「新型コロナワクチン接種 未曽有の大事業開始へ 国と自治 体の連携がカギ」(公明新聞2021/01/31 1面より)
「新型コロナワクチン接種 未曽有の大事業開始へ 国と自治体の連携がカギ」(公明新聞2021/01/31 1面より)
新型コロナウイルス感染の収束のカギを握るワクチン。これを希望する全国民に接種するという未曽有の大事業が2月下旬から始まります。27日に川崎市で行われた集団接種に向けた会場運営訓練の様子を取材するとともに、今後の流れをまとめました。
■川崎市で模擬訓練、会場運営の課題検証
全国で体制づくりが模索される新型コロナワクチンの集団接種は、前例のない“大規模事業”。国と自治体の密接な連携が成功のカギを握ります。今回の訓練は、厚生労働省と川崎市が共同で実施。訓練で得られた知見を全国の市区町村に提供し、活用してもらう狙いがあります。
会場は多くの自治体が参考にできるよう、バスケットコート1面分の標準的な広さの体育館を使用しました。体制は、医師3人と看護師5人、事務・誘導係のスタッフ16人を合わせた総勢24人。看護師は2人が注射を打つ係、3人が注射液の準備、救護室の対応、接種後の経過観察を担当しました。
「体調は、いかがですか。不安はありませんか」。訓練では、接種希望者の役を務めた20人の動きを通し、①受付②検温・予診票の記入③医師による問診④接種⑤接種済み証の交付⑥体調に変化がないか15~30分の経過観察――の一連の流れを確認しました。
受付から接種済み証の交付までの所要時間は、1人当たり13~26分。問診の際に「腰が痛い」「アレルギー反応が心配」といった健康上の相談が長引いて目詰まりが起きる場面もあり、市健康福祉局の坂元昇医務監は「問診とは別に、さまざまな質問に対応する相談コーナーが必要ではないか」と指摘しました。
会場の感染防止対策については、アクリル板など大がかりな設備は使用せず、窓を開け放ち、椅子の間隔を1.5メートルに保つことで対応。体温計や椅子、筆記具などは、接種希望者が使い終わるたびにスタッフが消毒しました。
訓練後、市保健所の田崎薫所長は「課題も見えたが、大きな混乱はなかった」とし、今回の人員と会場の規模で、1時間当たり30人への接種が可能との見解を示しました。
また、市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「焦らず、落ち着いてやることが最も安全性が高まる方法だ」と強調。集団接種の効率化だけに注力することのないよう指摘しました。
厚労省は近く、訓練の模様を動画にまとめ、自治体に情報提供するとしています。
■プロジェクト成功に全力/ワクチン接種担当副大臣、厚生労働副大臣・山本博司氏(公明党)
前代未聞の国家プロジェクトの担当となり、その重責に身が引き締まる思いです。
今回、初の集団接種訓練が川崎市で行われ、一連の流れを確認しましたが、会場の設営や人員の確保など体制整備の課題が明らかとなったことは非常に有意義でした。
今後の大きな課題は、地域の実情に応じた接種体制づくりです。大都市と地方都市、そして過疎地や離島では全く状況が異なるため、それぞれの特性に応じた、きめ細かな対応が必要となります。
それらを吸い上げ、国に届けていけるのが、地域に根差し、全国に地方議員のネットワークを持つ公明党です。既に数々の相談や要望が寄せられていますが、党ワクチン接種対策本部とも連携し、断じてやり遂げていきます。
ワクチンは新型コロナを克服する大きな希望です。全ての地域で円滑にワクチンが接種できるよう全力で働いてまいります。
■2月下旬、まず医療従事者から
政府はワクチン接種を、2月下旬に開始できるよう準備を進めています。
接種は①医療従事者向け先行接種(約1万~2万人)②医療従事者向け優先接種(約400万人)③65歳以上の高齢者(約3600万人)④その他の人(がんや慢性の心臓病、糖尿病といった基礎疾患のある人などを優先)―の順番で進められます【表参照】。
①は2月下旬までに接種開始の予定で、②は都道府県が接種体制を調整し、3月中旬の開始をめざします。③と④は市区町村が主体となって接種券などを発行し、券が届いた人から受けることができます。65歳以上の高齢者や、その他の人は最短で4月1日以降になる見込みです。
■公明が対策本部
公明党は今月20日、石井啓一幹事長を本部長とする「新型コロナウイルスワクチン接種対策本部」を設置しました。各都道府県本部にも対策本部を設置し、円滑な接種実施を後押ししていきます。