公明党
広島市議会議員(西区)
田中まさる

德山詳直先生

未分類 / 2020年10月31日

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10月27日は、吉田松陰の命日であり、教員を務めさせていただいてきた京都芸術大学(京都造形芸術大学)の創立記念日である。なぜ、この日が創立記念日なのか、大学の創立者、德山詳直先生の深い理想と魂が込められている。德山先生は、私の人生に強烈なインパクトを与えてくださった大切な恩師のおひとりで、有難いことに御生前、姉妹校の東北芸術工科大学で一対一の個人講義を賜った。早いもので、德山先生が天寿を全うされてから今月10月20日で七回忌となった。

德山先生は、同志社大学の学生時代、朝鮮動乱に抗議する運動で、7回の逮捕・拘留。拘置中に隠岐の島の母から手紙が届き、学問のために京へやったのに何をやっているのかと叱られると思っていたが、その母からは、仲間だけは裏切ってはいけないことと信念を貫けと、奈良本辰也著の『吉田松陰』の本が差し入れられた。德山先生は、吉田松陰の信念を受け継ぎ、「藝術立国」という芸術の力をもって、平和を希求する芸術教育に生涯捧げることを誓い大学を設立した。いま大学のキャンパスがある京都の瓜生山は、逮捕・拘留から出所した時に、仲間から「裏切ってないか」と査問にあった竹やぶの場所である。(もちろん、仲間を裏切ることはなく、口を割らなかったので何度も逮捕される)

德山先生の平和を希求する芸術大学の理想に共感されたのが、世界を代表する現代美術家の宮島達男氏であった。世界アーティストサミットを日本で初開催し、大学の理念を具体的に学生に伝えなければと「芸術平和学」との講義を、東北芸術工科大学に世界で初めて立ち上げられたのも宮島氏であり、そこに講師と呼んでいただいたことがきっかけで、德山先生のことを知ることとなった。その宮島氏を厚く信頼され、德山先生は、「おれは、あいつ(宮島氏)と腕を組んで、一緒に墓場までいってもいいと思っている」とも語られていた。

德山先生に初めて一対一でお会いしたときに、最初にお話しくださったことが「あのな、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』という言葉を知っているか」と。「真面目過ぎるものあかんねん」と語ってくださったことが今も耳朶に残っている。その後、德山先生を敬愛されていた大学の上司に、そのときのことを話したことがあり、「バカ!それは真面目で行け!ということだ。言葉の裏を読め!」と、言葉の行間を読むことを常に教えてくださった。

德山先生からの個人授業では、新島襄のこと、吉田松陰のことを教わり、「吉田松陰はな、斬首となるときに、自分の首を切る者に後ろを振り向いて『御苦労様』と言って、くっと自分で首を下げたんだぞ。周りで見ていたものが書き残しているから本当なんだぞ。できることではないぞ。」と。また、「お前は、少年のような眼をしているな」と言われ、「苦労が足りないんです」と申し上げたことが、忘れられない。また、福島の放射能汚染をテーマに描いた大きな作品をご覧いただいたことも有難い思い出である。また、京都芸術大学の学長である元京都大学総長の尾池和夫先生との出会いをはじめ、德山先生のおかげで宝の出会いを国内外で多くいただいてきたことに感謝の思いが尽きることがない。

瓜生山にある京都芸術大学のキャンパスの中に吉田松陰の像(写真)があり、そこには、「至誠にして動かざる者は未だ之あらざるなり」と刻まれている。

德山先生の最後に残された遺言が下記となった。

『生死は天命に委ね
なおいっそう祈る心で
藝術立国の魂が受け継がれゆくことを
ただ願うのみ』
後に続く者を信じて

この德山先生の思いは、今も私の心に生きている。令和の時代、今いる場所で全力を尽くしてまいりたい。

「公明、各地で予算要望 広島市」(公明新聞2020/10/31 6面より )

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「公明、各地で予算要望 広島市」(公明新聞2020/10/31 6面より)

 広島市議会公明党(碓氷芳雄幹事長)は27日、市役所で松井一実市長と会い、2021年度予算編成に関する要望書を手渡した【写真】。

 碓氷幹事長は、核兵器禁止条約の来年1月発効が決まったことを踏まえ、日本の締約国会合へのオブザーバー参加と締約国会合の広島誘致を、国に強く働き掛けるよう求めた。

 そのほか、①検査体制の拡充や宿泊・飲食業支援など新型コロナ対策の実行②西日本豪雨災害からの復旧・復興と防災・減災対策強化③認知症、がん対策の拡充④SNSを活用した、いじめ・自殺相談体制構築⑤通学路の安全施策推進⑥申請手続きの簡素化など行政デジタル化――など計85項目を要請した。

 松井市長は前向きに検討する考えを示した。

「参院本会議で山口代表 希望と活力の日本へ コロナ、検査 ・接種万全に/少子化対策の全体像提示を」(公明新聞2020/10/31 1面 より)

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「参院本会議で山口代表 希望と活力の日本へ コロナ、検査・接種万全に/少子化対策の全体像提示を」(公明新聞2020/10/31 1面より)

 参院は30日の本会議で、菅義偉首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の山口那津男代表は、新政権の発足を踏まえ「公明党は、国民目線で改革を進める菅内閣を支え、将来に希望と安心を持てる日本をつくるため、全力を挙げていく」と力説。新型コロナウイルスの感染拡大に対する万全の備えとともに、活力ある未来を開くため、国民本位の政策実現に、より一層取り組んでいくとして、少子化の克服や気候変動への対応、核廃絶に向けた日本の積極的な貢献などを政府に訴えた。

■新型コロナ対策

 山口代表は「季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行に備えた対策が急務だ」と力説。検査・診療体制の速やかな整備を主張し、医療機関への財政的な支援や個人防護具の無償配布などを求めた。

 公明党が強力に推進してきたコロナワクチン確保に向けては、引き続き最重要課題として取り組むよう強調。接種体制の整備も「万全を期すべきだ」とした。

 菅首相は、検査・診療や接種の体制整備へ「準備を進める」と答弁した。

■全世代型社会保障

 山口代表は「少子化の背景には、出会いの機会の減少や子育てと仕事の両立の難しさ、教育費を含む経済的負担など、さまざまな要因が挙げられる」と指摘。不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額をはじめとする施策について、全体をひとまとめにした「トータルパッケージ」で示すよう迫った。菅首相は「年末に取りまとめる予定の全世代型社会保障検討会議の最終報告の中で、トータルな形で示す」と応じた。

 山口代表は、ひきこもりへの対応や自殺対策、インターネット上の誹謗中傷対策も促した。

■(防災・減災)甚大化する風水害、対応急務/ドクターヘリの安定運航も

 山口代表は「気候変動などの影響で甚大化する風水害への対策強化は喫緊の課題だ」と指摘。流域全体の関係者が一体となった治水対策や、都市部に広がる海抜ゼロメートル地帯の避難体制構築を早急に進めるよう訴えた。

 また、地域防災力の強化に向けて、地域の気象災害情報に精通した地方気象台のOBなどを活用することも提案した。

 全国配備が進むドクターヘリについて、山口代表は「新規導入の財政支援に加えて、人件費や飛行時間に応じた補助金の増額など、安定的な運航を確保するための支援を」と主張。菅首相は「予算編成過程で必要な対応を行う」と応じた。

■脱炭素社会の構築

 山口代表は、脱炭素社会への取り組みを加速させるには「政府、自治体、経済界などオールジャパンで推進することが不可欠だ」として、自治体や経済界への手厚い支援を要請した。

 菅首相は、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど「あらゆる政策を総動員して取り組みを後押しする」と答えた。

■(核廃絶)“橋渡し役”果たせ/首相「国際的議論に積極貢献」

 山口代表は、来年1月に発効することが決まった核兵器禁止条約に言及し、「核廃絶をめざす上で、歴史的に大きな意義がある」と強調。発効後に開かれる締約国会合について、日本のオブザーバーとしての参加とともに「広島、長崎への招致を求めたい」と訴え、日本が核兵器国と非核兵器国との「真の橋渡し」の役割を担い、国際社会の取り組みをリードするよう促した。

 菅首相は「核軍縮の進展に向け、今後も国際的な議論に積極的に貢献していく」と表明した。

■地方のデジタル化

 山口代表は「デジタル技術を駆使した『ポストコロナの地方創生』を強力に推進するべきだ」と指摘。住民データの利活用を進める福島県会津若松市のような先進的な事例が、その推進力になると述べ、福島県を「デジタル化実証推進県」として先行拠点に位置付けるよう提案した。=2面に質問の要旨

「山口代表の参院代表質問=要旨」(2020/10/31 2面)
■国民目線で新政権支える

 菅政権の発足から1カ月以上が経過しました。この間、やるべきことをスピード感をもって実行する新政権の政治姿勢に、国民から大きな期待が集まっています。

 国民のために働く内閣として、着実な成果を挙げられるよう、政府・与党が一致協力して、内外の重要課題の解決に全力で取り組んでまいりたい。

 新政権の発足に当たり公明党は、自民党と新たな「連立政権合意」を交わしました。この中には、新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守り、経済を成長軌道に回復させることをはじめ、喫緊の課題であるデジタル化の推進、少子化の克服、防災・減災・復興、脱炭素社会の構築など、わが国が乗り越えなければならない優先課題への対応が盛り込まれています。

