6月27日:一般質問テーマ:高槻市における精神疾患の保健・医療体制について
皆様、こんにちは、公明党議員団の吉田ただのりでございます。
私は、「高槻市における精神疾患の保健・医療体制について」をテーマに質問をさせていただきます。
現在の大阪府保健医療計画は、平成25年度から平成29年度の年次計画中となっており、昭和63(1988)年に初めて保健医療計画を策定して以来、数回にわたり改訂を重ね、地域における保健医療提供体制の確保に努めてこられました。
現在の医療計画は、さらに、近年の疾病構造や医療ニーズの変化等もふまえ、精神疾患及び在宅医療についての医療連携体制の構築等についても明示し、PDCAサイクルを機能させ、計画の一層の実効性確保を目指していくこと、とされています。
大阪府の精神疾患に関する現状については、精神疾患の患者数は、平成20年度推計総患者数としては、統合失調症 約32,000人、うつ病に代表される気分障がい 約43,000人、認知症 約16,000人となっています。大阪府における本市の人口割合は約4%ですので、これを基に本市の精神疾患の患者数を推計しますと、統合失調症は、約1,280人、うつ病等の気分障がい 約1,720人、認知症 約640人となります。また大阪府において平成23年度の精神障がい者保健福祉手帳所持者数 56,527人、通院医療費公費負担患者数 119,187人、入院患者数 17,613人となっています。
大阪府医療計画では、こうした状況の中で、精神疾患の保健・医療体制のめざすべき方向として、6点示されています。
1点目は、患者中心の医療サービスの提供として「主人公は患者である」という理念を中心に、安心・安全な医療サービスの提供を行うとのことです。
2点目は、精神疾患の早期発見・早期治療のための相談体制の充実および地域連携の推進であります。
3点目は、精神科救急、身体合併症治療等、医療提供体制における役割分担の明確化。
4点目は、住み慣れた地域で、必要な支援やサービスを総合的に受けられる体制づくり。
5点目は、精神科医療情報公開のさらなる推進。
6点目は、地域精神科医療を支える人材養成。
以上、6点の大阪府の考え方をもとに、本市がどのように取組んでおられるのか、お聞きしていきたいと思っております。
【1問目】
1点目としては、本市の精神障がい者等の状況についてお伺いします。本市における精神障がい者保健福祉手帳所持者数、通院医療費公費負担患者数、入院患者数についてお聞かせください。
2点目は、大阪府医療計画における、本市の取組みについてお伺いします。特に保健所の機能強化などについてお聞かせください。
3点目は、保健所の現体制についてお伺いします。所管の保健予防課における専門職別の人数、先の国会での難病関連の法制定されたことによる今後の体制整備の必要性などお聞かせください。
4点目は、今回私が一番お聞きしたい点についてお伺いします。いわゆる精神科未受診者の方や治療中断者の方への対応です。対象者の家族から相談があった場合と対象者について地域の方から相談があった場合のそれぞれの対応についてお聞かせください。
5点目は、こころの救急相談についてお伺いします。その内容について、利用実態、市民への周知についての現状はどのようになっているのかお聞かせください。
6点目は、去る大阪府の2月議会において、精神障がい者への医療費助成についての請願が可決されています。これまでの大阪府の医療費助成については、身体・知的障がい者の医療費は全診療科について、助成されています。請願可決に至った経緯、本市の受け止めについてお聞かせください。
以上、6点を1問目と致します。
<答 弁>
精神疾患の保健・医療体制に関する6点のご質問に関しまして、ご答弁申し上げます。
まず、1点目の本市の精神障がい者の方などの状況についてでございますが、平成25年度末の精神障がい者健康福祉手帳所持者数は2,548人、通院医療費公費負担患者数は5,273人、平成24年6月末の入院患者数は609人でございます。
2点目の大阪府保健医療計画についてでございます。平成25年4月に策定されましたこの計画には、精神疾患に関する項目が新たに記載されました。計画の内容といたしましては、患者中心の医療サービスの提供、相談体制の充実及び地域連携の推進等ございますが、本市といたしましては、この計画に関して大阪府や関係機関と連携し、実現可能なところから取組んでまいります。
3点目の、保健予防課の体制についてでございますが、現時点の専門職といたしましては、医師1名、保健師18名、非常勤の保健師2名、診療放射線技師1名、臨時職員の臨床心理士1名でございます。難病の法改正は平成27年1月1日に施行予定です。詳細は未定ですが、対象疾患数は現在の56疾患から最終的に約300疾患になる見込みです。対象者の増加に対応するため、状況に応じた体制が必要と考えます。
