#コロナウイルス、#後遺症 の仕組み 脳など臓器に侵入し障害 慢性的な炎症、神経傷つけ多様な症状/長崎大学大学院・迎寛教 授の講演から
#コロナウイルス、#後遺症 の仕組み 脳など臓器に侵入し障害 慢性的な炎症、神経傷つけ多様な症状/長崎大学大学院・迎寛教授の講演から(公明新聞2022/04/25 2面より)
体のだるさや息切れ、嗅覚・味覚障害など症状が多岐にわたる新型コロナウイルス感染症の後遺症。現状で定まった定義はなく、感染後から継続する症状のほか、新たに現れる症状も見られている。4月13日に開かれた公明党の会合で長崎大学大学院の迎寛教授(呼吸器内科)が講演した内容から、後遺症の仕組みや対策についてまとめた。
後遺症を引き起こす原因は▽ウイルスそのものによる各臓器への長期的な障害▽体を守る免疫の調節不全と炎症の進行▽感染によって血が固まりやすい状態となることや、血の塊が血管をふさぐ血栓症の影響▽集中治療室(ICU)の退室後に生じる集中治療後症候群――などが挙げられる。
【ウイルス侵入】呼吸器感染症は、気道にある細胞表面の受容体にウイルスが結合して人体に侵入し、感染することで発症する。その上で、コロナが結合する受容体「ACE2」は肺や心臓、脳、胃腸、血管など多くの臓器に存在しており、コロナ特有のタンパク質が各臓器から検出されている。各臓器に侵入したウイルスの慢性的な直接攻撃が、後遺症を引き起こすのではないか。
なお、季節性インフルエンザのウイルスが結合する受容体は気道に存在するが、肺に侵入することはまれで、この点がコロナと大きく異なる。
【免疫の働き】生体防御の反応として、ウイルスに応答して「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質が細胞から産生され、炎症が引き起こされる。コロナでは、感染後も長時間持続して産生されることが確認されており、慢性的な炎症やサイトカインの過剰な産生によって、多様な症状が持続すると考えられる。
長期間の生体防御反応は、神経も傷つけている可能性がある。現在、後遺症で最も問題なのは脳神経系への影響で、多彩な症状が出る原因の一つでもある。慢性的な脳内の炎症により、自律神経障害や一部の認知機能障害が生じる。
疲労感やだるさも、中枢神経や末梢神経などの慢性的な炎症で、脳からの信号が筋肉に伝わりにくくなっていることが原因ではないか。一方、不安や焦燥感、抑うつなど心理的な要因が背景に存在していることもある。
【血栓症の影響】感染により血が固まりやすい状態が続き、血栓症リスクが高まることは、よく知られている。血が固まりやすい状態は肺塞栓や脳梗塞の要因になる。各臓器に微小な血栓が生じれば、多様な症状が引き起こされる。
【集中治療後症候群】コロナに限らないが、ICUから退室した後に身体、認知、精神の各障害が起こることが多い。集中治療後症候群と呼ばれるが、病床に長く寝ていれば筋力は低下し、治療室の孤独な状況がストレスを生む。
【治療と対策】呼吸器症状には、禁煙などで肺への刺激を避けることや、呼吸器リハビリテーションなどが推奨されているが、確立された治療はない。肺が硬くなる線維化を起こす一部の患者には、抗線維化薬が有効との報告がある。
心血管系は症状に応じた対症療法を行う。精神・神経関連の症状を訴える患者への有効な治療はエビデンス(科学的根拠)が乏しく、患者の不安や苦痛を傾聴して、共感することが重要だ。
国や地域、流行中の株によって症状なども変化する可能性がある。多彩な症状が現れるため、コロナ診療に当たる呼吸器や感染症の専門医だけでなく、精神科医など幅広い診療科で対応する必要がある。
かかりつけ医や地域の総合病院、大学病院などが連携した診療体制の構築が求められる。
