バックナンバー 2007年 8月 20日

 高齢者の介護サービスに関する相談が、お盆を挟んで何件か重なった。介護事業の内容をいくつかの事業所から伺ったり、又、市全体としての現在の状況を行政当局に伺ったりした。

この何年かで介護サービスというものは、本当に多種多様になり、又、事業所そのものの数も相当、増加した。週に何日か看て頂く、ショートステイや、その日一日のデイサービス等を組み合わせ、基本的には在宅で、介護者家族の負担を軽くするプランはほとんどすぐに可能な状況だという。しかし、それらを利用しながら、最終的には、多くのご家族が長期入所をさせてもらえる施設を探しているのも、変わらぬ現実のようだ。

介護の入所相談については、教訓にしようと思っている事がある。議員になったばかりの頃、「おばあちゃんの介護が大変で、今まで頑張ってきたが、もう、どうしようもない、なんとか一緒に施設を探してもらえないか」との相談を受け、その家族とともに、走り回ってようやく田辺市外で施設を見つけた。入所の当日の朝、そのおばあさんが、孫の方を何度も振り返りながら出てこられ、本当に悲しそうな顔で車に乗りこんだのを見て、大きなショックを受けた。当のおばあさんは当然、施設になど、行きたくはない。自分は何を手伝ったのだろうかと思った。

介護する家族の思いと、介護を受けている方の思いには当然大きなギャップがある。しかし、私たちは、その家族の方からの相談を受ける事が多い。良かれと思って早急に動く事が本当に良い事かは考えなければならないと思うようになった。以来、介護施設への長期入所の相談には、どんなに大変でも、もう一度、家族とともに在宅でという方法がないか、一緒に考えるようにしてきた。

在宅ありきのサービスが多様になる事は嬉しい方向だ。しかし、単に事業所がどんどん増えている今の状況は、介護保険料への跳ね返りやサービスの低下を招く問題だ。

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田辺市 小川浩樹
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