今回は、2つのテーマについて質問させていただきました。
①大雨特別警報発令における本市の対応について。ハザードマップの重要性、高台避難のあり方についての検証を求めました。
②本市の学力向上対策について。土曜学習事業と学校図書館の連携と保護者への周知の必要性について要望しました。市長、教育長から力強い答弁をいただきました!
以下は、質疑内容です。
皆様こんにちは、公明党の吉田ただのりでございます。今回は、2つのテーマを質問させていただきます。
まず、1つ目のテーマ、大雨特別警報発令における本市の対応について、お伺いします。本年、平成27年9月7日~11日にかけ、台風第18号の影響で、関東、東北で記録的な大雨となり、多くの被害をもたらしました。死者8名、負傷者49名、住家全壊24棟、半壊12棟、一部損壊94棟、床上浸水7,280棟、床下浸水12,035棟など、気象庁のホームページでは報じています。被害に遭われた皆様には、ご冥福をお祈り申し上げますとともに御見舞いを申し上げ、一日も早い復興をお祈りいたします。気象庁は9月18日、鬼怒川の堤防決壊など東日本に水害をもたらした大雨を「関東・東北豪雨」と命名しました。今回の豪雨は、台風18号から変わった低気圧や湿った空気の影響で、関東から東北にかけて「線状降水帯」が発生。鬼怒川上流の栃木県日光市今市では、9月7日~11日の間に647.5ミリの雨量を記録しました。この時のテレビでの映像は、4年半年前の東日本大震災による津波被害の映像を見ている様でした。高槻市でも発生する可能性がある。これは大変だと思ったのは、私だけではないと思います。これまで台風やゲリラ豪雨による「警報発令」に対する行政の対応、共助、自助の取組みについて、さまざまな機会を通じて要請して参りました。本日は、本市において、気象庁より、大雨特別警報が発令した場合の本市の対応について、ともにその対策を考えていくような思いで質問をさせていただきます。
【1問目】
1-1 気象庁は、平成25年8月30日(金)に「特別警報」の運用を開始しました。気象庁はこれまで、大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれがある時に、警報を発表して警戒を呼びかけていました。これに加え、警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合、新たに「特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼び掛けることになっています。まず1点目は、大雨特別警報発令における、現在の対応状況についてお聞かせください。1-2 ハザードマップ作成の経緯、目的、配布・入手状況についてお聞かせください。
1-3 市内の避難可能と思われる高台の避難場所数、具体には学校校舎・大型民間店舗・府営の屋上等についてお伺いします。
1-4 学校屋上への避難誘導についての現在の状況いついてお聞きします。
1-5 屋上のある民間大型店舗や企業との災害協定の現状と対象となる数、また、救命ボートの市保有数についてお聞きします。
1-6 自助・共助の観点から、地区防災会の役割は大変大きく、すでに設置されていることは評価できます。そこでお聞きしますが、地区防災会には、市として大雨特別警報発令時における対応、課題等、検討を促すようなことはされるのでしょうか?市と地区防災会との連携についてお聞かせください。以上、6点、1つ目のテーマの1問目の質問とします。
《答弁》
大雨特別警報発令における本市の対応に関します6点のご質問につきまして、他部局にも関係いたしますので、調整の上、私の方からご答弁申し上げます。
1-1 まず1点目の大雨特別警報発令における対応状況につきましては、台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想され、若しくは、数十年に一度の台風や同程度の温帯低気圧により大雨になると予想される場合に、気象庁が地域の災害対策を担う都道府県知事及び市町村長の意見を聴いて定めた基準に基づき特別警報を発令されます。
