公明党 広島市議会議員(西区) 田中まさる

「美術 時代を映すアート『瀬島匠(洋画家)』洋画への愚直 な情熱」(公明新聞2020/07/29 5面より)

未分類 / 2020年8月3日

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「美術 時代を映すアート『瀬島匠(洋画家)』洋画への愚直な情熱」(公明新聞2020/07/29 5面より)

「上野の森美術館大賞展」で大賞を受賞し、日本を代表する洋画家の一人として活躍する瀬島匠氏。瀬島さんとの出会いは、もう30年近く前のパリ。瀬島さんは、フランスで生活し、同じ広島出身とあって、帰国後の東京でも縁があった。何より驚いたのが、私が山形の東北芸術工科大学の教員時代、なんと大学の洋画コースの准教授として迎えられたのが瀬島さんで、縁の深さに感謝した。

遠慮なく何でも相談できる兄貴のような存在で、一緒にイベントをさせてもらったり、ラーメンを食べに行ったりしたことが、懐かしい思い出。

作品の圧倒的な迫力と存在感は、瀬島匠そのもので、変わらないお人柄が大好きである。

世界的な写真家で、ニューヨークに国際写真センターを設立したロバート・キャパの弟のコーネル・キャパ氏の講演を聴講させていただいたときに、「一流の芸術家になるには」との会場からの質問に対して、コーネルは「才能と情熱です!」と即答された。
「才能」とは努力の異名と言われるように、写真でいうと一瞬を切り取るセンスであると。瀬島さんは、その研ぎ澄まされたセンスと、大情熱を持った人であるとつくづく思う。

いつか広島で、大個展を開催してほしい。
※写真は2018年、京都にて
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“洋画”“洋画家”という言葉の響きには、昨今の日本美術界では忘れられつつある、純朴なロマンが感じられる。自身の情熱をねっとりとした油絵具に託し、執拗に塗り重ねていく直向きさと、その結果としての重厚な画面。

瀬島匠(1962年、広島県生まれ)は、そんな懐かしき洋画家のイメージを体現する一人だ。東北芸術工科大学で“洋画の先生”をしている彼の姿を追ったドキュメンタリー映画『ぼくの好きな先生』(前田哲監督)が昨年公開されたが、彼の指導姿勢、天真爛漫な生活と制作は、広く注目された。

瀬戸内海の因島(現・尾道市)出身の瀬島は、祖父も父も造船所に勤め、幼い頃から海と造船ドックを見て育った。油絵を描いていた父の影響もあって、武蔵野美術大学で油絵を学び、在学中から独立展に入選。1980年代後半から一貫して“RUNNER”なるタイトルで、自身の原風景を追求し続けてきた。キーファーを連想させるような、絵具が迸る大画面に巨大なスクリューが取り付けられた一種のアッサンブラージュ。実際の造船部品を通して、因島に迫ろうとしていたのだろう。

そんな現代美術的模索から洋画的情感への転換を印象付けたのが、2011年の「上野の森美術館大賞展」での大賞受賞。油彩、アクリル、水彩等を駆使し、荒々しい海から渦巻くように立ち上がる塔のダイナミズムが、重厚な台形のフォルムに集約された。さらに山形県に移住後は、身近な物事が押し出され、昨年の独立展出品作では、北海道の広大な農地に貯蔵タンクが前面にそそり立つ。夢の原風景と目の前の現実がようやく結びついてきたということか。

“RUNNER”とは夢を追って走り続ける画家自身。時代が変わろうと、日本人が芸術に期待するのは、そんな愚直な情熱にほかならない。(美術ジャーナリスト 藤田一人)