4点目の、認知症を含む精神科未受診者等への対応についてでございますが、ご家族からご連絡をいただいた場合は、直接、対象者の支援をいたします。次に、同居のご家族がおられない方について地域から連絡が入った場合でございますが、必要に応じて、他課や関係機関等と連携したり、対象者と信頼関係が構築されている方に協力いただき、対応しております。いずれの場合もお話をお伺いし、必要に応じて、医療機関への受診に結びつけていきます。
5点目でございますが、大阪府が設置されている「こころの救急相談」は、精神疾患の方やその家族が休日・夜間の救急時に電話相談できるシステムで、精神保健福祉士等専門家が、相談に応じ、医療の必要な病状と判断した場合には、当日、受診できる精神科病院を紹介します。平成25年度実績は、大阪府内で3万件台の相談があり、内、約8千件が新規のケースであったと聞いております。周知方法についてですが、大阪精神科診療所協会が名刺大の周知カードを作成され、それを大阪府内の保健所、医師会、薬剤師会等に配布されています。本市では、保健所のほかに、市役所の市民相談窓口等に配架しております。
6点目の大阪府議会における精神障がい者への医療費助成についての請願可決の経緯についてでございますが、社団法人大阪府精神障害者家族会連合会の府議会に対する働きかけにより、全会一致で可決されたと聞き及んでおります。また、請願可決を受けての本市の認識についてでございますが、かねてより精神障がい者への医療費助成について、大阪府及び府下全市町村が一体となって取り組むべき課題であると認識しておりましたので、今回の請願可決により一定前進するものと考えております。以上でございます。・・答弁は健康福祉部長
【2問目】
1点目は、精神疾患患者の現状を踏まえての保健所の機能強化の取組みについての答弁がありました。答弁では「大阪府医療計画に関して大阪府や関係機関と連携し、実現可能なところから取組んで参ります」とのことでしたが、もう少し具体にお聞かせいただきたいと思います。計画の中には、保健所等を中心とした地域相談支援体制の充実がうたわれており、精神科専門医とかかりつけ医との連携を求めています。本市の具体の取組みについてお聞かせください。
2点目は、現在の保健予防課の体制についての答弁をいただきました。
医療計画の中には「地域精神科医療を支える人材育成について」うたわれていますが、難病の法改正が行われ体制強化は不可欠との認識をお持ちになっています。この課題は、市として考えていただく必要があります。本市の取組みについてお聞かせください。
3点目に精神科未受診者や治療中断者への対応についてのご答弁をいただきました。私もここ数年、ご家族から相談をお受けすることがありました。それぞれ状況が異なりますので、保健予防課の対応も大変重要となっています。例えば、医療機関に受診する必要があっても、ご本人が拒んでいる場合。また、夜間・休日において、救急対応が必要なケース。こういう状況になった場合、家族から保健所や救急要請をされるケースが多いと思いますが、先ほどお聞きした「こころの救急相談」を利用されることで対応が早まるケースがあると思われます。答弁で周知方法については、電話番号が書かれた「周知カード」を各相談窓口等に配架しているとのことでした。現状は、相談されたら「こころの救急相談」のことをお伝えされたり、普段は、ホームページでの広報やパンフレットに記載されているわけですが、いざという時には、間に合わないというのが実態ではないかと思っております。是非お願いしたいのは、この電話番号が書かれている「周知カード」は、精神障がい者又は家族の方にまず「こころの救急相談」があることを説明していただき、そのうえで「カード」をお渡ししていただきたい。その上でお聞きしますが医療計画には、「精神科医療情報公開のさらなる推進」が求められています。本市の今後の取組みについてお聞かせください。
