吉田ただのり
大阪府議会議員 (高槻市・島本町)

9月25日:一般質問②公共施設のあり方について

■一般質問 / 2013年9月26日

次の質問内容は、「公共施設のあり方について」であります。

現在の社会基盤の公共施設の多くは、1950年代後半からのいわゆる高度経済成長期に一気に整備が進められたため、今後、耐用年数を超えるものが急増する見通しにあります。公共施設の老朽化問題について、近年、さまざま指摘されてきておりますが、さきの東日本大震災を受けて、国民の安全・安心を確保する観点から、より一層注目されるようになってまいりました。この問題は、大震災前から問題視されており、その維持更新の必要性についても指摘されてきました。ただし、それらの維持更新には多額の費用が必要になることは必至で、現在の各自治体の財政状況を踏まえれば、相当な負担となることが推測されます。しかしながら、社会資本ストックに関する安全性の確保は市民生活の安全を守る観点から、行政の責任として着実に進めなければならないわけであります。 

本市は、アセットマネジメントを第8次行政改革の4年間で取組みが進められていますが、その取組みをお聞きすると同時に、先進的な自治体、例を挙げますと神奈川県藤沢市、また千葉県習志野市などの取組みを比較しながら、単なる施設の管理運営だけでなく、保有する市の資産を経営の観点で進める、公共ファシリティマネジメントの考え方をアセットマネジメントに付加することを提案させていただきたく、質問をさせていただきます。 

【1問目】 

●1点目は、一般的に鉄筋コンクリート造の建築物の耐用年数は、減価償却資産の基準であれば学校等でおおむね50年、工学的判断ではおおむね60年から65年と言われておりますが、高槻市の公共施設のうち、竣工後30年、40年、50年が経過している建物のそれぞれの割合についてお伺いをいたします。

●2点目は、高槻市の公共施設の維持更新などにかかる費用とその確保についてお伺いをいたします。

●3点目は、本市は、高槻市アセットマネジメント推進要綱を平成23年8月30日から施行されていますが、アセットマネジメントを推進の考え方と、3つの部会のこれまでの取組み状況(会議の回数等)についてお伺いをいたします。 

●4点目は、市の公共施設の維持管理については、市民には、それぞれの施設にどれくらいの費用がかかっているか、わかりません。そこで、各施設のサービスと負担の現状について市民に理解していただき、一緒に考えていただくためにも、公共施設白書を作成し、施設の維持管理にかかる費用や使用料などの状況を公開することは有用であると考えますが、ご見解をお伺いいたします。近隣他市での施設白書の作成状況についてお聞かせください。 

以上、4点をお聞きして1問目を終わります。

尚、2問目以降は、アセットマネジメントは「AM」、ファシリティマネジメントは「FM」と省略して申し上げますので、ご了承ください。

 【2問目】

 答弁を受けて

●1点目は、今後、将来負担等の状況を明らかになった段階で、・・・とは、いつを目標にされているのですか?

 ●2点目は、そもそも本市として、施設白書は何のために作成するものだと認識されているのですか?

 本市のAM推進体制は、その担当者は、普段の業務と兼任で行っていることからその進捗は残念ながらスピード感にかけています。もとをたどれば、本市の第7次行財政改革で、AMについての必要な研究と検討を行うとして、平成19年度からスタートされています。 

第8次行財政改革においてのAMの取組み計画票をあらためて見てみますと、4ヵ年計画の目標が「検討する」「体制を構成する」などの抽象的内容で、課題に対してどのような成果を出そうとしているのか分かりにくくなっていました。 

施設の維持管理費用や老朽化対策は、自治体の共通課題であるために、近隣市では、施設白書を作成して、現状の課題や将来予測を市民にも説明しながら取組みを進めています。 

現在本市が取組んでいる施設台帳を整備しても、市全体の課題として一元管理できる仕組みがなければそのデータを生かすことはできません。

本年7月13日付けの新聞の一文を紹介しますと、近畿の府県と政令市に聞いたところ、おおむね台帳の整備は進んでいる。ただ、生かせたとは限らない。例えば、神戸市は、担当部局が多岐にわたる建物に関しては「データをそれぞれの部局が管理している」状態で、改修の順位付けなどにはまだ生かせていない。堺市も一元的なデータベースはこれから作成する段階だ。と他市の事例として新聞報道でも指摘されています。 

