山口那津男代表と石井啓一幹事長より
国会が開幕し、衆院は1日の本会議での岸田首相の施政方針演説に対して、石井啓一幹事長が代表質問を行い、参院は2日の本会議で山口那津男代表が代表質問に立ちました。公明新聞より、それら要旨をご紹介させていただきます。岸田総理の答弁も。(記事全文)
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(2日 公明新聞より) 石井啓一衆院議員の代表質問の要旨
■(能登半島地震) 住宅の応急修理、期間を延長せよ能登半島地震の被災地では厳寒の中、いまだ多くの方が不自由な避難生活を余儀なくされている。
政府は、災害関連死を断固防ぐため、全ての避難所への支援物資の責任者を明確化し、避難者のニーズにきめ細かく十分に応えられるよう万全を期すとともに、感染症や持病の悪化などを防ぐため、医療・介護・保健体制を強化し、バリアフリーの仮設トイレの設置など、避難者に寄り添った避難所の環境改善に官民の総力を挙げて不断に取り組むべきだ。
また、在宅避難、自主避難、2次避難などをされている人へ状況に応じた支援も課題であり、行政サイドから積極的に訪問するなどアウトリーチ型の見守り・相談支援の継続的な実施が重要だ。
加えて、能登地域で被災し、子どもや親戚宅に避難している高齢者が要介護状態になったにもかかわらず、金沢市内など、避難している地域で介護施設の受け入れ限度を超えてしまっている現状がある。県外からの介護職の応援も喫緊の課題であり、広域的な対応・支援を進めるべきだ。
発災後1カ月たった今なお約4万戸(1月30日現在) の断水が続き、被災者の健康維持ならびに復旧・復興の最大の足かせとなっている。早期断水解消に、全力を尽くすべきだ。
■被災者の生活再建
被災者の生活再建の大前提は罹災証明書の発行だが、いずれの被災市町村においても本格的な発行は始まっていない。
被災者生活再建支援法の適用をはじめ、さまざまな支援メニューを受ける条件が罹災証明書となっている。早期発行を可能にするには、一軒一軒の家屋調査を前提とせず、被災地域単位で全壊地域と認定するなど、発行手続きを大胆に簡素化し、被災者の生活と、なりわい支援を前に進めるべきだ。
被災者の生活再建の第一歩は、家屋の解体・撤去、修理や建て替えだ。被災地域の特性から、家屋のみならず納屋、車庫などの解体・がれき処理の費用も公費負担と認めるよう強い要望がある。空き家の解体・がれき処理についても公費負担が必要であり、政府として早期に決定すべきだ。
住宅の応急修理は、災害救助法で「1世帯当たりの限度額は70万6000円以内」「応急修理の期間は、災害発生の日から原則3カ月以内に完了すること」と定められているが、近年の資材高騰から限度額を引き上げること、また、被災地の実情に照らし適用期間の延長は必要不可欠だ。
仮設住宅の建設も急務だ。被災者の多くが高齢者であり、住宅の再建が容易ではなく、寒冷地対応で、かつ恒久的な住宅として払い下げできるスペック(仕様) の仮設住宅の建設を進めるべきだ。内灘町をはじめ液状化被害が著しく、住宅の再建が困難な地域の再生についても、政府を挙げて対応することが必要だ。
■(政治改革) 収支報告書の虚偽記載など「連座制」の導入重要
政治資金パーティーの収入について、収支報告書に適切に記載されないまま、多額のキックバックがなされていた問題が発覚し、逮捕者が出るなど政治に対する国民の信頼は著しく損なわれている。政治改革は待ったなしの状況だ。
公明党は、このような問題を二度と繰り返さないために、カネの流れの透明化と罰則の強化を柱とする「公明党政治改革ビジョン」を1月18日に発表した。
ビジョンでは、政治資金の透明性の強化を図る具体案として、パーティー券の購入について、収支報告書に記載する基準を、現行の20万円超から、5万円超まで引き下げ、全ての入金を口座振り込みのみとすること。さらに、一部の政党で議員に支払われている「政策活動費」の使途公開とともに、国会議員に毎月支給される「調査研究広報滞在費」については、使途明確化、使途公開、未使用分の国庫返納を行うこと。政治資金を監督する第三者機関の設置や、誰もが簡単に閲覧できるよう、収支報告書のデジタル化の促進も掲げている。
