[4] 第63回パグウォッシュ会議広島大会「広島宣言」
[4] 第63回パグウォッシュ会議広島大会「広島宣言」
11月1日に被爆地・広島で開幕した第63回パグウォッシュ会議世界大会は、本日5日に閉幕を迎え、パグウォッシュ会議会長のフセイン・アル・シャハリスタニ(Dr. Hussain Al-Shahristani)博士より「パグウォッシュ広島宣言」が発表されました。(宣言文が読み上げられる中、会期中に撮影されたさまざまな写真がスライドショーで紹介され、私たちが写った写真も映し出されました。)
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第63回パグウォッシュ会議広島大会「広島宣言」
パグウォッシュ会議評議会
2025年11月5日(仮訳)
広島と長崎への原爆投下から80年、人類は将来を左右する重大な分岐点に立っている。
世界は、対立の激化、外交の弱体化、核兵器使用を抑制してきた規範の崩壊に直面している。国連憲章と国際法に基づく国際秩序は今まで以上に危機に瀕している。核兵器保有国は核軍拡と近代化を進め、核拡散のリスクは高まり、「核タブー」は明白な核威嚇の脅威にさらされている。核施設に対する最近の通常兵器による攻撃は、保障措置が適用される核施設への攻撃または攻撃の威嚇を禁止する約束に対する明らかな違反である。科学者や技術者を標的とした殺害は、国際法をないがしろにするものである。終末時計は現在あと89秒を指しており、これは史上最悪であり、核の危険性が増大しているという厳しい警告である。
ここ広島から、私たちは強い信念をもって宣言する。いかなる状況下においても核兵器は二度と使用されてはならない。核戦争は国家のみならず人類そのものの未来をも破壊するからだ。広島と長崎への原爆投下は、戦争の悲劇であるだけでなく、未来に続く人類の良心と道徳の破壊を象徴するものだ。
そのような未来を回避するためには、対立ではなく対話が不可欠である。パグウォッシュ会議は「対立を越えた対話」を基盤として創設された。深い敵意の時代でさえ、こうした対話が軍縮を可能にしてきたことを歴史が証明している。2010年の新戦略兵器削減条約(New START)が2026年に期限切れを迎えるにあたり、米国とロシアの新たな関与が不可欠であり、対話は全ての核保有国に拡大されねばならない。信頼醸成措置、地域協力、新興技術の責任ある管理がそれに続くべきである。来年に開催される核拡散防止条約(NPT)及び核兵器禁止条約(TPNW)の再検討会議は、信頼回復と軍縮を国際安全保障の中核に戻す絶好の機会である。また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効にむけて、あらゆる努力を傾注せねばならない。宇宙環境の兵器化を防ぐため、各国は宇宙条約の原則と義務を再確認し強化すべきである。
壊滅の脅威をもたらす核政策では本当の平和は築けず、真の安全保障を提供しない。核兵器への依存を排除することは、道義的義務であると同時に戦略としても必要である。
各国は先制不使用政策を採用し、非核保有国に対して消極的安全保証を無条件に供与し、協力と共通の安全保障の枠組みを強化すべきである。非核兵器地帯のような取り組みは、信頼と協力を通じて軍縮が達成可能であることを示している。
科学者と専門家は、知識と科学的根拠、倫理的判断に基づいて指導者を導く特別な責任を負っている。科学コミュニティは、核兵器禁止条約科学諮問グループと国連核戦争影響科学パネルの活動を強化し、人工知能、量子技術、バイオテクノロジーといった新技術がもたらす不安定化のリスクに対処するため断固たる行動を取らねばならない。
さらに、市民社会は道徳面で平和のための原動力であり続けている。ノーベル乎和賞を受賞した、パグウォッシュ会議、国際核兵器廃絶キャンペーン(ICAN)、国際核戦争防止医師会議(IPPNW)、日本被団協の取り組みは、市民と科学者が良心を呼び覚まし未来を形成していけることを証明している。世代を超えて響き渡る彼らのメッセージは、今も私たちの羅針盤だ:ノーモアーヒロシマ。ノーモアーナガサキ。ノーモアーウォー。戦争と武力行使を放棄する日本国憲法第9条は、1955年のラッセル=アインシュタイン宣言が訴えた「戦争そのものの廃絶」に繋がるものだ。両者は良心の不滅の灯台として、真の安全保障は武器や武力の行使ではなく、多国間主義、法の尊重、対話と正義、そして私たちが共有する人間性にこそあると確信させる。
2025年広島パグウォッシュ会議が、ラッセル=アインシュタイン宣言の不屈の次のメッセージに導かれ、対話と軍縮、そして全人類のための恒久平和への転換点となることを願う。
「人類の一員であることを心にとどめ、他のことは忘れよ」
第63回バグウォッシュ会議広島大会にて評議会により採択
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