●3点目は、AM推進体制の強化については専門部署の新設等、どう考えておられるのかお聞きします。専任部署を設置されている近隣他市についてお聞かせください。 

これまで、現在取組んでいるAMについてお聞きしておりますが、本市は、平成23年8月18日、「アセットマネジメントの導入」についての建議書が出されております。この建議書には、アセットマネジメントは、総合的な資産の管理・運用が目的で、最終目標は、「必要資産と不要資産の仕分け」とし、そのためには、効果的・効率的な維持管理を目指す「ストックマネジメント」から取組んでいくと記載されています。 

このAMの取組みである、3部会は、それぞれ取組んでおられますが、果たして現状の取組みだけでいいのか、大変危惧を覚えるものであります。少なくとも実態として、建議書に示されているような取組みが見えてきません。

 これからお聞きするのは、ファシリティマネジメント(FM)は、本市が進めるAMに近いものではありますが、FMは、公共施設は、経営資源であり、施設資産として有効活用していくとともに、施設とその環境を対象とする大きな経営課題ととらえての経営活動であります。そこで、先進事例を見れば、ファシリティマネジメント(FM)を推進する自治体が出てきております。

公共施設の今後の企画・建設・運営維持については、3つの視点からその必要性を法律で示されています。一つは、量の見直しに関連する法規として、二つには、質の見直しに関連する法規として、三つには、地方公会計の見直しに関する法規として、それぞれ法改正等されています。

そもそも地方自治法238条の2に公有財産に関する首長の総合調整権が明記されていることもあり、使用調整が可能になっています。 

近隣市でもある、吹田市では、FMが進められています。吹田市では、本市の第8次行革大綱が示された23年度から26年度の4ヵ年と同時期に4ヵ年のタイムスケジュールが示されました。

まず、23年度に推進体制の整備に着手され総括管理組織いわゆる専属部署が設置され「公共施設最適化方針の骨子」が策定されました。そして、施設台帳の整備とともに、市有建築物保全システムの構築を図り、施設状況の把握、分析のための一元化の運用を翌24年度から進めています。そのデータを基に、施設白書の作成、公有地の利活用の検討に入っております。今年度は、「吹田市公共施設最適化推進助言等委託業務」を公募型プロポーザル方式で実施しておられます。

これは、吹田市が所有する公共施設の最適化を進めるに当たり、指導・助言等、全般的な支援業務を委託するもので、26年度の取組みにあげておられる、個別施設利活用策の具体化や再整備、保全管理事業化をいっきに進めようとするものです。

 ●4点目にお聞きしますが、本市は、FMをどのように理解しているのか、定義・目的・本市から見たその必要性についてお聞かせください。 

●5点目は、本市の8次行革は道半ばですが、大事な取組みですので、具体の対策として、公共施設最適化の方針を明確に打ち出すべきだと思いますが、市の見解をお聞きします。 

●6点目は、少し違った視点から提案をさせていただきます。本来公共施設は、それぞれに根拠法令があり、その意図する目的を達成するために存在しています。しかし、住民のニーズの多様化や社会情勢の変化により、公共施設は、その設置目的の枠だけでは対応できなくなってきています。そのような中で、今後の公共施設はどうあるべきかを検討することが求めらます。

例えば、本市には現在5つの老人福祉センターがあります。現状として、お元気な高齢者が利用されていますが、益々高齢化が進むことを考えれば、現行の慰労・娯楽的な施設から、健康維持・介護予防型施設への転換を図るべきだと思います。具体には、相談機能の充実、機能回復や健康維持のための複合施設化です。また公民館のあり方、学校園施設についても、災害時の避難場所ということもあり、施設開放のあり方を含め、より開かれた地域の拠点としての役割への転換など図る必要性を感じております。

そこで、今後の公共施設はどうあるべきかを検討する、仮称ですが、「公共施設のあり方検討委員会」のようなものを設置していただきたいと思いますが、市の見解をお聞きします。