収支報告書について、国会議員などの代表者に、適法に作成されていることの確認書の提出を求め、虚偽の記載などがあった場合、秘書などの会計責任者だけではなく、監督責任などを怠った議員などの代表者も罰金刑と公民権を停止する「連座制」を導入し、罰則の強化を図ることも極めて重要だ。
今こそ、国民の政治への信頼を取り戻すため、派閥の解消にとどまらず、政治資金規正法の改正に、与野党の枠を超えて取り組むべきだ。
■(物価高対策、経済政策) 賃上げへ中小に稼ぐ力
物価高による家計への影響が続いている。賃上げや所得向上の流れができるまで、しっかりと家計を支える対策が重要だ。既に昨年の補正予算で措置した住民税非課税世帯に対する7万円給付が順次開始されているが、まだおよそ半数程度の自治体の実施にとどまる。
速やかな支給が望まれる。今後はこれに続いて、低所得者の子育て世帯に子ども1人当たり5万円の追加給付を、また、住民税均等割のみ課税されている世帯などに対しては10万円を給付する。
6月以降には1人当たり4万円の定額減税を実施し、減税分を引き切れない方には差額を給付で補てんすることとする。物価高での暮らしに大きな安心を与える支援策になると期待している。
しかし、制度が複雑で“自分はいつ・いくら支援を受けられるのか”が分かりにくいとの指摘もある。支援の見通しが立つことは生活の安心につながる。例えば、関係省庁や各自治体などの情報を統括し、支援の全体像や個別の相談先を分かりやすく紹介する「まとめサイト」の作成など、国民に分かりやすい広報をぜひともお願いしたい。
この際、現在、国で開発している、申請から給付までのプロセスをデジタルで完結できる「給付支援サービス」の導入を一気に進め、全国の自治体における給付金の迅速な支給体制の確立や住民からの質問に直接回答する「問い合わせセンター」の設置に向けた改革に取り組んでいただきたい。
デフレ完全脱却へ最も大事なことは、物価上昇を上回る持続的な賃上げだ。特に、中小企業が賃上げを継続できる環境整備が喫緊の課題だ。
公明党は昨秋「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」をまとめ、20の具体策を政府に提言した。企業の稼ぐ力を強化し、賃上げの原資をつくろうとする施策が徐々に動き出している。人手不足解消、生産性向上への設備投資に役立つと期待の声が大きいのが、製品を「カタログ」形式で簡単に選択できる「省人化投資補助事業」だ。
昨年末発表の労務費転嫁のための指針も含め、中小企業の現場で十分に活用され、効果が最大限に発揮できるよう着実に推進していただきたい。
これらの施策を価格転嫁や生産性向上などに確実に結び付けるには、省庁横断的に政府一丸となった取り組みが欠かせない。
■物流24年問題、荷主の監視強化
物流では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されると、30年には34%の輸送量が不足し「物が届かない」という混乱に陥る危険性がある。あしき商慣行見直しをはじめ、標準的運賃引き上げ、人手不足解消、生産性向上などに、総力を挙げて真剣に取り組むことを求める。
下請けになればなるほど手数料が引かれ、運賃が安くなる「多重下請け構造」にも対策を講じる必要がある。さらに、ドライバーの業務環境改善のため、トラックGメンによる荷主・元請けへの監視を強化し、悪質な企業は社名を公表するなどの対応を取るべきだ。
建設業においても、4月から時間外労働の上限規制が始まるが、公共工事設計労務単価をさらに引き上げるとともに、適切な労務費や賃金の行き渡りの担保を確保すべきだ。また、適切な工期設定と施工時期の平準化を図るとともに、週休2日、4週8休の取得促進、ICT(報通信技術) を活用した生産性向上への支援など、働き方改革も進める必要がある。
政府は、こうした内容を含む法改正を予定している。確実に実行すべきだ。
■(社会保障) 子ども政策、財源の説明、丁寧に