4点目に先ほど申し上げました、家族からの相談については、精神科未受診者が多いと思います。一方で、精神科の治療中断者については、地域からの相談が多い様に思われます。精神患者の退院促進、地域移行という国の方向性が要因の一つとの見方もあります。また、医療保護入院のあり方の法改正がありました。主には保護者制度の廃止と医療保護入院の運用見直しになっています。関係するところだけ申し上げますと精神科病院の管理者に「退院後生活環境相談員の設置」を義務付け、保健所に提出する入院届に加えて「入院診療計画書」が必要になっています。この「入院診療計画書」には、入院期間を記載するようになっています。一般的には「3か月」を入院期間と決めて、退院後の計画を作成されているようです。そのために精神科病院には、退院促進のための体制整備を義務付けています。こういった早期退院の流れを考えれば、今後さらに治療中断者が増加することが想定されます。これらの事情を鑑みてか、大阪府医療計画では、アウトリーチ支援(訪問支援)体制の確立を求めています。ちなみに医療計画には、「長期入院者の退院促進をはかる観点からアウトリーチ支援体制の確立は特に重要であり、(中略)精神科未受診者や治療中断者の方々を適切に医療に繋げるため、精神科医療機関からの往診をはじめ訪問看護ステーション、保健所、相談支援事業所等の連携によるアウトリーチ支援の充実をはかる」とうたわれています。そこでお聞きしますが、市内精神科医療機関のアウトリーチ支援の状況についてお聞かせください。また、本市の役割として、保健所の取組みについてお聞かせください。
5点目は、精神障がい者への医療費助成についての認識の答弁をいただきました。大阪府の請願可決によって、一定前進するものと考えているとのことでした。そこでお聞きしますが、今後大阪府が精神障がい者を医療費助成の対象とした場合の本市の対応についてお聞かせください。また、その際の必要な予算についてはどれくらい見込まれるのか、お聞かせください。
以上、5点を2問目と致します。
<答 弁>
精神疾患の保健・医療体制の2問目にかかる、5点のご質問に関しまして、ご答弁申し上げます。
まず、1点目の地域相談支援体制の充実についてでございますが、大阪府医師会で毎年、かかりつけ医向けのうつ病対応力向上研修を実施されています。高槻市医師会会員もこの研修を受講されております。本市では、保健所が事務局となって、精神保健福祉関係機関連絡会議を開催しています。この連絡会議は十数年前から長期入院患者の退院促進支援のため開催していたものを、平成24年の制度改正に伴い退院促進事業が福祉制度に移管した際に、会議の目的を「退院促進支援」から「精神疾患患者の地域での安心安全な療養生活」に改定し、継続実施しているものでございます。会議の参画機関は、精神科病院・診療所、訪問看護事業所、居宅介護事業所、社会復帰関連施設等のほか、障がい福祉課、生活福祉支援課であり、市内の精神疾患患者に携わる関係者の課題共有・問題解決・連携の場となっております。
2点目の、地域精神科医療を支える人材育成についてでございますが、地域精神医療を支える人材として、精神科医師を始め、保健師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士等、多職種が関わっています。保健所では、連絡会議を通じ、連携強化を図り、地域の精神科医療のスキルアップに努めております。
3点目の精神科医療情報公開のさらなる推進についてでございますが、大阪府保健医療計画には、府下の精神科病院の医療情報が掲載されています。本市では連絡会議で編集した「こころのほっとガイド」を毎年更新しています。このガイドには高槻市内の精神科医療機関相談窓口を地図とともに掲載しています。市内医療・福祉関係機関に配架すると共に保健所ホームページでも閲覧できます。
4点目の、アウトリーチ支援についてのお尋ねですが、アウトリーチ支援とは、利用者の生活の場に訪問し、利用者を患者としてではなく生活者として支援することでございます。本市において精神科病院系列の1診療所と1訪問看護事業所が24時間365日、訪問対応をする事業を26年度から開始されています。保健所では、従来より、様々な相談を受けておりますが、必要に応じて、訪問支援、同伴受診等を実施しております。また、アウトリーチ支援は、行政と精神科医療機関等がそれぞれの役割の中で、推進していくものと認識しており、今後のアウトリーチ支援の充実の為には、多職種・多機関のコーディネートが重要と考えております。連絡会議で、それぞれの機関より課題提供をいただき、検討していくなど、アウトリーチ支援の充実の為、会議を連携の場、啓発の場として活用してまいります。
5点目の大阪府が精神障がい者を医療助成の対象とした場合の本市の対応についてのお尋ねですが、現在のところ府の制度設計が示されていない状況ではございますが、府が対応された同様の方向性でもって本市の対応を検討してまいります。また、必要な予算額についてのお尋ねですが、福祉医療制度を持続可能なものとするため、対象者の拡大にあたっては、近年の福祉医療をめぐる情勢の変化等を踏まえ、大阪府において抜本的な制度改正も含めてなされるものと聞き及んでおります。現在のところ、制度改正の時期、改正内容等が決まっておりませんので、必要な予算額については算出することができない状況でございます。以上でございます。・・・答弁は健康福祉部長