 この政権合意に基づき、どこまでも国民の悩みに寄り添い、真摯に耳を傾けながら、困難な課題を一つ一つ解決してこそ、国民の信頼を獲得し、安定した政権運営と国民が待ち望んでいる改革が成し遂げられます。

 公明党は、国民目線で改革を進める菅政権を支え、将来に希望と安心の持てる日本をつくるため、全力を挙げてまいります。

■(新型コロナ対策)インフル同時流行へ備え急務/自治体の検査体制手厚く

 これから冬を迎えるに当たり、新型コロナウイルス感染症の検査体制の充実と季節性インフルエンザとの同時流行に備えた対策について伺います。

 感染症から国民の命と生活を守るため、社会的・経済的活動を維持しながら感染拡大を抑え込むことが求められています。そのためには、検査が必要な人が迅速に検査を受けられるよう体制を拡充しなければなりません。

 感染が広がる地域においては、医療機関や高齢者施設などで一斉・定期的な検査を実施することが可能となりました。重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人が希望する場合、検査費用を国が補助する仕組みもできています。

 今後、1日20万件の検査体制を確保するに当たり、どの地域でも必要な検査が幅広く実施できるよう、国は準備状況を把握しつつ、体制整備が進んでいない自治体への支援など適切な対策を講ずるべきです。

 併せて、季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行に備えた対策も急務です。

 今後、発熱患者が増加することを想定し、医療機関に対し財政的な支援や個人防護具の無償配布などを実施し、適切に診療・検査できる体制を速やかに整備しなければなりません。

■ワクチン確保と接種体制の整備

 国民が期待する新型コロナワクチンの確保と接種体制の整備について伺います。公明党は、海外開発のワクチン確保に加えて、国産ワクチンの開発も強力に推進してきました。政府においては、安全で有効なワクチンを一日も早く、全ての国民に提供できるよう、引き続き、最重要課題として取り組んでいただきたい。

 接種体制の整備については、国が主導し、身近な地域で迅速かつ円滑に受けられるよう万全を期すべきです。併せて、希望する人が安心して接種できるよう、国が積極的に安全性・有効性について分かりやすく発信することも大切です。

 一方で、世界規模で広がる感染拡大を防ぐには、発展途上国への支援も不可欠です。発展途上国を含めてワクチンを幅広く供給する国際枠組み「COVAXファシリティ」への参加を、公明党は政府に強く求めてきました。日本が先進国の中でいち早くCOVAXへの参加を表明したことは、関係機関から高く評価されています。引き続き、ワクチンの開発と公平な分配に向けて、日本が世界をけん引するリーダーシップを発揮していただきたい。

■(全世代型社会保障)

 菅政権が真正面から取り組む少子化対策について伺います。2012年に民主党・自民党・公明党の3党で合意した「社会保障と税の一体改革」では、年金・医療・介護に加え、新たに少子化対策が社会保障の柱の一つとなりました。17年には消費税増収分の使い道を見直し、幼児教育の無償化や、低所得者に対する大学など高等教育の無償化を実現し、私立高校生の授業料実質無償化を含め、全世代型社会保障の構築に向けて、大きな一歩を踏み出しました。

 しかしながら、昨年の出生数は初めて90万人を下回り、今年もコロナ禍の影響のもと、さらに下回る予測であり、少子化は予想以上の速さで進んでいます。少子化の背景には、出会いの機会の減少や、子育て中の孤立感や負担感、子育てと仕事の両立の難しさ、教育費を含む経済的な負担など、さまざまな要因が挙げられますが、若い世代の希望をかなえるために、こうした要因を取り除いていくことが必要です。

 深刻な少子化を克服するため、焦点となっている不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額をはじめ、結婚支援や男性の産休・育休支援、仕事との両立支援、さらには、年末までに取りまとめるポスト「子育て安心プラン」など、少子化対策の抜本的な強化をトータルパッケージで示す必要があります。=3面に続く

「山口代表の参院代表質問=要旨」(2020/10/31 3面)
■ひきこもり対応

 本格的支援が注目されるひきこもり、「8050問題」への対応について伺います。少子高齢化・人口減少が進む中、80代の親がひきこもりの50代の子どもを養う8050問題や、介護と子育てを同時に担うダブルケアなど、個人や家族が抱える生きづらさやリスクが複雑化・多様化しています。複合的リスクに社会全体で対応するため、さまざまなニーズや生活上の課題を受け止める、包括的支援体制の整備が急務です。

 本年6月に成立した改正社会福祉法では、「断らない」相談支援を含む、重層的支援体制整備事業が創設されました。来年4月から本格的にスタートするこの制度は、国民が最も身近に感じ、菅政権が立ち向かう「縦割り打破」の象徴として、全市区町村での実施をめざすべきと考えます。

 併せて、行政のデジタル化を進める中で、給付金などの行政手続きを「申請主義」から、申請なしに届ける「プッシュ型」に切り替えていくことも必要です。

■自殺、ネット上の誹謗中傷対策

 切実な課題である自殺対策について伺います。自殺者数は本年7月以降、昨年同時期と比べて3カ月連続で増加。特に本年8月は30代以下の女性の自殺者が74%も増えており、看過できない状況です。

 SNSを活用した相談事業も利用者が増加傾向にあり、十分な対応が必要です。対応の質を担保しつつ相談員を増やすことや、相談から個々の問題解決へ具体的支援につなげることが大切です。さらに、コロナ禍が女性の雇用や生活に与える影響を早急に把握し、女性の自殺要因を分析した上で、適切な対策を講ずるべきです。

 インターネット上の誹謗中傷対策も重要です。公明党は本年6月に提言を取りまとめ、政府に提出しました。誹謗中傷の書き込み削除や、加害者情報の開示促進、情報モラル教育や普及啓発、相談体制の強化、侮辱罪をはじめとする刑事罰の見直しなど、早急な対策が必要です。

■(防災・減災)流域で水害に強い地域づくり

 防災・減災対策について伺います。昨年は台風災害が相次ぎ、今年も7月豪雨により熊本県をはじめ九州や中部、東北などで甚大な被害をもたらしました。

 お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた全ての方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 近年の気候変動の影響により甚大化する風水害の対策強化は喫緊の課題です。

 政府は新たな取り組みとして、全国の109の1級水系を対象とした「流域治水プロジェクト」を表明しました。プロジェクトの策定・実行に当たっては、縦割りを打破し、国と地方のみならず企業や住民も巻き込み流域全体の関係者が一体となって、ハード・ソフトにわたる“水害に強い地域づくり”を着実に進めていくべきです。

 高齢者や障がい者の実効性ある避難支援、電気・ガス・水道・通信などのライフラインの強靱化、長期停電対策などの取り組みも重要です。250万人が住む東京都の江東5区や、名古屋・大阪などの都市部に広がる「海抜ゼロメートル地帯」における大規模広域避難などの事前防災対策も国と地方が連携して急ぎ進めていくべきです。

■専門人材の活用

 私は、本年の7月豪雨の被災地、熊本県に行った際、気象庁防災対応支援チーム(JETT)など専門家による気象情報の分析や解説などを通じた市町村への支援が重要な役割を果たしたこと、また、災害発生地域において地方気象台OBなどローカルな気象災害情報に精通した人のアドバイスが的確で有益だったことを伺いました。

 防災が政治の主流となる今日、専門家の派遣とともに、受け手の市町村にも気象災害情報の専門家を育成していくことが大切です。国の地方気象台だけでは、地域のきめ細かな状況に対応しきれません。災害が起きてからではなく、日頃から地域に精通した知識と技術を生かし、地方気象台をはじめ関係部門と連携しながら災害予防や避難体制の整備に当たることが望まれます。

 例えば、茨城県の日立市では、天気相談所を設置し、気象予報士3人を含む専門人材を育成してきました。100年を超える気象データの蓄積を基に地域特有の気象条件を解析し、きめ細かな気象情報を市民に提供するほか、防災対策、環境保全に取り組んでいます。今後、こうした国と地方が連携した双方向の取り組みが不可欠です。

 7月豪雨では、11時間以上停滞した線状降水帯が球磨川流域に大規模な洪水氾濫をもたらしました。早期避難に直結する線状降水帯の観測・予測技術の向上は喫緊の課題です。

■ドクターヘリ

 いよいよ全国配備が整うドクターヘリについて伺います。救急医療や災害時対応など、国民の命を守るドクターヘリの役割はますます高まり、年間出動件数は増加し続けています。

 公明党は、ドクターヘリの全国的かつ安定的な運営を確保し、効果的な活用が可能となるよう一貫して取り組んできました。これにより、現在未導入である東京都や福井県においても、21年度からの導入が予定されています。残る香川県も導入が視野に入り、京都府は近隣府県との広域的カバーができています。