政府は昨年、「こども未来戦略」を決定し、こども政策の加速化プランを初年度となる今年から3年をかけて実施する。加速化プランでは、児童手当の大幅拡充、高等教育費の負担軽減、育児休業制度の拡充などに加え、公明党が一貫して推進してきた、ひとり親家庭への支援や子どもの貧困対策、障がい児支援などさまざまな困難を抱える子どもや家庭に対する支援も強化されている。
これらを実現するため、財源確保は不可欠だ。政府は財源について、まずは歳出改革の徹底や既定予算の最大限の活用によって捻出し、さらに26年度から新たに導入される支援金制度によって確保するとしている。一方、この支援金制度は、全世代が加入する医療保険制度を活用し広く国民から支援金を徴収するとしているが、政府は、少子化対策の財源について「実質的な国民負担は生じない」としている。
少子化対策の財源確保に向けた支援金制度の必要性とともに、実質的な負担が生じないことなどについて、国民が納得できるよう丁寧で分かりやすい説明をお願いする。
■仕事と介護の両立
こども未来戦略では「共働き・共育ての推進」として、育児休業給付を最大28日間は手取りで8割相当から10割相当へ引き上げるなど、育児休業制度を抜本的に強化するとしている。ぜひ今国会で育児・介護休業法の改正を行うべきだ。
介護と仕事の両立支援も重要な課題だ。介護離職防止のため、介護に直面した全労働者に、事業主が個別に制度を周知したり、介護休業などを利用する意思を確認することが重要だ。介護と仕事を両立するため、労働者がテレワークを選べるようにすることも有効だ。
■リスキリング支援
賃上げを一過性のものとせず「構造的賃上げ」を実現するには、リスキリング(学び直し) による能力向上への支援をさらに強化することが有効だ。教育訓練給付の拡充とともに、教育訓練期間中の生活を支える新たな給付・融資制度の創設など、労働者一人一人が主体的にスキルアップできるよう、制度の充実に取り組むべきだ。
■日本版DBS導入
政府は現在、子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」の導入に向けた制度設計を進めている。大事なことは、一つは「刑の消滅」を定める刑法第34条の2の規定にかかわらず、子どもに対する性犯罪などの記録は性犯罪歴証明に記載すること、二つは学校や保育所はもちろん学習塾、スポーツクラブなど民間教育施設も幅広く「日本版DBS」の対象にすることだ。
再犯を防ぐ観点を含め、初犯から性犯罪を防ぐ総合的な取り組みも必要だ。
■認知症施策
今年1月、公明党が主導してきた認知症基本法が施行された。今後、政府は認知症基本法に基づく基本計画を策定するが、本人や家族らの意見を十分に踏まえた計画としていただきたい。認知症の人の居場所や社会参加の機会の確保に全力を挙げていただきたい。地域で認知症の人やその家族を支える仕組みづくりを進めるとともに、仕事と介護の両立支援を強化することが重要だ。
■(福島復興、防災・減災) 風評・風化対策、政府一体で
政府は今月、昨年の福島県大熊町と双葉町に続き、浪江町の復興再生計画を認定した。帰還困難区域への住民帰還に向けた第一歩であると評価する。スピード感を持ち、着実に除染とインフラ整備を進めることが重要だ。
原発事故の風評・風化は今なお続いている。多核種除去設備(ALPS) 処理水の海洋放出に伴う風評被害には、国内外に向けた透明性の高い情報発信を強化すべきだ。
若い世代や子どもへ科学的根拠に基づいた分かりやすい情報発信が必要で、政府によるSNSでのプッシュ型広告の活用、放射線教育副読本などを活用した教育現場での学びを全国で一層広げるべきだ。震災の記憶や教訓の伝承を通して風化対策も重要だ。政府一体となって連携して風評・風化対策を進めるべきだ。
■学校の老朽化対策
文部科学省によると、全国の公立小中学校の約半数の施設が築40年以上経過し、うち約7割が改修を必要としており、15年度から昨年11月までに発生した外壁落下は38件に上った。
地方公共団体は修繕や建て替えを計画的に進めているところだが、今後の国土強靱化に関する政府の指針となる「国土強靱化実施中期計画」に、学校施設の老朽化対策を位置付け、しっかり対策を進めていくべきだ。
