私が知る公明党=上
公明新聞2025/04/30 3面より
立党精神「大衆とともに」を貫く公明党は、人々のさまざまな悩みや課題に向き合い、その解決に力を尽くしてきました。各分野の関係者が見てきた公明党の議員像などを証言してもらいました。(上中下3回で随時連載)
■日本病院前救急診療医学会理事長 今明秀氏
■(ドクターヘリ)“夢”にも思えた全国配備が実現。命を救うため、公明は滅私奉公で働いてくれる
医師らが搭乗し傷病者の元へ急行するドクターヘリは、救命率を大いに高めます。しかし、2001年度に日本で本格運航が始まった当時、導入自治体はまだ5県。「欧州では普及しているのに…」。救急医として焦りを感じていました。
そんな中、公明党が03年の衆院選の政策で“ヘリの全国配備”を掲げたことを知り、非常に驚きました。ただ、自治体の財政負担の重さなど、多くの課題があり、まるで“夢”のような構想にも思えました。
翌04年、私は青森県八戸市立市民病院の救命救急センター所長に就任し、県内にヘリ導入をめざす活動を始めました。そこで強い“追い風”になったのが、公明党が尽力して07年に制定された特別措置法でした。
国の財政支援を強化する法律です。その制定前後から、公明党の国会議員は私と意見交換を重ねてくれ、地元県議も強力に応援してくれました。その結果、09年3月、同病院で県内初の運航事業を開始できました。
他の都道府県でも、公明議員はヘリ導入を積極的に後押ししてくれました。公明党は、目標の達成に向け議員がチーム力を発揮できるのが素晴らしい。約20年かかりましたが、現在、全都道府県に57機配備され、“夢”が形になりました。
■大都市では「カー」も
一方、大都市部などは着陸地点が限られ、ヘリの有効性が生かし切れません。医師が車両に乗るドクターカーの活用が有効で、その支援拡充へ公明議員が国を動かそうとしてくれています。命を救うという「公」のため、公明党は「滅私奉公」で働いてくれている印象を強く受けます。
■全国夜間中学校研究会事務局長 竹島章好氏
■(夜間中学)公明議員はよく現場に足を運び、生徒たちに寄り添い、熱心に応援してくれている
2020年の国勢調査で国内には何らかの事情で義務教育を修了していない人は約90万人おり、このうち約9万人が小学校を卒業できていないことが分かっています。さまざまな理由で学校に通えなかった人や不登校になった人、母国で十分に教育を受けられなかった人たちに、学齢を超えても義務教育を保障するのが夜間中学です。夜間中学を経て高校、大学への進学や就職を果たしたり、学び直しに喜びを見いだす人は少なくありません。
私たち夜間中学の教員でつくる全国夜間中学校研究会は、教育研究活動とともに、「全ての人に義務教育を」と全国への夜間中学の設置を求めてきました。
■62校までに倍増
大きく環境が変わったのは16年。公明党を含む超党派の夜間中学等義務教育拡充議員連盟の尽力により、長年求めていた夜間中学の設置などを自治体の責務とする「教育機会確保法」(議員立法)が制定されたことでした。さらに21年1月、公明議員の国会質問に対して菅義偉首相(当時)が「今後5年間で全ての都道府県、政令市に夜間中学校が少なくとも一つ設置されることをめざす」と答弁。国や自治体の動きが加速し、15年に全国で31校だった夜間中学校数は現在、41都道府県・政令市62校までに倍増しました。ただ、いまだに夜間中学の存在や実情は社会で十分知られていません。
超党派議連の中で公明議員はよく現場に足を運び、さまざまな人生を歩んできた生徒一人一人の声に耳を傾け、寄り添って熱心に応援してくれています。
夜間中学の設置状況は地域差が大きく、全ての地域で学び直しができる状況ではありません。今後も基本的人権の「義務教育を受ける権利」の保障へ、さらなる議論を期待しています。
物価高対策、公明推進で着実に
年収「103万円の壁」引き上げ、家計の所得アップ/給食費支援、高校無償化も
公明新聞2025/04/29 1面より
