公明党
広島市議会議員(西区)
田中まさる

主張 AI兵器 禁止対象の国際合意形成を急げ 公明新聞2025/03/13 2面より

未分類 / 2025年3月13日

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主張
AI兵器
禁止対象の国際合意形成を急げ
公明新聞2025/03/13 2面より

 人工知能(AI)などの新興技術を組み込んだ兵器が自ら標的を選択し、攻撃する「自律型致死兵器システム」(LAWS)は、どのような場合に開発や使用が禁止されるべきなのか。

 この点に踏み込む議論が、3日から7日までスイスのジュネーブで開かれた特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の政府専門家会合(GGE)で行われたことは重要だ。CCWは日本など127カ国が締約国で、GGEはLAWSに関する国際ルール作りに向けた交渉の舞台である。

 LAWSは実用化されていないが、戦闘員と民間人を区別しない無差別攻撃などを禁じた国際人道法をAIが守れるかどうか懸念されている。国連のグテレス事務総長は「人間の制御と監視なしで機能し、国際人道法を順守できないLAWSを禁止する」条約の来年までの成立を各国に求めており、GGEでの合意形成を急がねばならない。

 今回のGGEでは「致死」の解釈が議論の焦点の一つとなった。ロシアはLAWSを「人を殺す兵器に絞るべきだ」と主張した。だがそれでは、民間人を負傷させたり、電力施設などの民生用インフラを破壊したりする攻撃が可能なLAWS開発が許容される。このロシアの主張に多くの国が反論したのは当然だ。

 また、今回のGGEではLAWSを禁止する場合の文言案も示された。例えば「状況に応じた適切な人間の管理や判断がなく機能するLAWSは禁止されるべきである」とした。

 こうした案が示された背景に、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区などへの攻撃で利用しているという、AIが攻撃すべき標的の候補やその居場所を素早く提示するシステムへの疑念がある。このシステムは民間人も標的の候補にしていると疑われている。そうであるなら、AIの判断をそのまま人間が承認するだけでは、人間の関与は「名ばかり」になる。

 国際人道法の順守には、人間が時間をかけて慎重に状況を見極めた上で判断するということが不可欠だ。