■(外交など)
ロシアによるウクライナ侵略は長期化し、開始から間もなく2年を迎えようとしている。2月に日本で開催予定の「日・ウクライナ経済復興推進会議」も活用し、日本政府として、ウクライナへの人道支援や復旧・復興支援を引き続き力強く進めていただきたい。
ガザ地区ではイスラエル軍とハマスとの戦闘が続いている。人道状況の改善と事態の早期沈静化は最優先課題だ。そうした中、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) のスタッフがイスラエルへのテロ攻撃に関与したとの疑惑を受け、日本を含む主要ドナー国が資金拠出を一時停止する事態になっている。同機関のガバナンス強化を求めるとともに、結果としてガザの人々の命が脅かされることがないようにしなければならない。
■日中関係の強化
首相は昨年11月、中国の習近平・国家主席との首脳会談で、「戦略的互恵関係」の包括的推進と「建設的かつ安定的な関係」の構築について再確認し、各種対話の再活性化についても一致した。
わが党の山口那津男代表もその直後に訪中し、蔡奇政治局常務委員や王毅政治局委員と今後の日中関係のあり方について議論を深めた。その際、首脳会談のフォローアップに関する習主席宛ての首相親書を届けたが、後日、習主席から返書があり、両国首脳のさらなる意思疎通の強化を後押しできたと考えている。
今後、政府のみならず、政党、議会、地方、文化、観光などの幅広い分野において対話と交流を拡大し、2国間関係の課題に限らず、気候変動などのグローバルな課題についても成果を積み上げていくことが重要だ。
■マイナ保険証
政府は、今年12月に現行の健康保険証を終了し、マイナ保険証を基本とする方針を決定している。現行の保険証が終了するまでの移行期の対応が重要だ。終了後最大1年間は、現行の保険証も使用可能であること、マイナ保険証をお持ちでない人には資格確認書を発行することなど正しい情報発信とともに、全ての方が安心して保険診療を受けられるよう、きめ細かな対応が求められる。
国民にメリットや必要性を実感していただけるよう、関係省庁や医療機関などと連携し、利用しやすい環境づくりに努めてもらいたい。
■外国人技能実習
外国人技能実習制度の運用は、企業側が労働力確保として活用するケースが多いなど、目的との乖離が指摘されており、日本の国際的評価にも影響を及ぼしている。
外国人の人権をさらに尊重し、転籍要件緩和や待遇改善を図るなど健全な労働環境の提供が必要不可欠だ。外国人労働者の人権擁護と労働者としての権利性向上を図るとともに、人材確保や人材育成をより重視した制度を構築すべきと考える。
■岸田首相らの答弁(要旨)
【岸田文雄首相】
<能登半島地震>罹災証明書の迅速な発行に向け、全国の自治体から支援も得て、航空写真の活用、リモート判定などによる被害認定調査の簡素化を積極的に取り入れていく。
半壊以上の家屋および、これと一体的に行う納屋や車庫の解体・撤去についても、空き家か否かにかかわらず、自治体が住民負担ゼロで行えるよう柔軟に対処する。また、今回の被害の甚大さに鑑み、住宅の応急修理期間を特例的に発災から1年に延長する。
<政治改革>政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立・厳格化などに各党と真摯な協議を行っていく。政治資金規正法の改正についても、わが党としての考え方もまとめた上で、しっかり議論していきたい。
<物価高対策>定額減税や各種給付金の趣旨・内容について丁寧に周知・広報していく。関係省庁間、地方公共団体との間で連携し、制度全体を分かりやすく説明するホームページを作成する。
<社会保障>こども・子育て支援金制度は、歳出改革と賃上げにより、実質的な社会保険負担軽減効果が生じることから、その範囲内で制度を構築することで、全体として実質的な負担が生じない。
<学校施設の老朽化>国土強靱化実施中期計画の策定に向けた議論で、老朽化対策の位置付けの検討や必要な予算措置などを進める。