長引く物価高騰に苦しむ家計や企業を守るため、公明党が強力に推進し、2024年度補正予算や25年度予算、税制改正に盛り込まれた政策が着実に進んでいる。公明党は、こうした既存の対策の実行に万全を期すとともに、トランプ関税の影響を見極め、必要であれば、ちゅうちょなく経済対策を策定すべきだとの考えだ。現在、執行中または執行予定の主な物価高対策を紹介する。
【年収「103万円の壁」引き上げ】
所得税が課され始める年収「103万円の壁」の見直しを巡り、公明党は、自民党、国民民主党との協議に臨み、合意形成を担ってきた。その結果、公明案を基に課税最低限が160万円に引き上げられ、ほぼ全ての納税者1人当たり年2万~4万円程度を減税することになった。高所得者優遇とならないよう、減税額を平準化するよう工夫も凝らした。
また、103万円の壁引き上げは家計の収入アップにも寄与。配偶者控除の対象となる収入水準を123万円まで引き上げたことで、扶養内での就業を希望する有配偶者のパート労働者が、これまでより年20万円程度の追加就労が可能になる。
【住民税非課税世帯への給付】
低所得世帯への支援では、住民税非課税世帯1世帯当たり3万円を目安に給付し、子育て世帯は子ども1人当たり2万円を加算する。5月末までに、ほぼ全ての自治体で開始され、6月末には支給が完了する見通しだ。
【重点支援地方交付金】
24年度補正予算で6000億円増額した「重点支援地方交付金」は、地方自治体が地域の実情に応じたきめ細かな対策を講じるための財源として活用できる。
これまで公明党は、国と地方の議員ネットワークを生かし、学校給食費の負担軽減やLPガス(プロパンガス)代支援などを推進。増額分のうち、すでに1250市区町村に3760億円が交付決定され、6月に2回目となる受け付けを開始する予定だ。
【高校無償化】
子育て支援の強化に向け、26年度からの高校無償化に向けた先行措置として公立、私立を問わず全世帯を対象に公立高校授業料に相当する年11万8800円を支給する。所得制限を事実上撤廃した。
■電気・都市ガス代、7月から引き下げ
【ガソリン補助】
高止まりするガソリン価格に対して、5月22日から段階的に1リットル当たり10円引き下げる。今夏も猛暑が予想されることを踏まえ、7~9月の電気・ガス代も支援。詳細は5月中に決定する。
主張
公明党訪中団
政党外交が開く信頼醸成の対話
公明新聞2025/04/28 2面より
「対話の経路」をどれだけ多く開くことができるか――国際情勢が不確実性を増している現在、政府間だけでなく、民間も含めた多様な主体がそれぞれの分野で相互理解を深めることが重要である。
その中でも政党外交には大きな可能性がある。
このほど中国共産党中央対外連絡部(中連部)の招へいで、公明党訪中団が多くの要人と率直な話し合いをし、日中の信頼醸成に貢献した意義は大きい。
日中の国交正常化は、党創立者の池田大作・創価学会第3代会長の1968年9月の提言が起点となり、両国の橋渡し役を担った公明党の外交努力で72年9月に実現した。
現在、中国は日本にとって最大の貿易相手国になっている。これまでも両国はさまざまな困難に直面してきたが、日中友好の歩みが絶えることはなかった。この信頼醸成の歴史の中で、確かな足跡を残してきたことは公明党の誇りである。
現在も日中間には課題は多い。今回の公明党訪中団を率いた斉藤鉄夫代表は、出発前に石破茂首相と会談し「政党間外交だ。政府間とは別の視点から、日本の国民が中国に抱いている懸念や懸案などを率直に話し合いたい」と述べた。
斉藤代表はその姿勢で、23日に行われた中国共産党序列4位の王滬寧全国政治協商会議主席(中国共産党政治局常務委員)との会談に臨み、日本周辺での軍事活動の活発化や邦人の拘束事案、日本産水産物の輸入規制などに関する国民の懸念を伝えた。
これに対し、王主席は「率直な意見交換を重ねていく対応の積み重ねで解決されていく」と応じた。対話による課題解決で一致できたことは成果である。
