気になる!ニュース 核禁条約締約国会議と非人道性会議が開催(公明新聞2022/06/19 3面より)
核兵器を違法化し、その存在を根底から否定する核兵器禁止条約(核禁条約)の第1回締約国会議が21日から23日まで、オーストリアのウィーンで開かれる。これに先立ち、核兵器の使用がもたらす健康被害や環境破壊などの影響について、科学的見地に基づいた議論を進めることを目的とする第4回「核兵器の人道的影響に関する会議」(非人道性会議)も、20日にウィーンで開催される。これらの会議に、日本政府と公明党がどのように関わろうとしているのかまとめた。
■(締約国会議)放射能汚染の被害者援助や環境回復が議題の一つに
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が13日に公表した年次報告書(2022年鑑)によると、今年1月の時点で、核兵器保有各国がミサイルに搭載するなどした配備済みの核弾頭と、ミサイルへの搭載などはまだだが、配備可能な状態で保管している核弾頭を合わせた核弾頭の備蓄総数は9440発に上る。
一方、老朽化し、いずれ廃棄される「廃棄待ち」の核弾頭も含む核弾頭保有総数は1万2705発になる【表参照】。
核弾頭保有総数は昨年に比べ、減っているものの、ロシアによるウクライナへの侵略を受け、核兵器が使用される危険性が高まっており、核兵器保有各国は今後、核弾頭を増やす方針に転じる恐れがあるとSIPRIは指摘している。
「核兵器のない世界」への道のりは遠いが、その「出口に当たる」(岸田文雄首相)と期待されているのが核禁条約である。
公明党は、核禁条約について、長年にわたり被爆の実相を語り継いできた「ヒバクシャ」の強い思いの結晶であり、核兵器の開発や実験、保有、使用などを全面的に禁止した画期的な国際法規範であると高く評価している。
また、公明党は、最終的に日本が核禁条約を批准できるよう、環境を整えていくべきだと政府に訴えるとともに、締約国会議へのオブザーバー(議決権のない参加国)としての参加を求めている。
核禁条約の締約国は現在62カ国を数える。核兵器保有国に加え、保有国と同盟関係にある日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などは同条約に参加していない。ただ、締約国会議には、非締約国もオブザーバーとして参加するよう招請される。
核禁条約は、核兵器の使用や実験の被害者に対する援助に加え、放射能で汚染されるなどした地域の環境を回復することも締約国に義務付けており、第1回締約国会議でも議題の一つとなる見通しだ。
この点、唯一の戦争被爆国である日本は被爆者支援の長年の実績があり、締約国会議への日本のオブザーバーとしての参加を望む国は多い。
残念ながら、日本は、第1回締約国会議に政府代表団を派遣しないと決めた。ただ、同会議に参加する、核兵器廃絶を求める学生団体「KNOW NUKES TOKYO」(ノウ・ニュークス・トウキョウ)のメンバーらを、外務省の「ユース非核特使」に任命した。
■(非人道性会議)被爆者含む政府代表団派遣
一方、非人道性会議に、日本は政府代表団を派遣する。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の木戸季市事務局長と、長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長の被爆者2人も代表団に加わる。
3日の参院予算委員会で、公明党の、あきの公造氏が非人道性会議への日本の参加を強く促したのに対し、岸田首相は「わが国としても参加する」と明言していた。
非人道性会議は13年に、核軍縮の停滞に業を煮やしたオーストリアやスイス、メキシコなどの国々が中心になって第1回をノルウェーで開催した。14年までに3回開かれ、核禁条約の成立に向けた交渉の土台を築いた。日本もこれまで、被爆者を含む政府代表団を非人道性会議に派遣しており、核兵器の使用がもたらす深刻な被害を、身をもって訴えた被爆者の証言は議論の根幹をなした。非人道性会議は今回、8年ぶり4回目の開催となる。
■公明党の浜田氏が両会議に出席
公明党の山口那津男代表が先月18日、岸田首相に手渡した緊急提言でも、第4回非人道性会議に被爆者を含む政府代表団の派遣を訴えるとともに、第5回を、8月6日の広島の平和記念式典と、同9日の長崎の平和祈念式典に併せて開催するよう要請している。
また、公明党は核禁条約第1回締約国会議の開催地であるウィーンに、核廃絶推進委員会の浜田昌良委員長(参院議員)を派遣する。浜田委員長は、同会議に個人としてオブザーバー参加するほか、▽同会議に伴う国会議員会議▽国際非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が主催する市民社会フォーラム▽非人道性会議――にも出席する。