その特別警報に基づき、大阪府においては、災害対策本部を設置され、本市においても注意報・警報発表時の天気予報と市内河川の水位などで順次配備体制による人員を配置し災害対策本部を設置するものですが、現在まで大阪府下で特別警報が発令されたことはございません。
1-2 次に2点目のハザードマップ作成の経緯についてですが、平成10年に淀川を対象とする洪水ハザードマップを作成し市民の皆様に配布いたしましたが、平成17年に全国的に中小河川による洪水被害の甚大化を受け、水防法が改正されたことから、平成18年に、大阪府が管理している「芥川」、「女瀬川」、「檜尾川」、「安威川」、「水無瀬川」についての浸水情報や土砂災害危険箇所を加えたハザードマップの改定を行い、現在に至っております。
この洪水ハザードマップは、大雨によって氾濫した場合の浸水範囲と浸水深、並びに避難場所や避難に関連する情報などを掲載しており、いざという時に備え、市民一人ひとりが、危険を感じた時、自主的に避難場所へ移動できるよう、あらかじめ地域の状況を把握いただくことを目的に配布しているものです。
次に、平成25年度に実施した市民意識調査において、「特に不安に思う災害」として、「豪雨による洪水」が40.5%と「地震災害」の76.6%に次いで2番目に多くなっています。また、何らかの防災対策を家で行っている回答者のうち「防災マップ・ハザードマップの入手」は12.3%であります。
1-3 次に3点目の市内の避難可能と思われる高台の避難場所数についてでございます。現在、本市では、各河川が危険になった場合、河川ごとの状況によりまして、避難場所を選定しており、大雨特別警報が発令された場合、降雨により危険になると想定される地域に対して避難勧告等を行い、浸水想定以外の地域にある避難所へ避難していただくことにしております。現状、高台の例といたしましては、淀川の氾濫で考えますとおおよそ、富田町などを除くおおむねJR以北と考えられ、緊急避難場所は59箇所、大型民間店舗は大型店舗立地法に基づく届出を行っている12店舗、府営住宅は2箇所となっております。
1-4 次に4点目の学校の屋上への避難誘導につきましては、状況に応じまして施設管理者の同意を得て開錠し避難することとなります。
1-5 次に5点目の屋上のある民間大型店舗や企業との災害協定の現状、ボートの保有数につきましては、大雨による一時避難の場所といたしまして、萩之庄のイオン高槻及び南庄所町の東洋メビウスの二箇所、応急物資や生活物資の供給などで数社の企業と協定を締結しております。また、ボートの保有数につきましては、4艇保有しており、乗員数はエンジンを付けた場合は6人、付けない場合は8人となるものです。
1-6 最後6点目の地区防災会との連携につきましては、避難準備情報や避難勧告を発令する時には、各地区防災会等へ連絡を行い、速やかな避難行動を行っていただいているところであり、今後も地区防災会の結成を支援するなど、地域の防災力の向上を図るものであります。
【2問目】
大雨特別警報の1問目の答弁をいただきました。ハザードマップの配布、所持状況についてお聞きしましたが、その根拠は、平成25年度に市民意識調査の報告書に基づくもので、12.3%の市民が入手されていました。私は改めてこのハザードマップを見たとき、淀川が氾濫するような大雨特別警報が発令された時には、市内南西、南東地域は、2mから5mの浸水で2階建ての家の軒下から屋根までの浸水予測になっています。常総市の被害状況が判明していますが、常総市のハザードマップの水深予測と同様の被害状況になっています。常総市は60年前に同様の災害を経験しています。高槻市も大正6年10月1日午前8時40分、大塚の堤防が台風による連日の大雨により決壊し、甚大な被害をもたらし、大塚切れと言われています。
2-11問目を受けて、仮に大雨特別警報が発令される様な災害が本市で発生した際、その教訓から、本市として、新たな検討や変更をするものがあるのか、課題などお聞かせください。
2-2 これまでコミュニティに属していない単位自治会への連携について、課題となっていましたが、地区防災会が設置され解消されたのか?