信頼醸成の拡大・深化は日中だけでなく、国際社会全体に求められている。自国中心主義が顕著な今、政府間だけでなく、「対話の経路」を活性化させる必要がある。
公明党は日中の協調を重視し、それをアジアと世界の平和・安定・繁栄の礎とする決意である。
本日、愛媛を訪問しました。
東京造形大学を卒業後、2年間、伊予郡双海町にあったアトリエに住み込みで弟子修行をさせていただいた彫刻家・堀内健二先生の松山市のご自宅にも寄らせてもらい、久しぶりに再会することができました。
アトリエ時代には、堀内先生のカナダでの個展に同行し、作品撮影をお手伝いさせていただいたほか、その後、香港、パリ、サンフランシスコ、トルーカ(メキシコ)、ホノルルにと国際美術展でもお世話になってきた恩師です。
夕日の美しい町として知られる双海町のアトリエでは、堀内先生の公共彫刻の石彫をはじめ、土佐(いの)和紙を使用した作品制作や作品集の作成を手伝いながら、多くを学ばせていただきました。また、先輩で彫刻家の野島泉里さんと一緒に、輝く瀬戸内海と夕日、満天の星を眺めながら過ごした日々が懐かしく思い出されます。
さらに、40度以上の高熱が続いた際には、先生のご自宅で静養させていただいたことも忘れられない思い出です。
堀内先生も奥様もお元気でいらっしゃり、とても嬉しかったです!
先生は5月に松山市の萬翆荘(ばんすいそう)で個展を予定されているとのことです。
萬翆荘は、大正11(1922)年に建てられたフランス風洋館で、国の重要文化財に指定されています。ぜひお立ち寄りください!
◆堀内健二 ”宇宙スケッチ展=宇宙に浮遊する生命=”
会期:2025年5月13日(火)~5月18日(日)
開館:11:00~18:00
※最終日は16:00まで
会場:萬翆荘(愛媛県松山市一番町3-3-7)
参院選党公認予定候補=比例区
原田大二郎さんはこんな人㊤
いのちを守る。未来をつくる。
公明新聞2025/04/27 中国版より
■岡山・倉敷市で生まれ育つ
1977年10月29日、岡山県倉敷市玉島で3人兄弟の次男として生まれた。両親は小さな整骨院を営んでいた。いつも一生懸命、目の前の一人のために行動する父と母の背中を見て育ち、人に尽くす生き方を学んだ。
小学生時代は、5年間にわたって地域の武道館で柔道に打ち込む。心身の鍛練を通じて“負けじ魂”を養った。
■いじめを乗り越えて
中学1年生の時、いじめに遭った。誰にも言えず、約半年にわたって悶々とした日々を送った。黒板に悪口を書かれたり、暴力を振るわれたりしたが、毅然とした態度を貫き、いじめを克服。「いじめは人として最低最悪の行為。人の苦しみや痛みが分かる人間でありたい」と心に刻んだ。「不正は絶対に許さない」。真っすぐな正義感は、このときに培われた。
中学3年間は軟式テニス部に所属し、青春の汗を流した。レギュラー選手ではなかったものの、誰よりも声を出してチームを盛り上げる“ムードメーカー”としてキラリと光る存在だった。
■「大二郎、医者になれ!」
医師を志したのは、今は亡き父の言葉がきっかけ。「大二郎、医者になれ。医者になれば、もっと多くの患者さんを診てあげられるんだ」。その父に大腸がんが見つかったのは、高校1年生の時だった。父の闘病を家族で支えた経験から、患者・家族に寄り添う医師の使命の大きさを知った。
進学した関西創価高校では、親元を離れて寮生活を経験。大阪へ送り出してくれた両親への感謝を片時も忘れず、学業に励んだ。多くの学友に恵まれ、同級生の中野洋昌国土交通相(公明党)らと共に黄金の青春時代を過ごした。
■愛媛大、岡山大院で学ぶ
1浪の末、愛媛大学医学部に進学。勉学はもちろん、大学祭の実行委員や家庭教師のアルバイトなど充実の学生生活を送った。当時住んでいた下宿先の大家さんの娘・康子さんは人生の伴侶に。
4年間の研修医生活を経て、2007年に岡山大学病院へ。1年間勤務した後、岡山大学大学院に進んだ。ここで後のキャリアを決定づける抗がん剤研究に没頭。がん薬物療法専門医の資格も取得した。