<日中関係>先般の山口代表の訪中は、両国の意思疎通強化に資する有意義なものだった。あらゆるレベルでの意思疎通を重ね、日中関係を深化・発展させていく。
【斉藤鉄夫国交相(公明党)】
<物流24年問題>関係省庁、産業界と連携し、持続可能な物流・建設業の実現に全力を尽くしていく。
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(3日 公明新聞より) 山口那津男参院議員の代表質問の要旨
能登半島地震の発災から1カ月がたった。私は、先月21日、甚大な被害を受けた輪島市、穴水町、内灘町の調査に入った。避難所や、復旧の支援に当たる現場では、多くの方々が「先が見えない」不安を抱えていると痛感した。今、大切なことは、被災者お一人お一人が生活の再建、なりわいの再建をイメージできるよう具体的な道筋を示し、不安を抱える被災者に希望を届けることだ。
地域の産業も壊滅的な被害を受けており、事業再建やなりわい支援、観光資源の再生に向け、中小企業の施設などの復旧支援や、事業再開・継続への金融支援、旅行需要喚起策を含めた観光の復興にスピード感を持って取り組むとともに、雇用の維持への支援にも万全を尽くしていただきたい。
現地のニーズはさまざまであり、状況も刻々と変化しており、対策が現場とマッチしているか、自治体と緊密に連携しながら、継続的にフォローアップしていくことが必要だ。
今回の地震災害が、半島という地理的状況に加え、険しく入り組んだ地形での陸路の寸断など被害の特殊性を鑑み、被災地の状況を踏まえた柔軟な支援が必要だ。
■住まいの確保
石川県は、3月末までに、仮設住宅や公営住宅など、約1万8000戸を提供するとし、一部が形を見せ始めた。希望する人が入居できるように必要戸数の確保とともに、入居者のニーズとミスマッチがないように配慮しつつ、早急な建設を求める。
仮設住宅の建設に当たっては、過去の大規模災害の知見も踏まえ、入居者のニーズを取り入れた仕様が求められる。入居希望者には高齢者が多く、2年間での自立が難しいため、被災自治体の要望を踏まえ、長期にわたって居住できる仕様にするとともに、コミュニティーを大切にする人々の気持ちに配慮した形態で進めることが重要だ。
降雪・寒冷地仕様は当然のこと、高齢者・障がい者らに配慮したバリアフリー型にすることも大切だ。加えて、孤独死対策としての見守り体制の強化や、集会所の建設なども検討が必要だ。
さらに、仮設を出た後の生活再建を焦点に、ワンストップ相談窓口の開設や、今後の生活・住まいの検討に役立つ「再建プランのしおり」の作成など、被災者に寄り添った再建支援が大切だ。
■国挙げて支える
能登半島地震は、被害の甚大さから本格的復旧・復興に時間がかかることが予想される。国を挙げて万全な支援を講じていかなければならない。
輪島市を訪れた際、福祉事業者とボランティア団体が共同で福祉避難所を運営しており、被災者に寄り添った支援がされていた。別の避難所ではDMAT(災害派遣医療チーム) や介護職員が活動されている様子を拝見し、避難者の安心感が伝わってきた。
支援する側の皆さまは、寝泊まりする場所がないなど心身ともに負担が大きく、休息の時間、場所の確保や健康管理などの配慮が必要だ。避難所運営体制の強化とともに、応援職員の体制強化や支援拠点の確保など支援に携わる全ての人への継続的な支援のためのサポートが極めて重要だ。
今後の被災地の復旧やきめ細かな被災者支援のためには、災害ボランティアや民間支援団体の力と知見は欠かせない。石川県の受け入れが始まったが、被災自治体の円滑かつ十分な受け入れ体制を支援するとともに、被災地への安全で十分な移動体制も構築すべきだ。
■運輸の安全強化、取り組め
羽田空港における航空機事故は、海上保安庁の航空機が被災地に物資を届ける最中に起きた。こうした事故を防ぐためにも、まずは徹底的に事故原因を究明し、再発防止策を確立していただきたい。今からでもできる対策は順次進めるべきだ。
万が一、人的ミスが起きても、事故につながらない仕組みの構築が重要だ。航空機や航空管制へのデジタル技術の活用など、新しいテクノロジーの導入が不可欠であり、技術開発に向けて民間や国際社会と連携しながら支援が必要だ。