 今後は、こうした新規導入の財政支援に加え、人件費や飛行時間に応じて補助金を増額するなど、全国システムの充実が望まれます。ドクターヘリの安定的な運航を確保するための財政支援の強化について答弁を求めます。

■(脱炭素社会)

 この夏も九州地域における豪雨をはじめ世界各地で、今まで経験したことのない異常気象が多発しており、「気候危機」への対応は待ったなしです。

 新型コロナウイルスの影響により、今年のCOP26は来年に持ち越しとなりましたが、世界的な自然災害の動向を考えれば、温室効果ガス削減への流れを止めるわけにはいきません。

 また、ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、元の社会に戻すのではなく、このたびの「自公連立政権合意」に盛り込んだように、思い切って「持続可能で強靱な脱炭素社会」に向け、変革を促すことが必要です。

 公明党は、2050年を視野に温室効果ガス排出実質ゼロをめざすことを本年1月の通常国会で提案しており、今般の首相の決断を歓迎致します。

 その上で、大事なことは具体的な取り組みです。徹底した省エネや、再エネの主力電源化の推進、石炭火力発電のフェードアウト(段階的に縮小)やイノベーション(技術革新)の創出など、政策を総動員して、脱炭素社会への取り組みを加速化させなければなりません。そのためには、政府、地方自治体、経済界などオールジャパンで推し進めることが不可欠です。

 50年までにCO2(二酸化炭素)排出実質ゼロを表明した自治体、いわゆるゼロカーボンシティーは、今や23都道府県、144市町村を数え、人口規模では約8000万人に達します。100%再エネ調達をめざす「RE100」やESG(環境・社会・企業統治)投資などグリーン化に取り組む企業も確実に増えています。こうした地方自治体や経済界などの具体的な取り組みを後押しする手厚い支援が必要と考えます。

■(経済再生)各種補助金、一層拡充せよ

 経済再生へ、ポストコロナ時代を見据えた成長戦略について伺います。はじめに、事業継続と経営改善に向けた支援についてです。ポストコロナ時代の社会経済活動は、感染拡大防止に万全を期しながら、事業の再開・継続に果敢に挑戦する事業者を支援していくことが最も重要です。

 特に中小・小規模事業者に対しては、業種別ガイドラインに基づいた感染防止対策を一層支援するとともに、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備といったデジタル化・リモート化、あるいはサプライチェーン(供給網)の強靱化に向けた生産拠点の国内整備や多元化など、こうした前向きな投資を支援するための「各種補助金」のさらなる拡充を求めます。併せて、サプライチェーン全体で、適正な取引の実現や、付加価値の向上が可能となるよう、下請け取引の適正化に粘り強く取り組む必要があると考えます。

 コロナの影響が長期化する中で、中堅・大企業も含め、本業の立て直しや事業転換といった本格的な経営改善が課題となります。今後は資本性資金やファンド(基金)の活用、人材のマッチングなど、業種や企業規模ごとに異なる多様なニーズに応じた適切な支援につなげることが極めて重要です。

 数ある支援が事業者の皆さまにきちんと届くよう、金融機関や、よろず支援拠点などを中心とした寄り添った相談・支援体制を一層強化していただきたいと思います。

■イノベーション

 次に、科学技術・イノベーション推進についてです。コロナ禍を契機として、公衆衛生や健康・医療、気候変動、災害といった「生命を守る産業分野」におけるイノベーションを成長の源泉としていくことが重要と考えます。

 首相が言及されたグリーン社会の実現に向けた革新的イノベーションをはじめ、日本の高い技術力を生かし、「生命を守る産業分野」におけるイノベーション創出をポストコロナの成長戦略の柱に据え、投資目標を設定し、官民が連携して強力に推進していただきたい。

 併せて、わが国の研究力の抜本強化を図るため、特に、博士課程学生を含めた若手研究者の生活を支援し、キャリアパス(能力アップの道筋)を確保する仕組みを早急に実現するとともに、大学などによるファンドを着実に創設していただきたい。

■(活力ある地方)Go To トラベル、延長必要

 新型コロナウイルスの感染拡大は、地域経済にも甚大な影響を与えています。国は、地域経済を支え奮闘する方々が、希望を持ち安心して暮らせるよう、デジタル技術を駆使した「ポストコロナの地方創生」を強力に推進すべきです。

 とりわけ、地方におけるテレワークやサテライトオフィス(本社から離れた場所にある職場)などの環境整備、地方大学を含めた官民による(情報社会の問題解決を担う)STEM人材の育成は、地方のデジタル化を進める重要な取り組みです。

 多くの方にデジタル化の魅力を実感してもらうためには、医療・教育・交通など、多岐にわたる分野でデータ利活用を推進するスマートシティーの構築が重要ですが、そのためには、地域住民の理解と合意形成が必要となります。

 先般、私が視察した福島県会津若松市は、「データは市民のもの」という理念の下、市民が自ら同意の上でデータを提供し、成果を還元するオプトイン方式を実施し、市民の理解と協力により、先進的なスマートシティーを実現しています。

 このような先進モデルは、自治体の縦割りを打破し、システムの統一・標準化を進め、どの自治体に住んでいても行政サービスを届ける推進力になります。まず、福島県を、震災復興、地方創生、分散型国土形成の象徴となるよう「デジタル化実証推進県」として先行拠点に位置付けてはいかがでしょうか。

 地方のデジタル社会実現に向けた支援策、特にデジタル庁構想に福島県を位置付けるアイデアについて答弁を求めます。

■地域の観光復興

 全国約900万人の雇用を抱える観光産業も、新型コロナや豪雨災害などの影響により大きな打撃を受けています。

 事業継続や雇用維持などの支援策に加え、「Go To トラベル」事業などにより、観光産業は回復の兆しを見せていますが、さらに、今後の需要動向や、被災地の状況、現場の声も考慮して、Go To トラベル事業の延長、予算の増額も検討すべきです。

 特に重要なことは、地域経済を支える中小のホテルや旅館、旅行業者、飲食・土産店などの経営の安定や雇用の維持とともに、生活や観光の足として地域を支え続けているバス・タクシー・鉄道・航空・旅客船などの交通事業者への一層の支援です。

 働きながら休暇を楽しむワーケーションなどを通じた新たな旅行市場の拡大とともに、感染拡大防止の徹底や、地域で展開する新たな観光ビジネスへの支援などが求められています。こうした支援を年内に策定する「政策プラン」にぜひ反映させていただきたい。今後、観光復興にどう取り組むか伺います。

■農林水産業支援

 農林水産業の成長産業化を進める輸出拡大の取り組みについて伺います。政権交代時と比べて輸出額は倍増し、さらなる輸出拡大に向けて、30年までに輸出額5兆円を新たな目標とする「食料・農業・農村基本計画」も改定されました。この計画に基づく輸出促進は、地方活性化にもつながり、大きな起爆剤になると考えます。

 しかし、担い手不足や輸出相手国・地域の規制などの諸問題に加え、新型コロナの影響による日本食の展覧会などのイベント中止や外国人観光客の大幅な減少などが、農林水産業者の大きな痛手となっています。

 また、小規模農家などは、生産量が少ないため、海外からのニーズがあるのに輸出拡大が進まないといった課題もあります。こうした実情を踏まえ、例えば、産地間の連携強化によって、農地面積や生産量の拡大による供給力の充実を図り、販路開拓とともに、輸出額を拡大していくことも必要です。

 農林水産物・食品の輸出拡大に向けた「当面の戦略」を年末までに策定するに当たり、農林水産業の生産・加工・流通にわたって強みを生かし、弱みを打開する必要があると考えます。

■(国際協調)SDGs達成のけん引役に

 先月、開催された国連総会では、新型コロナウイルスの対応を巡る米中の対立が鮮明になる中、首相は、一般討論演説において、多国間主義の重要性を協調されました。このような状況だからこそ、多元的な価値観と対話を重視する国際協調体制を強化すべきと考えます。

 貧困・格差、気候変動など地球規模の課題は、未曽有の感染症拡大によって、ますます深刻化しています。その問題それぞれの解決をゴールに掲げたSDGsは、本年「行動の10年」をスタートしました。SDGsの実現には、多国間の取り組みが不可欠であり、その中心は国連です。本年は国連創設75周年であり、ますますその役割は大きくなっています。わが国としては、国連の行動を支援しつつ、「人間の安全保障」の理念のもと、SDGs達成に向けて、国内外の具体的な課題克服へリーダーシップ発揮を求めたい。

 世界で保護主義的な動きが広がる中、日本がTPP11や日EU・EPAなど、自由で公正な経済連携協定の締結を協調を旨として主導してきたことを高く評価致します。去る23日に署名した英国との新たな包括的経済連携協定は、経済関係の緊密化と発展につながるものであり、今国会での承認手続きを急ぐべきと考えます。

■核兵器禁止条約

 10月25日、核兵器禁止条約が、50カ国の批准を達成し、90日後の来年1月22日に発効することが決まりました。「いかなる場合も核兵器の使用を禁止する」との規定には、核廃絶をめざす上で、歴史的に大きな意義があります。