■がん医療のエキスパート
国会議員に現在1人もいない「がん薬物療法専門医」。2012年から四国がんセンターに勤務し、23年に呼吸器内科医長に。スタッフ一丸の“チーム医療”の要となり患者とその家族に寄り添ってきた。
一方、抗がん剤・治療法の開発へ臨床試験や治験にも励み、院内の若手で最優秀の表彰も受けた。権威ある国際的な医学誌に8本の論文が掲載されるなど、がん診療の進歩に大きく貢献した。
■家族、夢、そして未来…。
<家族>妻と1男、1女。そして愛犬・ジョニー(ビーグル犬)。
<趣味>歴史小説が大好き。愛読書は『蒼穹の昴』(浅田次郎著)。清朝末期の中国を舞台に、貧しい出自から立志した少年・春児の奮闘に涙した。
<尊敬する偉人>ナイチンゲール。患者の尊厳や人権を尊重し、医療、看護の発展へ彼女が残した大きな功績を仰ぐ。
<将来の夢>一家に1台のAIロボット「ホームドクター」!? 体温や血圧などのデータを基に、AIで疾病の早期発見や対処につなげる夢のロボットを「一日も早く皆さまの家庭に」と願う。
【略歴】党青年局次長。岡山県倉敷市生まれ、愛媛県松山市在住。関西創価高校、愛媛大学卒。岡山大学大学院博士課程修了。医学博士。がん薬物療法専門医。国立病院機構四国がんセンター元呼吸器内科医長。47歳。
【環境に配慮したZEB Ready認証取得の己斐公民館が開館式!】
本日、JR西広島駅北口側に移転整備された己斐公民館の開館記念式に来賓出席させていただきました。
式典では、テープカットにはじまり、松井一實市長が祝辞の挨拶や消防音楽隊による記念演奏が披露されました。中島みゆきの『糸』は、じわりと心に沁みる演奏でした。本日を迎えるまでご尽力くださった己斐公民館運営委員会をはじめ、関係者の皆さまに心から感謝を申し上げます。
新たな己斐公民館は、広島市議会で訴え続けてきた環境に配慮した建物としてZEB ReadyとBELSの認証を広島市の公民館で初取得を実現し、市有施設では、広島サッカースタジアム(エディオンピースウイング広島(EDION PEACE WING HIROSHIMA))のZEB Ready認証の取得に続いて、2施設目となります。
ZEBとは、Net Zero Energy Buildingの略称。快適な室内環境を実現しながら、省エネと創エネによって、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
その環境に配慮したZEBを実現するための「省エネ技術」とエネルギーを創りだす「創エネ技術」が必要ですが、省エネ技術には、「建物内の環境を適切に維持するために必要なエネルギー量(エネルギーの需要)を減らすための技術(パッシブ技術)」と「エネルギーを効率的に利用するための技術(アクティブ技術)」などが必要です。
新・己斐公民館の大きな特徴に、解放感のある吹き抜け空間とJR線路側の大きな窓ガラスがあり、光を取り込む大きな役割も果たしているわけですが、一方で夏期の暑い日射しはどうなるの?との課題を考えてしまいます。
己斐公民館では、その大きな窓ガラスに、断熱性能の高い複層ガラスが使用されており、さらに複層ガラスの中でも断熱性に優れた複層ガラスの内側表面に酸化スズや銀などの特殊な金属膜(Low-E膜)がコーティングされているタイプが採用されており、夏期は日射エネルギーを室外に反射させ、冬期には暖房熱を室内側に反射させる効果を発揮するとのことです。見た目には普通の窓ガラスです。
少し細かい話になりますが、己斐公民館全体の具体的なBELS環境評価結果は、設計値/基準値(MJ/㎡・年)で下記となります。
◆空気調和設備:332.20/668.48
◆機械換気設備:24.01/50.20
◆照明設備:87.02/357.44
◆給湯設備:31.91/12.57
◆昇降機:18.47/20.78
それら一次エネルギー消費量基準において494/1,110との数値により55%のエネルギー削減とのことで、評価されました。