航空分野に限らず、あらゆる運輸事業者に対し、自主的な輸送の安全性の向上を進める、運輸安全マネジメント制度があるが、今回の事故を教訓として、事業者の安全管理体制の評価や啓発の強化に一層取り組むべきだ。
■(政治とカネ) パーティー巡る問題、再発防止を徹底せよ
現職国会議員が逮捕されるなど、自民党の派閥による政治資金パーティーを巡る問題は、国民の生活感覚から大きくかけ離れており、断じて許されるものではない。国民の信頼を取り戻すためには、自民党内の派閥のあり方だけではなく、二度とこうした問題が起きないよう、政治資金規正法を改正し、再発防止を徹底することが、圧倒的な国民の声に応える道ではないか。首相のリーダーシップの下、今こそ自民党が自浄能力を発揮して、政治改革を主導すべきだ。
実効性ある法改正の実現に向け、衆院で過半数を持つ自民党がどのような改革案を示すのか、国民は注目している。自民党の総裁である首相の断固たる決意を、この場で国民に示していただきたい。
■(持続的な賃上げ)「地方版政労使会議」活用を
デフレ脱却へ、物価高を上回る賃上げ・所得向上の流れをつくり、「物価高を乗り越えられる家計」を実現していくことが肝要だ。カギは、さらなるベースアップの実現であるとともに、地域経済を担い、雇用の7割を支えている中堅・中小企業が持続的な賃上げを行えるかどうかにかかっている。そこで公明党は昨年10月に「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」を提言し、既に多くの項目が前進している。
例えば、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」作成、最低賃金の引き上げ支援、省力化や生産性向上に効果がある製品を申請や手続きなしにカタログから選ぶようにして導入するための補助金、赤字企業でも「賃上げ促進税制」を活用できる「繰越控除制度」を創設する方針も決定した。最も大事なことは現場で活用してもらうことだ。そのために、わが党が主張し実現が決まった「地方版政労使会議」を有効に活用し、支援策の普及・活用を後押ししていただきたい。
支援策の相談から活用まで的確なアドバイスができる人材の育成を、社会保険や税制の専門家の協力も得ながら進めていただきたい。国として現場で活用されるまで徹底的に寄り添った支援が必要だ。力強い賃上げの流れを中小企業や地方にどう波及させていくのか。
■医療・福祉従事者
公定価格で運営する医療や福祉分野では、物価高の影響を価格に転嫁できず、賃上げを求める切実な声が数多く公明党に寄せられた。現場の声を踏まえ、臨時国会における質疑や首相への提言を通じて、医療・福祉分野の賃上げを確実に実施するよう強く要請した。
その結果、2024年度の予算編成で焦点となっていた診療・介護・障がい福祉サービスの報酬改定において、医療・福祉現場で働く人の賃上げを促すための措置が盛り込まれた。これを契機に、現場で働く皆さまが物価に負けない賃上げを実感できるよう、取り組みを加速していただきたい。併せて、今回の改定による処遇改善の効果や今後の物価・賃金上昇の状況を見極めながら、さらなる対応も検討すべきだ。
■「年収の壁」解消
「年収の壁」解消策について、昨年10月に始まった「支援強化パッケージ」だが、導入を躊躇する事業所が多く見られる。
制度の周知徹底や改善とともに、2年間の期間が過ぎても、年収の壁を気にせず働けるよう、その後の見通しを示すことなどを通じて利用を促進していくべきだ。
■(子育て支援) 大学など経済負担軽く
政府は昨年、「こども未来戦略」を決定し、今年からの3年間で実施する約3・6兆円規模の加速化プランと、財源確保の基本骨格を示した。加速化プランには、児童手当の大幅拡充をはじめ若者世代の所得向上、「こども誰でも通園制度」の創設、育児休業制度の大幅拡充など新たな取り組みが豊富に盛り込まれた。一昨年の11月に公明党が提案した「子育て応援トータルプラン」がベースとなっており高く評価する。
