きょう「肝炎デー」 ウイルス検査は命守る第一歩 国民の4 割が未受診/感染放置で肝がんへの悪化も 公明新聞2023/07/28 3面 より
きょう「肝炎デー」
ウイルス検査は命守る第一歩
国民の4割が未受診/感染放置で肝がんへの悪化も
公明新聞2023/07/28 3面より
きょう28日は、ウイルス性肝炎の予防や検査、治療に関する正しい理解が進むように普及・啓発することを定めた「世界・日本肝炎デー」。同肝炎の対策で重要なのが、命を守る第一歩となるウイルス検査を多くの人が受け、早期発見・治療による重症化防止につなげていくことだ。国などは検査の受診促進に力を入れている。
■無自覚のまま進行
「肝臓は“沈黙の臓器”と言われるように、病気になっても症状がなかなか出てこない。肝炎ウイルスに感染していたら、無自覚のまま病状が進行し、気が付いた時には肝硬変や肝がんへと重症化してしまう可能性が非常に高い」
日本肝臓病患者団体協議会が23日に都内で開いたフォーラムで、こう警鐘を鳴らしたのはフリーアナウンサーの徳光和夫氏。肝炎の正しい知識の普及を目的とする厚生労働省の「知って、肝炎プロジェクト」で肝炎対策広報大使を務めている。
2015年現在、国内の肝炎ウイルス保持者は、約200万~250万人と推計されている。同ウイルスに感染しているか否かは血液検査で簡単に調べられ、受診費用を無料にする公費助成を行う自治体も多い。しかし、国の調査によると3~4割の人は「きっかけがなかった」などの理由でウイルス検査を受けた経験がない。
こうした現状を踏まえ徳光氏は「人生一度の検査で安心がもたらされる。まだ自分は若いから大丈夫などと思わず、検査を受けていただきたい」と呼び掛けていた。
■肝がん死亡率低下
厚労省は、10年に施行された肝炎対策基本法を基にして11年に対策の指針を策定。①医療費助成②肝炎ウイルス検査の促進③医療提供体制の整備④国民に対する正しい知識の普及⑤研究の推進――を肝炎総合対策の5本柱として推進してきた。
これらが奏功し、肝がんの75歳未満年齢調整死亡率は13年度が人口10万人当たり6人だったのに対し、21年度は同3・7人まで激減した。ウイルス検査の陽性率は11年度にB型で0・87%、C型で0・6%だったが、20年度は同0・53%、0・23%と減少傾向にある。
厚労省肝炎対策推進室の担当者は「今後もウイルス検査の理解を広げるとともに、検査で陽性と診断された人を治療につなげるフォローアップを推進していく」と話していた。
■公明、一貫して対策推進
公明党は、肝炎対策基本法の成立を推進するなど、肝炎の感染防止や治療推進に一貫して取り組んできた。その後も0歳児へのB型肝炎ワクチンの定期接種化(16年)などを実現。今年3月には、経団連といった事業主団体などに対して職域でのウイルス性肝炎対策を要請する厚労省の通知の発出を推進した。
現在も患者会の要望を受け、B型・C型肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変患者の医療費を助成する制度の改善に取り組んでいる。
■早期発見・治療が重要/国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長 考藤達哉氏
肝炎ウイルス検査で陽性だったとしても早い段階で治療につなげられれば、肝硬変や肝がんへの悪化を予防することができる。早期発見・早期治療がとても重要だ。
肝炎の治療方法は大きく進歩している。C型肝炎では約95%の人が完治する飲み薬が供給されており、従来は約1年かかっていた治療期間は8~12週に短縮され、副作用も非常に少なくなった。B型肝炎でも、飲み薬が改良され、ウイルスを抑える力が非常に強くなったり、副作用が少なくなったりしている。
日本は、肝炎治療費の助成制度が充実しているので、安心して治療を受けられる。ただ、せっかく制度があるにもかかわらず、十分に利用されていない状況があるのは大きな課題だ。政府は、国民に対する周知啓発に加えて、地域のかかりつけ医に対しても、肝炎ウイルスの保持者を専門治療につなげるように促すことを推進してもらいたい。
◆メモ
ウイルス性肝炎
肝炎ウイルスの感染によって肝細胞が破壊されていく病気。国内の肝臓病の約8割を占め、大半は主に血液や体液を介して感染するB型・C型肝炎。倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸などの症状が出るが、全く自覚症状が出ないこともある。