下記は、広島市議会で一貫してZEB化の提案、推進を訴えてきた主な質疑です。これらの訴えを通じて広島市では、市有施設へのZEBの導入が推進されているところです。
■広島市議会・令和3年度予算特別委員会(総括質疑)「脱炭素社会に向けた公共施設におけるZEBの推進と己斐公民館建替えについて」(2021年3月17日)
■広島市議会・令和4年度予算特別委員会(総務関係)「己斐公民館の移転建替えについて」(2022年3月8日)
■広島市議会・令和6年度予算特別委員会(総括質疑」「市有施設におけるZEB化の推進について」(2024年3月15日)
引き続き、環境に配慮した取組は、時代の必須項目として、しっかりと推進して参ります。
土曜特集
「朝の小1の壁」どう乗り越える
登校時間より前に親が仕事へ。でも預け先がない……。/日本女子大学名誉教授 大沢真知子氏に聞く
公明新聞2025/04/26 4面より
保育所から小学校への就学に伴い、登校時間よりも早く出勤する親にとって子どもの居場所に困ってしまう――。そんな状況に直面し、仕事と子育ての両立が困難になる、いわゆる「朝の小1の壁」がある。現状と求められる対策は何か。労働経済学が専門で、経済変化が家族や女性に与える影響を研究してきた日本女子大学の大沢真知子名誉教授に聞いた。
■(現状)出勤に支障生じ働き方変更/子は生活激変、成長に影響か
――「朝の小1の壁」とは。
大沢真知子名誉教授 これまで「小1の壁」といえば、主に放課後の子どもの居場所問題が注目されてきたが、朝の居場所については見過ごされてきた。
未就学児は午前7時ごろから保育所などに預けられるが、小学校は登校時間が午前8時から8時半ごろになるため、30分から1時間程度の差が生じる。学童保育がカバーしていない朝の時間帯は、数十分の差が、働く親にとって出勤時間に関わる問題となる。
実際、小学生になったばかりの幼い子どもを自宅に残して出勤している状況や、親子一緒に家を出ても早く学校に着いてしまい、学校が開くまで校門の前で児童が待機する状況が発生している。
――どのような影響があるか。
大沢 フルタイム勤務から働き方の見直しを余儀なくされ、キャリアアップ断念や、状況によって仕事を続けられなくなる場合もある。正社員からパートに変更したり、フルリモートの企業に転職したりと、これまで積み上げてきたキャリアを手放す決断をする人もいる。企業側にとっても人的リソース(資源)の枯渇に陥るリスクがあり、マイナス面が大きい。
また、子どもにとっては生活習慣が激変し、環境の変化によるストレスを抱えやすい時期でもある。孤独感を抱いたり、コミュニケーション力が低下したりすることも懸念され、成長に影響を与える要因になりかねない。
――この現状をどう見ているか。
大沢 仕事と子育てを両立する世帯が増える時代にあって、目に見える形で“壁”となって現れた象徴的な現象だろう。少子化だけではなく、女性の社会進出にも関わる深刻な問題であり、まさに今、具体的な対応を考えるタイミングに来ている。
■(背景と原因)出産後のキャリア継続増加/一方、企業の理解はまだ不足
――問題の背景と原因は。
大沢 女性の働き方による社会構造の変化が挙げられる。従来は妊娠、出産を機に仕事を諦める人が多く、特に30代女性の労働力人口の割合が下がる傾向にあった。
しかし、1997年に共働き世帯が専業主婦世帯を逆転して以降、2024年には共働き世帯が1300万世帯に上り、専業主婦世帯の2・5倍以上に達した。コロナ禍後には、出産後も子どもを保育所に預けながらキャリアを継続する女性が増えており、働く女性の意識も変わってきている。
――ほかには。
大沢 子育て世代を雇う企業側の理解不足もある。女性活躍に伴い、男性の育児参加が進みつつあるが、今でも日本社会は「男性は仕事、女性は家庭」といったジェンダーバイアス(性別による偏見や固定観念)に無意識に陥りがちだ。結局のところ、子育ては女性に依存してしまう。