2-3 治水事業における国、大阪府、または市の予算の推移についてお聞かせください。
2-4 ハザードマップ作成の経緯、目的についての答弁をいただきましたが、本市のハザードマップは、よく見ると大変すぐれた内容になっています。ハザードマップの周知の現状について改めてお聞きします。
現在、内水ハザードマップ作成の検討に入っていると思いますが、今ある洪水ハザードマップと合わせたブック型、冊子型のものにするべきと思っています。内容については、市民の的確な避難行動につながるよう必要な情報をわかりやすく表示・記載しなければなりません。私は保存性を重視した市民の皆さんが活用しやすい工夫をしたものにしていただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。
2-5 現在、雨水貯留施設の計画が進んでおり、一番早く完成するのが安満遺跡公園内に平成28年度末に完成予定。今後においては、城跡公園や植木団地跡地に設置していく方向性が示されています。本市が取組む、雨水流出抑制施設についても大変重要なものと認識しており、高槻市総合雨水対策アクションプランでは、モデル事業として実施していくとされていますが、雨水流出抑制施設についての具体的な検討状況についてお伺いします。以上、5点を2問目の質問と致します。
《答弁》
大雨特別警報発令における本市の対応に関します2問目の1点目・2点目のご質問につきまして、他部局にも関係いたしますので、調整の上、私の方からご答弁申し上げます。
2-1 まず1点目の豪雨災害による課題などにつきましては、本市では現在、河川の水位や山間部の土壌雨量指数及びその後の降雨に応じて、対象河川の浸水想定地域などに対しまして、各種避難情報を発信しております。
先般の鬼怒川周辺災害を始めといたしまして、昨今の災害を考えてみますと、雨の降る量や雨の継続する時間が変わってきております。その中で、一番難しいのは、降雨の状況が、その後どうなるかの判断であります。
それらの教訓から、本市として、河川水位や土壌雨量指数が上昇した場合は、降雨の状況により、空振りを恐れずより早期に避難情報を発信し、市民に伝達していくよう務めるとともに、地域防災計画や避難勧告等判断・伝達マニュアルを適宜見直してまいります。
2-2 次に2点目のコミュニティ未加入自治会への連携につきましては、高槻市コミュニティ市民会議では、既存の地区コミュニティ組織を基盤とする地区防災会を全32地区コミュニティで結成する方針を掲げ、取組を推進しておられます。現在18地区で地区防災会を結成され、今年度内に全ての地区での結成を目指しておられます。
結成においては、コミュニティ未加入の自治会と、防災面での連携が行われたケースもあったと伺っております。今後もこのような防災をキーワードとし、連携に向けた取組を、高槻市コミュニティ市民会議と協働し、進めてまいります。
2-3 国、大阪府、また市における治水事業の予算の推移についてお答えいたします。
まず、国土交通省近畿地方整備局管内における河川事業関係の予算推移ですが、今年度の予算は、平成10年度と比べ、約15%減少しております。また、内訳としましては、昨今多発する風水害を受け、災害復旧費が増大していることなどから、結果として堤防強化等の 新規改修事業費は、平成10年度に比べ、約40%も減少しております。また、大阪府の河川事業関係の予算についても、減少傾向にあり、本市におきましては、大規模な河川改修事業は行っておりませんが、流下能力を確保するなど適正な維持管理に必要な予算を計上しております。
本市といたしましては、治水事業は社会インフラの根幹事業であることから、国、大阪府に対して治水事業の必要性やその促進に向け、引き続き、強く要望してまいります。
2-4 ハザードマップの周知についてですが、平成18年に作成した洪水土砂ハザードマップを自治会を通じて配布しております。また、新たに転入された方には市民課を通じて配布している他、ハザードマップを使用した出前講座の実施や市のホームページに掲載するなど、周知に努めております。
次に、内水ハザードマップの作成についてのご質問ですが、現在、浸水想定区域図を基に検討しているところです。この検討にあたっては、必要な情報をわかりやすく記載し、また、洪水土砂ハザードマップも入れて、ご家庭で保存しやすい形式にするなど、有事に備え、日頃から市民が活用しやすくなることを念頭に、創意工夫をしながら 関係部署と連携し、取り組んでおります。