公明党が一貫して取り組んできた、さまざまな困難を抱える子どもや家庭への支援策もしっかり盛り込まれている。例えば、今年から障がい児の日常生活に欠かせない義肢や補聴器、車いすなど補装具費の支給制度の所得制限を撤廃することとなった。児童扶養手当も拡充する。
大事なことは、未来に希望が持てるよう子育ての安心を届けることだ。若者や子育て世帯に対し、取り組みの具体的内容や実施時期などについて、当事者の目線に立った分かりやすい説明をお願いしたい。
■給付型奨学金など
こども・子育て政策の抜本強化には、高等教育のさらなる負担軽減が必要だ。公明党は、経済的な理由で学びを諦めることがない社会を築くため、経済的負担が大きい家庭から段階的に大学などの高等教育の無償化を推進している。
第1弾として24年から給付型奨学金と授業料などの減免を多子世帯と理工農系の中間層への拡大。第2弾として25年度から多子世帯の授業料などが無償化されることになった。そして30年代の大学などの無償化をめざし、この開かれた無償化の道を決して後退させることなく、着実に進める決意だ。高等教育の無償化についてさらなる対象拡大を強く求める。
■公教育の再生
こども未来戦略には「公教育の再生」が盛り込まれた。公明党は、教育は「子どもの幸せのため」であるとの理念の下、子どもの可能性を開くことに焦点を当てた公教育の再生に取り組むべきと考える。
例えば、午前中は現行の集団学習形式の授業で友達と協力して学ぶことの良さを経験しながら社会性を身に付け、午後は個別学習形式で探究学習や、文化芸術やスポーツ活動、企業実習、自然体験などの個々のニーズにあった学びで自分の強みや得意を伸ばす。
まずは大人や社会が総出で子どもの教育に関わり、多様な子どものニーズに応える「チーム学校」を確立し、多様で専門性が高い教職員の活躍を促進することが必要だ。
■ヤングケアラー
ヤングケアラーについて、実態の把握、支援の取り組みについての自治体格差の解消、18歳以降の切れ目のない支援などが求められる。
そのため、ヤングケアラーを国や自治体などによる子ども・若者支援の対象として法律に位置付けるとともに、来年度から施行予定のこども家庭センターの全国展開によるきめ細かな支援を効果的に実施することで、地域での支援体制を抜本的に強化すべきだ。
■男女の賃金差を是正
公明党女性委員会が08年に提言し、粘り強く取り組んできた「女性の健康ナショナルセンター」が4月に開設される。生涯にわたる健康は女性活躍の基盤であり、女性の健康・疾病に関する研究の司令塔である同センターが、機能をいかんなく発揮することを期待する。
従業員301人以上の企業において、男女の賃金差の公表が義務付けられた。男女の賃金差を是正するために、こうした情報公開をきっかけとして、各企業による取り組みを推進することが重要だ。同一労働同一賃金の徹底や、非正規雇用から正社員への転換、リスキリングなどの能力開発を推進するとともに、従業員300人以下の企業についても男女間賃金格差に関する情報公開の義務化を検討すべきと考える。
公務員についても昨年から、男女の賃金差の公表がスタートした。民間企業で活用されている「女性の活躍推進企業データベース」を参考に、情報を集約して比較・検索できるウェブサイトを整備するなど、さらなる「見える化」と賃金差の是正に取り組むべきだ。
■(外交など)「人間の尊厳」中心に据えて
■核廃絶、核軍縮
ロシアによる核兵器の威嚇や北朝鮮の核開発など、核兵器を巡る安全保障環境は厳しさを増している。首相も言及した通り「人間の尊厳」を中心に据えた外交、国際協力が大事であり、唯一の戦争被爆国である日本が、その取り組みを主導していくべきだ。
その中で「『核のない世界』に向けた国際賢人会議」の取り組みは重要だ。昨年、長崎で開催された第3回会合では、26年核不拡散条約(NPT) 運用検討会議に向けた、最終成果物の検討が開始されたと伺っており、核のない世界のビジョンとそこに至る現実的な道のりの議論がされることを期待する。
併せて政府には、核兵器の非人道性を伝える取り組みを加速させるとともに、新たに始まった「ユース非核リーダー基金」の研修が30年まで着実に遂行され、被爆の実相を世界に伝えていく役割を担う多様な人材が輩出されることを強く期待する。