 以上、6点を2問目とします。 

【3問目】 

3問目は、要望とさせていただきます。現在、8次行革に基づいて取組んでおられる、3部会の取組みについてですが、1問目でも答弁をいただいておりますが、各部会としての取組みは評価をしておきたいと思います。まず、有効活用部会は、これまでの道路敷・水路敷の売払いに加えて、今年度から土地の市有財産の売払いについて、4件の物件に対して一般競争入札を実施されています。

有効活用とは、無駄な経営資源を持たないということであり、持つべき経営資源を最大限に活用するということであり、ムリ・ムラ・ムダをなくすということであります。長年の課題がある土地や施設がもしあるとすれば、有効活用部会でしっかり取組んでいただきたいと思っております。

次に社会インフラ部会ですが、道路橋梁の長寿命化計画をはじめ、公園施設台帳の電子化、下水道・雨水ポンプ場施設台帳の電子化など、着実に進められています。今後のデータの共有化に向けた電子化に次のステップとして取組んでいただきたいと思います。

そして、建築物部会ですが、施設台帳整備、図面の電子化、保全計画作成検討など、できることを着実に取組んでいることは伺えます。 その上で、この延長の取組みでいいのかということであります。

本市の今後予定されている大きなプロジエクトを考えるとその場しのぎの対応はもちろんのこと、現在のAM体制のみでは、極めて不十分と言わざるおえません。

 例えば、市長マニフェストに掲げられた、富田複合庁舎を具体化していくにも、富田地域の公共施設の配置状況を検証していく必要があります。本市が取り組むアセットマネジメントが進まなくては、実現できません。 

また、現代劇場の建替えについては、耐震診断の結果によりますが、長寿命化を図り、その後、建替えをしていくことになります。ここは、城跡公園との一体的な整備構想が必要です。この件については、どう考えても優先順位のつけ方があいまいであったとしかいいようがありません。 

この2つをあげても、アセットマネジメント、ファシリティマネジメントの必要がわかります。 

現在、大きな議論が進められている安満遺跡公園の市街化部分の施設には、どの部分を持ってきて、子どもの施設にしていくのか、複合施設の中身を決定していくことになります。

27年度で耐震改修工事が終了する学校園公舎ついては、その後の長寿命化計画を策定していくことは、少子化の中では当然必要だと思っております。

 いろいろ申し上げましたが、最後に2点要望させていただきます。

今いくつか申し上げたものを含めて、本市の公共施設には、地震で危ない建物がまだたくさんあります。また、古くなった建物の修繕費負担が大変です。また、使用頻度の少ない建物があります。このようなデータはどうなっているのか?まず、状態を把握しなければなりません。

このような公共建築の課題解決のために、FMの先進市は、保全情報システム(ビームス「BIMMS」(ビルディング・インフォメーションシステム・メンテナンス・サポート)を導入されています。近隣市では、吹田市をはじめ、堺市、河内長野市が導入されています。全庁的なFMデータの一元管理により「見える化」にすることが大事だと思います。現在は、市独自の方法で台帳整備をされていますが、インターネットによる共同利用のシステムである保全情報システム「BIMMS」ビームスの導入の検討が必要です。是非、導入による効果の検証をしていただきたいことを要望させていただきます。 

そして、FMの推進体制についても、いわゆる職員の兼任対応ではなく、専門部署を明確に置かれています。少なくともいくら優秀な職員であっても、兼任で行えるようなものでありません。FM担当部門の体制づくりは不可欠であります。FM担当部門は、継続性と協働がカギになりますので、長期にわたるFM戦略の責任体制を築くことが重要で人材の確保が必要です。FM業務に従事する職員は、従来の事務分掌にない新たな領域にチャレンジすることになりますので、その人材の登用については、現在AMに携わっている職員も含めて意欲と素質のある職員を発掘する必要があります。 

本市の今後のビッグプロジエクトは、どれも必要かも知れませんが、その前に、現状の課題や将来予測を市民に説明しなければ、多額の予算を伴う大きな課題に対する取組みの正確な判断が出来ません。2問目の答弁で大変前向きな答弁がありました。答弁では、先日開催されたAM推進本部会議において、横断的な組織の設置、全庁的な取組み、スピードアップ、公共施設の最適化、あり方委員会の設置も含め、効果的な推進手法について、今後、早急に検討して参りたい。とのことでした。いよいよの本腰の取組みに期待して質問を終わります。