人類脅かす「気候危機」の克服へ
各国 COP26の合意達成に総力 気温上昇「1・5度」に抑制
(公明新聞、1日付けより)
■温室ガス削減率など目標出そろう
190超の国と地域から過去最多の約4万人が参加したCOP26は、各国が気候変動への強い危機感を共有し、「産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるための努力を追求すると決意」。
温室効果ガス削減に向けた主要国の目標も出そろった【表参照】。
排出量が世界の約3割を占める中国は、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ(ピークアウト)、60年までに実質ゼロにする目標を掲げる。
国内総生産(GDP)当たりのCO2排出量は、30年までに05年比で65%以上削減する。COP26開催の直前には、エネルギー消費に占める再生可能エネルギー(再エネ)など非化石エネルギーの比率を、60年までに8割以上とするなどの行動計画も発表した。
バイデン大統領の下で温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰した米国は、気候変動対策を最重要課題の一つに位置付け、30年までに温室ガス排出量を05年比で50~52%削減し、50年までに実質ゼロをめざしている。
電力は35年までに100%脱炭素化する。昨年11月には、5550億ドル(約63兆円)の気候変動対策が盛り込まれた大型歳出法案が議会下院を通過した。
欧州連合(EU)は、50年の実質ゼロと経済成長の両立をめざす成長戦略「欧州グリーンディール」を掲げている。6月には欧州気候法を成立させ、30年までに1990年比で55%以上を削減する目標と、50年実質ゼロを法制化した。
7月と12月には、30年目標に向けた政策パッケージを相次いで発表。排出量取引やエネルギー利用に関する規制見直しなどを進める方針だ。
中国、米国に次いで3番目に排出量が多いインドは、これまで実質ゼロ達成の具体的な時期を示していなかったが、COP26の首脳級会合でモディ首相が「70年まで」と初めて表明した。
30年までの目標として、非化石エネルギーによる発電容量を500ギガワットに引き上げるほか、電力の50%を再エネで賄うなどの具体策を示している。
ロシアは10月、プーチン大統領が60年までに実質ゼロを実現すると表明。翌11月には、目標達成に向けた戦略を発表した。50年までに19年比で60%の削減をめざす。
■「0・5度」の差と環境への影響/極端な高温、大雨が増加
産業革命前(1850年から1900年まで)と比べ、世界の平均気温が1・5度上昇する場合と2度上昇する場合。その差は0・5度とわずかだが、環境への影響には大きな違いがある。
各国の科学者や政府関係者らで構成される「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が昨年8月にまとめた報告書によると、2011年から20年までの世界の平均気温は、産業革命前と比べ、既に約1・1度上昇している。
これにより、産業革命前は50年に1度しか起きなかった50度に迫るほどの極端な高温の発生率が4・8倍に増加。1・5度の上昇で8・6倍、2度の上昇だと13・9倍に跳ね上がると予測されている。
大規模な洪水被害をもたらす極端な大雨の発生率も高まる。産業革命前と比べ、現在は雨量が6・7%増、極端な大雨の発生率は1・3倍増えた。
1・5度の上昇で雨量は10・5%増、極端な大雨の発生率は1・5倍増。2度の上昇だと雨量は14%増、極端な大雨の発生率は1・7倍増える。260人超の死者を出した18年の西日本豪雨を含む世界各地の豪雨被害は、地球温暖化がなければ起きなかったと報告書は指摘している。
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これからの10年が勝負 実効性ある政策の導入が不可欠 地球環境戦略研究機関 上席研究員 田村賢太郎氏
昨年のCOP26で、これまで努力目標だった産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑えることが事実上新たな目標に据えられ、「パリ協定」の実施に向けた大枠のルール策定で各国が合意できたことは大きな成果であり評価できる。
2015年にパリ協定が採択された時点における各国の温室効果ガスの排出削減目標だと、今世紀末には3度近く上昇すると見込まれていた。しかし、各国が徐々に目標を引き上げたことで、現在は1・8度まで上昇幅が抑えられる可能性が出てきた。
これは、パリ協定で定める「5年ごとに削減目標を野心的に引き上げる」との約束が機能している証しと言える。
とはいえ、1・5度目標に向けて各国が掲げる削減目標は、国内政策の裏付けがない“絵に描いた餅”と言わざるを得ない。実効性のある政策の導入が求められる。
また、目標達成には、排出量の累積を抑えることが不可欠で、30年目標をどこまで深掘りできるかにかかっている。まさに、これからの10年が勝負であり、COP26で今年末までに30年の削減目標を再検討して引き上げるよう各国に求めた事実は重い。
日本政府は日本の30年目標(13年度比46%削減)はパリ協定の気温目標と整合的という立場であり、今年中の再検討は行わない可能性が高い。
しかし、1・5度目標の達成に向けては、今後、世界は非常に限られた量の温室効果ガスしか排出することができない。日本の先進国としての責任を考えるならば、さらなる削減努力を検討することが求められる。
日本政府は30年50%削減の高みもめざすとしている。是非、50%削減に向けた対策強化を検討し、先進国としての責任を果たしてもらいたい。



















