11月5日・6日の両日、則武・中原・竹之内の3人で、改革派の細江岐阜市長が掲げる「市長と市民の皆様との4年間の約束」のうち、以下の6課が行う事業について、視察させていただいた。
◆行財政改革
何といっても民間(三井物産)出身の細江市長が「迷いなく民営化」と、方針を明確に打ち出したことで一定のコンセンサスが生まれている。職員組合も、反対の立場ではあっても一定の理解がある。
見渡してみて感じるのは、ひとつひとつの改革が飛び抜けてすごいというよりも、満遍なくできることは何でも取り組んでいる結果が、中核市NO.1の行革につながっている点である。(以前訪問した福岡市が、トップランナーではなくても「先例市を見て、改良して取り入れていく」のを強みと位置付けて取り組んでおられたのを思い出した。)
個々の取り組み事例は割愛するが、直営事業の民営化・委託化、外郭団体、補助金と、随分推進していた。
◆高齢者の健康づくり活動
岐阜市の健康づくり活動の特徴は、保健師が核になって担っている。
彼ら(彼女ら)は拠点に閉じこもらないで地域に密着、待ちではなく出向いて住民の中へ入っていく。(例えば地域のウォーキングにも参加している。)
市内10か所のふれあい保健センターを比較すると、高齢者割合をはじめそれぞれ特徴がある。
そこでまず、自治会や社会福祉協議会などでつくる地域会議(50の小学校区で、小学校区単位)が地域の健康課題を話し合い、それぞれの地域ごとの健康計画を3年かけてつくっている。(そこに保健師がアドバイスに入っている。)
また、健康づくりにおける関係各課のコーディネイトは健康増進課がリードしており、縦割りになりがちな隙間を埋めている。
一方、保健師だけではなく、地域リーダーを積極的に養成しており、筋トレサポーターは平成17年以降400人が講座を修了している。そして、そのサポーター同士の協議会も本年立ち上げ、連携も強化している。
◆市民と協働のまちづくり
50の小学校区には自治会連合会があるが、市民による地域の主体的なまちづくりを目指し「まちづくり協議会」の設置を推進(現在13の区に設置)。
その中のひとつ「本荘まちづくり協議会」は、多くの協議会が各種団体の代表で構成される中、ユニークな取り組みを行っている。
地域の各種団体と保育所、幼稚園、小中高校、介護・福祉事業者、スーパーマーケット、コンビニ、新聞販売店、病院、企業など68団体が構成員となって安全安心なまちづくりに取り組んでいる。
効果は次のとおり。
(1)それぞれのプロが得意分野で協力することで財政支援と同等の効果を発揮している。
(2)協議会員の多さ・多様さが事業展開のボリュームと多様さを支えている。
このように地域自治のひとつのモデルとして成功している。
本市では、協働の形態として職員派遣や各種補助(金)制度からのアフ゜ローチも考えられるが、参考にすべき事例であると思われる。
◆公立保育所の民営化
第1次民営化(平成14〜16)を推進するにあたって、どこの都市でもあるように一定の反対運動は起こっているが、結果として、そうした反対の根拠は、民営化園の努力もあり、保育の内容・運営が市立以上の評価を受けた(アンケート結果)ことで、第2次民営化を推進することを可能にしている。
公立は良くて私立はダメという、反対は、実態のない批判だということがここでも証明されている。
また、サービスの向上だけでなく、1か所あたり3000〜4000万円のコスト縮減を果たしており、成果を上げたといえる。
ちなみに、発表から移管までを2年で行っているが混乱も起こっておらず、岡山市の腰の引け方が目立つように思われる。
条件面を見ると、建物は無償譲渡、土地は無償貸与(5年更新)としており、市内事業者などの縛りはない。むしろ受ける社会福祉法人に対して市がいかに魅力ある条件を提示するかが多くの園を民営化する際には必要だと思われる。
◆職員の意識改革
民間企業等から職務経験者を7年間に143人と積極的に採用している(全体の8.8%)姿勢については見習うべきであるが、それ以外については、出来映えが良くないということではないが、新たな触発・ヒントになる事例がなかった。
岡山市と同様に、伸びる人材を伸ばすメニューは工夫されているが、要するにやる気を失った職員の意欲ややる気を高める手法や仕組みが残念ながら確立されていない。
◆市民協働の手作りコミュニティバス
「全国のコミュニティバス事業でどこか参考にされた事例がありますか」とお聞きしたら、「ありません、自分たちで考えました」とのこと。
行政と地域(市民協働)との距離感が大いに参考になる事例だと思う。
バス事業者は通勤・通学を軸に効率化するため、日常生活における交通空白地域や不便地域ができており、一番困っているのは高齢者—。
そこで、その困り感に応じて、
(1)地域と運行事業者、市で「運営協議会」を設置し、運行計画を立案。2年間のトアイアル。
(2)2年間の試行期間に客観的な基準(高齢者密度に応じた補助基準15〜40%あり)をクリアしないと本格運行へ進めない。
要するに、収支基準が設定されているので、自分たちで自分たちの足を確保する努力と工夫に地域をあげて取り組まざるを得ないということ。
乗車率アップには、細かく回る、停留所の間隔を短くするという要素と、目的地に早く着けるという要素を整理する必要があるし、収支にも1日何回の周回運行にするかという調整があるし、告知媒体や広告料など出ると入るの関係も。住民対行政なら収拾が着きにくいのだろうが、地域でまとめて折り合いをつけなければ運航が継続できないので、どこかで効率化のルールが働いている。
また、地域と言ってもあらかじめ決まった地域というものはなく、店舗や病院、福祉施設などを目的地とした生活圏(結果として多くは中学校区のようだが)に収斂している。
調査に行く前は周辺の過疎地対策をイメージしていたが、この事例の優れて参考になった点は、岐阜のコミュニティバスはどちらかというと都市型だということ。
つまり、岐阜市の行政がミュニティバスの補助限度(10ルートで10億円/年)を上記基準で決めた際、それを下回る効率しか出ない地域は、別の手法で支援することになるとジャッジしている。
岐阜市の事例はこのように、新たな挑戦として基準を示した点で、参考にし研究すべきである。