2-5 市が管理する公共施設の雨水流出抑制施設についてですが、この雨水流出抑制施設は、下水道施設等への負荷を低減させることにより、浸水被害の軽減が図れるものとして、非常に重要と考えており、高槻市総合雨水対策アクションプランにも位置付けております。
今年度につきましては、同プランで先行的に実施する津之江地区などにおいて、小中学校等の公共施設を対象に、校庭貯留や浸透桝の設置など、施設毎に最も効果的な整備手法を検討したいと考えております。
【3問目】
3-1 共助の役割としては、自主防災組織、地区防災会の役割は非常に大事だということが、先の災害における教訓から伺うことができます。先日、あるテレビ番組で、関西大学の河田教授が出演されて、今般の災害を検証されていましたので、少し紹介しながら要望させていただきます。
今回の救助では、ヘリコプター40機で、4000人が救出されています。その4000人は、どういう人か、ほとんどが、逃げおくれた人でした。避難所でのその方々の声は、今回も大丈夫、60年前に起きたけれど堤防も出来ている。ここは大丈夫、上流から100kmも離れている。私は大丈夫、決壊した堤防から4kmも離れている。まだ大丈夫と思っていた。と言います。今回、ヘリコプターが飛べたからよかったものの、もし夜中だったら、大きな被害者が出たともいわれています。一人暮らしの高齢者に対する救助についてもほとんど、共助力が発揮されなかったともいわれています。隣近所の共助が大事であり、日頃からの訓練がいかに大事か、地域力が大切かということがわかりました。
ハザードマップの答弁をいただきましたが、現在、全国で5つの自治体でいわゆる逃げ時マップが作成されています。これは、これまでのハザードマップをバージョンアップした内容で、危険をイメージできる内容が盛り込まれています。その特徴としては、ハザードマップづくりは、市民と一緒につくるということであり、配っておわりとするのではなく、我がことにするためには、行政だけでつくってはならないということが大事です。そのためには、地区防災会が結成されたことを契機にして、地域毎、コミュニティ単位で作成することを要望させていただきます。ちなみにこの逃げ時マップを作成した5つの市は、すべて過去に災害があったところばかりと伺っております。本市は先ほども申し上げましたが、大塚切れを経験している市であります。そのことを念頭において取組んでいただきたいと思います。
予算においては、全32の地区コミュニティに対して、上限10万円の防災活動事業補助金が交付されることになっていますが、活用できるメニューを明確していただくことが求められています。例えば、救命ボードの市保有数は4艇との答弁でしたが、各地区防災会で容量は小さくても1艇確保するように推奨したり、私どもが提案してウオーターゲートを地下の駐車場がある公共施設に今般購入されていますが、このウオーターゲードも、地区防災会や単位自治会等、広く周知すべきだと要望させていただきます。
これまで、警報発令時には、垂直避難を呼びかけてきたところですが、今後、万が一の災害が発生し、大雨特別警報が発令した際には、学校校舎の屋上、民間大型店舗の屋上に避難することを明確に示すことが必要と考えます。そのためには、全小中学校の屋上避難について検証し、今後の訓練に取入れることを要望します。
以上、さまざま申し上げてきましたが、最後に濱田市長の御見解、決意をお伺いして質問を終わります。
《濱田市長の答弁》
3-1 雨特別警報が発令されるとただちに命を守る行動を起こさなければならないことは、このたびの鬼怒川流域におけます災害でも改めて知らされました。このような豪雨は、近年、多発しており、もはや想定外ではなく、その対策は喫緊の課題であります。現在、本市におきましては、総合雨水対策アクションプランに基づくハード整備を推進させ、また、国・大阪府におかれましても、計画的に堤防強化等に取り組んでいただいているところでございます。しかしながら、それらのハード整備には、相当の時間を要すること、また「防災の基本は、自らの命は自らで守ること」でありますので、自助・共助の取組とそれらを支援するソフト対策もあわせて推進させる必要があると考えております。
市といたしましては、今後も地域の防災力向上のため、ハード整備をより一層、推進するとともに、地区防災会・自主防災組織の結成を促進しながら、正確な情報収集を行い、的確に躊躇無く避難勧告・避難指示を市民の皆様へ伝達できるように努め、安全・安心のまちづくりを推進してまいります。
