「政治資金規正法」改正 識者が語る ここがポイント 公明 新聞2024/06/30 1面より
「政治資金規正法」改正 識者が語る ここがポイント
信頼回復のスタートラインに
西澤真理子・リテラジャパン代表取締役
公明新聞2024/06/30 1面より
■「連座制」の強化
政治資金収支報告書に関する「確認書」提出を政治団体代表者(議員)に義務付けます。会計責任者が不記載などで処罰された場合、確認を怠ったりした議員は罰金刑が科され、公民権停止に。公明党は2009年に同趣旨の法案を国会提出しました。
<識者の見解>
これまでの政治とカネを巡る問題では、会計責任者である秘書に責任を転嫁する議員が見受けられました。しかし、こうした言動は一般人に納得できるものではなく、政治不信しか生み出してきませんでした。
今回の法改正で、議員も連帯して責任を負う、いわゆる「連座制」の強化が図られたことで、今後、「秘書がやった」は許されなくなりました。政治の信頼を取り戻すためのスタートラインに、ようやく立つ環境が整えられたといえます。今後、議員は、より詳しい説明責任が問われます。公明党は、とても評価できる主張を法律に盛り込ませたと思います。
民主主義は、プロセス(過程)が非常に重要です。政治資金を、誰からどれだけ集めたのか透明性を高めるとともに、何に使ったのかをしっかり公開することは、政策決定のプロセスを明らかにするものであり、国民が政治の行方を判断する材料となります。改正法の施行までには、具体的に詰めなければならない課題もあり、“抜け道”となる曖昧な部分を残さないようにしてほしい。
私は危機管理の研究者として、日本の人口減少や若者の海外流出などを憂慮しています。政治の信頼を回復し、こうした対策に早急に手を打つべきです。
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透明性高め、問題解決に期待
飯尾潤・政策研究大学院大学教授
■第三者機関の設置
政策活動費などを監査する第三者機関を改正法施行日の2026年1月1日に設置することをめざします。自民の当初法案では、第三者機関の設置は検討項目でしたが、5月末の自公党首会談を受け、公明党の主張通り、設置が明記されました。
<識者の見解>
政治資金規正法の歴史の中でも、今国会での法改正は、かなり大きな進展だったと評価しています。
特に重要なポイントは、政策活動費の透明化に向けて、第三者機関を設置する方向性が示されたことです。従来は、何か政治資金を巡る問題があっても、監督機関がないために検察の捜査・刑事処分に委ねるしか“浄化作用”は期待できませんでした。監査する機関を設置することで、透明性を向上させ、問題の解決に動き出すと考えています。そのためにも第三者機関は、政治資金に関する独立性を確保した組織にすることが大切です。
一方、設置については組織構成や権限などの制度設計をはじめ、検討事項が多く残っています。実効性の伴う組織を構築するためには、さまざまな意見の集約が必要で、時間がかかります。議論を急がなければなりません。
政治資金は、全ての政党に関わる政治活動の基盤です。政治家は使途をもっと広く有権者に説明しなければなりません。党内に改正法の具体策を着実に実施していくためのプロジェクトチームを立ち上げた公明党には、自民党や野党との合意形成を図りながら、国民に納得してもらえる第三者機関の設置に貢献していくことを期待します。
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清潔な公明らしい主張実る
藪野祐三・九州大学名誉教授
■パーティー券公開基準「5万円超」に引き下げ
パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から、寄付と同じ「5万円超」へ引き下げました。公明党が一貫して訴え、5月末の自公党首会談を経て、自民の当初法案の「10万円超」を修正させました。支払いも口座振り込みに限定します。
<識者の見解>
これまで政治資金パーティー券購入者の公開基準額は20万円超と、匿名性が高いものでした。法改正により基準額が5万円超に引き下げられ、透明性が一定程度高まったことは一歩前進であり、妥当といえます。
もともと、年間5万円を超える個人献金の寄付者については政治資金収支報告書に記載するよう義務付けられており、これと基準を同一に扱うのは説明がつきます。“清潔な政治”をめざす公明党らしい主張が実った結果だと思います。
多くの有権者に選ばれて当選した国会議員は、国民を代表する存在です。そのため、政治資金規正法では、適切に記載さえすれば、資金を自由に使うことが保障されています。だからこそ、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題は、この政治家に対する基本的な信頼を裏切った許されない行為です。国会議員には、有権者の負託に応える自覚を持って政治資金を扱う姿勢が、さらに必要です。
その点、公明党はお金にクリーンな政党であり、政策活動費も支給していません。一連の問題を巡る公明党の動きは妥当であったと評価できます。
第三者機関のあり方などの課題も残されています。公明党には与党として、今まで以上に強く議論をリードしてもらいたいです。