気象庁検討会が運用改善案/2030年めどに順次導入
(2025/08/25 3面) 気象庁が発表する台風情報を巡り、改善策などを示した報告書案を同庁の有識者検討会が先月まとめた。
台風による被害防止と影響の抑制へ、鉄道など公共交通機関や自治体などの意見を踏まえて検討した内容で、2030年をめどに順次導入される見通しだ。
月内にも最終報告書として公表される。見直しの背景や主なポイントを解説する。
■ 公共交通機関や自治体など効果的な備え進めやすく
近年、台風による風水害の頻発を受け、台風接近前の公共交通機関の計画運休や、自治体による時系列の防災行動計画(タイムライン) に沿った早めの避難所開設といった対応が進んでいる。
物流や建設、港湾などの各業界でも、台風によってもたらされるリスクを踏まえ、安全や経営面を考慮した事業計画を導入する企業が増えつつある。
こうした備えを効果的に実行するため、ニーズが高まっているのが、より早く詳細な台風情報だ。
現在の台風情報は、発生が予想される24時間前からしか提供していない。このため、熱帯低気圧が日本近海で急速に発達して台風になった場合、すぐに影響が及ぶ地域で十分な対応を取りづらい課題がある。
より早いタイミングで発生や接近が見通せるようになれば、例えば、建設や電力などの業界で工程の見直しや復旧対応の検討などに活用できるほか、予報の詳細化によって、各地域でより的確な備えを進めやすくなると期待されている。
■ 発生見通しの予報前倒し/進路予想は6時間刻みに細分化
有識者検討会は、昨年9月から5回にわたり会合を開催し、台風情報の運用改善について議論を重ねてきた。
今回、まとめた報告書案の柱の一つが、台風発生前の「早めの備えを促す情報」の新設だ。
まず、台風シーズン前の5月ごろから、台風発生数を見通し、「多い」「平年並」「少ない」の三つに分けて、それぞれの確率を発表する。台風発生が予想される1カ月から2週間ほど前には、発生する可能性が高い領域を地図上に示す。いずれも、根拠となる熱帯の海洋と大気の特徴も合わせて解説する方向だ。
さらに発生予想の発表は、現在の24時間前から1週間前に前倒しし、台風発生後の情報に円滑につなげる。報告書案では、これらの新たな情報について「発生から上陸までの期間が短い場合に特に有用」と強調している。
もう一つの柱が、台風発生後の「台風の特徴を伝えるきめ細かな情報」の改善だ。
気象庁は、台風の中心が通る確率が70%以上と見込まれる範囲を示す「予報円」について、現在、5日先までは24時間刻みを基本としているが、6時間刻みに細分化する。台風が接近する地域かどうかや、影響が及ぶ時間帯をより見通せるようにするためだ。
加えて、風速25メートル以上の暴風域に加える形で、同15メートル以上の強風域の予報なども充実させる。
気象庁によれば、台風情報はこれまで、現行体系の中で予報期間の延長などの改善を随時実施してきたが、大幅な改善は予報円を導入した1982年以来となる。
同庁の担当者は「情報の前倒しに伴う不確実性も含め、分かりやすく伝える表現や解説の仕方をさらに詰め、利用者に使い勝手の良い情報となるよう普及啓発にも力を入れていきたい」と話す。
■ 予測技術の精度向上/誤差100キロに短縮へ
台風情報は、気象庁が国内外の観測網から得られる膨大なデータを収集、解析し、台風の発生や進路、勢力などに関する状況を予測して提供している。
中でも進路予測技術は、高い計算能力を持つスーパーコンピューターの導入や計算モデルの改良によって、年々精度が向上。防災・減災の観点から公明党も取り組みを後押ししてきた。
気象庁によると、3日先の台風進路予測の誤差は2015~19年の平均は207キロだったが、直近20~24年の平均は178キロまで縮まった。しかし、台風を移動させる上空の風が弱かったり、安定していない場合は、予測が難しく、広い範囲で注意が必要となるケースは少なくない。
気象庁は30年までに、3日先の進路予測の誤差を100キロ程度まで縮めるため、先端AI技術の活用を含め、観測網充実による台風監視体制の強化や、数値予報技術の大幅な高度化を引き続き進めるとしている。