一般質問:学力向上対策について
2つ目のテーマ、本市の学力向上対策についてお伺いします。今から2年前、平成25年度9月議会の一般質問において、私は「定住促進と教育行政について」をテーマに一般質問させていただきました。その趣旨は、国が示した第2期の教育振興基本計画を受け、本市においても今後の教育の全体像、基本的方向性、教育政策の遂行に当たっての留意すべき視点、そのための環境整備など、総合的かつ計画的な取決めが、本市、教育行政として必要であると主張しました。その重要性から今後6年間を見通した中長期的な計画である「高槻市教育振興基本計画」を本年平成27年3月に策定されました。本日は、この基本計画に謳われている基本施策を基に質問させていただきます。
【1問目】
1-1 平成26年度の全国学力・学習状況調査の結果では、小学校国語A・算数B区分と中学校国語A・B両区分が全国平均をやや下回っていました。平成27年度の全国学力・学習状況調査はどのような結果になっているのか?その結果についての評価、課題についてお聞かせください。
1-2 平成26年度の学習状況については、授業での話し合い活動に関することなど、多くの項目で改善が見られましたが「学校がない日の学習時間」や「家での予習や復習」については、小中学校とも全国平均を下回っていました。これらの課題を克服する取組みの一つとして、本市では、中学校の土曜学習を実施されることになっています。私は、具体的な取組みであり、まさに学力向上対策といえるのではないかと思っています。この高槻市立中学校土曜学習支援業務については、平成27年8月19日に実施された公募型プロポーザルにおいて、2社の公募があり、株式会社トライグループが、選定されました。そこでお聞きしますが、中学校の土曜学習は、いつからスタートするのか、またどのような内容になるのかお聞かせください。
1-3 本年2月2日、文教市民常任委員会として教育委員の皆様と御一緒させていただいて、本市小学校の学校図書館を視察させていただきました。図書館大改造と銘打って、保護者にも協力していただいて、調べ学習が充実できるレイアウトに生まれ変わっていました。今後、水平展開されることを期待しています。そこでお聞きしますが、中学校での土曜学習の実施に伴い、学校図書館の役割、機能については、休み時間や放課後など、パソコン等を活用して、自主的に学習ができるような機能、役割にしていくべきだと思いますが、小中学校、それぞれの考えをお聞かせください。以上、1問目の質問を終わります。
《答弁》
1-1 平成27年度の全国学力学習状況調査の結果についてでございますが、小中学校ともに全国の平均正答率を上回る結果となっております。とりわけ中学校においては、今回調査を行った国語、数学、理科の全ての教科において全国の平均正答率を上回り、府の平均も大きく上回っております。これらの成果については、各学校における授業改善の取組と教育委員会によるさまざまな教育施策が一定効果を上げていると考えております。その中でも、各学校が市の施策を活用して、授業研究に取り組み、「子どもが主体的に考える授業」が展開されるようになってきていると評価しております。
課題についてでございますが、ひとつは、学校における授業時間数については十分に確保ができていますが、授業時間以外の学習量については課題があると認識しております。とりわけ土曜日や日曜日の学習時間については課題があり、今年度の調査においても、本市の小学6年生において1時間以上学習する児童の割合は、43.5%、中学3年生においても56.6%となっており、全国の平均を10ポイント以上下回っております。
ふたつは、学校間格差や格差の固定化についてでございます。平成19年度から高槻市全体の学力としては向上傾向にあるものの、上位層の学校と下位層の学校については小中学校ともに固定化している傾向がございます。
1-2 2点目の土曜学習支援事業の内容等についてでございますが、土曜学習の開始時期については、今年度は10月17日から開始をし、各校12回の開催を予定しております。
次に内容についてでございますが、土曜学習の中では、実施教科である数学と英語について、個々の生徒の苦手な箇所や、わからなかった問題について、5名の指導スタッフが個別指導を行います。また、登録した生徒はパソコンや携帯電話を使って、いつでもどこでも映像を見て学習できるシステムも導入し、土曜学習とふだんの家庭学習をつなげ、学習習慣の定着を図ってまいります。