 公明党は、先日、核廃絶に向けての緊急要望を政府に提出しました。要望では、延期されているNPT(核拡散防止条約)運用検討会議について、次の会議が開催された際に、成果文書が採択されるよう、合意形成に貢献することや、米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長と、対象分野や中国などを含めた枠組み拡大の道を開くこと、核兵器禁止条約発効後に開催される締約国会合へのオブザーバー参加など、わが国の貢献のあり方をさらに検討していくよう求めました。

 国連の中満泉事務次長との会談の際、中満氏は、「核廃絶という目的の根っこは共有しているというメッセージが、唯一の戦争被爆国である日本から出てくることが重要だ」と強調されておりましたが、全く同感です。核兵器禁止条約の発効が確実となった今、私は改めて、広島、長崎への締約国会合の招致を求めたい。

 公明党は、日本が、核兵器国と非核兵器国との「真の橋渡し」の役割を担い、核軍縮を進め、核廃絶に向けた国際社会の取り組みをリードする重要な使命を有していると考えます。

   ◇

 コロナ禍の影響は、今なお、国民生活に広く深く及んでいます。特に年末に向けては、企業業績や雇用情勢の行方が注視されるところであり、国民生活を断じて守り抜くとの決意であらゆる事態に備えた万全の対応が必要となります。

 公明党は、未曽有の危機を乗り越え、安心と活力ある日本の未来を開くため、これまで克服できなかった課題を解決し、国民本位の政策実現に、より一層取り組んでいくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。

■菅首相らの答弁(要旨)

 【菅義偉首相】

 一、(新型コロナ対策)検査キットの製造メーカーに増産を要請するとともに、地域における診療・検査体制の整備に向け準備を進めている。

 医療機関への支援については、これまでに約3兆円の支援を実施してきた。インフルエンザの流行期に備え、発熱患者などを対象とした外来体制が整う医療機関への支援を進めている。

 一、(少子化対策)真正面から取り組む。不妊治療への保険適用を早急に実現する。男性が子育てに主体的に参加するための環境整備を進め、待機児童の問題については、年末までに新たな計画を取りまとめる。これらの対策について、全世代型社会保障検討会議の最終報告の中で、トータルな形を示していく。

 一、(風水害の被害軽減)流域関係者が連携し、遊水地や雨水貯留施設の確保、海抜ゼロメートル地帯での避難体制の構築などに取り組み、水害に強い地域づくりを進めていく。

 一、(ドクターヘリ)人件費の増額や飛行時間に応じた補助金の設定など、自治体などからの要望を踏まえ、予算の編成過程で必要な対応を行う。

 一、(脱炭素社会)あらゆる政策を総動員して、地方自治体や経済界の取り組みを後押ししていく。

 一、(デジタル庁構想での福島県の位置付け)会津若松市における教育・医療分野で、住民情報について同意を得た上で地域全体の住民サービスに活用する事例など、先行的な自治体の取り組みに十分配慮していく。

 一、(国際社会における日本の貢献)核軍縮の進展に向けて、これまでも立場の異なる国々の橋渡しに努めてきた。

 双方の関与や対話、共通基盤の形成に向けた努力を粘り強く促している。今後も、国際的な議論に積極的に貢献していく。

 【赤羽一嘉国土交通相(公明党)】

 一、(防災・減災)全国の気象台OB・OGから気象防災アドバイザーを任命し、新たな人材ネットワークを構築することで、市町村における地域防災力が一層向上するよう取り組む。

「生活に安心取り戻す 雇用、住まい、事業の支援策、拡充・ 延長を/衆院本会議で石井幹事長」(公明新聞2020/10/30 1面より)

未分類 / 2020年10月30日

「生活に安心取り戻す 雇用、住まい、事業の支援策、拡充・延長を/衆院本会議で石井幹事長」(公明新聞2020/10/30 1面より)

 衆院は29日の本会議で、菅義偉首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の石井啓一幹事長は、菅内閣発足に当たり自民、公明の両党で交わした連立政権合意で「新型コロナウイルス対策の充実をはじめ、産業や雇用を守り、国民生活、中小企業、地方の“安心”を取り戻す」とした方針に触れ、合意の実現に向けた取り組みを強く求めた。菅首相は「公明党の意見も踏まえ、与党と調整した上で、実現に向け強力に進めていく」と表明した。=2面の質問、3面の質問と政府答弁の要旨

 【雇用対策の強化、住まいの確保など】石井幹事長は、コロナ禍で解雇や雇い止めが増えていると指摘し、12月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置や休業支援金、緊急小口資金の特例貸し付けなど各種支援策の延長や拡充を主張。住居確保給付金については、最大9カ月間となっている支給期間を延長するよう要請した。

 今後の雇用対策強化に向けては、政策パッケージを取りまとめる必要性を力説し、関係省庁連絡会議を設置して政府挙げて取り組むよう提起。廃業件数が増加傾向にある中小企業の事業承継や生産性向上への支援強化も求めた。

■「GoTo」来年の大型連休まで

 【観光業への支援】政府の観光支援策「Go To トラベル」事業について石井幹事長は、東京が2カ月遅れで始まったことや観光業が十分に回復していない現状を指摘。「(来年1月末までを目安とする)実施期間を少なくとも来年のゴールデンウイークまで延長すべきだ」と促した。

 菅首相は「今後の感染状況、観光需要の回復状況、予算の執行状況なども見つつ、検討する」と応じた。

■出産育児一時金、増額せよ

 【少子化対策など】石井幹事長は、少子化克服へ「抜本的な対策が不可欠」と強調。不妊治療への保険適用や公費助成の拡充、有効性・安全性が認められた不育症治療への保険適用、出産育児一時金の増額などを主張した。大学など高等教育の無償化では、中間所得層や多子世帯に配慮した取り組みを求めた。

 コロナ禍で深刻な経済的影響を受けている、ひとり親世帯に関し、臨時給付金を再度給付することや児童扶養手当の拡充などを提案。菅首相は、所得状況や生活実態などを踏まえて「関係施策の充実に向けた検討を行っていく」と述べた。

■防災・減災、5年計画を新たに

 【防災・減災・復興】石井幹事長は、激甚化する自然災害に備えて「防災・減災対策、国土強靱化は引き続き強力に進めなければならない」と強調。「2021年度から5年間、新たな計画を策定し、インフラ老朽化対策も含めて必要十分な予算を確保すべきだ」と訴えた。菅首相は「インフラ老朽化対策を含め、予算編成過程でしっかりと検討していく」と答えた。

■福島再生へ「研究拠点」重要

 東日本大震災からの復興について石井幹事長は、福島再生に向けた新産業創出の司令塔となる「国際教育研究拠点」の創設が極めて重要だと訴えた。

■エネルギーを“地産地消”で

 【脱炭素社会の構築】温室効果ガスの排出削減に向けて石井幹事長は、地域資源を活用した再生可能エネルギーの“地産地消”を強く進めるべきだと主張。小泉進次郎環境相は、福島県での温泉熱発電を例に挙げ「“地産地消”を後押ししていく」と応じた。

「石井幹事長の衆院代表質問=要旨」(2020/10/30 2面)

■国民の期待実現へ結束

 新政権が発足して1カ月半。高支持率のスタートは「国民のために働く内閣」という政治姿勢に、国民が大きな期待を寄せていることの表れと思います。

 公明党が推進してきた不妊治療の保険適用や携帯電話料金の引き下げ、デジタル化の推進など、矢継ぎ早に打ち出された政策は、まさに国民の期待に沿うものです。こうした政策の実現に向けて、政府・与党が一致結束して取り組んでいかなければなりません。

 菅政権発足に際し、公明党と自民党は、9項目にわたる新たな連立政権合意を取り交わしました。

 そこには、新型コロナウイルス感染症対策の充実をはじめ、産業や雇用を守り、国民生活、中小企業、地方の“安心”を取り戻すことやデジタル化を通じた社会の脆弱性の克服、深刻化する少子化への対策強化、防災・減災、国土強靱化の強力な推進、持続可能で強靱な脱炭素社会の構築――など、国民生活に直結する政策が盛り込まれています。

 コロナ禍で停滞した日本社会を、希望と安心の社会へ変革していくため、公明党は、自公連立政権の信頼関係を一層深めつつ、菅政権をしっかりと支えていく決意です。連立政権合意について、政府として、どう実現に取り組んでいかれるのかお尋ね致します。

■(コロナ禍)固定資産税、負担軽減すべき

 具体論に入ります。大きな一つ目のテーマとして、連立政権合意の柱の一つであるコロナ禍によって深刻な影響を受けている国民生活を守る取り組みについて伺います。今、日本中が感染拡大防止に万全を期しながら、社会経済活動の維持・再開という未曽有の闘いに挑んでいます。特に、産業と雇用を守り、国民生活を守る観点から、以下、雇用と住まい、観光、文化芸術・スポーツ、中小企業の四つの分野における追加支援策を提案しつつ、質問します。

