本日、公明党の斉藤てつお代表らと共に首相官邸を訪問し、石破茂総理大臣とお会いし、「被爆80年を目前にした緊急要請」を行いました。(下記、要請文)
石破総理は、要請に対して、12月10日にノルウェーのオスロで開催されるノーベル平和賞の授賞式等で、日本被団協の皆様がお困りにならないようサポートさせていただきたいとのことを述べました。
そして、来年3月の核兵器禁止条約締約国会議に日本政府がオブザーバーとして参加することへの要請について石破総理は、ドイツのオブザーバー参加の例に触れ、「どのような議論で参加に至ったのか、今どのような議論を行っているか、検証する必要がある」と述べられました。
私から少しお話しさせていただく時間をもらえ、次のようなことを語らせていただきました。
国家議員の方で、80分かけてじっくり館長の説明に耳を傾けてくださったのは、石破議員が初めてで、軍はどの段階で救援に入りましたかなどたくさんのご質問をされる中で、本館最後の写真のところに着くと、一番に本館の「最初にあった方ですね」と言われ、その方(藤井幸子(ゆきこ)さん)は42歳で亡くなられ、子どもさんがいることをお伝えすると、「現在どうされていますか」と、寄り添うように仰られたことが、とても印象的だったことをお伝えし、その後、原爆死没者慰霊碑へ向かう中で、「核兵器そのものを無くさなければならない」と仰った言葉が心の残っていることをお話しいたしました。
そして、私の父は4歳のとき、8月6日の朝、家の前で、セミを採っていたそうで、その時、凄まじい爆風と閃光を浴びて飛ばされ、被爆をしたこと。
更に、私は被爆二世の一人として、また、今回、日本被団協がノーベル平和賞の受賞決定をいたしましたが、その起源である広島県被団協の地域組織である「広島市原爆被害者の会」の一会員としても、4歳のセミを採っていた子どもが被爆し、80年もの人生を不安と苦しみを背負って生きて行かなければならないという、非人道極まりない核兵器を廃絶しなければならないことを語らせていただきました。
そして、公明党は、小さな声を聴くことに尽力して参りましたが、最も苦しんできた声に耳を傾け政策を前に進めてきたことなどを語りました。
最後に、会見の部屋に大きな『朝富士』の絵画が飾られていたので、総理になられ、富士山の山頂で、烈風に一人立たれておられるようなお立場だと思いますが、どうか、今、このときに、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加を英断いただけますよう、お願いいたしますとお伝えいたしました。
石破総理は、数知れない方々とお会いする立場の方ですが、昨年9月に広島平和記念資料館をご案内させていただき、更に10月に街頭演説でもお会いしたことを総理から仰られ、資料館での見学について、「本当は、丸一日見ないといけないと思いました。」と語られました。また、「資料館の見学では、欧米の方が多く、あまりのショックでしゃがんで座り込んでいる方がおられました。」とも語られ、田中角栄氏から教えていただいてきたこと、そして、少年時代に戦争の記録映画をみんなで鑑賞したときに、核兵器を廃絶しなければと誓ったことや相互確証破壊についてなど語られました。
平和への取組を、弛みなく進めて参ります。
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令和6年11月27日
内閣総理大臣
石破 茂 殿
被爆80年を目前にした緊急要請
公明党代表 斉藤 鉄夫
公明党核廃絶推進委員長 谷合 正明
公明党青年委員長 杉 久武
核兵器をめぐる状況がかつてないほどに緊迫している。ロシアはウクライナ侵略を開始して以降、戦略核戦力の演習を実施するなど、核による威嚇をエスカレートさせてきたが、先週19日に核ドクトリンを改定し、核兵器使用基準の引き下げに踏み込んだ。北朝鮮も「核戦力強化路線を絶対に変えない」と公言するとおり、近日中に7回目の核実験を強行するとの憶測が絶えない。
このような中、ノルウェー・ノーベル委員会は2024年のノーベル平和賞を「日本被団協」に授与することを決定した。受賞理由にある「核のタブーの確立に多大な貢献をした」ことへの言及には、核の不使用の継続に対する深刻な危機感が表れている。
間もなく迎える被爆80年は、ヒバクシャからの証言を直接聞くことができる時間が残り僅かであることを意味するとともに、核兵器は二度と使われてはならないという規範を守るための正念場となる。
公明党はこの期を捉えて、日本政府・外務省に以下の項目に取り組むことを強く要請する。
記
一、12月10日に開催される授賞式や翌日の受賞記念フォーラムには、日本被団協の代表団約30名が、またそれ以外の会員も数十名規模でノルウェー・オスロを訪問する予定である。これまで世界中で被爆体験を伝えてきたヒバクシャの皆様が、現地で滞りなく活動を行えるよう、滞在先や移動の安全の確保、通訳の提供などについて、日本政府として最大限の支援を行うこと。
二、受賞後、日本被団協の代表団を官邸に招き、その功績を称えること。
三、米国のトランプ次期大統領には、核の実相に触れるべく、就任後のしかるべきタイミングで広島、長崎への訪問を要請すること。
四、2025年3月3日から7日にニューヨーク国連本部で開催される核兵器禁止条約第3回締約国会議にオブザーバー参加し、核兵器国と非核兵器国の間の橋渡しに向けた貢献を行うこと。またその際、以下の事項について積極的な役割を果たすこと。
(ア) 被爆の実相を通して核兵器の非人道性の共有
(イ) 核被害者援助・環境修復に関する貢献
(ウ) 核軍縮の検証に関する貢献
以上