1-3 3点目の学校図書館の役割等についてでございますが、学校図書館は、自由に読書ができる「読書センター」としての機能と、児童生徒が、さまざまな疑問や学習課題について調べることができる「学習・情報センター」としての機能を持っております。これらの機能の充実を図るために、蔵書の充実と併せて、小学校では、社会科や総合的な学習の時間に調べ学習ができる環境整備が必要であり、中学校においては授業だけでなく、休み時間や放課後に、パソコン等の電子機器を活用して自主的に学習できるメディアセンターとしての機能を充実していくことが必要であると考えております。
【2問目】
2-1 平成27年度の全国学力・学習状況調査の結果、評価、課題の答弁をいただきました。学力については、大阪府、全国平均を上回る結果でしたが、一方、学習状況の結果を見ると、授業時間以外の学習量に課題があると認識されています。また学校間格差については、小中学校とも固定化しているとの答弁でした。課題について、明確にされていること、固定化しているということから、ターゲットが明確になっているということは、今後の改善にも期待ができます。そこで2問目として、平成25年度の全国学力学習調査の折りに文部科学省として、「保護者に対する調査」を行い、学力に影響を与える要因分析に関する調査研究を「国立大学法人お茶の水女子大学」に委託されています。そこでは、どのような分析結果が示されているのか?また、本市として特に課題が大きい学校への支援策については、どのような取組みをされているのかお伺いします。
2-2 土曜学習についての答弁をいただきました。10月17日から開始され各校12回の開催を予定されているとのことでした。できれば毎週の開催が好ましいと思いますので、今後については、今年度の実施状況を踏まえ判断していただきたいと思います。内容については、数学と英語について、5名のスタッフが個別指導を行うとのことでした。私は、トライの塾では、具体的にどのような学習内容なのか興味を持ちましたので、トライのホームページを見てみました。トップ画面には、トライイット始まる、スマホを振ると質問がとぶ、いつでもどこでも勉強ができる学習法、スマホ・タブレットなら時間と場所を選ばないとありました。今般実施される土曜学習も、この塾で実施されている内容とぼほ同様であるということで、大変、興味をひく内容になっています。次にお聞きした、学校図書館の充実についての答弁では、中学校においては、休み時間や放課後に、パソコン等の電子機器を活用して自主的に学習できるメディアセンターとしての機能を充実していくとのお答えでした。このことも、トライイットとの連動を考えた取組みとして是非進めていただきたいと思います。
そのためには、パソコン等の電子機器の増設など、一定の環境整備が必要と思われます。私はこれまで取組んできた特色ある学校づくりの予算がありましたが、学校図書館の予算については、どのように考えておられるのかお聞かせください。また、私ども会派としては、これまで中学校図書館については、いわゆる支援員の増員を求めてきましたが、その際の図書館の運営についてはどのように考えておられるのか合わせてお聞きします。
1-3 今般の取組みについては、大変重要で、保護者にも是非理解していただき応援をしていただけるものと思っております。そのためには、学力調査の結果や土曜学習、学校図書館の役割等、保護者に説明する機会を積極的に設けることが必要と思います。現状と今後の取組みについてお聞かせください。以上、3点を2問目の質問とします。
《答弁》
2-1 国の分析結果についてでございますが、調査で家庭の経済状況と子どもの学力には強い相関関係があることが明らかになっております。一方で、不利な環境を克服する手段の1つとして授業以外の学習量の確保が有効であることも、示されたところでございます。
次に、課題が大きい学校への支援策についてでございますが、本市教育委員会といたしましては、平成26年度から「家庭学習推進モデル校」を2つの中学校区に委嘱し、授業改善とともに家庭学習の充実をテーマに、研究を進めています。また、大阪府の「スクールエンパワーメント事業」などを活用し、中学校区単位での学力向上の取組を支援しております。さらに、再チャレンジ教室事業において、学力や学習習慣に課題がある学校については推進校に指定をし、実施回数やアドバイザーを増やす支援を行っております。