今年4月から、子育てと仕事の両立に向けた国の支援が段階的に強化され、制度も充実していく。こうした時代の変化を先取りし、従業員のニーズに合った制度を積極的に取り入れていくべきだ。ただし、単に制度を並べればよいわけでもない。労働者は将来の昇進への影響や収入減、あるいは周囲への負担増を気にしたりして制度利用をちゅうちょする傾向がある。従業員のニーズに合わせて職場環境そのものを整えていく必要がある。
フィンランドなどの北欧では、労働時間や働く場所を個人の状況に合わせて柔軟に調整できる時差出勤制度やフレックスタイム制度が広く浸透している。社会に、よりよく生きるために仕事をするとの考え方があり、企業は従業員が仕事と家庭を両立できる働き方を提供することは当たり前と考えられているので、そもそも「小1の壁」のような問題は起きていない。
■(対策)社会で子育て支える体制を/定時出勤見直す選択も必要
――望まれる対策は。
大沢 都市部では親戚や親が近くにおらず、夫婦だけで子育てをしている人が多い中で、地域と自治体、そして企業が連携して、社会全体で子育てを支え合う仕組みを整えることが重要だ。
大阪府豊中市では、全ての公立小学校に民間の見守り支援員を配置し、開門時間を1時間早めて、登校時間前に体育館などで子どもを預かる取り組みを始めた。こうした先進事例が広がることが望まれる。とはいうものの、多くの自治体では、運用財源の確保が難しい。「小1の壁」を社会問題と認識し、国がリーダーシップを取って、柔軟で幅広い取り組みが必要だ。
――企業側の努力も求められる。
大沢 優秀な人材を確保する上でも、企業側は従業員が抱えるさまざまな事情に配慮し、定時出勤を見直すことや、長時間労働を改善するなど働き方の選択肢を増やし、柔軟に手を打つ必要がある。それが子育てと仕事の両立を後押しし、企業の成長だけでなく、従業員の生産性向上にもつながる。
10月からは改正育児・介護休業法の施行に伴い、時短勤務の対象が3歳未満から就学前までに拡充される。それに合わせて働き方改革も実施すれば「小1の壁」解消への道筋が開けるのではないか。
おおさわ・まちこ 米南イリノイ大学大学院経済研究科博士課程修了。Ph.D.(経済学)。米ミシガン大学ディアボーン校助教授、亜細亜大学教授、日本女子大学教授などを歴任。著書に『「助けて」と言える社会へ 性暴力と男女不平等社会』(西日本出版社)ほか多数。
■居場所把握へ初の実態調査
こども家庭庁は、小学生の朝の居場所の状況を把握するため、昨年9月から10月にかけて全国1741市区町村に対し、初の実態調査を実施した。
回答した1017自治体のうち、朝の居場所確保に向けた施策に「取り組んでいる」のは14、「検討中」は17と、計31自治体で全体の約3%にとどまった。「実施していない」理由として、居場所運営には人材確保が課題に挙がった。
同庁は調査結果から「適切な支援につなげる必要がある」として、今年3月31日に全国の自治体に対し、地域の実情に応じて対策を進めるよう通知を発出した。
■東京23区初、豊島で朝夕の見守り事業/公明が対策をリード
東京都豊島区は4月から、「小1の壁」対策として全22の区立小学校で、朝と放課後の見守りサービスを本格実施している。東京23区では初めての取り組みとなる。
「おはようクラス」(朝の預かり)では、学童クラブ在籍の小学1年生を対象に、登校時間前の午前7時45分から校舎内で過ごすことが可能だ。
「おかえりサポート」(夕方の見送り)では、午後4時から6時までの間、シルバー人材センターの会員が児童に付き添い、暗い道や交通量の多い通学路を、安全が確保できる地点まで見送る。
同事業の実現を巡っては、公明党の谷きみよ都本部女性局次長(都議選予定候補=豊島区)が、登校時間前に校門の前で待っていた児童の声を聴き、党区議団との連携で区に対策を要望していた。
「小1の壁」対策を進める区立小学校を視察する谷氏(右から3人目)=東京・豊島区