■雇用対策の強化、住まいの確保

 まず、雇用対策です。新型コロナウイルスの影響で、解雇や雇い止めに遭う人が増えており、10月16日現在で累計6万人以上になります。雇用対策の強化が急務です。雇用調整助成金(雇調金)の特例措置や、休業手当が支払われていない中小企業労働者への休業支援金、緊急小口資金などについて、12月末までとなっている対象期間をさらに延長すべきです。

 雇調金などで雇用を維持する間、休業だけではなく、従業員の能力やモチベーション(意欲)を維持・向上させていく取り組みも大切です。例えば、雇用を維持しながら人手不足の企業に出向して働く在籍出向でも雇調金の支援を受けられますが、十分に活用されていません。さらなる活用に向けて、企業間のマッチング体制の強化や出向に係る雇調金の拡充を行うべきです。

 ポストコロナ時代を見据えて、休業・失業中の人に対する教育訓練への支援の充実や、成長企業における雇用の受け皿づくり、地域・業種を超えた再就職支援など、雇用政策と産業政策の連携が、より重要となります。関係省庁連絡会議を設置して、雇用対策の政策パッケージを取りまとめるなど、政府を挙げて取り組むべきです。

 住まいの確保も急がなくてはなりません。失業などにより、住居を失う恐れのある人を支援する「住居確保給付金」は、最大9カ月間となっているため、4月から支援を受けている方は12月で支援が切れてしまいます。

 同給付金の支援期間を早期に延長し、安心して年を越せるよう万全を期していただきたい。

■観光業を後押し

 観光業への支援について伺います。観光支援事業「Go To トラベル」に、今月から東京都が加わり、その効果が全国に広がってきました。

 一方で、予算枠の地域配分の見直し、旅行業者が立て替えている割引分の支払いの遅れ、週末に予約が殺到するなどの課題が生じています。

 こうした現場の実態や課題に対して真摯に向き合い、今後の対応策にしっかりと生かしていくことが重要です。

 その上で、Go To トラベルについては、東京が2カ月遅れで開始されたことや、復興途上にある被災地の状況、さらに観光業の業況が十分に回復していない状況を踏まえて、実施期間を少なくとも来年のゴールデンウイークまで延長すべきです。

 菅首相は、当面の観光需要回復に向けた「政策プラン」を、年内に策定するとしています。業績悪化に苦しむホテルや旅館、旅行業や交通事業の方々の声をしっかり受け止めて、強力かつ効果的な支援策を盛り込んだプランの策定をお願いしたい。

 加えて、収益力が激減し、先の見えない状況にある中で、固定資産税の負担について、観光業界をはじめ多くの事業者から「担税力を大幅に超えている」「納税猶予をさらに延期してほしい」といった悲痛な声が上がっています。特に、来年は3年に1度の評価替えの年に当たり、本年1月1日の地価が基準となることから、その後のコロナの影響によって地価が下落しているにもかかわらず実勢価格と見合わない増税を強いられるのではないかとの不安が広がっています。=3面に続く

「石井幹事長の衆院代表質問=要旨」(2020/10/30 3面)

 コロナの影響も十分考慮し、固定資産税については、土地に係る負担増を回避するとともに、業績不振の事業者には、引き続き負担の軽減措置を講じるべきと考えます。

■文化芸術・スポーツ振興

 コロナ禍で深刻な影響を受けている文化芸術・スポーツ活動に関する支援について、伺います。

 文化芸術については、公明党の推進により、2020年度第2次補正予算で、個人や小規模団体に最大150万円、支援することを柱とした、総額560億円の「文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ」が取りまとめられました。今後さらに、コロナ禍で影響を受けているフリーランスを含めた関係者や関係団体の活動基盤の強化に向けた取り組みを実施すべきと考えます。

 スポーツについては、全国規模のスポーツリーグなどにおける感染対策を強化するとともに、デジタル技術を活用した観戦やオンライン指導などの環境整備を推進すべきです。

■事業承継を強化

 中小企業の事業継続に向けては、持続化給付金や資金繰りなどの支援策によって、下支えを行ってきましたが、一方で、廃業件数が前年比で増加傾向にあるなど、中小企業の経営環境は依然として厳しい状況にあります。廃業に伴い、これまで蓄積されてきた従業員のノウハウや、価値ある技術などが失われてしまうことが大きな問題となっています。

 近年では、後継者の確保が困難なことなどから、親族内承継だけでなく、他社へ事業などを譲渡する親族外承継のニーズ(需要)も高まっています。今後は、事業などの買い手側が、事業承継を契機に、新たなビジネスモデルの構築や生産性向上に取り組むための支援をさらに強化すべきです。

 また、都道府県ごとに整備されている「事業承継ネットワーク」と「事業引継ぎ支援センター」の連携強化や、県を超えたマッチング支援にも取り組むなど事業承継支援の体制強化を図るべきです。

■デジタル化推進

 各種給付金などの支給に時間がかかるなど、コロナ対策を通じて脆弱性が明らかになったデジタル化の進展について伺います。行政のデジタル化は全省庁、全地方自治体にまたがる大きな変革を伴います。公明党は、その推進に当たり二つの視点が重要と考えます。

 一つには、情報アクセシビリティー(利用しやすさ)の確保です。高齢者や障がい者、外国人、生活困窮者などあらゆる人が、環境や能力にかかわらず情報を不自由なく利用できるようにすることです。

 デンマークのデジタル庁には、障がい者を含めて市民全体を考慮した施策を推進する専門部局が設置されています。日本のデジタル庁も、誰もが使いやすく、恩恵を受けられるようなデジタル化をめざすべきです。

 二つには、自治体の先行した取り組みへの配慮です。国全体のデジタル化には、自治体のシステムの統一化や標準化が不可欠です。

 ただし、これにより、既に独自サーバーの活用や、母子健康手帳アプリのような独自サービスの提供を行うなど、自治体の先行した取り組みで、互換性が確保できず使えなくなってしまうことがあってはなりません。

 さまざまな自治体の現場の実態に配慮したデジタル化を進めることが、国民の利便性の向上につながると考えます。

■30人以下学級の実現

 ポストコロナ時代を見据えた教育のあり方について伺います。ポストコロナ時代は、子どもの幸福を最優先する「チャイルドファースト社会」の実現をめざし、一人一人の子どもに寄り添った教育に転換していくことが重要です。

 そのために、児童生徒が1人1台のパソコンやタブレットなどの端末を活用して学習する「GIGAスクール構想」や、全ての児童生徒に対する個別最適化された学習計画の作成などを推進することが不可欠です。

 感染症対策の充実や心のケアなど、子どもたちが安心して学べる環境の整備が急務です。そうした観点から、小中学校において、30人以下の少人数学級をめざし、計画的な改善に取り組んでいくべきです。

■(少子化の克服)子育てと仕事の両立環境の整備重要

 大きな二つ目のテーマとして、連立政権合意に盛り込まれた、深刻化する少子化克服に向けた取り組みの強化について伺います。

 昨年の合計特殊出生率は1・36と4年連続で低下し、出生数は86万人と初めて90万人を下回りました。少子化は想定を上回るスピードで進んでおり、抜本的な対策が不可欠です。

 不妊治療については、早期の保険適用や公費助成の抜本的な拡充に向けて、検討を加速化していただきたい。その一環として、不育症についても、検査・治療方法の確立を急ぎ、有効性・安全性が認められたものは速やかに保険適用すべきです。不妊治療の質の向上や、仕事との両立、相談支援、死産・流産の悲しみに寄り添うグリーフケアなど、幅広い支援の充実も求められています。併せて、出産育児一時金の増額も求めます。

 子育てと仕事を両立し、安心して育てられる環境整備も重要です。待機児童の解消に向けて「子育て安心プラン」の後継プランが策定されますが、保育の受け皿の整備や、処遇改善を含む保育の質の向上を、さらに力強く進める必要があります。

 認可保育所に入れず、ベビーシッターなどを利用する場合の「減税」などの支援策も検討すべきです。

 育児休業については、近年、男性の取得率が増加傾向にあるものの、いまだ7%程度にとどまる状況を打破するため、企業から従業員への積極的な周知や、休業開始1カ月前までとなっている申請手続きの緩和、休業前賃金の実質100%をめざした育児休業給付金の増額を提案します。

 また、妻の出産直後に休業することができる「男性の産休制度」の創設を求めます。

■中間所得層への支援拡充が急務

 中間所得層や多子世帯への支援について伺います。コロナ禍で多くの人々が暮らしと仕事の基盤が脅かされている中、低所得世帯はもとより、中間所得世帯も含めた誰も置き去りにしない新たなセーフティーネット(安全網)の整備を求める声が高まっています。

 そうした声を受けて、公明党は、医療や介護、育児、障がい者福祉、住まいなど、人間が生きていく上で不可欠な基本的サービスを原則として無償化し、「弱者を助ける制度」から「弱者を生まない社会」へと福祉の裾野を大きく広げる「ベーシックサービス論」を本格的に検討していきます。

 その柱の一つが、教育費の無償化です。家庭の経済的事情に関わらず、希望すれば誰もが必要な教育を受けられるよう、教育費の負担軽減を段階的に進めていますが、さらに推進すべきです。