2-2 学校図書館の予算についてでございますが、
これからの学校図書館は、子どもたちの学習の中心的な役割を担う場になります。そのため、読書センターとしての機能に加え、学習センターとしての機能や、自学自習を支えるあらゆる情報が提供できるメディアセンターとしての機能が必要になります。この間、特色ある学校づくりの予算を活用し、2つの小学校が先行的に図書館を改造し、その機能の充実に取り組んでまいりましたが、その成果を他の学校に広められるよう検討してまいります。
また、中学校の図書館についてでございますが、生徒の自学自習を支える場として活用しやすい図書館となるよう環境面や運営面について、検討してまいります。
2-3 3点目の保護者への説明する機会についてですが、議員仰せのとおり、家庭学習充実のためには保護者の理解が不可欠であり、土曜学習支援事業については、現在全ての中学校において、説明会を実施し、生徒の学力の現状や課題、事業の目的、内容について、共通理解を図っているところでございます。
また全国学力学習状況調査についても、毎年各小中学校において、児童生徒の学力や学習状況、課題や家庭での取組を含めた改善方策について保護者、PTA等に文書で発信しております。今後もこのような取組を通じて学校と家庭の果たす役割を再確認し、家庭学習の一層の充実につなげてまいりたいと考えております。
【3問目】
3-1 本市教育行政は、2学期制をはじめ、35人学級、連携型一貫教育、特色ある学校づくり、ICT教育、まちごと図書館等、すべて、子どもたちの学力向上のための取組みでありますが、課題については、ここ数年で明確になりつつある中で、今年度、土曜学習の取組みに踏み込みこまれました。同時に、パソコンやスマートフォンを活用しての時間外の授業参加、学校図書館での自学自習の充実を図るメディアセンター化は、他市に先駆けての取組みになります。そうした中で、保護者の理解、支援はこれまで以上に大切になって参ります。
スマートフォンの普及により、その使い方によってメリットもデメリットもあるのは事実ですが、本市が進めるICT教育により、苦手なところをカバーし、後の社会生活においても無くてはならないツールの一つとして重要になっています。先ほども申し上げましたが、是非、学校、教育委員会の取組みについて、保護者に説明する機会を積極的にとっていただきたいと思います。PTA役員への説明や文書の発信だけでは、せっかくの取組みが伝わらないと思います。特に今般の土曜学習については、具体的にどのような取組みなのか?学校の体育館等で大きなパワーポイントの映像を通して説明していただくなど、積極的な保護者に対する取組みを要望させていただきます。予算については、これまでの特色ある学校づくりの予算を活用していくとの答弁でした。1校あたり100万円ということですので、これまでの総括もしっかりしていただいて、活用のあり方についても、学校まかせにならないよう、今般の図書館の環境整備、運営にあたっていただきたいと要望させていただきます。
以上、さまざま申し上げてまいりましたが、子どもの学力向上にかかわって、家庭の果たすべき役割と教育行政のあり方について、一瀬教育長の御見解、決意をお伺いして質問を終わります。
《一瀬教育長の答弁》
3-1 子どもの学力向上に係って、家庭が果たすべき役割は極めて大きいと考えられます。その役割は、学校で学習した内容の反復練習や学校の授業の予習、さらに自分自身の興味を深める学習を行うなど自学自習力の習慣をつけることが最も重要になります。学力の向上は学習にかけられる時間に正比例することが確実で、学校での学習に加えて家庭での自学自習の習慣づけと学習の質と量こそが、学力向上の土台となります。そのために、子どもが落ち着いて家庭学習のできる環境こそが最大の決め手になる場合が多いのです。各種の調査の結果から各家庭の文化的、経済的な状況が子どもの家庭学習に大きく影響することになり、子どもの置かれている家庭環境によって、学力差が生じたり、拡大する傾向にあります。
教育委員会としましては、子どもの貧困など子どもにはどうすることもできない環境や厳しい状況に置かれている子どもたちの課題解決のため、教員の人間力や生徒指導力の質を高め、より一層授業力をつけるとともに、家庭での学習方法の工夫と家庭学習への様々な支援を行ってまいります。