新たな枠組みとして、実現へと進みました!
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被爆体験、子や孫が伝える 新たに「#家族伝承者」養成/広島市(公明新聞2022/04/07 7面より)
■平和への思い継ぐ“語り部”に
広島市は2022年度から、被爆者の体験や平和への思いを、本人に代わって子や孫など家族が“語り部”となる「家族伝承者」を新たに養成する。被爆の実相の継承へ全力を挙げる市議会公明党(碓氷芳雄幹事長)が推進し実現した。
「父親の被爆体験を伝える語り部として、公的に認められる仕組みができ、本当に感謝している」。こう話すのは、同市中区在住の細川洋さん(62)。17歳のときに被爆し、奇跡的に助かった父・浩史さん(93)の証言活動を継ぐため、新たに始まる市の養成事業に応募する予定だ。
被爆者の高齢化が進む中、原爆被害の実相をいかに後世に伝えていくかは大きな課題となっている。そのため、市は12年度から、被爆者が体験したことを伝承していく人材の育成事業を実施してきた。
この「被爆体験伝承者養成事業」は、対象を家族に限定せず、年齢や居住地も問わないが、約2年間の研修が必要。具体的には、原爆被害の実態や話法技術を学ぶほか、被爆体験を伝授されるためのミーティング、講話原稿の作成、実習に取り組む。その後の検定に合格すると、伝承者として活動することとなる。
市は、これまでに162人を養成。公益財団法人・広島平和文化センターから委嘱を受けた147人(3月1日時点)が、修学旅行生や海外からの訪問客らに平和記念資料館(原爆資料館)で講話したり、派遣先の学校で児童・生徒に被爆体験を伝えたりしている。
市議会公明党は養成事業の拡充を一貫して推進。被爆者の負担軽減や養成の迅速化を図るため、従来約3年間だった研修を21年度から約2年間に短縮させた。
■公明が推進、証言の掘り起こしに期待
一方、伝承者の養成には、自身の被爆体験を語る証言者の協力が欠かせない。だが、証言する被爆者の人数は年々減っている。そもそも、被爆者の中には被爆体験を伝承したい気持ちはありながらも、健康上の問題や人前で自らの体験を語ることに抵抗を感じる人も多い。
そこで市は、被爆体験を家族が受け継ぐのであれば被爆者の負担は軽くなると考え、家族伝承者を養成する枠組みを創設した。共に暮らす家族であれば、被爆に関する新たな事実や証言を掘り起こせる可能性があるとの狙いもある。
対象は被爆者の子や孫、親戚で、5月から応募者を募る説明会を開く。その後の研修は従来の養成事業に準じる形で行う。市被爆体験継承担当課の稲田亜由美課長は「より多くの被爆者に協力していただき、幅広い被爆体験の継承につなげたい」と期待する。
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家族伝承者を養成するきっかけとなったのは、21年8月に細川さんが公明党の日下美香県議を介して田中勝市議に相談したことだった。細川さんの父親は、爆心地から約1・3キロ離れた旧広島逓信局で被爆。壮絶な体験を語る父親の姿を見てきた細川さんは、その活動を継承するため、被爆者家族に特化した伝承者を養成する仕組みを設けてほしいと要望していた。
これを受け、田中市議は同10月の市議会決算特別委員会で「被爆2世・3世や被爆者の家族の方々を対象とした、新たな枠組みを加えた養成が必要ではないか」と提案し、市から前向きな答弁を引き出していた。