 具体的には、幼児教育無償化の対象となっていない、いわゆる幼稚園類似施設に関し、今年度実施している調査事業も踏まえながら、支援を推進すべきと考えます。併せて、高校生の教育費などを支援する高校生等奨学給付金の充実も図るべきです。

 大学などの高等教育無償化については、多子世帯や中間所得世帯の教育費の負担に配慮した取り組みを講じていただきたい。

■ひとり親対策

 ひとり親への支援について伺います。

 ひとり親の支援に取り組む民間団体の調査によれば、シングルマザーのうち減収・無収入の割合は7割超に上り、新型コロナウイルスに感染して家族をケアできなくなる恐れから自発的に休職・退職した方が3割に及ぶなど、ひとり親家庭は非常に深刻な経済的影響を受けています。第2次補正予算により、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金が支給されましたが、再度給付することや、児童扶養手当の拡充など、早急に対策を検討すべきと考えます。

■リカレント教育

 多様で柔軟な働き方や、リカレント(学び直し)教育について伺います。少子化・人口減少が進む中、子育てや介護と仕事の両立など、男性も女性も、ライフ・プランやライフ・ステージに応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる環境整備が求められています。

 特にコロナ禍で注目を集めたのがテレワークです。内閣府の調査によれば、コロナ禍でテレワークを経験した就業者は34・6%に上り、今後テレワークを利用したいと希望する就業者も約4割に上ります。テレワークがより良い形で定着できるよう、適切な労働時間管理や中小企業における導入・定着への支援を強化すべきです。

 併せて、企業における時間単位の年次有給休暇制度や勤務間インターバル制度の導入、短時間勤務制度やフレックスタイムの普及も、より一層促進していただきたい。

 コロナ禍の「新しい日常」に対応し、自宅でのオンライン学習も含めたリカレント教育の充実を図ることにより、新たな職業スキルや知識を習得してニーズの高い職種や成長分野で就業できるよう、支援することも重要です。

■(防災・減災・復興)3カ年緊急対策を延長し予算確保を

 大きな三つ目のテーマとして、連立政権合意に盛り込まれた防災・減災・復興の強力な推進について伺います。

 コロナ禍にあっても、激甚化する台風災害や豪雨災害、切迫する巨大地震などから国民の生命と暮らしを守るため、防災・減災対策、国土強靱化は引き続き強力に進めなければなりません。

 与党の強い主張により、政府の骨太方針に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」終了後の中長期的な取り組みの方針が明記されました。近年の自然災害の発生状況を踏まえると、まだまだ対策が不十分なことは明らかです。全国各地から対策の延長を求める声も上がっています。

 防災・減災、国土強靱化について、3カ年緊急対策で終了させることなく、21年度から5年間、新たな計画を策定し、インフラ老朽化対策なども含めて、必要十分な予算を確保すべきです。

■災害法制の見直し

 先般の7月豪雨は、コロナ禍で経験する初めての大規模災害であり、分散避難や避難所の3密対策、ボランティアの受け入れなど新たな課題が浮き彫りになりました。今後のわが国の防災対策、被災者支援などに生かすことが重要です。併せて、近年の災害の教訓などを踏まえて災害法制や制度を見直し、わが国の防災・減災・復興政策を抜本的に強化すべきです。

 例えば、現状では、同じ半壊と認定されても大規模半壊に至らない場合、支援を受けられず、半壊世帯に対する支援が十分でないという課題がありました。今般、被災者生活再建法を改正して半壊世帯の支援対象を拡充することは評価します。

 その他にも、近年の災害における災害救助法の運用実態の検証などを踏まえて、必要な見直しを図るべきです。

 また、住民に分かりやすい避難情報の見直しや「災害が発生するおそれ」の段階での国の対策本部の設置、発災前に避難先や避難手段の調整など大規模広域避難を円滑に行うための仕組みなどを制度化するとともに、これらに係る財源確保も必要です。

 さらに、高齢者や障がい者の避難支援のための個別支援計画の策定や災害時の福祉支援などを制度化すべきです。これらについて、災害対策基本法や災害救助法などの災害法制に位置付けるべきです。

■東日本大震災からの復旧・復興を加速化

 来年は東日本大震災から10年を迎えます。引き続き、被災者一人一人の“心の復興”に向けたきめ細かい支援、産業・なりわいの再生を着実に推進し、“創造的復興”を実現していかなければなりません。

 中長期の課題を数多く抱える福島浜通り地域については、風評対策を進めるとともに、住民の帰還・移住の促進、各種インフラの環境整備、農林漁業者の再建に向けた取り組みを加速すべきです。廃炉・処理水対策も安全かつ着実に進めなければなりません。

 福島再生の切り札は、新産業の創出に向けた「福島イノベーション・コースト構想」です。同構想をさらに加速するため、その司令塔となる「国際教育研究拠点」の創設が極めて重要です。

 同拠点について政府は7月の骨太方針で「年内を目途に成案を得る」とし、9月の与党の提言では“最も重要な政策課題”と位置付け、最も効果的・効率的な組織形態を検討し、予算と人員体制を確保するよう申し入れました。国際教育研究拠点の創設をはじめ、東日本大震災からの復旧・復興に向けた決意を伺います。

■(脱炭素社会)再エネ、主力電源化進めよ

 大きな四つ目のテーマとして、公明党の要請で新たに連立政権合意に盛り込まれた持続可能で強靱な脱炭素社会の構築について伺います。

 コロナ禍での経済活動の自粛やエネルギー需要の減少により、国際エネルギー機関(IEA)は、世界全体のCO2排出が前年度比で8%減少するとの予測を発表しています。これを受け、欧州委員会は経済回復と脱炭素化を同時に実現する「グリーン・リカバリー」を提唱しました。わが国としても、こうした海外の動向も踏まえつつ、経済再生と脱炭素社会の構築を同時に進める取り組みが重要となります。

 菅首相は、2050年までに、わが国の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言されました。公明党が本年の通常国会で政府に提言していたところであり、その決断を高く評価致します。

 今後は50年に向けた工程表を作るなど実効性ある取り組みが求められます。再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化を進める大胆な投資や、地域資源を活用した再エネの導入などを強力に進めていくべきです。

 現在、北海道石狩市では、風力・バイオマスなどの再エネの活用や、AI(人工知能)・蓄電池を活用して需給調整を行うなど、再エネ100%の地産地消をめざした地域づくりを民間企業と連携して進めています。

 このような地域での再エネ活用は、経済の活性化や、災害時などのエネルギー確保にも効果的であることから、再エネ中心の地産地消型エネルギーシステムを構築すべきです。

 併せて、立地制約を克服する太陽光発電や洋上風力発電の導入を拡大するための技術開発などを後押しすることにより、低コストかつ安定的な電力供給が可能となるよう支援すべきです。

■経済対策の策定

 ここまで、さまざまな内政の課題について取り上げ、提案してきました。この中で迅速な対応を要する取り組みに対しては、今年度の予備費を活用していただきたい。

 併せて、コロナ禍で深刻な打撃を受けているわが国の経済を底上げし、景気を浮揚させるため、需要喚起策やコロナ禍で苦境にあえぐ事業者・個人への支援策など本格的な経済対策が必要です。そして、それらを第3次補正予算案や来年度予算案に反映させるべきです。

■(外交)平和貢献の積極的姿勢評価

 最後に大きな五つ目のテーマである平和外交の強化について伺います。

 首相は、就任直後から、各国首脳などとの電話会談や国連総会での一般討論ビデオ演説など、積極外交を展開されています。先日は、初の外遊先としてベトナムおよびインドネシアを訪問し、両国首脳と会談をされました。わが国が地域や国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献する姿勢を示されていることを高く評価します。

 ポストコロナ時代の国際社会は、自国中心主義や米中間の緊張の高まりなどとも相まって、これまで以上に予見しにくく、制御しにくくなっていくと考えます。

 菅首相には、わが国および世界の平和と安全のために、今後、安倍政権が進めた地球儀を俯瞰する外交をさらに深化させる取り組みを期待します。

■日中、日韓関係

 日中、日韓関係について伺います。

 日中関係は、最も重要な2国間関係の一つです。9月の習近平国家主席との電話会談では、首相から、日中の安定した関係は、両国のみならず地域および国際社会のために極めて重要であり、共に責任を果たしていきたい旨が述べられたと承知しています。今後も首脳間を含むハイレベルでの2国間および地域・国際社会の課題について緊密に連携を行うなど、さらなる関係発展に向けた取り組みを期待したい。

 日韓関係については、9月、首相は、文在寅大統領と電話会談を行い、旧朝鮮半島出身労働者問題をはじめ、現在非常に厳しい状況にある両国の関係をこのまま放置してはいけない旨、述べられるとともに、韓国側において日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくるよう、改めて求められました。今後も関係改善に向けて、丁寧な対話を積み重ねていくべきです。

 これまで中国、韓国と結んできた信頼関係を生かし、公明党としても政府の取り組みを後押ししてまいります。

■(菅首相らの答弁=要旨)

