしないかと。広告についても大変はんらんをしている。色についても、こんな色がというような広告も林立している中にあって、その隣でこういうまちづくりを進めていこう、そういうことでこういう提言がなされたのではなかろうかと思います。
この補助八一号線、東池袋だけではなくて、この沿道一体整備事業、墨田区の鐘ケ淵でも、また練馬の高松、土支田でも今整備が進められている。また、今後、北区の十条も予定をしている、このようにもお伺いしているわけであります。この沿道一体整備事業、先ほども申し上げましたが、自分の住んでいるまちを、更新とともに、さらに住み続けて、よりいいまちにしたい、こういうことでございますので、きちっと都としては、こういった沿道一体整備事業を区とも連携をとりながら支援をしていくべきであります。
住民の方は、専門的なこと、また景観に関すること、また技術的なことは不得手であるわけでありまして、都がそういった意味では、優秀な人たちも集まっていますし、景観ということもさまざまなアドバイスができるんじゃなかろうかと思うんですけれども、今後、この八一号線を含めた沿道一体整備事業に対して、都は具体的な支援をどのようにしていくのかお伺いをいたします。
◯安井都市景観担当部長 幹線道路の整備によりまして沿道の土地利用が更新される機会をとらえまして、道路空間と沿道の土地利用が調和した、一体感のある景観を形成していくことが大変重要でございます。このため、ご質問のまちづくり協議会の提言など、沿道の住民により合意したまちづくりのルールを、地区計画や景観計画などの仕組みを活用することにより担保していく必要がございます。
今後、地元住民、道路管理者や地元自治体などが沿道地域の将来像を共有できるような、そうした場をつくりまして、道路整備とあわせまして、沿道の建物の用途や色彩、屋外広告物の規制などについて一体的に取り組み、道路管理者との連携を強化して、良好な沿道景観の形成を支援してまいります。
◯長橋委員 ぜひこの事業が成功するよう、さらに努力をお願いしたいと思います。
最後に、局長にお伺いをいたします。
一昨日、私も議会でこの景観について質問させていただきました。知事に、パリやローマに負けない魅力ある東京をつくるべきだ、このように申し上げましたところ、知事もそれを受けて、お話をしていただきました。
一つは、知事は、広告のことですが、目ざわりな広告がはんらんしている、東京を視覚的にいらいらしなくて済むような景観を備えた都市にする必要がある、このように答弁をされました。パリやローマに負けないということでお話をしましたら、知事はパリのことについて触れておられました。パリのネオンサインの色の規制、こういったことをして、やったと。またあわせて、今の東京は、展望台に上ると、三百六十度、緑がなくてコンクリートの色彩になっている、昔の江戸はモノクロームの街並みが連なっているということで、江戸の景観に感嘆した外国の方を指して、これほどしょうしゃな街並みを見たことがない、このような例を引かれて、知事の景観に関する考え方も聞かせていただいたわけであります。また、一昨日の答弁で、オリンピックを目指して、電線類も全面的に地中化していく、こういう話もあったように思います。
都市整備局、どうしてもハードの部分がイメージされる部局であるわけでありますが、オリンピックに向けて、特に幹線道路、環状道路、これを整備を強力に進めていくわけでありますが、その道路整備とあわせて、沿道の景観をどうつくり上げていくのか、大事な視点であろうかと思います。特にこういったものは、一たんつくったらそのまま残るわけでございますから、ハードの部分とそして景観とが、本当に東京ならではの、オリンピックを目指した整備をしていただきたいと思います。
やはりオリンピックとなれば、多くの外国の方が東京にお見えになるわけであります。外国の方が来て東京のまちを見て、東京が大きく変わった、それだけじゃなくて、大変すばらしい、美しい、こういうふうにいわれるような整備をぜひともお願いしたいと思うわけでございますが、特に道路整備に合わせた沿道のまちづくり、オリンピックに向けて、局長、どう取り組むのか、ご答弁をお願いいたします。
◯柿堺都市整備局長 ただいま副委員長の方からご質問にもありましたように、幹線道路というのは、都市景観に占める重要性というのはまことに大きいものがあるんだというふうに思っております。その幹線道路については、道路本体と沿道の土地利用が相まって、地域の景観を特徴づけるというのが大きな要素かなというふうに思っているわけでございますけれども、このためには、道路整備において、沿道の地権者と一体となりまして、良好な景観形成に取り組んでいくことが大変重要だというふうに思っております。
先ほどの担当部長からの答弁にもございましたけれども、これまで残念ながら、東京の道路整備の事業過程におきまして、道路空間と沿道一帯を一体としてとらえるという仕組みが乏しかったために、せっかく沿道の地権者が生活再建をする際にも、建築物の色彩だとか形態が、なかなか統一できないというような課題もございました。今後、ご質問にもございました沿道一体型道路整備事業の中で、区市町村にも働きかけまして、整備が一体として進むように地域の取り組みを支援してまいりたいなというふうに考えているところでございます。
また、都みずからも、二〇一六年のオリンピックを踏まえまして、東京を代表するような幹線道路につきましては、風格あるいはにぎわい、統一感が感じられるような景観形成ができるように、道路管理者あるいは区市町村と積極的に連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
2006.09.28 : 平成18年第3定会 都市整備委員会