先月、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN) のメリッサ・パーク新事務局長と会談した。その中でパーク氏は、核兵器の被害者援助や環境修復における日本の貢献をはじめ、核保有国と非保有国の橋渡し役としての日本の役割に期待していた。
公明党は引き続き、(核禁条約締約国会議への) 日本のオブザーバー参加を求めるとともに、議員派遣を続け、市民社会の皆様と力を合わせ、わが国が一刻も早く核禁条約を締結できるよう、環境整備に全力を尽くしていく。
■気候変動対策
世界の(二酸化炭素) 排出量の約半分を占めるアジアの脱炭素化が焦点であり、日本のリードが重要だ。今年1月、ベトナムで初めて日本企業による廃棄物発電施設が完成した。わが国の高い技術による温室効果ガスの排出削減のみならず、現地での雇用創出や経済発展などの効果が期待される。政府は、こうした二国間クレジット制度(JCM) の拡大へ、関係国との協議の加速や日本企業が参加しやすい支援の充実に取り組むことが必要だ。
先日、公明党は若者代表の皆さまから政策提言を頂いた。未来の世代の立場に立って地球環境を保全していくことが私たちの責任だ。その意味において、政府の気候変動対策の政策決定プロセスにおいて、未来の代表たる若者の意見を積極的に取り入れるべきだ。
■農林水産の活性化
政府は、四半世紀ぶりに「食料・農業・農村基本法」の改正などを行うこととしている。まずは、有事を含む新たな法整備を進めるなど、あらゆる施策を総動員して、食料安全保障を確立すべきだ。
その上で、環境配慮型農業への転換が極めて重要だ。徳島県の小松島市と阿南市では、生産者や行政などが連携し、有機農業の拡大や特別栽培米のブランド化を進めている。このような取り組みが、農産物の付加価値を高めることになり、適正な価格形成や、生産者の所得拡大、輸出額の増加、世界に誇れる農業への転換につながると期待する。来年度予算案を基に、有機農業拡大への支援を着実に実施するとともに、今後こうした施策の拡充に取り組み、環境や健康に優しい農業をわが国の主流とすべきだ。
■岸田首相らの答弁(要旨)
【岸田文雄首相】
<能登半島地震>必要な対策と財政措置を講じ、被災者の帰還と被災地の再生まで責任を持って取り組む。仮設住宅は集会所設置、窓の複層ガラス化など積雪・寒冷地向け仕様、バリアフリー化を進める。能登半島の実情、利用後も見据え、木造仮設住宅の建設なども進める。ボランティア車両の高速道路の無料化など、ニーズを踏まえた取り組みを進めていく。
<政治とカネ>政治資金規正法などについて、今国会でしっかりと議論ができるよう党として考え方を取りまとめる。私が先頭に立って国民の信頼回復に向けて取り組む。
<中小企業の賃上げ>地方版政労使会議を有効に活用することが重要と考えており、積極的に開催し、賃上げ支援策を周知する。あらゆる施策を総動員して賃上げを後押しする。医療・介護・障がい福祉で確実に賃上げを実現するが、物価の動向などを見極めていく必要があるとの(山口代表の)指摘は、その通りだ。
<子育て・教育支援>高等教育費の負担軽減を中心に、経済的支援の強化や若い世代の所得向上の取り組みについて適切に見直しを行う。ヤングケアラーについて、法改正し、国・地方公共団体などが支援に努めるべき対象に明記することで、自治体間の取り組みの格差の是正や、切れ目ない支援につなげる。
<外交など>唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させる形で、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取り組みを継続強化する。2021年の地球温暖化対策計画の策定に当たり若い世代からヒアリングした。次回以降も積極的に声を聴いていく。
【斉藤鉄夫国交相(公明党)】
<交通の安全>あらゆる交通モードにおいて、運輸安全マネジメント制度をより積極的に活用し、事業者の安全管理体制を一層強化する。