 【菅義偉首相】

 一、(連立政権合意)公明党の意見も踏まえ、与党としっかり調整した上で合意内容の実現に向けて強力に進める。

 一、(雇用・住まいを守る対策)新たな日常の下での経済社会活動に適合した雇用、就業機会の確保に、産業政策との連携を図りながら取り組む。住居確保給付金の今後の対応は、利用者の実態なども踏まえ、適切に検討していく。

 一、(妊娠や出産にかかる経済的負担の軽減)不妊治療の保険適用など速やかに検討する。男性が子育てに主体的に参加するための環境整備、待機児童の問題についても年末までに新たな計画を取りまとめる。

 一、(多様で柔軟な働き方)テレワークなど新たな働き方の導入、定着を図ることが重要。こうした働き方に対応した就業ルールを年内に検討する。時間単位の年次有給休暇制度などの導入を支援していく。

 一、(3カ年緊急対策後の取り組み)国土強靱化基本計画に基づき、必要十分な予算を確保し、オールジャパンで対策を進める。災害に屈しない国土づくりを進めていけるよう、インフラ老朽化対策を含め、予算編成過程において、しっかりと検討していく。

 一、(脱炭素社会の構築)50年の温室効果ガス排出実質ゼロ実現へ、研究開発などへの支援を通じて国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーの最大限導入を進める。

 【赤羽一嘉国土交通相(公明党)】

 一、(Go To トラベル事業延長)与党からの要請も踏まえ、新型コロナの感染状況や観光需要の回復、予算の執行状況を見つつ、検討する。

「シニア世代の居場所づくり NPO法人『あい・ぽーとステ ーション』 大日向雅美代表理事に聞く」(公明新聞2020/10/28 3面よ り)

未分類 / 2020年10月29日

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「シニア世代の居場所づくり NPO法人『あい・ぽーとステーション』 大日向雅美代表理事に聞く」(公明新聞2020/10/28 3面より)

 新型コロナウイルスの感染拡大は、社会や人を分断させた。とりわけ、従来から孤立しがちな傾向にあるシニア世代は、その最大の“被害者”ともいえる。コロナ禍にあって、シニア世代の居場所づくりに必要な視点は何か。NPO法人「あい・ぽーとステーション」の大日向雅美代表理事(恵泉女学園大学学長)に聞いた。

■コロナ禍で強いられた孤立

 ――新型コロナの拡大は、シニア世代にどのような影響をもたらしたか。

 大日向雅美代表理事 新型コロナは高齢者が重症化しやすいことが分かり、結果的に地域での高齢者の居場所を奪いました。実際に、「何カ月も人と会っていない」「迷惑を掛けたくない」という人が多くいます。子育ての場でも、子ども夫婦や孫との交流が絶たれ、“祖父母力”を発揮する機会がなくなりました。高齢者は孤島に追いやられた印象です。

 ――「あい・ぽーと」では、地域のシニア世代、特に男性の力や経験を生かす取り組みを行ってきた。

 大日向 かつて女性は結婚を機に家庭に入ることが多く、その分、彼女たちは地域に居場所がありました。私たちも2005年1月から子育てを終えた女性を中心に、必要な講座を受けた人を「子育て・家族支援者」と認定し、地域の育児力向上に取り組んできました。多くの方が人生の新しい喜びを感じています。

 一方、企業人として生きてきた男性には、リタイアしても地域に居場所がありません。しかし、日本の高度経済成長を支えてくれた方々です。彼らの“1枚の名刺”には、素晴らしい知恵と見識、経験が詰まっているはず。そこで13年2月から「現役時代の名刺で勝負」と銘打って、「子育て・まちづくり支援プロデューサー」(通称まちプロ)養成講座を始め、地域のシニア男性が子育て支援で活躍する場をつくりました。

 参加した多くの男性は、「ありがとう」「うれしい」という無垢の感謝に接し、新しい喜びを見いだしています。企業に長く勤めてきた人の見識は素晴らしく、来所する子どもたちや保護者、私たち運営側にも良い影響を与えてくれています。

■触れ合いが元気の源/「人のために」生かす人生、共に

 ――来月から年明けにかけて、連続シンポジウムが始まる。狙いは何か。

 大日向 新型コロナは社会や人を分断しましたが、「人」を元気にするのは、やはり「人」との触れ合いです。特に孤立しがちな高齢者には、地域に出番と居場所が欠かせません。共につながり、支え合い、語り合う中で共生社会を築きたいと思い、企画しました。全3回の内容で、いずれもオンラインで行います【別掲】。シンポジウムでは、居場所をどう見つけていくか、シニア男性の地域貢献活動を深化させる道――などについて、行政や学者、国会議員らを交え、考えていきます。

 それぞれの地域には、シニアの力が“マグマ”のように眠っています。その力を発揮してもらうために私たちが取り組んできたノウハウも、存分に提供したいと思っています。このシンポジウムが、人と人とがつながる何らかの契機になれば幸いです。

 ――高齢者が居場所を見つけていく上でアドバイスを。

 大日向 シニア世代といっても、元気な人、病気がちな人など、さまざまです。共通しているのは、人生の第3コーナーを回ったということ。失うものはありません。人のために残りの人生をどう生かしていこうかという気持ちがあれば、何かが見つかるはずです。私たちもこれまでの人生で、多くの喜び、悲しみを経験しました。それをどう次の世代に残していくかを共に考えたいと思います。

 「地域での居場所」というと、健康で、元気に活躍している姿をイメージしますが、それだけが居場所ではありません。健康を害している人でも、年齢を重ねて病を得るとはどういうことなのかを身近な人に伝えることができます。その意味では、全ての人に「居場所」はあるはずです。

■最も地域に根差し住民の声聴く公明

 ――公明党への要望は。

 大日向 私は長く子育て支援や社会保障政策に携わってきましたが、やはり公明党には一番期待しています。コロナ禍にあって、実は政治に一種の怒りを感じていました。感染拡大が始まって以降、全国的に3密回避やステイホームが呼び掛けられた時期に、部屋に閉じこもった暮らしを強いられている親子に対して、政治が寄り添っているようには見えませんでした。今まで取り組んできた子育て支援は、一体何だったのかと悲しくなりました。

 そうした中で、なぜ私が公明党に期待しているのかというと、最も地域に根差しているからです。コロナ以前から、日常活動の柱に訪問対話があり、住民の声をよく聴き、政策に反映しています。私たちが言う「居場所」の意味を最も理解してくれるのは、地域をくまなく歩いている公明党だと思います。

【視察】広島市下水道局西部水資源再生センター

未分類 / 2020年10月28日

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本日は、川本和弘市議の声がけで、川村真治市議と並川雄一市議と私の4人で、広島市下水道局西部水資源再生センターの視察を、山田浩所長、小林義徳次長、上原洋平技師の案内で行いました。

日本の水処理技術は世界のトップレベルで、下水道整備は「街を清潔にする(疫病から人を守る)」「街を浸水から守る」「身近な環境を守る」「エネルギー・資源を創る」ことが取り組まれています。

このセンターでは、広島市の70万人(人口60%)分の下水汚泥処理が行われ、汚泥から炭化燃料の製造と消化ガス発電事業による再生可能エネルギーへの取組が行われております。消化ガスは、年間約1憶6,000万円の利益をつくり出しています。また、汚泥燃料化では、バイオ燃料として竹原火力発電所で使用され、材料そのものが汚泥でもともと地表にあるものとのことから、CO₂排出量にカウントされないとのこと。また、センターの庭の池では、当浄化センターの放流水を利用した水で、元気な鯉が泳いでいました。

24時間365日、私たちの生活環境を守ってくださり心から感謝。工場見学や出前講座も行っておられるとのことで、多くの子ども達にも学んでほしいと思います!

「解説ワイド 国連創設75年「人間の安全保障」の今 “個 人の保護”が紛争の芽を摘む/創価大学法学部 中山雅司教授に聞 く」(公明新聞2020/10

未分類 / 2020年10月28日

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「解説ワイド 国連創設75年「人間の安全保障」の今 “個人の保護”が紛争の芽を摘む/創価大学法学部 中山雅司教授に聞く」(公明新聞2020/10/28 4面より)

 「国際の平和と安全の維持」を第一の目標に掲げた国連が24日、創設75年を迎えた。国連は平和を守るため、平和を破壊する国家に対して加盟国が団結して制裁を加える集団安全保障体制を構築したが、東西冷戦によって機能不全に陥った。さらに冷戦後は紛争の形態が変わり、国家間の全面戦争よりも地域紛争や内戦、テロが主要問題となった。その時代に国連で注目を集めたのが「人間の安全保障」の考え方だ【イラスト】。現在では「人間の安全保障」は国連の確固たる政策理念となっている。「人間の安全保障」の今と将来像について創価大学法学部の中山雅司教授に聞いた。

■(平和の意味の変化)戦争のない状態から人権・人道の実現へ

 ――国連開発計画(UNDP)の1994年版『人間開発報告書』が「人間の安全保障」を掲げたとき、軍事分野で使われる安全保障という言葉に「人間の」が付いたことに違和感を感じた。

 中山雅司教授 安全保障は普通、「国家の安全保障」の意味で使われるため、なじめないのも理解できる。

 しかし、安全保障を意味する「セキュリティー」の元の意味は不安がないということだ。ところが「国を守る」国防の意味で使われるようになったことで意味が矮小化された。本来、安全保障は人間の安心を守る意味だった。

 「人間の安全保障」は「人間の尊厳と自由を守る」「人権を守る」ことをめざす概念で、本来の「セキュリティー」のあり方に近い。

 ホロコースト(ナチのユダヤ人大虐殺)の反省から、人権無視が戦争につながるとの認識が確立し、国連も人権尊重を掲げている。「人間の安全保障」の理念は75年前からあったとも言える。

 ――しかし、創設直後に冷戦となり「国家の安全」が主要な関心事になった。

 中山 そうだ。そして89年に冷戦が終結してみると、国家間の全面戦争より地域紛争や内戦、テロの方が深刻になるなど脅威が多様化し、軍事力だけでは解決困難な事態が増えた。その中で、貧困や人権侵害といった紛争の芽を摘むことの重要性が認識された。ここから、国家から人間の安全へと視点が移った。

 また、平和の考え方も、単に戦争がないという消極的平和から、人権・人道を実現する積極的平和により比重を移した。

 大事なことは価値観の変化だ。「人権は平和の基礎」とする人権の主流化が冷戦後の潮流となり、その中で登場したのが「人間の安全保障」だった。

■(SDGsとの関係)差別なき社会の達成めざす方向性は同じ

 ――国連が2030年の達成をめざすSDGs(持続可能な開発目標)と「人間の安全保障」の関係は。

 中山 「誰一人取り残さない」というメッセージを掲げるSDGsは、全ての人を包み込み、差別のない社会をめざしている。貧困層や人種的少数派、障がい者など弱い立場の人を全て社会の構成員として尊重する。

 これは人権尊重と密接に関わる考え方であり、SDGsの根底にあるのが「人間の安全保障」の理念とも言える。まさに表裏一体の関係である。

 しかし、人権の中でも福祉や医療などを保障する社会権の実現には国家の関与が必要だが、途上国にはその体制が整わない国も多い。そこをカバーするのが「人間の安全保障」に基づく支援だ。

 ――国民を守れない“破綻国家”はどうするのか。

 中山 国家が国民を保護する責任を果たさない場合、国際社会がその責任を担うべきだとする「保護する責任」論が20年前に国連で議論になった。その背景には、ルワンダなどで起きた虐殺に対し、国連が何もできなかったことへの反省があった。

 国際社会が武力行使をしてでも住民を守るべきとの考え方だが、支援を必要とする国からは「支援という名で軍事介入を招く」との懸念の声が上がった。しかし、12年に国連総会で採択された「人間の安全保障」決議は、「人間の安全保障」は武力行使や強制措置を求めないと明記、「保護する責任」と区別することで途上国の懸念に応えた。

■(将来への取り組み)理念の具体化に向け条約として法規範に

 ――「人間の安全保障」の深化には今後、何が必要か。

 中山 私は「人間の安全保障」の理念を具体化するため、条約として法規範にすることが大事だと思う。

 例えば、対人地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約を「人間の安全保障」条約と呼ぶ学者もいる。これらはNGO(非政府機関)など市民社会が主導して実現した。

 対人地雷もクラスター弾の不発弾も、紛争が終結した後も残存し、住民を殺傷し続けて戦災復興を妨げる。この非人道性を世界に告発したのがNGOだ。人間の尊厳のために活動するNGOの声が条約として法規範となり、非人道的兵器の包囲網ができた。ここに大きな意義がある。

 来年1月22日に発効が決まった核兵器禁止条約(核禁条約)も、被爆者が訴え続けてきた核兵器の非人道性が禁止の根拠になっている。人道・人権の侵害から個人を守る「人間の安全保障」の規範化の典型的な例だ。

 核禁条約の発効で核兵器が違法化されることで、人々の意識が変わり、軍事産業への投資が控えられるなどの動きも活発になる可能性もある。具体的な規範にすることで「人間の安全保障」が社会に広がっていくと期待できる。

 なかやま・まさし 1959年、兵庫県生まれ。創価大学大学院博士前期課程修了。ナイロビ大学客員講師、国際基督教大学非常勤講師、ハーバード大学客員研究員などを経て2003年から現職。専門は国際法、平和学。

「主張 核禁止条約 発効へ 日本は保有国との橋渡し役に」 (公明新聞2020/10/28 2面より)

未分類 / 2020年10月28日

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「主張 核禁止条約 発効へ 日本は保有国との橋渡し役に」(公明新聞2020/10/28 2面より)

 核兵器の開発から保有、威嚇、使用までの全てを禁止する核兵器禁止条約が、来年1月22日に発効する。これで核兵器を初めて違法とする国際法規範が誕生し、核廃絶に向けた新たなステージが始まる。

 同条約は前文で、被爆者の「受け入れ難い苦痛と損害」に留意すると明記し、原爆投下が引き起こした悲劇について、世界が再認識するよう訴えている。

 これは、停滞する核兵器廃絶に向けた議論の再活性化を強く促すものだ。わが国の被爆者の訴えが、国際的な法規範として結実する意義は大きい。

 公明党は同条約について、「わが国のヒバクシャの皆様の声が、国際的な法規範として結実したもの」として、高く評価している。条約の発効が「核兵器は違法」とする国際社会の機運を高め、核軍縮の進展を後押しすることを期待したい。

 しかし、核兵器保有国が条約に反対し、その「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)諸国や日本も条約を批准しない方針だ。

 ただ、日本も核保有国も核軍縮が進んだ最終段階では核兵器禁止条約は必要との考えである。その意味で批准国との対話の門を開くことは可能である。

 まずは両者の溝を埋めていく作業が必要であり、唯一の戦争被爆国である日本が橋渡し役を積極的に担うべきである。

 具体的には、核兵器保有国も参加している核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、日本が合意形成をリードすることである。

 また、公明党の核廃絶推進委員会は21日、茂木敏充外相に対して、同条約発効後に開かれる締約国会合に日本がオブザーバーとして加わることを緊急要望した。

 茂木外相が「しっかり受け止めたい。引き続き、軍縮に向けて強いリーダーシップを発揮している公明党と連携しながら取り組みを進めていきたい」と応じたことは重要である。

 加えて、緊急要望の席上、広島、長崎両市の公明議員が訴えた、締約国会合の広島や長崎での開催にも努力してほしい。

松井一實市長へ「令和3年度広島市予算編成に関する要望書」 提出

未分類 / 2020年10月27日

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本日、広島市議会公明党として松井一實市長に「令和3年度広島市予算編成に関する要望書」を提出しました。核兵器廃絶への取組と新型コロナウイルス感染症対策等、計85項目の意見・要望。

松井市長との懇談の中で、市長から、公明党が外務大臣への「核廃絶に向けての緊急要望」したことに触れてくださったので、その時のことを御報告させていただきました。
市長は「被爆の実相」を知ることについて、短い言葉だけど深い意味のある言葉であること、また、核抑止論にかわる「人間の安全保障」についてお話したところ、「国家の安全保障」も一人一人の人間の安全保障なくしてあり得ず、核兵器は地球環境への影響も含め、そのすべてを奪ってしまう等の話となりました。松井市長の考えに賛同する思いでお話を伺いました。
また、核兵器禁止条約の中身について、実効性のあるものにするために、いかに核兵器国を巻き込んでいけるか、日本が「真の橋渡し」の役割を果たしていけるかが重要であることを共有させていただきました。

意見・要望では具体的に、「核兵器禁止条約」における積極的な取組をはじめ、新型コロナウイルス感染症対策における医療機関、医療従事者などへの支援と教育機関およびそれらの従事者への支援、防災重点ため池に対する対策や防災教育の推進、成年後見制度の利用促進、長期未収入金の整理の基準の策定、認知症対策、子育て支援、「脱炭素社会」を掲げ地球温暖化対策の推進、SDGs「エシカル」消費の普及・啓発の推進、「文化芸術基本法」を踏まえた「地方文化芸術推進基本計画」の策定、所管施設におけるハラスメント相談体制の構築と相談員の強化等々があります。

これからも小さな声に耳を傾けながら、市政に取り組んでいきます。

令和元年度決算特別委員会討論・採決及び「核兵器禁止条約の 実効性を高めるための主導的役割を果たすことを求める意見書案」

未分類 / 2020年10月27日

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本日、臨時議会(令和元年度決算特別委員会)にて、令和元年度広島市各会計歳入歳出決算等の討論・採決が行われ、賛成多数で決定しました。また、全会派から共同提案された、国へ「核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的役割を果たすことを求める意見書案」が全会一致で可決されました。

今回は、副主査として、決算特別委員長報告のとりまとめにも参加し、さまざまな意見も言わせてもらい勉強にもなりました。今後もしっかり取り組んで参ります。