【3問目】
3問目は要望とさせていただきます。アウトリーチ支援についての答弁をいただきました。この取組みは、大変重要で、この課題、必要性は、先ほど紹介した通り、医療計画にうたわれています。私もこれまで地域でのいくつかのケースを御相談させていただく中で、認識をしておりました。国もその必要性があることから、「精神障害者アウトリーチ推進事業」を平成23年度の単年度事業として都道府県に対して打出しました。只、1年間だけでは、その後、対応ができないとのことで残念ながら大阪府はこの事業を受けませんでした。その際、保健所の皆さんには、市として単独で出来ないですか、みたいな大変無理なことを言った覚えがあります。あれから2年から3年が経過する中で、答弁にありましたが、市内精神科病院系列の1診療所と1訪問看護事業所が24時間365日、訪問対応をする事業を26年度から開始されています。まだ始まったばかりですが、これまでの保健所として悩まれていたことが、結果として表れたものと評価をさせていただくところであります。今後は、市内の他の精神科医療機関においても、アウトリーチ支援が進むよう市として取組みを継続していただきたいと要望させていただきます。またその場が、本市の保健所が事務局となって開催されている「精神保健福祉関係機関連絡会議」であるということは答弁からも伺うことが出来ました。私は、この会議において、課題共有、問題解決、連携の場として機能されていることは、先進的な取組みではないかと思っております。その上で保健所がコーディネーターとしての役割を果たしていただきたいとあえて要望させていただきます。
先ほども「こころの救急相談」の周知カードの活用について要望させていただきましたが、「こころのほっとガイド」についても中身を見ますと、アウトリーチ支援のことがまだ書かれていません。是非さらに充実した内容に更新していただきますよう要望させていただきます。
大阪府が精神障がい者を医療費助成の対象とした場合の本市の対応についての答弁では、府が対応された同様の方向性でもって本市の対応を検討していくとのことでした。予算額については算出できないとのことでしたが、前向きの答弁をいただきました。大阪府は、この2月議会では、精神障害者の医療費助成とともに、子ども医療費助成についても前向きな答弁をされています。我が党の清水議員の代表質問に対して、府は、子ども子育て新制度がスタートする平成27年度に合わせて、子ども医療費助成の拡充に向けて、実務的には26年度の早期に結論が出せるよう市町村とともに検討を進めていくとの答弁をされています。府が拡充することで、本市の負担が減るわけですので、その分、例えばこの精神障がい者の医療費助成にまわせることが可能になります。今後の府の動向については、注視しながら、他の市町村の中でもしっかり意見を言ってもらいたいと思います。
最後に保健所の体制強化の必要性については、市も認識をされている答弁をいただきました。「難病の患者に対する医療等に関する法律」が、平成26年5月23日に成立しました。この成立により、これまで法律に基づかない予算事業(特定疾患治療研究事業)が、難病の新たな医療費助成制度が確立されることになりました。対象疾患数も現在の56疾患から約300疾患に拡充され、対象者数も約78万人から150万人と試算されています。スケジュール的には、難病の指定が本年10月とされており、平成27年1月に第1次実施、8月に第2次として、医療費助成が実施されます。この対応が新たな業務として追加されますので、体制強化については、喫緊の課題と言えます。この難病の医療費助成、そして、子ども医療費助成、そこに、今回お聞きした精神障がい者の医療費助成を合わせて総合的に検討されていくという大変行政の皆様には御苦労をお掛けしますが、頑張っていただきたいと思っております。しかしながら、持続可能な社会保障制度の確立を図るための流れでありますので、是非しっかりと検討をお願いしたいと思います。これまで本市の見解としては、「大阪府が動かないと市だけでは対応できない」とされてきました。私も市単費の対応については、慎重な議論が必要と思っております。その上で大阪府がいよいよ動き出しましたので、今後、府の対応に即した、本市の対応をしっかり検討していただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました!